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びぶろす-Biblos

78号(平成30年1月)

びぶろす

  • 発行:国立国会図書館総務部
    (National Diet Library)
  • ISSN:1344-8412

03. 【特集:世界図書館情報会議(国際図書館連盟(IFLA)第83回年次大会)大会】
議会のための図書館・調査サービス分科会に参加して

国立国会図書館調査及び立法考査局財政金融課 萩原 真由美

1.はじめに

IFLAの下にある40以上の分科会の一つに、「議会のための図書館・調査サービス分科会1(以下、「議会図書館分科会」という。)がある。主な参加者は文字どおり議会サービスに従事する者であるが、その範囲は広く、各国議会の関係者はもとより、連邦制国家における州議会等から欧州議会等の国際機関まで、様々な機関からの関係者が集まる。

国立国会図書館(以下、「当館」という。)は、国会議員の職務の遂行に資することを目的の一つとして設立された2。このため、IFLA年次大会においては、当館から例年、議会図書館分科会に代表団が派遣されている。2017年の年次大会は同分科会の常任委員である奥山裕之(調査及び立法考査局調査企画課長)と筆者が、8月にポーランドで開催された議会図書館分科会への参加の機会を得た3

そこで、本稿では、同分科会の関連会議の状況について報告する。同分科会は、IFLAの多数の分科会の中でも、活発な分科会の一つと評されている。本稿を通してその活動の一端を感じていただければ幸いである。

2.プレコンファレンス

議会図書館分科会は、IFLA全体としての本大会に先立ち、開催国の首都でプレコンファレンスを開くことが恒例となっている。今回は8月15日(火)から18日(金)まで、ワルシャワのポーランド議会(メイン会場は上院本会議場)で開催され、約50の国・地域・国際機関等から約130名が参加した。

プレコンファレンス会場(上院本会議場)

テーマは「社会的連帯に向けた基盤としての情報:議会図書館・調査サービスの役割」であり、ポーランド議会、欧州議会調査局、韓国国会立法調査処、フィンランド議会図書館等の多数の機関から発表があった。このほか、参加者間の意見交換の場として、グループディスカッションの機会も多数設けられた。当館からは奥山が報告を行い、近年の取組として、調査及び立法考査局の調査員が執筆した論文(刊行物)の内容を国会議員及び議員秘書等にセミナー形式でわかりやすく説明する「政策セミナー」について紹介した。

最終日のワークショップは、「議会におけるICT」、「議会図書館・調査サービスにおける倫理」等の8つのトピックから2つを選択する形式で行われ、ICT関係も含む実践的な知識の習得・意見交換等が行われた。

政策セミナーに関する当館発表の様子

3.本大会におけるセッション

8月19日(土)から25日(金)までは、ポーランド第4の都市、ヴロツワフの百周年記念ホールにおいてIFLAの本大会が開催された。

百周年記念ホール(遠景)

22日(火)には、議会の透明性や一般市民への公開性等をテーマとした議会図書館分科会主催のセッション「Parliament and the People: Transparency, Openness, Engagement」が開かれた。その前半では、5か国の議会から報告が行われた。例えば、メキシコ議会からは、議会情報を外部の研究者等も含めて広く共有するプラットフォーム「REDIPAL」の紹介、ケニア議会からは、一般国民が議会に関する知識を深められるよう取り組んでいるアウトリーチ活動の紹介、チリ議会からは、透明性向上のため、難解な国家予算に関する情報を視覚的にわかりやすく提供するビジュアルデータについての紹介があった。

セッションの後半では、前半の報告を受けて、5グループに分かれた形でのディスカッションが行われた。「透明性を高めるため、自らの議会のウェブサイトでどのような情報が公開されることを望むか?」、「ソーシャルメディアプラットフォームの活用に当たり、REDIPALのような独自のものを開発する場合と、FacebookやTwitterのような既存のものを使用する場合では、どちらが効果的で利便性が高いか?」といった10の質問が並べられ、それらについて各参加者が活発な議論を行った。

議会図書館分科会主催セッション

このほか、他の分科会との共催セッションも開催された。

23日(水)の政府機関図書館分科会・法律図書館分科会との合同セッションでは、2015年に示された国連の「持続可能な開発目標(SDGs)4の実現に向けて、各国議会や政府機関図書館等が行っている取組や進捗状況が報告された。

また、同日の、知識マネジメント分科会等、他の2つの分科会との合同セッションでは、絶えず変化する情報化社会における図書館員の新たな役割がテーマとなった。特定の機関からの報告枠はなく、12のトピックに分かれた形で、多様な館種の出身者によるグループディスカッションが行われた。

4.議会図書館分科会常任委員会

これらのセッションの企画・運営を担っているのが、議会図書館分科会の常任委員・連絡委員である。世界各国に所在する委員は、オンライン上のツールを用いて日常的に連絡を取り合い、年間を通じて同分科会の業務を進めているとのことだ。

しかし、IFLAの年次大会では、年に一度、皆が直接顏を合わせて会議を行える貴重な機会として、ビジネスミーティングの枠で常任委員会が開催される。

筆者もオブザーバーとして会議に参加したが、終了したばかりのプレコンファレンスや本大会における議会図書館分科会の関連セッションについて講評がなされたほか、来年度のIFLA大会におけるセッションの方向性・テーマ案までもが早くも検討されていた。

このほか、世界議会図書館ダイレクトリ5の今後の方向性、常任・連絡委員以外の議会図書館分科会関係者間でのコミュニケーション・情報交換を促進する方法、議会図書館・調査サービスにおける倫理についての新たなガイドラインの作成等が話題となった。

議会図書館分科会第2回常任委員会

5.おわりに

今回参加したセッションでは、中南米やアフリカからの報告も比較的多く、自分にとっては馴染みの薄い地域における議会関係者の様々な取組を知ることができた。また、近年のセッションのスタイルとして、単に報告を聞くだけでなく、グループディスカッションを取り入れたものが増えてきている。世界各国で同じ業務にかかわる人々と、共通の課題・相違点について話し合い、視野を広げる良い機会となった。

(はぎわら まゆみ)

  1. Library and Research Services for Parliaments Section
  2. 国立国会図書館法(昭和23年法律第5号)第2条 国立国会図書館は、図書及びその他の図書館資料を蒐集し、国会議員の職務の遂行に資するとともに、行政及び司法の各部門に対し、更に日本国民に対し、この法律に規定する図書館奉仕を提供することを目的とする。
  3. 今回、筆者はヴロツワフにおける本大会にのみ参加する日程であったため、プレコンファレンス等、本稿の一部の内容については、奥山から得た情報を基にまとめた。
  4. 2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された2016年から2030年までの国際目標で、17の目標と169のターゲットから成る。
  5. これまでドイツ連邦議会のウェブサイトで維持されてきたが、今後はIFLA議会図書館分科会とチリ議会図書館が協力しつつ運営していくこととなっている。

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