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世界のRDAの取組みのいま(8)―中国

NDL書誌情報ニュースレター

NDL書誌情報ニュースレター2016年2号(通号37号)

【はじめに】

RDA適用のための取組みは世界各国で進展していますが、日本と同じく漢字文化を有する中国における動向は特に注目されます。ここでは、RDAに関する活動を中心に、中国における目録規則の動向をご紹介します。

1. 中国の目録規則の現状

中国国家図書館(中国国家图书馆)が運営する全国図書館連合目録作成センター(全国联合编目中心)など、中国の主要な目録作成機関においては、中国語資料と欧文資料で異なる目録規則を採用しています[1]。中国語資料については、「文献記録総則(文献著录总则)」(GB/T3792)など一連の国家規格のほか、「中国文献目録規則(中国文献编目规则)」[2]などを採用しています。一方、欧文資料については、国際標準書誌記述(ISBD)や英米目録規則第2版(AACR2)に加え、中国特有の事情を加味しつつAACR2を翻訳して作成された「欧文文献記録規則(西文文献著录条例)」などを採用しています。そのほか、件名標目表やフォーマットなどについても、中国語資料と欧文資料で使い分けています。たとえば、全国図書館連合目録作成センターの状況は、表1のとおりです。

表1 全国図書館連合目録作成センターにおける目録作成の状況 [3]
  中国語資料 欧文資料
目録規則 GB/T3792シリーズ
中国文献目録規則
ISBD
AACR2
欧文文献記録規則
分類法 中国図書館分類法(第5版)
件名標目表 文献主題索引規則
中国語件名標目表
中国分類件名表
米国議会図書館件名標目表(LCSH)
米国国立医学図書館件名標目表(MeSH)
フォーマット CNMARC MARC21

中国語資料と欧文資料で統一的な目録規則を適用するのが難しい理由としては、中国では、古代から続く書誌記述法の伝統が現在でも大きな影響を持つことや、中国語が文字等も含めて欧米言語とは全く違う成り立ちをしていることなどが挙げられます。また、RDAの記述や用語が複雑で、中国のような非英語圏の図書館員にとっては理解するのが非常に困難であることも、RDAを統一的な目録規則として検討するにあたっての課題です[4]。RDAは機械可読性の向上を重視しており、中国文献目録規則など従来の目録規則とはその構成や概念が異なるだけでなく、具体的な記述ルールについても違いがあります。その具体例は表2のとおりです。ここに挙げたのはごく一部であり、両者の間には記述ルールの違いが無数にあるため、すり合わせるのは容易なことではありません。しかしながら、これらの違いは、致命的とまで言えるものではなく、中国文献目録規則をRDAのルールに合わせて改訂することで、中国における目録作成を国際標準に近づけることができるとの指摘もあります[5]

表2 中国文献目録規則とRDAの記述ルールの違いの具体例 [6]
事例 RDA 中国文献目録規則
複数の言語による本タイトルがある 資料の本文におもに使用される言語や文字種による本タイトルを記録する。 中国語タイトルを本タイトルとして記録しなければならない。
タイトルの縮約 タイトルが長い場合は、重要な情報を失うことなく縮約できる場合に限り、縮約する。ただし、最初の5語は省略不可。 該当規定なし。タイトルを縮約することはしない。
版表示 版表示はコア・エレメント(必須項目)とし、初版や第1版の場合も記録する。 初版や第1版は記録しない。
複数の出版者がある 最初の出版者名のみコア・エレメントとするが、残りの出版者名の記録件数に制限はない。 最大二つまで記録し、三つ目以降は注記に記録する。
数量の記録方法 数量には、ユニット(資料の単位。たとえば、冊、リール、地図など)と下位ユニット(ユニットの物理的または論理的な下位区分。たとえば印刷媒体では1冊を構成するページのことを指す)の概念があり、双方または一方を記録する。 ユニットや下位ユニットの概念はない。ページ数や巻数などの物理的数量を記録する。

2. RDA適用に向けた研究プロジェクト

このように、特に中国語資料に対しては、RDAの採用には難しい課題がありますが、採用に向けての検討が行われています。RDAへの注目は、それが刊行された2010年ごろから急激に高まり、全国的なRDA研究プロジェクトが立ち上げられました。おもなプロジェクトには、以下の二つがあります[7]

「中国におけるRDAのローカライズと実施」(2011.7-2013.4)

国家社会科学基金が出資するプロジェクトです。このプロジェクトでは、中国の目録環境への適用可能性に焦点が当てられました。RDAと中国の目録規則の異同を比較研究した結果に基づき、RDAを中国語資料の目録作成に適用するための戦略が提案されています。また、中国語資料の目録作成に用いられるフォーマットであるCNMARCとRDA間のマッピングを作成し、同時に、RDAを適用しやすくするためにCNMARCの改訂も提案しました。さらに、このプロジェクトでは、RDAを用いた中国語資料の目録作成も試行しています。このプロジェクトの成果は、『«RDA»のローカライズ』[8]として刊行されています。

「国家図書館におけるRDAの実施方針と応用戦略研究」(2012-)

中国国家図書館が実施する重点プロジェクトで、RDA中国語版の作成、RDAとAACR2の比較研究、MARC21などのフォーマットへのマッピングなどを研究しています。また、英国、オーストラリア、ドイツなど他国で実施されたRDAの試行状況を調査しながら、RDAのローカライズの可能性に関する研究を行っています。そして、RDAに準拠した目録作成やRDA Toolkitの使用方法の検討を進めています。中国における目録作成にRDAを導入することで見込まれる効果や、中国国家図書館におけるRDAのローカライズの可否を検証し、RDA適用のための原則とガイドラインを作成することを最終目標としています。現在までに、その研究成果として、『RDA全面解読』[9]が出版されています。

