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第7回科学技術情報整備審議会議事録

日時:
平成27年12月14日(月)午後1時56分から午後3時42分まで
場所:
国立国会図書館東京本館 総務課第一会議室
出席者:
科学技術情報整備審議会委員・専門委員 9名(欠席3名)
安西祐一郎委員長、竹内比呂也委員、喜連川優委員、倉田敬子委員、児玉敏雄委員、佐藤義則委員、中村利雄委員、藤垣裕子委員、村山泰啓専門委員
(生川浩史委員、戸山芳昭委員及び濵口道成委員は欠席。)
館側出席者 14名
館長、副館長、(幹事)総務部長、調査及び立法考査局長、収集書誌部長、利用者サービス部長、電子情報部長、関西館長、国際子ども図書館長、(陪席)総務部企画課長、収集書誌部主任司書、利用者サービス部副部長サービス企画課長事務取扱、(事務局)利用者サービス部科学技術・経済課長、電子情報部電子情報企画課長
会議次第:
  1. 開会
  2. 館長挨拶
  3. 新委員紹介
  4. 報告
    第四期科学技術情報整備基本計画策定に向けた基本方針検討部会の審議の概略について
  5. 議題
    イノベーションを支える「知識インフラ」の深化のための提言(案)について
  6. 閉会
配付資料:
(参考資料)
議事録:
1. 開会
安西委員長:
ただ今から第7回科学技術情報整備審議会を開催します。
委員の皆様にはお忙しいところ御出席くださいまして、ありがとうございます。本日は11名の委員中7名の委員が御出席くださっていますので、定足数は満たされています。また、本日は、村山専門委員も御出席くださっています。
はじめに、事務局からお知らせがあります。
木藤科学技術・経済課長:
利用者サービス部科学技術・経済課長の木藤です。本日はありがとうございます。本日は3名の委員が御欠席になっており、国立情報学研究所の喜連川優委員は遅れて御出席の予定です。
本日の資料は、机上にお配りしています。次第を1枚めくった2枚目に資料一覧がありますので、不足等ありましたらお知らせください。
2. 館長挨拶
安西委員長:
開会に当たり、大滝館長に御挨拶をお願いします。
大滝館長:
国立国会図書館長の大滝です。本日は年末の大変お忙しい中、第7回科学技術情報整備審議会に御出席いただき、誠にありがとうございます。
今期の審議会におきましては、国立国会図書館の今後の科学技術情報整備のあり方に関する新たな御提言について御検討いただいておりますが、本日は最終案を御審議いただく運びと伺っております。安西委員長はじめ委員の皆様のこれまでの御尽力に心から感謝申し上げますとともに、基本方針検討部会の竹内部会長、佐藤委員、村山専門委員には精力的な御議論を重ねていただきましたことに厚く御礼申し上げます。
さて、国立国会図書館の科学技術情報整備基本計画は、平成10年以来、4次にわたり策定されておりますが、国の科学技術基本計画の動きと軌を一にした取組であります。今回、当審議会でまとめていただく御提言は、次の第四期国立国会図書館科学技術情報整備基本計画に最大限盛り込んで、取り組ませていただく所存でございます。
新しい国の科学技術基本計画の策定状況としては、つい先日の12月10日、総合科学技術・イノベーション会議の基本計画専門調査会において最終的な答申案が取りまとめられ、その答申案では、日本が「世界で最もイノベーションに適した国」となることを目指した産官学の連携強化が謳われていると聞いております。一方、国立国会図書館が有する情報資源の利用は、学術界にとどまらず産業界をはじめ社会一般に広範に開かれております。設立直後から構築を始めた国立国会図書館の科学技術関係資料は、当初から、狭義の学術研究向けに限らず、産業振興も含め、広く科学技術の発展に寄与することを目的としておりました。資料の形態、情報流通環境は大きく変わりましたが、こうした知に関わる社会各般の営みを支える情報基盤としての役割は変わっておらず、むしろ、情報通信技術の発展とともに、その果たすべき役割を広げてきていると考えております。
本日は、御提言の最終案の御審議を通じ、国立国会図書館が我が国における情報基盤の一つとして次の5年間にとるべき方向性について忌憚のない御意見をいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いします。
3. 新委員紹介
安西委員長:
ありがとうございました。それでは、次に新任の委員の紹介を事務局からお願いします。
木藤科学技術・経済課長:
事務局から委員の交代について御報告します。
関係者名簿を資料1として配付しておりますので、御覧ください。
文部科学省大臣官房審議官の交代により、安藤慶明委員が退任され、生川浩史審議官が新たに委員に就任されました。また、科学技術振興機構理事長の交代により、中村道治委員が退任され、濵口道成理事長が新たに委員に就任されました。両委員ともに本日は所用により御欠席です。
なお、本日は、国際医学情報センターの戸山芳昭委員も御欠席です。
当館幹事は前回から異同ありません。本日は、幹事のほかに、大滝館長、網野副館長、審議会事務局の職員も同席しています。どうぞよろしくお願いします。
4. 報告
安西委員長:
議事の「4.報告」に移ります。前回の第6回審議会以降の「第四期科学技術情報整備基本計画策定に向けた基本方針検討部会」での審議の概略について、事務局から報告をお願いします。
