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VIAF評議会会議参加報告

NDL書誌情報ニュースレター

NDL書誌情報ニュースレター2018年4号(通号47号)

【はじめに】

2018年8月24日、バーチャル国際典拠ファイル(VIAF)評議会会議が開催されました。この会議は、例年、世界図書館・情報会議(WLIC):国際図書館連盟(IFLA)年次大会[1]の期間にあわせて開催されます。そのため、今回の開催地はマレーシアのクアラルンプールでした。VIAFを運営するOnline Computer Library Center, Inc.(OCLC)の担当者のほか、カナダ、フランス、ドイツ、エストニア、韓国等の国立図書館等から15名ほどが出席しました。また、今後のVIAFへの参加を検討するため、オブザーバとしてマレーシア国立図書館の職員が数名参加しました。

以下、会議のおもな内容を報告します[2]


評議会の様子

1. 議長の選出

評議会議長(任期1年)の選出は、この評議会会議で行われます。通常、前年の会議で選出された議長候補が、その年の会議で正式に議長として承認されます。今回は事前に選出されていませんでしたが、2018年8月から2019年8月までの議長としてWilliam Leonard氏(カナダ国立図書館・文書館)が、その次の議長候補としてVincent Boulet氏(フランス国立図書館)がそれぞれ立候補し、承認されました。

今回の会議では、2018年8月までを任期とする議長が諸事情により長らく不在であったため、2017年8月までの議長であったRicardo Santos氏(スペイン国立図書館)が暫定議長として進行を担当しました。議長のLeonard氏と議長候補のBoulet氏がそれぞれ決まったことで、本来の体制が整いました。

2. VIAFの動向

OCLCの報告によると、2018年8月現在、VIAFへの典拠データ提供機関は53機関であり、典拠データ約6,800万件が収録されています[3]。新規参加予定機関として、オンラインの国際音楽資料目録データベースRISM(International Inventory of Musical Sources)が準備中(データ検証中)であり、リトアニア国立図書館、アルゼンチン国立図書館、そしてスロベニアの国立・大学図書館と情報科学機関(IZUM)がOCLCと協議中です。

そのほか、典拠データの種別(個人名、家族名、団体名等)ごとの収録件数や、各機関の種別ごとの提供データ件数、VIAFへのアクセス件数等の各種統計についても報告がありました。

3. 国際標準名称識別子(ISNI)[4]の状況報告

ISNI品質管理チームの担当者で、VIAF評議会の次期議長候補でもあるBoulet氏から、ISNIの近況について報告がありました。

近年のおもな出来事として、MusicBrainz[5]やYouTubeといった音楽セクターの参画が挙げられました。演奏家や歌手等の音楽コンテンツに関わる創作者は、ISNIにとっては新しい分野のデータです。図書館と音楽セクターにおける音楽作品の定義は必ずしも同じではありません。そのため、ISNIにおけるデータの適用ルールやプロセスがコミュニティごとに異なり、そのことは、人物の同定作業上の課題にもなっています。しかし、これらの音楽セクターはデータ提供件数も多く、ISNIにおいて今後主要な存在になり得ると考えられています。

また、VIAFとISNIの相互運用に関するワーキンググループの活動状況についても報告がありました。このワーキンググループは、2017年2月に英国図書館で開催されたISNI-VIAFサミットでの提案を受け、2017年12月に発足しました。メンバーは、スペイン、フランス、ドイツ等の国立図書館、米国の大学図書館、OCLC、PCC(LC等による国際的な共同目録プログラム)等のISNIのステークホルダーである機関の担当者14名で構成されています。

ワーキンググループでは、おもな課題としてVIAFとISNIの目的やサービス対象等の違いを挙げ、それぞれの目的と意義を整理しています。VIAFは典拠コントロール、ISNIはID管理を目的としたサービスであり、それぞれの利用方法を明確にするための各機関における事例やワークフローの確認が行われています。また、VIAFとISNIの間でのデータのやりとりをどのように行うか等、相互運用性の向上に関する方法についても検討されています。

評議会の出席者からは、上記の課題に対し、音楽セクターや図書館等、ビジネスモデルやデータの利用目的がさまざまなコミュニティからなるISNIに対し、図書館コミュニティの典拠コントロールをおもな目的としたVIAFもあわせて継続することの重要性についてコメントがありました。また、双方のビジネスモデルについても言及がありました。ISNIにデータを登録し、IDを付与するために、各機関は参加形態に応じた会費が必要です。一方、VIAFへの参加(データ提供)には、会費は必要ありません。英国図書館やフランス国立図書館のように、VIAFとISNIの双方に参加している機関もあります。そのため、各サービスの今後の運営については、出席者の関心も高く、双方の運営に関与しているOCLCからは、それぞれの関係を考慮しながら、持続可能なビジネスモデルを引き続き検討する必要があるとのコメントがありました。

