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欧米国立図書館のRDA適用状況に関する調査報告

NDL書誌情報ニュースレター

NDL書誌情報ニュースレター2016年2号(通号37号)

【はじめに】

筆者は、2015年11月から12月にかけて欧米5か国の国立図書館9館を訪問し、Resource Description and Access(RDA)の適用状況に関する調査を行いました。調査対象館は以下のとおりです。

表1 調査対象館
国名 館名(略称) RDA適用開始時期
アメリカ合衆国 米国議会図書館(LC) 2013 [1]
カナダ ケベック州立図書館・文書館(BAnQ) 2013
カナダ国立文書館・図書館(LAC) 2013
ドイツ ベルリン国立図書館(SzB) 適用準備中(時期未定)
ドイツ国立図書館(DNB) 2015.10
フランス フランス国立図書館(BnF) 未適用
イギリス 英国図書館(BL) 2013
スコットランド国立図書館(NLS) 2014
ウェールズ国立図書館(NLW) 2014

RDA適用開始からある程度の時間を経た現在、作業体制が安定している館もあれば、適用開始から日が浅いために試行錯誤の日々を送る館もありますが、いずれの館においても、研修をはじめとする適用準備と適用開始後の作業体制づくりには一定の苦労があった様子が窺われました。本稿では、これら訪問先の各館における適用の実際について概況を報告します。

また、わが国でも、本誌2013年4号(通号27号)「おしらせ:日本図書館協会目録委員会と連携し、新しい『日本目録規則』を策定します」でお知らせしたように、RDAに対応した新しい『日本目録規則』(新NCR)の策定を、NDLと日本図書館協会が連携して進めています。今回の調査で明らかになった他館の状況をふまえつつ、NDLにおける新NCRの適用に向けた課題もあわせて述べたいと思います。

1. 適用準備

(1)研修教材

各館ともLCが作成・公開している教材(Library of Congress (LC) RDA Training Materials)、あるいはそれを基に自国/自館用に編集した教材[2]を使用しています。BAnQ、LAC、BnF等によるフランス語へのRDA翻訳事情については、本誌2015年4号(通号35号)「世界のRDAの取組みのいま(4)―RDAのフランス語翻訳」ですでに紹介していますが、教材についても翻訳の問題が生じます。英語圏外の図書館がLC公開教材を使用する際は、当然ながら自国語への翻訳が必要になります。独自の教材を一から作成する手間は省けますが、英語圏内の図書館が例示等を除いてオリジナルの教材内容をそのまま使用できるのに比べ、教材準備にかかる労力と時間は相当なものであったようです。

また、教材のテキストコンテンツとあわせて、補助ツールのRIMMF(RDA in Many Metadata Formats)[3]を使用している館もありました(BL、NLS)。

(2)研修体制

適用している国の図書館ではいずれも、コアメンバーを対象に研修を行った後、コアメンバーが指導役となり、未履修の作業者数名とチームを組んで研修を展開する流れが採用されていました。また、練習問題に取り組んだり、実際に書誌を作成してみたりする実践を通してはじめて知識が定着するという声が多く、研修の構成において、講義形式と実践形式のバランスが重要であることがわかります。

一人の目録作業者に対し、おおむね1~3か月の研修期間が設けられていたようですが、自習時間を十分に確保することが必要という指摘がありました(DNB、NLW)。短期間で新しい知識を定着させるためには、復習が重要であるとのことです。

コピーカタロギング専門の作業者向けに、より簡易な内容の研修を行った館もあります(BL、BAnQ)。

また、目録作業者のみならず、収集担当者や利用者サービス担当者を対象として簡易な研修を行う館も見受けられました(BL、BAnQ、DNB)。出版情報と書誌データを一部共有していたり、OPAC上での書誌の見え方がRDA適用前と一部異なったりする点で、目録作成担当部署外の業務にも影響があるためです。

(3)研修生の反応

RDAへの理解はおおむね問題なく浸透したようですが、研修開始当初は、RDAに抵抗感を示す作業者がいたとの話もありました(DNB)。特に旧来の目録規則に不足を感じていないベテランの作業者は、新しいタイプの規則の必要性をすぐには理解できないケースがあり、指導者は適用後も作業自体には大きな変化がないことを説明しながらRDAに慣れてもらったそうです。ただ、作業プロセス上の変化が少ないことを強調する一方で、RDAの新しさについての理解を深めるため、RDA用語を従来使用してきた用語に言い換えることはせず、そのまま解説するよう努めた面もあるそうで、「統一タイトル(uniform title)」ではなく「優先タイトル(preferred title)」を使用するといった例が挙げられました。