木藤科学技術・経済課長:
(資料2に基づき説明)
安西委員長:
ありがとうございました。何か御意見ございますか。
(特になし)
5. 議題
安西委員長:
続いて、議事の「5.議題」に移ります。前回の第6回審議会での素案についての議論を受けて、いま報告がありましたように基本方針検討部会において検討がなされ、本日、資料3として配付されている「イノベーションを支える『知識インフラ』の深化のための提言(案)」がまとめられました。本日、この案について議論し、確定したものを最後に大滝館長に手交することとしたいと思います。
では、「提言(案)」の内容について、部会長の竹内委員から御説明をお願いします。
竹内委員:
竹内です。御指名ですので、「イノベーションを支える『知識インフラ』の深化のための提言(案)」について御説明します。お手元に資料3-1として提言案の要約と本文をお配りしています。
全体としては、7月に開催された第6回審議会にお出しした素案と基本的な構成は同じです。今回の提言の基本的な位置付けですが、平成23年1月に科学技術関係資料整備審議会が出した提言「国立国会図書館における今後の科学技術情報整備の基本方針に関する提言」で示された基本方針、すなわち「知識インフラ」というフレームワークを、今回の提言では更に深化させることが最も大きな目的となっていました。深化に向かって、今回の提言は前提言と比べるとずいぶん具体的に書いたところに大きな特徴があります。
内容ですが、「はじめに」で提言の位置付けなどについて詳細に述べ、第1章で現行の第三期科学技術情報整備基本計画について評価し、第2章でこの間の「知識インフラ」を巡る国内外の状況について述べて課題を提示し、第3章で、第1章と第2章を受けて、次の計画で国立国会図書館が果たすべき役割は何かについて提言するという構成をとっています。前回の素案では文章が入っていなかった「おわりに」でこれらをまとめ、情報基盤整備における国立国会図書館の今後について改めて期待するものとして締め括っています。
提言の中心である第3章の骨格についてはエグゼクティブサマリーの3枚目の図を御覧ください。「知識インフラ」の概念を恒久的保存と利活用の促進という二つの領域に分けて図式化し、それぞれの領域で国立国会図書館に果たしてもらいたい役割を示すとともに、国立国会図書館はそれら二つの領域を繋ぐ役割を果たすことができることを示しています。この図は素案でもお示ししましたが、前回の審議会での議論等を踏まえ、国立国会図書館の役割に示した各事項について優先順位を示し、また、拡充というよりはむしろ新たな取組が必要な事項を選んで取り上げることとしました。そのほか、図中の左右にある他機関との関係について、御意見を踏まえて明確化するように努めました。
なお、この提言をまとめるに当たっては、先ほど大滝館長からもお名前が挙がりましたが、委員として御尽力いただいた佐藤委員、村山専門委員に感謝いたします。また、幹事の皆様、事務局の皆様におかれましては部会長の至らぬ点を種々補ってくださり、改めて御礼申し上げます。 より詳しくは事務局から説明をお願いします。
木藤科学技術・経済課長:
(資料3-1に基づき説明)
安西委員長:
ありがとうございました。それでは、議論に移りたいと思います。この提言案は、来年度から5か年にわたって行われる予定の国立国会図書館の第四期科学技術情報整備基本計画のためのものです。提言案そのものに係る議論のほか、第四期科学技術情報整備基本計画の策定、実施に当たって国立国会図書館が留意すべき点なども含めて議論をお願いします。
倉田委員:
報告書としてはいろいろと練り直してくださって、妥当な良い提案ではないかと思います。ただ、関係がまだつかめないところがあります。国立国会図書館の取り組むべき役割として、恒久的保存のための取組と利活用のための取組という大きく二つの柱があるということでよろしいですか。もし二つの柱であるなら、それをどう繋げるという話になるのか。恒久的保存を足場にして利活用の取組がその先にあるということなのか。そこが分かりにくかったので御説明をお願いします。
竹内委員:
今期の最初の第4回審議会だったと思いますが、サービスについて十分かつ様々な検討が必要であるという意見があったことを踏まえ、なおかつ国立国会図書館が本来持っている保存という機能があることから、恒久的保存と利活用の2本の柱があるということです。国立国会図書館の役割として二つの領域を繋げるという点については、おそらく恒久的保存のための活動と利活用促進のための活動は並行して行われるべきものであって、どちらを先にやるという関係ではないと考えています。ただ、恒久的保存のための取組が利活用に繋がっていくというのは普通に考えられることなので、倉田委員の御発言にあったように、恒久的保存が土台となってその上で利活用の促進が図られるという理解でよろしいかと思います。
藤垣委員:
保存はアーカイブ化で、利活用促進はメタデータに加えてさまざまなものがあると理解しました。土台となるアーカイブをメタデータ化するという流れもあるでしょうし、メタデータを作っているうちにアーカイブとして「こういうものが欠けている」という点も見えてくると思います。そこが両者を繋ぐロジックとなるのではないかと思ったのですがその辺りはいかがでしょうか。
竹内委員:
