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世界のRDAの取組みのいま(1)―シンガポール

NDL書誌情報ニュースレター

NDL書誌情報ニュースレター2015年3号(通号34号)

【はじめに】

シンガポール国立図書館委員会(National Library Board:NLB。国立図書館、公共図書館および国立公文書館を管理・運営する組織)は、導入準備を2012年5月に開始し、翌年4月から本格適用しました。本稿では、NLBがRDAの適用を開始するまでの過程を中心にご紹介します[1]

【プロジェクト発足】

NLBがRDAの導入を決めたのは、(1)国立図書館として、最新の国際的な目録動向に遅れを取らないため、(2)近い将来、Linked Dataを促進するため、(3)MARCフォーマットに代わる書誌フレームワークの開発に備えるためという三つの理由によるものです。

NLBでは、背景も書誌関連業務歴もさまざまなメンバー13名からなるプロジェクトチームを結成し、プロジェクトマネジメントの手法によるRDA導入事業を進めました。

プロジェクトでは、以下の四つのマイルストーンが設定されました。

  • 2012年5月 プロジェクトチーム発足
  • 2012年12月 RDAのサンプルレコード作成
  • 2013年3月 試行開始
  • 2013年4月 本格適用開始

そして、このプロジェクトで実施する範囲を、物理的資料とデジタル資料の両方へのRDAの導入、NLBで採用する記述規則(coding schemas)を用いたRDA対応書誌レコードの作成、新規作成レコードに対するRDAの適用としました。

スケジュールの検討は、人的資源や財政資源の制約がある中で、日常業務への影響も考慮しながら進められました。また、プロジェクトの開始にあたり、進行過程で達成すべきおもな成果を、(1)職員研修の実施、(2)NLBのRDA適用方針・基準等の策定、(3)RDA関連文書や研修教材などの作成と維持管理、(4)目録のエンドユーザーやベンダー、国内図書館等を対象とした説明会の開催、(5)RDAを適用した目録作成の試行、(6)RDAの完全適用の6項目に定めました。

さらに、NLBでは、カタロガー等の現場の積極的な関与も必要であると考え、現場からの意見を募集し、挙げられた指摘や課題についてプロジェクトチームが対応しました。

【職員研修と情報共有】

プロジェクトでは、新しいルールによる目録作業に習熟するにはかなりの手間と時間がかかると考えられ、職員研修は取組みの中でも最重要事項として位置づけられていました。それまでシンガポールにはRDAの研修を行う機関がなかったため、NLB職員のニーズに沿った研修計画を自力で立案しなければなりませんでした。

研修は週3時間のセッションからなり、Resource Discovery Department(目録担当部門)の全職員を対象とし、スタッフ層別に実施されました。その内容は次のとおりです。

  • (1)RDAを用いた目録作成
    (書誌レコードの機能要件(FRBR)/典拠データの機能要件(FRAD)/RDAの基本原則)
  • (2)英米目録規則第2版(AACR2)からRDAへの変化
  • (3)RDA Toolkitの使い方
  • (4)RDAを用いたコピーカタロギング

研修は、教室での授業、グループ学習およびウェビナー(ウェブ上でのセミナー)を組み合わせて行われました。また、教材の作成には、米国議会図書館(LC)のRDA portalと、ワシントン大学図書館のアダム・L・シフ氏(Adam L. Shiff)のウェブサイトを特に参考にしました。

RDAの参考資料や教材は、さまざまなものがウェブ上で公開されています。プロジェクトチームはそれらを整理し、"TeamRoom"と呼ばれるオンライン共有スペースで職員が入手できるようにしました。また、LC、PCC(Program for Cooperative Cataloging。国際的な共同目録プログラム)、OCLC等におけるRDA関連の最新動向もここに掲載して、職員間の情報共有を図っています。

【NLBのRDA適用方針】

NLBのRDA適用方針は、現場の目録慣行や、NLB内部のガイドラインも考慮に入れつつ策定されました。

従来適用していたAACR2は資料種別ごとの章構成となっており、NLBの目録作成方針もこれに基づいて作られていました。しかしRDAの規則の体系はAACR2とはまったく異なるため、資料種別を基準にRDA適用方針を作成するのは実際的ではありませんでした。

