輪湖俊午郎「帰国か永住か」

本稿はノロエステおよびパウリスタ延長線の日本人の現勢調査報告書である『バウルー管内の邦人』の巻頭に掲げられた文章。かつて、半田知雄はその著書『移民の生活の歴史 ブラジル日系人の歩んだ道』(サンパウロ 人文科学研究所 1970)において、本稿について「私は在伯同胞の筆になった「苦悶の書」として、まだこれ以上のものを読んだことがない。ここには当時の移民たちの苦しみが、全部要約されているような気がする。私は移民問題に筆をそめるたびに、くりかえし、くりかえしこの論文をよみ、批判に批判をかさねてきた。しかし、このなかにおりこまれている当時の民族感情だけは、論理を超越して胸にせまるものがある。...」(同書 p. 619)と記している。

画像『輪湖俊午郎「帰国か永住か」』