藤垣委員の御指摘のとおりです。例えば電子的な資源のアーカイビングを考えたときに、恒久的保存のためのメタデータと通常のサービスのためのメタデータは当然ながら若干性質が違ってきます。短期的に国立国会図書館が収集するなり何らかの形で入手するなりして利活用に供するコンテンツもありえますが、それについて、恒久的保存に向けてメタデータの改変が行われながら、恒久的保存が行われるという流れは当然ありえます。先ほどは恒久的保存が土台と申し上げましたが、実際の情報の流れを考えると二つの領域間の流れは双方向であると理解すべきだと思います。
倉田委員:
図中の真ん中の「2つの領域を繋げる」というところについて、上は利活用促進、下は恒久的保存のための役割ではあるが、その二つは一体化してやっていくという意味で真ん中に枠があるものと理解しました。
竹内委員:
そのとおりです。補足すると、我が国における学術情報の流通や「知識インフラ」を考えた場合、この二つを同時にできる機関は国立国会図書館を措いてほかにはないであろうということが前提としてあります。「深化型知識インフラ」の枠組みには国立国会図書館のみならず国立情報学研究所(以下「NII」)や科学技術振興機構(以下「JST」)といった関係機関やその他の民間研究機関なども含めて考えているのですが、提言の中で言及している国立国会図書館の役割や活動がかなり広範囲に及んでいるのは、その枠組みの中で国立国会図書館がまさにユニークな存在として、利活用促進と恒久的保存の両方にまたがる活動を有していることとおそらく不可分です。見えない部分かもしれませんが、両者は密接に繋がっているということを御理解いただければと思います。
児玉委員:
「深化」という言葉の意味の確認ですが、「深化」というのは今までなかった機能を新しく持つことなのでしょうか、それとも今まであった機能を強化・発展させるということなのでしょうか。
竹内委員:
先ほどの説明の冒頭でも申し上げましたが、倉田先生が部会長としてまとめられた前回の提言はどちらかと言えば理念を示すために作られたものであると私は理解しています。理念として示された内容は、今回も我々がベースとしたことからも分かるように、これからの新しい知識基盤、知識インフラを考えていく上で極めて重要であり、かつその方向性は正しいと考えています。今回は、概念として示されているものを具体化して実際に動かしていくことによって、知識インフラというものを社会に定着させて深めていくというイメージで「深化」という言葉を使っています。
児玉委員:
分かりました。
中村委員:
私は日本商工会議所の者なのですが、商工会議所や企業の図書館、大学図書館も含む専門図書館の連合体である専門図書館協議会の理事長をやっているのでここに参加させていただいています。大滝館長もおっしゃっているように、デジタル化によって非常に多くの図書館、あるいは図書館を持っている企業や団体が連携できるようになって、いろいろなところでアクセスできるようになりました。科学技術基本計画は大学などの高度な研究に意識を向けているのですが、今度の計画では中小企業にとっても利活用しやすいようにするという趣旨のことも書かれています。そういう意味では、国立国会図書館が収集をしてメタデータの標準化やライセンス化の促進などの繋ぎの部分をやってくださればネットワークがより広がるということで、今回の提言は私どもも大変評価しています。非常に多くの関係者があまねく資料にスムーズにアクセスできる仕組みを構築する中核を国立国会図書館が担ってくださることを期待しているということを申し上げたいと思います。
安西委員長:
ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。もっと広い御意見でも結構です。提言は提言として、むしろこれを実施していく時の課題等々も含めて言ってくださればと思います。
児玉委員:
これをやっていくためのリソース、つまり人的なリソースと予算上のリソースも大事なのではないかと思うのですが。
安西委員長:
おっしゃるとおりです。この提言によって確保したいということかと思うのですが、それでも全体を動かしていこうと思うと相当大きなことになるかと思います。その辺りについて国立国会図書館としてはどういう風にお考えなのかをお聞きできればと思います。
田中
電子情報部長:
この計画を実施していく上で人的資源あるいは予算の確保というのは当然必要となってくるところですが、昨今の厳しい状況においては、業務の一層の効率化・合理化を前提とした上で、従来やってきたことから電子的な情報資源へ、資源の最適化・再配分を行いながらシフトしていき、それでもなお不足する部分について必要な予算的手当をしていくというのが基本的な進め方になってくると思います。
安西委員長:
提言は提言として、実施する時に必要な人や予算などがどれくらいの規模になるのかという見積りはどういうふうにされているのでしょうか。
大滝館長:
この提言をいただいた後、国立国会図書館として次期の基本計画を取りまとめる中で、その柱立てを実施の観点から詳細化し整理して取り組むものと考えています。国立国会図書館全体の運営から申し上げますと、2004年以来、中期的なビジョンを大体5年ごとに整理しておりまして、現在のビジョンは2012年から2016年までの間に達成すべき目標であり、来年が最終年度になっています。それで新春早々からまとめに入りまして、今期の範囲で取り組むべきこと、それから新たな5か年の計画の中で具体化すべきことをいろいろ整理します。今電子情報部長が申し上げたように、館の運営における資源配分の再構築もありますが、絶対的にはやはり資源不足というのが我々の運営の大きな課題になっています。様々な連携を深めていく中で結果的に資源を調達できるということもあるかとは思いますが、予算的な裏付けをいただくなりして新たな資源を追加していきたいと考えています。
