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世界のRDAの取組みのいま(7)―メキシコ

NDL書誌情報ニュースレター

NDL書誌情報ニュースレター2016年1号(通号36号)

【はじめに】

メキシコでは、メキシコ国立自治大学(Universidad Nacional Autónoma de México:UNAM)が、図書館部門(Dirección General de Bibliotecas:DGB)を通じ、SIBIUNAMという図書館情報システムを管理運営しています。このSIBIUNAMには高校、大学などの教育機関や研究機関等、約130の図書館がデータを提供しており、資料群ごとに、図書(LIBRUNAM)、雑誌(SERIUNAM)、地図(MAPAMEX)、学位論文(TESIUNAM)などいくつかのデータベースに分かれています。図書のデータベースであるLIBRUNAMには、150万件以上の書誌レコードと、7万3千件以上の典拠レコード(件名典拠2万2千件、個人名・団体名典拠5万1千件)が収録されています。

DGBとLIBRUNAM参加館は、従来、英米目録規則第2版(Anglo-American Cataloguing Rules, second edition: AACR2)に沿って書誌・典拠レコードを作成していました。2008年にAACR2の後継の国際的な目録規則RDA(Resource Description and Access)のドラフトが公開されました。DGBでは、2009年からRDAのオンライン版であるRDA Toolkitの試行版を用いて、RDAの導入に向けた分析を開始しました。2010年にはRDA Toolkitが正式に公開され、DGBでも引き続き適用方針の検討を行いました。そして、LIBRUNAMに収録済みの書誌・典拠レコードをRDAに沿った形に変換し、新規に登録するレコードはRDAに沿って作成する方向で取組みを始めました。

本稿では、DGBの取組みについてご紹介します[1]

【RDA適用にあたっての方針】

DGBは書誌・典拠レコードにRDAを適用するにあたって、下記の方針を採りました。

ハイブリッド・レコードの採用

DGBは、新たに作成する書誌・典拠レコードは、RDAに従うことにしました。また、AACR2で作成された既存の書誌・典拠レコードについては、RDAで規定された新たなエレメントを追加する等、AACR2とRDAによるエレメントが併存するハイブリッド・レコードの形を採りました。そのため、LIBRUNAMは、ハイブリッド・レコードとRDAで作成したレコードで構成されることになりました。

コア・エレメント

RDAには、コア・エレメントという必須項目(たとえば、本タイトル等)が定められており、これらの項目は必ず記録することになっています。それ以上の情報を記録するかどうかについては、目録作成機関の個別指針やカタロガーに任されています。DGBは、米国議会図書館(LC)が採用しているコア・エレメント[2]等を参考に、新たな書誌・典拠レコードに適用するものを選定しました。そして、並列タイトルやタイトル関連情報、異形タイトルなど、RDAではコア・エレメントと指定されていないものもコア・エレメントとして採用しました。

また、下記のエレメントに対しては書誌・典拠レコードを新たに作成する際に個別の方針を定めました。

責任表示

責任表示については、AACR2では、同一の役割の者が四人以上いる場合には最初の一人だけを記録してその他は省略する、という規則がありました。RDAでは原則として、情報源にあるがままに転記しますが、最初の責任表示のみがコア・エレメントになります。そして、AACR2と同様の省略方法は、RDAでは任意省略となり、目録作成機関やカタロガーによって記録の方法を選択できるようになりました。LIBRUNAMでは、当初、この任意省略を適用した書誌レコードの作成を試行しましたが、責任表示については省略せずにすべて転記し、そのすべてに対してアクセス・ポイントを作成することを決めました。

関連指示子の使用

RDAでは、資料と資料に結びつく個人、家族、団体、あるいは資料どうしや、個人と団体の間等の「関連」を重視します。そして、その関連性を明示するために、関連指示子を記録します。LIBRUNAMでは新たに作成する典拠レコードのアクセス・ポイントにおいては、個人、家族、団体の間の関連を示す関連指示子(miembro(member)、sucesora(successor)など)を付与することにしました。