(4)マニュアル

RDA本則と各館の適用細則(policy statements等)を目録作業の基本文書にするとしても、実践レベルではなんらかのマニュアルもあわせて必要になります。たとえばBLやLCは、RDAをMARCフォーマット上に適用する際の参照文書として資料種別ごとのワークフローを作成し、RDAのWebツールであるRDA Toolkit上で公開しています。RDAは資料種別不問の汎用性を前提にしていますが、結局は従来どおり資料種別ごとのマニュアルが必要となるのではないかという問いを投げてみたところ、基本的には共通文書のみで運用するという館もありました。たとえばBAnQは資料種別ごとの構成となっていた英米目録規則(AACR2)に逆戻りするべきではないとして、あくまで簡単な覚書程度のもの(cheat sheet)のみ作成しているとしています。LACはRDAが改訂される度に複数のマニュアルを修正するのは難しいとして、RDA適用方針とMARCフォーマット適用の覚書を兼ねた、全資料種別共通のガイドライン(LAC RDA Guidelines)のみ維持しています。DNBでも作業者が本則や適用細則を随時確認せずに済むよう、本則や細則の内容を取り込んだ覚書を備えており、RDAの更新事項も定期的に反映させているそうです。ただし、最新の情報が欠けている可能性があるため、必要に応じて作業者各自でRDA本則も確認するよう指示しているとのことでした。資料種別ごとのマニュアルの有無に関わらず、頻繁に改訂されるRDAの内容を各館の適用細則やマニュアルに逐次反映させることの煩雑さが窺えます。

また、館内で参照する各種マニュアル類の格納ツールとしてWikiを活用する館がありました(DNB、NLS)。RDA本則や、(公開していれば)適用細則とワークフローはToolkit上で確認できますが、運用レベルで迷う際には作業者各自がWiki上の各種文書を確認する手順となっているそうです。

(5)Toolkitの契約

RDAについて予算面から語られることは、比較的少ないように思われます。各種資料へのシームレスなアクセスを実現する手段として、RDAは、長期的にはコスト減に貢献するとされる一面もありますが、短期的に見ると適用に係るコストは少なくありません。特にToolkitのライセンス契約費用は、昨今の予算削減に苦しむ図書館に対し更なる負担を強いるものですが、ドイツ語圏ではライセンスのコンソーシアム購入、BLでは利用実態の分析によるライセンス数節減等の工夫が見られました。

2. 適用開始

(1)適用後

いずれの図書館でも2015年末の調査時点では、おおむね大きな問題なく適用されている様子でした。本格適用前に名称典拠を対象に先行適用した(DNB、NLS)ことや、適用対象資料群を段階的に拡げた(BAnQ、LAC、NLW)ことが、スムーズな導入に結び付いた面もあるように思われました。

(2)フォロー・点検体制

研修によりRDAの概念について理解ができたとしても、いざ実践となるとやはり難しい面があったようです。適用後もコアメンバーやチームリーダーが定期的に集まり、作業者から寄せられた疑問について話し合うという形でフォロー体制が各館で敷かれており、あわせて書誌のクオリティチェックが定期的に行われている様子でした。適用直後、1か月間にわたり徹底して新規作成書誌の全件チェックを行ったことが、目録作成スキルの向上と作業体制の安定につながったとする指摘もありました(BL)。

こういったフォロー体制のなか、予想外の収穫として目録部署内でのコミュニケーションが増えたとする声もありました(DNB)。作業の性格上、没交渉気味であった職場が活気を取り戻したことは好ましい変化であるとの話でした。マニュアル類に反映されないレベルの作業基準を作業者間で共有するためにも、日常的なコミュニケーションは重要であるようです。

(3)各種原則の運用

RDA適用における重要なファクターといえる関連指示子(Relationship designators)[4]の運用に困ることはないかとの質問には、各館とも特別問題はないとの回答でした。たとえばLCでは、著作レベルにおいて寄与者(contributor)の記録と関連指示子の付与を必須としていないため、特に難はないとのことです。そのほか、目録作業用のシステムにマクロを設定することで採用する関連指示子が判別できるため、選択に迷うことはないとの声が多くの館で聞かれました。

あわせてRDAには作業者に判断をゆだねる規定(cataloger’s judgment)が多くあります。これに関しては、従来どおり明確な判断基準を要求する作業者を説得するのに苦労したという話がありました(DNB)。また、アクセス・ポイント付与を作業者個人の判断に拠った結果、典拠コントロールの作業率が10%増加してしまったので、元の作業率を維持するため、アクセス・ポイントの上限数を規定せざるをえなかったという話もありました(BL)が、結果としてはおおむね問題なく運用できている様子です。適用から時間を経ると、作業者個人の判断が必要とされることへの抵抗感も薄れていくとのことですが、各館で一定の基準のようなものが徐々に作業者間で共有されることによる面も大きいようです。