全体として国立国会図書館の通常予算は200億円に満たないところで、その大体40数パーセントが人件費、それ以外が事業経費ということになります。その中でもIT投資が恒常化しておりまして、数十億円の規模でかなり計画的にコンピュータ関係の投資をしていかなければいけません。最適化してかなり大胆な切込みをしてもその総額は減るどころか増えていくという予算的な構造があり、そこを突破するにはやはり新たな予算の項目を追加してその理解を得ていくということが不可欠です。国会議員の方々の中でも国立国会図書館がデジタルアーカイブ、ナショナルアーカイブとして進展すべきだと議論されており、このことと今回いただく御提言の方向性は一致しています。非常に厳しい状況ではありますが、知識インフラ整備の必要性について国全体として認識が高まるようお願いして資源の獲得に向けていきたいと考えています。そのためには引き続き、図書館界のみならず、学術コミュニティや社会活動の第一線から声を上げて御支援をいただくことが不可欠です。どうぞよろしくお願いします。
倉田委員:
この提言自体は私も妥当なものであると思いますが、せっかく村山専門委員がおられるので研究データについてお聞きします。今とても関心が高くなりつつあるオープンサイエンス若しくはデータ共有などに関して、国立国会図書館は今すぐそこに直接乗り出すよりは調整に徹した方が良い、直接やるのはすぐには無理であろうというニュアンスに読み取れるのですが、そういう理解でよいのでしょうか。また、ここには書かれていませんが、どの辺りまでが国立国会図書館の実際の役割なのか、国立の図書館が研究データを最終的なところとして持てるものなのかということについてお教えください。
村山専門委員:
研究データに関しては、どのようなアーカイブ方法を採るかという方法論や、ビッグデータと言われるような長大な量のデータが存在する世の中で、それらを全て図書館で収蔵できるのかという技術的・資源的な問題等々がまだ詰め切れておらず議論されているところです。ある情報が将来アクセシブルであり続けるためには、まずは、例えばメタデータをきちんと管理する、あるいは分野を横断してそのメタ情報がきちんと流通できるようにするといったことが必要です。コンテンツそのものを保存するという点においては、おそらく今後また別の活動や議論を続けなければいけないと思います。それに関しては文部科学省や経済産業省をはじめ国内の様々な省庁がそれぞれの分野で議論を行っていますし、皆関心のあるところであろうと思います。
しかしながら、これは私がいつも申し上げていることなのですが、研究プロジェクトのような一定期間活動して終わる性質のものではなく、永続的なデータ情報を資産として保持・保存し、何十年、何百年も昔のものからきちんと紐解いて新しいイノベーションに導くという視点から見ますと、いわゆる法人化した公的研究機関は5~7年程度の期間でしか事業継続が担保されていません。特に資料保存については公式な事業内容とすることは非常に困難です。これに対して、国立国会図書館は今のところ事実上期限を設けずに公式に情報資産を保持できるほとんど唯一の組織ではないかと思っています。この点から、国立国会図書館が何らかの枢軸的な役割を果たされても良いのではないかということは考えています。ただし、納本制度のアナロジーのように、データコンテンツすべてが果たして国立国会図書館で収蔵可能かどうかということについては、現在は技術的・制度的・社会的に様々なハードルがありますので、今のところはまず可能なメタ情報を管理して、研究データ共有化の文化を作って行こうという点でまとめたというふうに認識しています。
安西委員長:
ほかにはいかがでしょうか。
この第四期の計画が走り始める来年度というのは次の4月からということです。来年度の政府予算が決まってくる頃なので、この提言をその中で生かしていこうとした時に内容はこれからというふうに言われると、少しギャップを感じます。例えばメタデータについても、第三期の計画の中で行われている「ひなぎく」では大体280万件くらいのメタデータを扱っておられるということですが、第四期においてどれくらいの規模でどういうことをやっていこうとされているのかについてはこれから計画を立てるということなのでしょうか。勿論、提言を出してから計画を立てるというのが筋だとは思いますが。
大滝館長:
まさに今月の終盤で平成28年度予算が政府予算として定まるという段階です。国会の予算については国会独自の予算要求の法律的な仕切りがありまして、来春早々に両院の議院運営委員会、図書館運営小委員会及び議院運営委員会の理事会において国立国会図書館の平成28年度要求の骨子について審議され、それが財務省を中心とした政府の予算編成の中に盛り込まれるという手順になっています。
この御提言を受けての予算的表現としては、来年の8月に要求する平成29年度の概算要求でできるだけ具体的な形を目指すことになります。従来からの継続から増額する分野もありますが、審議会の貴重な御検討を通じて新たな枠組みを御提示されているわけですから、それを力にして、まずは、平成29年度予算に関する折衝が来年3月から4月にかけて始まりますので、こちらからもいろいろ仕掛ける必要があります。それまでにこの御提言を受けての科学技術情報整備計画をまとめ、国立国会図書館の様々な重要課題の中でも優先して、どのような予算的表現をもって監督機関である国会の了承を得て財務省に持っていくかを検討しなければいけません。