【変換作業】

変換作業は、Alephという図書館システムによる自動変換に加えて、必要に応じて手作業でも行われました。この変換プロセスは、日常の目録作業やオンライン検索に影響が出ないように実施されました。

以下に、書誌・典拠レコードの変換内容を具体的に紹介します。

アクセス・ポイント

アクセス・ポイントに関しては、AACR2を適用して作成された書誌・典拠レコードに、RDAで規定された新たなエレメントを追加するとともに、略語等が使用されているアクセス・ポイントを可能な限り修正し、データの更新を行いました。また、典拠レコードの更新作業では、AACR2の規則で作成されたアクセス・ポイントは、従来の参照形にあたる異形アクセス・ポイントとして残すことにしました。

略語の置換

RDAでは、情報源に表示されている略語以外は使用せず、表示されているとおりに転記することが原則となっています。典拠レコードの場合、AACR2で使用していた生没年等に関する各種略語は修正し(例:ca.→aproximadamente(approximately))【表1(1)】、元の形は異形アクセス・ポイントとして記録しました【表1(4)】。書誌レコードの場合、本タイトルにおけるラテン語の副詞[sic]や略語の[i.e.]は廃止し、資料に表示されるタイトルをそのまま記録しました。そのため、タイトルに誤記や誤植があってもそのまま記録されます。代表的な例として、以下のような修正を施しました。

  • 例) 94 p.→94 páginas(pages) 【表2(5)】
  • 例) [S.l.]→[lugar de publicación no identificado] ([place of publication not identified]) 【表2(4)】
  • 例) [s.n.]→[editor no identificado] ([publisher not identified])
  • 例) [et al.]→[y otros] ([and others])

新たなエレメントの導入

RDAを適用したデータに変換するにあたり、いくつかの新たなエレメントを各レコードに追加することになりました。典拠レコードでは、性別や職業、活動分野などの新たなエレメントを手作業で追記しました【表1(2)、(3)】。書誌レコードにおいては、資料の内容と形式を整理し、内容種別、メディア種別、キャリア種別の三つのフィールドを追加しました【表2(6)、(7)、(8)】。

関連指示子の使用

前述のとおり、新たに作成する典拠レコードには関連指示子を付与することにしましたが、AACR2で作成済みの書誌レコードについても、アクセス・ポイントに著者や、翻訳者等の作品における役割などを示す関連指示子(autor (author)、traductor (translator)など)を付与しました【表2(1)、(9)、(10)】。なお、AACR2を適用して作成された書誌レコードにおいて、個人標目の副出記入に記載されている省略形の役割表示は、RDAを適用し、完全形に修正しました(例:ed.→editor)。

優先タイトルの使用

優先タイトルを記録することで、同一のタイトルを持つ複数の著作を識別したり、複数のタイトルで出版されている同一の著作について集合を作ったりすることができます。LIBRUNAMではおもに作品集や宗教作品、翻訳書などの書誌レコードに優先タイトルを記録しました。データの変換にあたって、AACR2ですでに統一タイトルとして記録されていた聖書などの宗教作品と、統一タイトルとして記録されていなかった翻訳書では作業に大きな違いがありました。聖書の場合、MARC21フォーマットの統一タイトルの130タグに記録された内容をRDAに沿って修正しました。翻訳書の場合、AACR2で作成された書誌レコードでは、MARC21フォーマットの一般注記の500タグに翻訳に関する情報を記録していたため、この500タグを持つデータを選別し、240タグに変更した上で、作品の原語のタイトルを追記しました【表2(2)】。また、008タグの言語に関する情報をもとに、翻訳書で使用されている言語についても240タグに追記しました【表2(3)】。また、翻訳書であることを示す指示子として、“traducción de”(translation of)の用語を使用したアクセス・ポイントも作成しました【表2(11)】。