もうひとつ、転記の徹底については、これにより作業が効率化したという声がありました(DNB)。NDLの洋図書目録作成者[5]からも同様の意見を聞きましたが、略語表を確認する手間が省け、作業が容易になったとのことです。

(4)作業時間

適用当初は、作業効率低下が見られたようです。DNBでは1冊分のオリジナルカタログ作成に30分~1時間程度かかっているそうですが、以前DNBに招聘したLC職員の話で、1日の処理冊数が13冊から7冊に減ったと聞いていたため、ある程度の覚悟はあったとの話がありました。

一方で、BLの統計によると、1日の処理冊数は適用前に10.66冊(コピーカタログ作業は39.02冊)であったのが、適用開始1年後に10.41冊(同39.09冊)となっており、長期的には作業効率に目立った変化はないとされています。

3. RDAの意義

(1)書誌のFRBR化に向けて

たとえばBLの目録には、AACRやAACR2に限らず、大英博物館時代の目録規則等多様な規則に基づく書誌が混在しています。RDAにはこういった書誌の統合を目的とする面もありますが、BLの関心はそこにありません。あくまで目指すべきは書誌レコードのFRBR化であり、それを効率的に実現するために、過去の書誌レコード中の言語、内容種別(Content Type)、メディア種別(Media Type)、キャリア種別(Carrier Type)等の属性情報を充実させ、著作(work)/表現形(expression)の同定を進めたいとしています。

(2)RDAの限界と意義

BnFはRDAを採用していませんが、その理由として、FRBRに基づいたモデルであるにも関わらず、書誌と典拠のリンクを十分に活かせないことや、多数のオプションが基準の不統一を招くことでかえって調整に人手が必要となり、本来長所のひとつであるはずのコスト減が実現できないことを挙げています。RDAの重要性も認めているとのことでしたが、他館と同様に書誌レコードのFRBR化を目指し、目録機能、特にリンク機能を高めることを重視するなかで、現時点でのRDA適用はその期待に応えるものではないという判断がなされたようです[6]

BLのダンスキン(Alan Danskin)氏は、検索インフラの革新に向けた足掛かりとなるであろうことがRDA適用の長期的な意義であると同時に、AACR2とは異なり典拠コントロールに適した統一的ルールを提供している[7]ことがその短期的な意義であるとして、現時点はFRBRモデルの実現に向けて道半ばであるにすぎないとしています。

他の適用館においてもRDA適用が終着点ではなく、目録発展途上の中継点にすぎないという認識が共有されています。特にMARC21フォーマット上での適用ではRDAの可能性を十分に活かしきれないことへの不満は大きく、次世代フォーマットBIBFRAMEへの漠然とした期待が窺えました[8]

4. NDLの課題

以下、筆者の私見として、NDLが新NCRを適用するにあたっての課題を挙げます。LC教材の翻訳、研修における復習時間と実践時間の確保、マニュアルの維持管理、点検・フォロー体制等、これまで述べてきた各館の苦労は、RDAに対応した新NCRをNDLに適用する時にも予想されるものです。各館における対策を参考にしつつ、NDLでの運用を考えなければなりません。

NDLでの困難が予想されるのは「作業者判断」です。今回訪問した各館の現場と比べ、NDLでは目録作業者間の相互依存度が高く、作業者の独立性が低いように思われます。作業者判断の方針に反し、従来どおり詳細なマニュアルを要求するDNBの目録作業者の話が印象的でしたが、マニュアルによる子細な指示に慣れている作業者が、個人判断を迫られることに戸惑うことが予想されます。

そもそも新NCRをNDLに適用する際、RDAと同様に、作業者判断にゆだねられている部分について「作業者判断」とするか、詳細基準を定めるかの見極めは今後の課題となりそうです。「作業者判断」により作業数に影響が出たBLの例なども参考にし、最適なバランスを追求しなければなりません。ただし基本はRDAの趣旨を尊重することとし、従来どおりの詳細な基準を維持することは避けたいところです。

そして、NDLでの新NCR適用もまた眼前の目標にすぎず、あくまで目録発展に向けた一ステップにすぎません。他国と同様に書誌のFRBR化を目指す場合、著作データの充実やアクセス・ポイントの拡充は必須の課題です。現在、NDLは典拠作成とリンク付与の対象範囲を、和図書からそれ以外の資料群にも徐々に拡げているところです。