村山専門委員:
予算要求に関して、御参考になるか分かりませんが、私は欧州委員会のヨーロピアン・オープンサイエンス・クラウドという政策の専門委員をやっています。サイエンス・クラウドと言うのだから科学・学術の取組かと思っていたら、その背景文書はヨーロッパのデジタル・シングル・マーケット政策の中に組み込まれているようです。つまりヨーロッパ全域のデジタル経済を勃興させるために必要な情報基盤であるという読みをするらしく、私はアジアではそういう議論をあまり耳にしたことがありませんでしたので非常に興味深かったのですが、社会の基盤のために情報基盤が必要であるというヨーロッパの考え方を参考にすると、国立国会図書館が行う恒久的な情報保存とその利活用は、一部の科学技術や情報の専門家のためだけではなく、社会全体の経済活性化を含めた日本の将来のためであり、それゆえ重要であるというふうに言えるのではないでしょうか。
大滝館長:
そのような社会に繋げる枠組みが我々の予算獲得のためには不可欠であろうと思います。毎年、内閣官房が知的財産推進計画(以下「知財計画」)を国の施策として整理しています。知財計画の内容のほとんどは行政府省が分担してなすべき年間課題を整理したものですが、その中に立法府から国立国会図書館の名前が挙がっておりまして、最近では2015年のものに、国としての進め方の中で国立国会図書館は何をなすべきかというアジェンダが整理されています。それによって財政的な裏付けがなされるわけではありませんが、国が行政施策として取り組むべきアジェンダの中に立法府から国立国会図書館の名前が挙がっており、内容的に今回いただく御提言に重なる部分がありますので、委員長の御指摘のとおり、予算を獲得するためには具体的にどういう形にすればよいかを探るのが直近の課題です。
児玉委員:
国の税収が伸びない中で予算を伸ばしていくのは難しいと思いますが、今までやってきたことをやめてこちらを優先的にやるとか、国に対しては「予算を認めないならこれをやめるぞ」とか、そういう話の仕方もあるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
大滝館長:
ありがとうございます。図書館の業務についてそういう視点も持ちながら取り組む時期になっているということであろうと思いますが、国立国会図書館の業務はどちらかというと蓄積型のものから成り立っています。例えば行政府省のように、補助金や何らかの短期的・中期的な助成を組み入れて、社会の活性化なり特定の分野における短期間での達成なりを目標とするような進め方を前提とした予算構造の場合は、達成されたものをスクラップしてそこの財源を使って新しいことをすることが可能なわけですが、国立国会図書館の予算構造ではなかなか難しい実情です。
また、厳しい財政状況の中で、前年度と比較して要求枠がきわめて厳しく抑制されています。通常予算では前年との同額を維持することもかなり厳しいのですが、それでも組換えをして新しい事業に充てるということに毎年かなり真剣に取り組むほか、補正予算でデジタル化などの費用がまかなえないかということを探っているところです。その実現例として、国立国会図書館が持っている各地方の歴史、地方史の資料の中に各地の災害に関する記述がたくさん含まれているのですが、それを災害対応の強化を眼目とした平成26年度の補正予算で集中的にデジタル化するという方向を探りまして、10億円の補正予算措置をお願いして獲得でき、今年度に7万冊以上のデジタル化を進めています。
喜連川委員:
前半はほかの会議のために出席できず、失礼しました。
ここ数年、知財本部の委員を拝命しておりまして、その流れで聞いてきた感覚からしますと、根源的にレギュレーションの縛りを何とかしなければいけないというのが一つあるのですが、デジタル化の中でやれることは原則二つしかありません。一つは圧倒的に効率化する。もう一つは新しい価値を出す。前者は地味ですが、ITのパワーを使うと画期的にローコストになる局面は山のようにあります。これはインクリメンタルなことで、常に努力を続けるしかありません。むしろ後者について、今大滝館長が言われたように、災害関連のコンテンツをデジタル化するのはすごく大事なことだと思います。
数年前にフランス国立視聴覚研究所(以下「INA」)が国立国会図書館で講演したのを聴きましたが、アーカイブをしているのはヨーロッパでもフランスだけです。INAは70年間のアーカイブを全部持っています。ドイツなどは何もやっていません。現在INAはアナリティクスに物凄くシフトしていまして、そこの研究者がアーカイブの活用状況を是非聞いてほしいとNIIに訪問してこられたのですが、デジタル化して保存するもう一歩先をどうするか。その一歩のシフトが国立国会図書館にとっても凄く重要なのではないかと感じています。
先日も経済産業省の委員会があって、これからはIoTの世界です、自動操縦車やロボットですと言われたのですが、そんなことは世界中誰でも考えています。今日本が持っている最大のパワーは、先日鬼怒川の洪水を10日で復旧させましたが、あれは世界ではありえないことです。そういう意味で大滝館長が災害に関するアーカイブに着目されたのは日本固有の力をハイライトするという点で物凄くシャープです。しかしそこをどう活用するかというところ、そのデータを例えばJSTのビッグデータのプログラムと連携しながら「こういうデータをデジタル化したのでもっと使いましょう」というところに紐付けていくことが国力を凄くしていく。そうでなければデジタル化された中身も量もわからない。大きな宝が使われないともったいない。ぜひアナリティクスへのステップを進めてほしいと思います。
