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トップ > 刊行物 > びぶろす > 69号(平成27年7月)

びぶろす-Biblos

69号(平成27年7月)

びぶろす

  • 発行:国立国会図書館総務部
    (National Diet Library)
  • ISSN:1344-8412
3. 【特集・著作権(応用編)】
資料デジタル化に伴う著作権処理 インターネット公開のための作業を例として

国立国会図書館関西館電子図書館課 石塚 陽子

はじめに

国立国会図書館(以下、「当館」という。)は、当館資料のデジタル化について、平成21年の著作権法(以下、「法」という。)改正により、利用による資料の劣化を防ぐ等の目的のために、著作権が保護期間内の資料や保護期間内かどうか不明な資料であっても、権利者の許諾を得ずにデジタル化をすることが認められている(法第31条第2項)。デジタル化した資料は当館内で閲覧に供しているほか、絶版等で入手困難な資料は、図書館向けデジタル化資料送信サービスに参加する図書館等に送信し、各館で閲覧が可能となっている。

当館ではこのような形でデジタル化、及びそれにより作成されたデジタル化資料の提供を行っているところであるが、より広く提供できるように、著作権処理を行ってインターネットで公開する事業も進めている。

デジタル化資料は様々な形での利活用が可能であるため、各図書館等が著作権処理作業に至る目的は多岐に渡ると思われるが、ここでは当館におけるインターネット公開事業を例にとって、そのための著作権処理の流れを御説明したい。

著作権処理の流れ

現在、当館では、戦前に刊行された図書を中心に、インターネット公開するための著作権処理を行っている1。その作業の流れは、以下のとおりである。

  1. 著作物の特定・著作者の洗い出し
  2. 著作者の没年等の保護期間に関する調査
  3. 著作権者の連絡先調査
  4. 許諾依頼
  5. 文化庁長官裁定申請

これらの作業の流れについては、文中に付した図も参照いただきたい。

最終的には、

A 著作権の保護期間が満了している

B 著作権者の許諾を得ている

C 文化庁長官裁定を受けている

のいずれかを満たしていれば、インターネット公開が可能となる。

以下では、1から5のそれぞれの作業について、御説明したい。

1. 著作物の特定・著作者の洗い出し

これは、実際に資料を見て、どのような著作物がその中にあるかを確認し、個々の著作物の著作者を洗い出していく作業である。

著作物でないもの、すなわち「『思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの』(法第2条)」に該当しないものや、著作物であっても著作権保護の対象ではないもの(法第13条)は、著作権処理は必要ではない2

資料によっては、複数の著作物によって構成されている場合がある。例えば、本文の他に挿絵、序文、跋文、装幀、楽譜等様々な著作物が含まれる場合、それらはすべて別個の著作物となるので、これらに対応する全ての著作者を洗い出していく必要がある。

2. 著作者の没年等の保護期間に関する調査

次に、洗い出した著作物の著作権保護期間を確認するために、著作者の没年調査を行う。その方法には、

  • 名簿、名鑑類といった文献での調査
  • インターネット情報の確認
  • 著作権等管理事業者3や著作物の分野に関係する学会等への照会
  • 広く一般から情報を求める公開調査

等がある4

著作権の保護期間は、現行法では原則として著作者の死後50年である5。著作者が外国人である時は、戦時加算6が必要な場合もある。団体名義の著作物や周知でない変名、もしくは無名の著作物の場合などは、公表後50年となっている7

 また、正確な没年が不明であっても、保護期間が満了していると判断できる場合もある。例えばAという著作者の没年を調べている際に、ある雑誌に「故A先生を追悼して」という記事が掲載されているのを発見した場合、それが掲載された時点でAは亡くなっていたことが判明したことになる。すなわち、その雑誌の刊行年月日から50年経っていれば、Aの保護期間は満了しているとみなすことができる。

3. 著作権者の連絡先調査

著作権が保護期間内であったり、没年が不明等で保護期間が確認できなかったりする場合には、インターネット公開のための許諾に係る依頼状の送付や没年についての照会に先立ち、著作権者の連絡先を調査する。この調査自体は前項2と同様の方法で行う。