この先日本でも、著作データの充実やアクセス・ポイントの拡充がより求められるならば、NDLの目録作業現場も大きな変化が求められることになりそうです。異なる資料群の目録作成担当部署間で、方針や基準の共有をいかに進めていくか、今後の調整が大きな課題になると言えるでしょう。

【おわりに】

今回の訪問は、目録の未来に向けて目指す地点にはまだまだ先が長いことを、あらためて痛感する機会となりました。調査自体はRDAを対象としていましたが、BnFによるリンクの自動派生テスト[9]、DNBによる目録作業自動化テスト[10]等、RDAとは別のアプローチから目録を発展させる試みについても知ることができ、たいへん刺激的でした。今後も他館の動向に着目し、目録の可能性と未来について俯瞰しながら、新NCRの適用に取り組みたいと思います。

吉家 あかね
(よしいえ あかね 国内資料課)

[1]LCのRDA適用準備と実践状況については、以下の記事と論文でも紹介されています。
本誌2013年1号(通号24号)「RDA導入に向けた米国図書館の現状について―米国図書館訪問記―」
http://www.ndl.go.jp/jp/data/bib_newsletter/2013_1/article_02.html, (参照 2016-05-09).
北米図書館でのRDA実践に関する調査報告. カレントアウェアネス-E. No.245 (E1480),
http://current.ndl.go.jp/e1480, (参照 2016-05-09).
村上遥. 北米図書館でのRDA実践に関する調査報告. 大学図書館研究. 2014, (101), p. 53-60.

[2]汎カナダRDA目録作成ワーキンググループによる研修教材(“Training Modules from the Pan-Canadian Working Group on Cataloguing with RDA”)はWiki上で公開されています。
http://rdaincanada.wikispaces.com/Pan-Canadian+modules, (参照 2016-05-09).
ドイツ語圏用の研修教材(“Schulungsunterlagen der AG RDA”)はDNBのWiki上で公開されています。
https://wiki.dnb.de/display/RDAINFO/Schulungsunterlagen+der+AG+RDA, (参照 2016-05-09).
BLの研修教材は名称典拠に関する研修教材(“British Library RDA NACO Training Programme”)はHP上で公開されています。
http://www.bl.uk/bibliographic/cataloguing-training.html, (参照 2016-05-09).

[3]MARC環境を前提にしないRDA研修ツール。

[4]関連指示子とは、資料と「資料に関わった個人・家族・団体」との間の関連の性質を示すもので、たとえば「作者」や「翻訳者」といったものが挙げられます。

[5]NDLでは2013年4月から洋図書にRDAを適用しています。本誌2013年1号(通号24号)および2013年3号(通号26号)をご覧ください。
http://www.ndl.go.jp/jp/data/bib_newsletter/2013_1/article_03.html, (参照 2016-05-17).
http://www.ndl.go.jp/jp/data/bib_newsletter/2013_3/article_01.html, (参照 2016-05-17).

[6]フランスにおけるRDA不採用と、フランス版RDA(“RDA-FR : A French Transposition of RDA”)策定に関する事情については、下記のURLに記載されています。
http://www.transition-bibliographique.fr/enjeux/bibliographic-transition-in-france/, (参照 2016-05-09).
また、本誌2015年4号(通号35号)「世界のRDAの取組みのいま(4)―RDAのフランス語翻訳」でも簡単に触れられています。 http://www.ndl.go.jp/jp/data/bib_newsletter/2015_4/article_03.html, (参照 2016-05-09).

[7]AACRやAACR2は「同定(識別)」ではなく「差異化」にその関心があったとしています。

[8]BIBFRAMEについて、本誌今号で紹介しています。
http://www.ndl.go.jp/jp/data/bib_newsletter/2016_2/article_01.html, (参照 2016-06-28).

[9]“FRBRisation du catalogue général de la BnF”
http://www.bnf.fr/fr/professionnels/anx_catalogage_indexation/a.frbrisation_bnf_catalogue_general.html, (参照 2016-05-09).

[10]“PETRUS - Prozessunterstützende Software für die digitale Deutsche Nationalbibliothek”
http://www.dnb.de/DE/Wir/Projekte/Archiv/petrus.html, (参照 2016-05-09).


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NDL書誌情報ニュースレター(年4回刊)

ISSN 1882-0468/ISSN-L 1882-0468
2016年2号(通号37号) 2016年6月28日発行

編集 国立国会図書館収集書誌部
発行 国立国会図書館

〒100-8924 東京都千代田区永田町1-10-1

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