知財本部の中では、法律の先生方は人工知能によって凄いことが起こるのではないかと思っておられます。漫画家の方からは、自分の漫画より面白い漫画をAIが作ったら困ってしまうというコメントも出ています。そんなことは有り得ないと言っているのですが、音楽についてはクリエイティビティというところまでは行かなくても結構なところまで行けています。何が申し上げたいかというと、プログラムがコンテンツを作るようになると、コンテンツが指数関数的に増えてしまうので、今までと同じやり方でコンテンツを保存するのは無理が出てきそうであるということです。私は有川前委員長が最初に知識インフラについてまとめられた時にも参加させていただきましたが、紙からデジタルに移った次のターゲットとして、デジタルからヒューマンデジタルなのかマシンデジタルなのかについて検討する時代に入ったという印象です。
竹内委員:
例えば国立国会図書館が収集するデータをアナリティクスに使うのは広義の利活用になりますが、現実的には社会的制度がそれを許さない部分が随分あるのではないかと思います。今回のレポートの中ではそれほど強く書いていませんが、著作権などの権利を持っている方の権利を侵さない限りは、研究・教育目的でコンテンツを今よりもう少し自由に使える環境を作っていかないと、新しい何かを考えるということができなくなってきてしまうのではないかと思います。著作権に関することは立法行為ですが実際には行政府に大きくコントロールされていると思いますので、今回は特にこうしろとは書いていませんが、そこの部分について広く問題を喚起する必要があります。もう1点、国立国会図書館は著作権法上ある種の特権をお持ちだという事実があります。その特権をどれだけ国立国会図書館が活かしていくかを戦略的に考えていく必要があります。
安西委員長:
おっしゃるとおりだと思います。
喜連川委員:
今、言われたのはデジタル化しても画像の状態でOCRがかかっていないということについてだと思いますが、「国立国会図書館においては」という権利制限規定を入れることは、他の側面については現行法でできています。これをいわゆるフェアユース側にかけるのではなく国立国会図書館としての権利制限の中に入れることを積極的にやるべきだと言われているのだと理解していますが、それは是非やるべきでしょう。
大滝館長:
我々の現在の取組の中で参考になる動きを二つ紹介します。
一つは、平成21年度の補正予算による大規模なデジタル化の成果を全国の大学図書館・公共図書館へデータ送信することを始めていて、それが着実に伸びています。現時点で600館以上に、まだ著作権が残っていながら絶版などで入手できない資料137万点のデータを、国立国会図書館のサーバから一定の条件の下で送信し、大学図書館・公共図書館で閲覧してプリントアウトまでできるという取組をしています。着実に伸びてはいますが全国の図書館数からすればまだまだなので、普及させるのが課題です。
それからそのコンテンツを増やすこと、これは正に国立国会図書館ということで権利者側の理解が得られているところです。コンテンツを増やす中で今度の10億円でデジタル化した災害関係のものも加えますが、もう少し大きく考えているのは、現行の著作権法の範囲でも、都道府県や大学の図書館で国立国会図書館が持っていないものをデジタル化した場合にそのデータを国立国会図書館のサーバで預かって、送信サービスの一環として全国的に活用させていただくという形でコンテンツを増やそうということです。
二つ目の取組は、今言われたテキスト化に関するものです。平成21年の著作権法改正に当たっては、国立国会図書館でのデジタル化の成果を特に視覚障害者の読書機会の拡大に繋げるべきであるという国会の両院の附帯決議もいただいております。それに則ってテキスト化を進める必要があります。これは当面は著作権法の権利制限の中で行っていますが、技術向上のためにも重要なステップだと考えています。それから日本点字図書館と共同で共同校正の実験事業をしております。利用者からは「少々完成度が低くても使えればいい」という需要もあるのですが、OCRで機械的に読みとっただけでは精度が上がらないところがあり、ボランティアを含めた人たちの目を通して精度を高める努力をしています。日本点字図書館との協力実験事業ではそういったことも含めて様々なことに取り組んでいます。
10億円いただいた災害関係の資料のデジタル化の中では、公的機関の、つまり商業的でなく著作権について了解を得やすい本を扱っています。新しいものもかなり多い。それをテキスト化して検索の範囲を広げて、全国的なデータの活用や、必要な情報へのアクセス可能性を高めるということをしています。今回の御提言の内容を具体的に実現する中には、そういう従来の施策を更に前進させることと、新たな工夫を加えることとがあると考えています。
倉田委員:
