ホーム > 資料の収集 > 納本制度 > 納本制度審議会 > 第2回納本制度審議会オンライン資料の補償に関する小委員会議事要録

第2回納本制度審議会オンライン資料の補償に関する小委員会議事要録

日時:
平成26年3月13日(木)午後2時00分~午後3時40分
場所:
国立国会図書館本館3階総務課第一会議室
出席者:
福井健策小委員長
植村八潮委員、永江朗委員、山本隆司委員、湯浅俊彦委員、片寄聰専門委員、佐々木隆一専門委員、三瓶徹専門委員
会次第:
1. 実証実験事業に関する経緯説明及び今後のスケジュール
2. その他
配布資料:
(資料1)納本制度審議会オンライン資料の補償に関する小委員会所属委員及び専門委員名簿(五十音順)
(資料2)関係団体への説明状況について
(資料3)実証実験について大手出版社(KADOKAWA、講談社、集英社、小学館)から指摘された主な論点
(資料4)有償オンライン資料収集制度整備に関する経過と今後のスケジュール(案)
(参考資料1)有償オンライン資料収集実証実験事業案について
(参考資料2)(図)有償オンライン資料収集実証実験事業の概要(案)
(参考資料3)実験事業の対象とする資料範囲
議事概要:

資料1~4及び参考資料1~3に基づいて、事務局から、実証実験に関する関係団体・出版社への説明状況、その際に指摘された主な論点、今後の実証実験の準備・実施について説明があり、質疑応答が行われた。その後、いわゆるデジタルファースト、デジタルオンリー、セルフパブリッシングの電子書籍・雑誌の収集・保存・利用について議論が行われた。実証実験については、小委員長から、約1年という準備期間でできる限り準備を行い、着実に進めて欲しい旨の意見が多数であったとのまとめがあった。最後に、今後の予定について確認が行われた。

(1)実証実験に関する説明状況、今後の準備・実施
■実証実験の内容■

  • (事務局)これまでのオンライン資料収集制度に関する関係団体等への説明においては、オンライン資料が従来の紙出版物にはない多様な性質を持つにもかかわらず、その多様な性質を踏まえた論点整理が十分でないまま、議論が行われてきたとの認識が当館にある。そこで、実証実験を進めるに当たっては、まず、DRMの問題を含めたオンライン資料収集に係る技術的・実務的な論点を他の論点と切り分けた上で、別途検討することを考えており、当館との窓口を出版界側に設けていただけないかという点について、片寄専門委員に相談しつつ、依頼をしているところである。
  • 国立国会図書館から求めがあれば、日本電子書籍出版社協会に出版界側の窓口を設けることで、同協会理事会での内諾を得ている。
  • 公的アーカイブの役割というのは、ミニマムベーシックを限りある公的な費用で確保しようというものだから、オンライン資料を失われないように保存するとしても、それを完全に著作者の意図どおりに再現できるように保存して欲しいという要望には必ずしも応えられないのではないか、と思う。
  • 作家にとって、DRMがあることで将来的に作品が残せなくなるのであれば、アーカイブする意味はない。
  • 電子書籍の書誌情報や一括代行納入機関の問題とも関連して進めていければと思う。
  • オンライン資料収集制度は今後も長く運用されるものだから、準備期間中のみならず、実証実験実施期間中も意見を聴取するプロセスを用意することが必要ではないか。
  • 平成22年6月7日の納本制度審議会答申から時間が経過していることもあり、実証実験はもう少しスピード感を持って進めるべきである。
  • 実証実験とは、オンライン資料の収集についての出版界の理解が進まないから、出版界の理解を深めようとする趣旨ではなかったか。ぜひ、その理解のもとで、始めてほしい。実証実験の要件合意を参加の前提条件としたり、要件の運用に厳密さを求めることになっては、容易に進まないことが懸念される。
  • 専門書を発行している出版社も、準備期間に設置するという会議体に参加を求める方が、結局、理解を得やすいのではないか。
  • 実証実験の期間を3年程度とするのは妥当であろう。電子出版をめぐる状況が急激に変化していることを踏まえると、これ以上の期間とすることは適切でない。

■オンライン資料の制度収集に対する関係者・団体の見解■

  • 出版社の間には、国立国会図書館が出版社の利益を損なうようなオンライン資料の利用をいつか実施するのではないか、という強い懸念がある。
  • 実証実験に関する関係団体等への説明状況についての説明を聞いて、オンライン資料の制度収集に関して、出版界には図書館界に対する誤解があると感じた。
  • オンライン資料の国立国会図書館による収集・保存自体について異議を唱える意見は出版界にはないと思う。

(2)いわゆるデジタルファースト、デジタルオンリー、セルフパブリッシングの電子書籍・雑誌の収集・保存・利用
■オンライン資料の制度収集の在り方■

  • 制度収集の対象となるオンライン資料の基準はあるか。
  • (事務局)紙資料のような発行部数や販売部数、あるいは内容で選別することはしない。現在の法制度では、「インターネットその他の送信手段により公衆に利用可能とされ、又は送信されるもの」、「図書又は逐次刊行物に相当するもの」という概念を基礎として定義されている。
  • オンライン資料本体や納入に要する費用の補償を考える上で、スパムなどの問題を解決しなければ、その原資となる国費を圧迫するおそれがある。
  • オンライン資料の収集制度を考える上で、訂正版やアップデート版が発行された場合の、元の版の取扱いが大きな論点となる。この論点を検討する上で、収集したオンライン資料の保存と利用とを別個に考える視点が重要ではないか。

■デジタルファースト電子書籍等への対応■

  • 出版社を介さない電子書籍が増加することは明らかなので、それらを制度収集の対象と考えるべきだと思う。
  • セルフパブリッシングやデジタルファースト電子書籍のうちには、以前、紙出版物として発行したもののアップデート版として発行されるものもある。このような電子書籍を誰が、どこで、どう保存しておくかを考えておかなければならない。
  • デジタルファースト電子書籍は、網羅的に収集・保存すべきだと思う。紙出版物と比較して数十倍の点数となることが予想されるが、検索が可能ならば不都合はないだろう。
  • 既存の出版界の枠に収まらないネットの世界に親しんだ人の意見を聴く機会を別途設けるべきだと思う。

(3)今後の予定について
(事務局)次回の小委員会は、夏から冬までの間に開催することを検討している。準備期間を経て平成27年度から実証実験を実施するとともに、実験結果の検証を行う想定である。最終的な制度化に向けては、改めて納本制度審議会に諮問を行うことを考えている。
(小委員長)次回の日程については、改めて事務局を通じて連絡する。

以上

このページの先頭へ