表1 AACR2で作成された典拠レコードをRDAに従って変換した例(一部)[3]
タグ 内容 入力内容
100 個人名標目 $a Catarina de San Juan, $d aproximadamente(1)1614-1688
370 関連する場所 $a Delhi, India $b Puebla, México(2)
375 性別 $a mujer(3)
400 「を見よ」参照指示-個人名 $w nnoa $a Catarina de San Juan, $d ca. 1614-1688(4)
表2 AACR2で作成された書誌レコードをRDAに従って変換した例(翻訳書)(一部)[4]
タグ 内容 入力内容
100 基本記入-個人著者標目 $a Pincus, Lily, $e autor(1)
240 統一タイトル $a Secrets in the family.(2) $l Español(3)
245 タイトルと責任表示に関する事項 $a Secretos en la familia / $c Lily Pincus & Christopher Dare ; traducción Francisco Huneeus
250 版表示 $a 2a. edición
264 出版・頒布等に関する事項 ※ $a [Lugar de publicación no identificado](4) : $b Cuatro Vientos, $c c1982
300 形態に関する事項 $a 151 páginas(5)
336 内容種別 $a texto $2 rdacontent(6)
337 メディア種別 $a sin medio $2 rdamedia(7)
338 キャリア種別 $a volumen $2 rdacarrier(8)
700 副出記入-個人著者標目 $a Dare, Christopher, $e autor(9)
700 副出記入-個人著者標目 $a Huneeus, Francisco, $e traductor(10)
700 副出記入-個人著者標目 $i Traducción de(11) : $a Pincus, Lily. $t Secrets in the family

※RDAを適用すると、出版年は[1982]、コピーライト年は©1982と記録するのが正確な表記になりますが、元記事のデータの表記をそのまま採用しました。

AACR2を適用した書誌・典拠レコードに、RDAを適用し更新したエレメント数は、略語の修正が約212万件、関連指示子に関する追加、修正が約98万件、新たなエレメントの追加が約370万件におよびました。これにより、LIBRUNAMでは、RDAの適用を検討する際のポイントの一つであった、「書誌レコードの機能要件」(Functional Requirements for Bibliographic Records:FRBR)[5]で掲げられている主要な利用者タスク(発見、識別、選択、入手)のサポートが実現されました。

【おわりに】

AACR2を適用して作成されたレコードにRDAのエレメントを含めることは、DGBにとって大変な挑戦でしたが、UNAMではラテンアメリカにおいて初めて、AACR2とRDAのハイブリッド・レコードとRDAのみを適用したレコードを含んだ総合目録を作成することに成功しました。この経験によって、システムを利用することで、これらの適用作業が日々の整理業務やオンライン検索に影響を与えることなく短期間に実施できることがわかりました。この取組みを契機に、メキシコをはじめとするラテンアメリカの図書館によるRDA適用作業の促進が期待されています。

菅野 真由美
(すがの まゆみ 外国資料課)

[1]Jorge Alberto Mejía, Carlos García, Ángeles Ramos, and Omar Hernández. Implementation of RDA to Bibliographic and Authority Records from the LIBRUNAM Catalog at the Universidad Nacional Autónoma de México. Cataloging & Classification Quarterly. 2014, 52(6/7), p. 733-746, doi:10.1080/01639374.2014.930943, (参照 2016-01-20).
下記のURLに要旨が掲載されています。
http://catalogingandclassificationquarterly.com/ccq52nr6-7.html, (参照 2016-01-20).

[2]2016年1月現在、LCで採用しているコア・エレメントの最新の情報です。
https://www.loc.gov/aba/rda/pdf/core_elements.pdf, (参照 2016-01-20).

[3][1] Figure1(p.737)を基に筆者作成。

[4][1] Figure9(p.744)を基に筆者作成。

[5]和中幹夫・古川肇・永田治樹訳. 書誌レコードの機能要件: IFLA書誌レコード機能要件研究グループ最終報告 (IFLA目録部会常任委員会承認). 日本図書館協会, 2004, 121p, http://www.ifla.org/files/assets/cataloguing/frbr/frbr-ja.pdf, (参照 2016-01-20).


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NDL書誌情報ニュースレター(年4回刊)

ISSN 1882-0468/ISSN-L 1882-0468
2016年1号(通号36号) 2016年3月25日発行

編集・発行 国立国会図書館収集書誌部

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