今の、基本的にはテキストデータをより大量に持ってアクセスを良くしていく、それから検索へという流れが主流であることはよくわかりますし、災害情報というところでもっと試験的な、実証実験的なものができると大変面白いと私も思いました。同時に、国立国会図書館が持っておられる利用にあたっての様々なデータを、研究データとしては小さ過ぎるのかもしれませんし、制約がある部分があることは重々承知していますが、積極的かつ実験的に公開すると、実際に研究者が扱い、共有することでその先どうなっていくのかがもう少し見える可能性があると思っています。全体をすぐ一般公開するのは無理が大きいというのはわかりますが、ある種の制約の中で、例えばデータをあくまで国立国会図書館館内のものとして扱いつつ、そこに館外の人も加われる共同研究のような形はできるのではないでしょうか。今後国立国会図書館が研究データ的なものを扱っていく時の参考になるような試みがあってよいと考えています。
田中
電子情報部長:
今倉田委員が言われたことについてはこれまでの会議でも度々御指摘を受けていまして、現在、次の利用システムを検討している中で実現に向けて準備を進めているところです。次のシステムでは利用記録が個人情報と結びつかないような措置を講じて、利用情報と利用者の属性に一定の抽象化を施して、性別、年代、都道府県レベルの住所くらいにカテゴライズしたデータとしてシステム内に保有することを検討しています。利用者分析、利用分析ができる形です。その使用目的は基本的には業務改善なのですが、当館内部で使うということだけではなくて、研究者の方との共同研究という形であれば、研究目的で使うことができないかということを現在検討しているところです。
安西委員長:
今の倉田委員の御提案を是非御検討いただければと思います。
大滝館長:
次のシステムは平成29年度に向けて構築しているところですが、今申し上げた要素も含めて取り組みますので、また様々な御示唆をいただきたいと思います。データを館内だけで扱うのではなく、館外の第一線の先生方に御活用をお願いすることは、今後、国立国会図書館の取組の重要な柱になろうかと思いますので、様々なやりとりをさせていただければ幸いです。
先ほど、児玉委員から予算構造に関する御指摘がありましたが、例えばNIIと国立国会図書館が違うのは、NIIには研究者が科研費を獲得して技術開発や業務改善に役立てるなど、資金調達の仕方に多様性があるように思われますが、国立国会図書館にはそういう部分がないのがかなり苦しいところです。ただし最近は電子情報部の中に技術開発室的なセクションを設けまして、サーバなどの環境は国立国会図書館側で用意しているのですが、外部の研究者の方にはほとんど手弁当での御参集をお願いしておりまして、その中で今後の業務改善に資するような成果も幾つか上がってきています。第一線の研究者の方々との繋がりを太くして、いろいろ御示唆をいただきながら進めたいと思っておりますのでよろしくお願いします。
安西委員長:ありがとうございました。この二つを繋げていくのであれば、何とかして、活躍しておられる研究者の方のアナリティクスなどを取り入れるといろんな意味で活きてくるように思います。
石渡利用者サービス部長:
補足しますと、来年度から始まる利用者サービス基本計画という全館的な5か年計画を立てているところです。その時の柱としても、業務改善に資するためのデータ分析を一項に掲げています。今まではシステム的になかなか難しく、アンケートやサンプル調査などで利用者動向を調べてきたのですが、倉田委員からも再三に渡る御助言をいただきまして、もう少し広範なデータ分析を研究者の方も交えて行えば今後の利用者対応に大いに資するのではないかと考えています。ここにおられる委員の方々からもいろいろ御示唆をいただけると大変助かります。よろしくお願いします。
安西委員長:
よろしければ提言の方に戻りまして、資料3-1の案でよろしいかどうかをお聞きできればと思います。これまで御意見をいただいてきたところでは、この提言についてはよろしいのではないでしょうか。実施についてはいろいろ頑張っていただきたいということであろうかと思いますが。
村山専門委員:
改めて読み直すと文言に少し気になる点がありました。7ページ目の「2 『知識インフラ』の整備を巡る国内外の現状と課題」の下から5行目に「ビッグサイエンス」という言葉が出てきます。文脈上は「大容量かつ多種の観測データ,実験データを集積し,様々な分野の研究者がそれにアクセスして研究を進めるビッグサイエンス」となっていますが、これはニュアンスとしてはむしろデータインテンシブサイエンスなどの新しい流れを書こうとしたのではなかったかと思うので、いわゆる「ビッグサイエンス」の定義とは同一ではないのではないでしょうか。
喜連川委員:
ビッグサイエンスにしかお金がないので、結局データが活用できているのは、現状ではざっくり申し上げますと高エネルギー、天文、遺伝子の3つが主たるプレイヤーです。スモールサイエンスでデータインテンシブにやっているところがあるかというと、多分研究費が十分ではないのでできないのが実情かと存じます。括弧に入れて補足するのはすごく良いことだと思いますが。
村山専門委員:
では「ビッグサイエンス」という言葉はここにあってもおかしくないと。
喜連川委員:
そうですね。
安西委員長:
字義どおりには、全体としてデータインテンシブな方に動いているという論調の中での例としてビッグサイエンスや複合領域研究があると言っているように見えるのですが。これをデータインテンシブサイエンスにしてしまうと、全体でも例でもデータインテンシブと言っているように見えるのではないでしょうか。どちらでもよろしいのですが、「データインテンシブ」という言葉はどこかにあった方がよろしいかと思います。