4. 許諾依頼

前項3の作業で連絡先が判明した場合、著作権が保護期間内であれば、著作権者に著作物利用の許諾依頼状を送付して回答を得る8。当館では、事業のパンフレットと回答書、返信用封筒等を送付している。回答書には、利用条件及び対象となる全著作物の一覧を記載するとともに、許諾の応否、著作権者の氏名、連絡先、回答日付の記入欄を設けている。

また、住所等の個人情報をどのように当館が把握したのか、という情報の入手先(情報源)もお知らせするようにしている9

5. 文化庁長官裁定申請

前項2、3のような調査を行っても没年や著作権者の連絡先が不明である場合には、文化庁長官の裁定を受け、補償金を供託してインターネットで公開することができる(法第67条第1項)10。その手続きについては、文化庁作成の「裁定の手引き」を参照されたい。

この裁定制度は平成26年8月に改正されて手続が簡素化されたため、利用がしやすくなった。例えば、デジタル化資料のインターネット公開(公衆送信)については、以前は実務上、利用年限の上限が5年とされており、継続する場合には改めて申請をして裁定を受け直す必要があった。現在は改正により利用年限を申請者の方で決められるようになったほか、年限の延長についても、あらかじめ申請内容に含めることにより補償金の追加供託のみで可能となった11

おわりに

以上のような一連の作業により、当館ではデジタル化資料のインターネット公開を行っている。紙の資料の場合、それを所蔵している図書館に足を運ばないと閲覧できない。しかしデジタル化され、インターネットで公開されていれば、世界中のどこででも、インターネットに接続できる端末さえあれば閲覧することができる。著作権処理は非常に手間と時間のかかる地道な作業ではあるが、図書館の蔵書が国民共有の文化的資産であることを鑑みると、その利活用の機会を国内、さらには海外に広く保障する、大変意義のあるものと言えるだろう。

(いしつか ようこ)

  1. 現在はインターネット公開と合わせて、当館内での全文印刷についても許諾を得るようにしている。
  2. 前者の例としては単なるデータ(例えば「富士山の標高 3,776 m」)、表現されていないアイデア等、後者の例としては憲法その他の法律の条文、裁判所の判決等が挙げられる。
  3. 著作権が保護期間内の場合は著作権者が権利処理を委託している場合もあるので、委託していないかを事前に確認する必要がある。
  4. これらの調査は、5で述べる文化庁長官裁定を申請する際にも前提として必要となる調査である。また、最後に挙げた公開調査は、日刊新聞紙への掲載もしくは公益社団法人著作権情報センター(CRIC)のウェブサイトへの掲載(CRICのウェブサイトに広告を出し、申請者が管理するウェブサイトへリンクさせるのでも可)のいずれかと定められている。当館ではHPで公開調査を実施し、上記CRICのウェブサイトからリンクを貼っているので、参考までに紹介する。
  5. 例えば1998年12月12日に亡くなった場合、2048年12月31日までが保護期間となり、2049年1月1日から自由に利用できるようになる。
  6. 第2次世界大戦前または大戦中に、アメリカ合衆国等の連合国、連合国民が取得した著作権については、大戦中に日本が保護していなかったという理由でその期間分保護期間を加算することになっている。国によって異なるが、約10年加算される場合が多い。
  7. 詳細は 文化庁HP(著作者の権利の発生及び保護期間について)、CRICのHP(著作権の保護期間はどれだけ?)参照
  8. 没年が不明の場合は、まず没年を照会する必要がある。没年の調べ方については『びぶろす』67号参照。
  9. 著作権者が情報源について気にかける場合があるためである。
  10. 裁定を受けて公開している著作物については、本裁定を受けた旨と裁定のあった年月日を明示しなくてはならない(法第67条第3項)。
  11. 裁定制度は今後更に大きく改正され、利用しやすくなる可能性もある。平成27年2月26日の知的財産戦略本部の検証・評価・企画委員会(第8回)において文化庁著作権課が提示した資料の6ページの2.(2)には、その時点での改正案が記載されている。その後、平成27年6月14日付日本経済新聞朝刊は、公的機関等に対象を絞った上で権利者への補償金を後払いにするよう著作権法が改正され、また一度裁定を受けた著作物が簡単に再利用可能となる見込みであることを報道している。

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