3. 主要機関の取組み

(1)中国国家図書館

中国国家図書館では、現在のところ、RDAによる目録作成を行っていませんが、将来的には適用する方向で検討を進めています。ただ、中国語資料と欧文資料にRDAを一律適用するには複雑な調整が必要であるため、まずは欧文資料からRDAの適用を検討するべきだと考えられています。2014年に中国国家図書館の機関誌に掲載された論稿では、LC-PCC PS(Library of Congress-Program for Cooperative Cataloging Policy Statements)の中国版である「中国国家図書館外国語文献RDAローカライズポリシーおよび目録編集細則」を策定することが提言されています[10]

また、2012年7月に米国図書館協会(ALA)とRDAの中国語版の出版協定を締結し、前節でご紹介した重点プロジェクトとも連携しながら、RDA中国語訳ワーキンググループを立ち上げてRDAの中国語訳に取り組んできました[11]。ワーキンググループのメンバーは、中国国家図書館を中心に、CALIS(中国高等教育文献保障系统 )、上海図書館(上海图书馆)、上海交通大学等の機関の専門家が含まれます。2013年11月にRDA中国語版が完成し、2014年4月に出版されました[12]。以降、中国国家図書館は、中国におけるRDA適用を目指す活動において主導的な役割を果たしており、国内外の専門家を招いて図書館員向けのRDA研修などを実施しています。

(2)上海図書館

中国最大の公共図書館である上海図書館は、RDAへの対応が最も進んでいる機関と言えます。同館では、2012年6月にRDA研究グループを立ち上げて、RDA適用細則の作成を開始しました。また、2013年から外部の総合目録に提供する書誌データ作成にRDAを適用し、中国で初めてRDAによって作成された書誌データをOCLCに提供しています[13]。現在では、もともとAACR2を適用していた欧文資料だけでなく一部の中国語資料でもRDAを採用しています[14]

(3)CALIS

CALISは、中国の大学図書館ネットワークで、参加館の所蔵情報を統合検索できるシステム「CALIS総合目録公共検索システム(CALIS联合目录公共检索系统)」を運営しています。CALISは、2013年9月にRDAワーキンググループを結成し、2014年11月に北京師範大学で図書館員向けのRDA研修を実施しました。研修後、「CALIS総合目録RDA実施声明(CALIS联合目录RDA实施声明)」を発表しましたが、対応可能な機関に対し、日本語とロシア語を除く[15] 外国語資料の目録作成にRDAを採用することを奨励しています。しかし、これは強制的なものではなく、従来どおりAACR2による目録作成や、書誌の一部分にのみRDAを適用することも認めています。

【おわりに】

ここまで見てきたように、中国においては、RDAの研究や研修を実施するなどの取組みが着実に進められています。言語的な問題等もあって、しばらくの間は中国語資料も含めた本格的なRDAの適用が難しそうですが、まずは適用しやすい欧文資料から徐々に拡大していくことが見込まれます。言語体系や文化が欧米と全く異なる国でのRDA適用の動向は今後も注目されます。

齊藤 まや
(さいとう まや 関西館 アジア情報課)

[1]刘峰峰, 孙更新. 我国图书馆编目规则应用的现状与发展. 图书馆. 2014, 2014(3).

[2]国家規格に準拠しつつ、内容の一部に改良を加えて作成した目録規則で、中国で広く採用されています。

[3][1]を基に筆者作成。

[4]Chong Luoa, Dandan Zhaoa, Dongfeng Qia. China's Road to RDA. Cataloging & Classification Quarterly. 2014, 52(6-7), p. 585-599, doi: 10.1080/01639374.2014.917446, (参照 2016-05-10).
下記のURLに要旨が掲載されています。
http://catalogingandclassificationquarterly.com/ccq52nr6-7.html, (参照 2016-05-10).

[5]张期民. «中国文献编目规则» 与RDA条款的比较分析. 新世纪图书馆. 2011, 2011(2), p. 9-15.

[6][5]を基に筆者作成。

[7]本節の内容は、[4]の論文を参照しました。

[8]胡小菁, 张期民, 高红, 霍艳蓉, 庄雷波. «资源描述与检索» 的中文化. 北京. 国家图书馆出版社, 2015, 245p.

[9]罗翀. RDA全视角解读. 北京. 国家图书馆出版社. 2015, 399p.

[10]罗翀, 蔡丹. 试论国家图书馆外文文献资源RDA本地政策声明设计思路. 国家图书馆学刊. 2015, 2015(3), p. 50-54.

[11]梁红, 姜化林. «资源描述与检索» 的应用进展及对策. 图书馆学刊. 2015, 2015(10), p. 36-41.

[12]RDA发展联合指导委员会. 资源描述与检索(RDA). 北京. 國家圖書館出版社, 2014, 1082p.

[13]张晓文. RDA规则在境外合作编目的实践. 农业图书情报学刊. 2015, 27(1), p. 59-63.

[14]翁畅平. 国内图书馆RDA应用研究. 河南图书馆学刊. 2016, 36(1), p. 107-109.

[15]かつてCALISの検索システムは、中国語資料、欧文資料、日本語資料、ロシア語資料と言語別に四つのデータベースに分かれており、日本語資料とロシア語資料は、中国語資料や欧文資料とは別の規則、分類表、件名表に基づいて目録を作成されることが多く、現在でも多くの機関においてその習慣が残っているため、欧文資料を中心とする他の外国語資料と同様に一律にRDAを適用することが困難であると判断されたようです。


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NDL書誌情報ニュースレター(年4回刊)

ISSN 1882-0468/ISSN-L 1882-0468
2016年2号(通号37号) 2016年6月28日発行

編集 国立国会図書館収集書誌部
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