また、カタロガーが書誌レコードを作成するにあたっては、資料種別に代わり、RDAの根底にあるFRBRの概念モデルの観点から、書誌データの組織化を考える必要がありました。このような背景もあり、FRBRに定める利用者タスクの支援のため、RDAのコア・エレメントについては、NLBではすべて採用することを定めました。

NLBでは、従来、LCのAACR2適用ルールを一部参照しており、RDAを適用する際には、そのRDA対応版であるLC-PCC PS(Library of Congress-Program for Cooperative Cataloging Policy Statements)を参照することになりました。そのため、RDAとLC-PCC PSの両方を把握しておくことが必要でした。そして、RDAとLC-PCC PSの規定を対照させたリストを作成し、各項目について比較検討しました。その結果をふまえ、NLBのRDA適用方針案をバージョン1として策定しました。さらに2013年4月のRDA適用開始後、プロジェクトチーム外からのフィードバックをふまえてバージョン2を公開しました。このバージョン2には、将来のLinked Dataへの対応を意識した規定も盛り込まれています。

プロジェクトの期間中、NLBは、RDA完全適用の1か月後である2013年5月の利用開始を目指して、新しい図書館管理システム(LMS)へのデータ移行も進めていました。従来のLMSでは、RDAに対応するMARCフィールドのうち、OPACで表示できないものや、NLBでは使用していなかったものがありました。新しいLMSに切り替わるまで、前者は便宜上別のフィールドに変え、後者は旧システムでは格納のみしておくといった一時的対応をとっていました。

2013年4月のオリジナルカタロギングにおけるRDA完全適用後も、コピーカタロギングの際にAACR2適用データに対してRDAに基づく訂正を行うべきかという問題が残っていました。職員の習熟に充てる時間を確保することが優先と考えて、訂正作業を一時見合わせたところ、結果的には、RDAに準拠した書誌レコードがWorldCatで多数得られるようになり、変換を自ら行う必要性は低くなりました。

もう一点、PCCの報告書“Report of the PCC Post-Implementation Hybrid Bibliographic Records Guidelines Task Group”(Word: 48.5KB)で定義されている、旧来の書誌レコードにRDAのエレメントを追記したハイブリッド書誌レコードの採否も懸案となっていましたが、将来のLinked Data対応や効率性、そして職員の能力育成の点から、使用しないことに決めました。

こうした判断により、職員はRDAによる目録作成の実践に集中することができ、作業の習熟が進むとともに、RDAの原則についての理解も深まりました。

また、RDAが適用されていないあらゆるデータに対して、RDAに準拠した形への遡及的な一括変換は実施せず、再検討の必要が生じたデータのみ、RDAを適用するかどうかを個別に判断することにしました。

【おわりに】

RDA導入プロジェクトは予定どおり進捗し、成功を収めましたが、RDAの適用を開始してからも、プロジェクトチームには依然としてRDA関連の質問が寄せられていました。そこで「RDAホットライン」を開設し、カタロガー数名によるチームが、適用方針の変更などのあらゆるRDA関連の案件に取り組むことになりました。そうした取組みの一環として、NLBでは今後に向け、セマンティックウェブやLinked Data環境への対応策を探っています[2]

山本 晶子
(やまもと あきこ 逐次刊行物・特別資料課)

[1]Choi, Kathy et al. RDA: National Library Board Singapore's Learning Journey. Cataloging & Classification Quarterly. 2014, 52(6/7), p. 608-620. 下記のURLに要旨が掲載されています。
http://catalogingandclassificationquarterly.com/ccq52nr6-7.html, (参照 2015-08-14).

[2]2014年5月に、Linked Dataへの取組みに関して、セマンティックウェブ関連企業のZepheira社と契約し、具体的に書誌データの変換等を進めています。実際のNLBのデータからも、関連指示子の記録など、Linked Dataに対する強い意識がうかがわれます。
National Library Board, Singapore Selects Zepheira to Perform Linked Data Modeling and Conversion(2014/5/12付)
http://zepheira.com/2014/05/national-library-board-singapore-selects-zepheira-to-perform-linked-data-modeling-and-conversion/, (参照 2015-08-14).


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NDL書誌情報ニュースレター(年4回刊)

ISSN 1882-0468/ISSN-L 1882-0468
2015年3号(通号34号) 2015年9月25日発行

編集・発行 国立国会図書館収集書誌部

〒100-8924 東京都千代田区永田町1-10-1

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