ブラジル移民便乗商法

A emigração para o Brasil e o surgimento de comerciantes oportunistas

The emergence of business taking advantage of the Brazil emigration

広告主の伯国渡航同志会は、移民取扱人ではなく出版社である。同社は、1908年(明治41)3月、『伯国渡航案内』という書籍、『伯国の栞』という雑誌の発行を目的として、新聞にこのような広告を出し、4月、麹町署から説諭を受けた。にもかかわらず、5月、同社は『伊勢新聞』等に再度広告を出した。これを見て不審に思った読者から外務省に投書があり、今度は警視庁からこの名称を使わないよう厳重加諭を受けた。このような便乗商法も出回るくらい、ブラジル・ブームだったと見ることができよう。

会員募集■天外の楽園とは何ぞ

四面海環の一嶋国地限りありて人口限りなし量の三千五百万今は
四千万により数年ならずして五千万に達せん
壮年諸君天外の楽園に行け行かんと欲する者
伯国渡航案内を見よ
本会は盛に南米伯剌西爾国に我が同胞の繁殖を図るものなり
伯国は四季常に陽春三月の気候
次に米食の風俗あり食料住居総て雇主の負担にして
労賃の高さ男一日給料四円より八円女二円より五円
是れ本国労賃に比して殆ど十倍更に驚くべきは
同国政府は我渡航者に渡航費を補給して朝野官民共に
我が戦勝日本国民の殖民地を建設せん事を熱望し
双手を挙て歓迎せんとするにあり是れ日本国民の発展すべき
天外の楽園に非ずして何ぞや
●五十銭送金者に(渡航案内価五十銭及会則手続送る)