村山専門委員:
「データインテンシブ」を入れることに拘るわけではなくて、「ビッグサイエンス」という言葉が多量のデータを扱うものという意味だけにとられるとしたら少し心配かなと思ったのですが、この文脈ではそこを心配しなくてもよいということであればこのままで結構です。
喜連川委員:
この提言の期間は5年ですよね。今は「ビッグデータ」という言葉が落ち着いてきていて、その次の言葉も模索されつつあります。「スマートデータ」という言葉になってきています。そこには「データは大きければ良いというものではない」という雰囲気がありまして、そういうトーンも含めると、データインテンシブと言ったときにビッグ、ビッグとあちこちに書いていると5年後に古臭い感じがする可能性も出てきてしまう。ビッグサイエンスはもう固有名詞になっています。その辺りは慎重さ、加減が必要かなと思います。
安西委員長:
ほかにはいかがでしょうか。
児玉委員:
サマリーの最後にある図について、二つの領域を繋げるのが国立国会図書館の役目であるというのは理解しています。しかしながら、どうやって繋げるのか、それがどこにも見当たらないのですが。
安西委員長:
これには事務局か竹内委員から御回答をいただきたいと思います。
田中
電子情報部長:
図中下部で基盤と言っているのは、いろいろな機関によって分散的に扱われているコンテンツについて、メタデータを共通化・共有化することで利活用の基盤を作るということです。それが利活用に繋がっていきます。つまり、国立国会図書館の役割である統合的なメタデータ基盤の整備自体が、繋げるという機能にあたることになります。
児玉委員:
下の部分を整備すれば自動的に上へと行きますよということですか。
村山専門委員:
図中の緑の四角が国立国会図書館という一つのボディーであり、そこに利活用促進の活動と恒久的保存の活動の両方があるのであって、点線のところは切れているわけではありません。国立国会図書館自体が、二つの領域を繋げる役割を持っているものと理解しています。
田中
電子情報部長:
この図が示しているのはそういうことです。
佐藤委員:
全部緑に塗っておけばよいのでは。
安西委員長:
毎回この四角の議論が出ます。普通の人が見れば、どうしても上下が切れている、それぞれ独立した四角のように見えるので、薄く緑に塗るなどした方がよろしいのではないでしょうか。
佐藤委員:
点線部分を実線にすればよい。
竹内委員:
利活用促進の部分と恒久的保存の部分については、これまで議論としては大きく分けて論じられていました。それを今回は、そうではないということ、二つの領域が繋がっていることによってこそ国立国会図書館としての機能が果たせるということを、あえて目立たせる見せ方をしました。その結果として点線という描き方になり、一つの四角に見えないという弊害が発生してしまったのかもしれません。
安西委員長:
そういう意味であれば、その方がよろしいかもしれません。
竹内委員:
委員の方々から御指摘がありましたように、多くの方が見て国立国会図書館の繋ぐという役割がわからないのであれば、きちんと一つのものとして見えるように図を修正するのがよいと思います。
安西委員長:
ほかにはいかがでしょうか。そろそろ館長に手交する段階となりますので、もし修正が必要であれば時間をとって修正をしたいと思います。
先ほどの「ビッグサイエンス」については修正を要しないということで、よろしいでしょうか。図についてはそのような意見もあったということで、国立国会図書館側で考えてください。後で修正してもよろしいかと思いますし、委員の方々にはそれも含めて御承認をいただくということにしたいと思います。ほかにはよろしいでしょうか。
長期にわたり、竹内委員をはじめ多くの方が関わってくださり、国立国会図書館側も大変尽力してくださいました。それではこの提言案はこれで御承認をいただくということにしたいと思います。よろしいでしょうか。
全員:
異議なし。
安西委員長:
ありがとうございました。それでは、大滝館長に手交します。
(提言の手交)
大滝館長:
ただ今、安西委員長から貴重な御提言を頂戴しました。内容の実現のために、国立国会図書館として、直ちに科学技術情報整備基本計画のまとめに取り掛かりたいと思います。内容の実現と、今後の進め方に関する留意点について御指導をいただきましたので、それらを十分に勘案しながら、まず国立国会図書館の科学技術情報整備基本計画をまとめ、様々な具体的な事項について取り組んでまいりたいと思います。今後ともよろしくお願いします。本日まで、安西委員長をはじめ審議会の委員の皆様には、一方ならぬ御指導を賜りましたこと、心から感謝申し上げます。どうもありがとうございました。
6. 閉会
安西委員長:
本日の審議は以上です。委員の皆様から特になければ、事務局から事務連絡をお願いします。
(事務局から事務連絡)
安西委員長:
予定していた議題・報告は全て終了しました。
委員の皆様には、本日のみならず、内容の濃い、質の高い御議論を賜り、ありがとうございました。特に、部会の竹内委員、佐藤委員、村山専門委員には大変な御尽力をいただき、改めて深く感謝を申し上げたいと思います。
それでは、これにて閉会としたいと思います。長時間ありがとうございました。
(以上)

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