4. EU一般データ保護規則(General Data Protection Regulation:GDPR)が典拠データに与える影響

暫定議長のSantos氏から、GDPR[6]の概要と今後典拠データに与える影響について説明がありました。

GDPRは、2018年5月25日から適用が開始された、EUの新たな個人情報保護の規則です。EU内の個人情報保護法を統合し、各人が自分の個人情報の扱われ方をよりコントロールできるようにすることを目的としています。1995年に制定されたデータ保護指令に代わるものとして施行されました。

VIAFで取り扱う個人の典拠データには、氏名や生没年等が含まれているため、GDPRに基づく利用者からのデータの修正や削除依頼への対応が必要になります。報告者のSantos氏が所属するスペイン国立図書館では、利用者からの典拠データの修正や生没年や別名等の一部の情報の削除依頼については対応するが、データ全体の削除については、原則として対応しないという方針を策定しています。GDPRには、例外規定やデータの削除の制約条件等があり、これらの典拠データへの適用可否は、各機関における判断が必要です。その一方で、VIAFの典拠データに対して修正や削除依頼が来た際の対応について、VIAFとしての方針も検討する必要があります。VIAFの対応方針の検討に際し、各機関の方針を反映するべきか、逆に、VIAFの方針が各機関の方針に影響を与える可能性はあるのかといった点を検討するため、まずは各機関の事例等を集約する必要性が示されました。

出席者からは、VIAFの典拠データの責任の所在について質問がありました。VIAFを運営しているOCLCからは、VIAFは各機関の典拠データのアグリゲータであり、データそのものの責任主体とは言い難いこと、また、OCLCはVIAFにおけるデータ処理の責任主体ではあるが、データの所有者ではない旨の回答がありました。

これらをふまえ、今後、GDPRによるデータの修正や削除依頼に対するVIAFのワークフロー案について検討する作業グループが発足することになりました。

【おわりに】

会議では、典拠データの収録件数や参加機関数等から、また、出席者間の議論から、VIAFが図書館コミュニティの典拠データのハブとして定着していることを改めて感じました。ISNIとの連携やGDPRへの対応等については、今後も動向を注視しながら、必要に応じて評議会メンバーの一員としてNDLの意見も表明していく必要があると考えられます。

NDLでは、2012年から典拠データをVIAFに提供しています。また、国立国会図書館典拠データ検索・提供サービス(Web NDL Authorities)とVIAFとの連携も行っています。今後も、VIAF評議会に参画し、その結果をフィードバックすることにより、NDLにおける国内外への典拠データ提供サービスの向上を目指していきたいと思います。

柴田 洋子
(しばた ようこ 収集・書誌調整課)

[1] WLICの第84回年次大会については、本誌今号で紹介しています。
柴田洋子. 図書館の変革、社会の変革―世界図書館・情報会議(第84回IFLA大会). NDL書誌情報ニュースレター. 2018年4号(通号47号).
http://www.ndl.go.jp/jp/data/bib_newsletter/2018_4/article_01.html, (参照 2018-12-26).

[2] 2017年のVIAF評議会会議の参加報告については、以下をご覧ください。
津田深雪. 世界図書館・情報会議(第83回IFLA大会)とVIAF評議会会議参加報告. NDL書誌情報ニュースレター. 2017年4号(通号43号).
http://www.ndl.go.jp/jp/data/bib_newsletter/2017_4/article_01.html, (参照 2018-10-09).

[3] 同一の典拠データをグルーピングしたクラスターの件数は、約3,200万件。そのうち、65%以上が個人名典拠データのクラスター。

[4] 知的創作物やコンテンツに関連する個人および組織に付与される国際的かつ分野横断的な識別子。2012年に国際規格化(ISO 27729:2012)。

[5] 非営利組織のMetaBrainz財団が運営する、無料の音楽情報のオンライン百科事典データベース。

[6] 日本語仮訳が個人情報保護委員会のホームページに掲載されています。
個人情報保護委員会. “GDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規則)”.
https://www.ppc.go.jp/enforcement/cooperation/cooperation/GDPR/, (参照 2018-10-16).


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NDL書誌情報ニュースレター(年4回刊)

ISSN 1882-0468/ISSN-L 1882-0468
2018年4号(通号47号) 2018年12月26日発行

編集 国立国会図書館収集書誌部
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