『法令全書』 昭和2年 法律第25号
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル海外移住組合法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御 名 御 璽
昭和二年三月二十九日
内閣総理大臣 若槻礼次郎
外務大臣 男爵 幣原喜重郎
内務大臣 浜口 雄幸
法律第二十五号(官報 三月三十日)
海外移住組合法
第一条 海外移住組合ハ組合員又ハ組合員ト同一ノ家ニ在ル者ノ海外移住ヲ助成スルヲ以テ目的トス
組合ハ法人トシ其ノ組織ハ有限責任トス
第二条 組合ハ其ノ目的ヲ達スル為左ノ事業ヲ併セ行フ
一 組合員又ハ組合員ト同一ノ家ニ在ル者ノ海外移住ニ必要ナル資金ヲ組合員又ハ組合員ト同一ノ家ニ在ル者ニ貸シ付ケルコト
二 組合員又ハ組合員ト同一ノ家ニ在ル者ノ海外移住ニ必要ナル貯金ノ便宜ヲ組合員又ハ組合員ト同一ノ家ニ在ル者ニ得セシムルコト
三 組合員又ハ組合員ト同一ノ家ニ在ル者ノ海外移住ニ必要ナル土地、建物其ノ他ノ物件ヲ取得シ又ハ借受ケ之ヲ組合員又ハ組合員ト同一ノ家ニ在ル者ニ譲渡シ又ハ利用セシムルコト
組合ハ前項ニ規定スルモノノ外学校、病院、倉庫其ノ他組合員又ハ組合員ト同一ノ家ニ在ル者ノ海外移住ニ必要ナル事業ヲ行フコトヲ得
組合ハ第一項ノ規定ニ依リ取得シ又ハ借受ケタル土地、建物其ノ他ノ物件ヲ組合員又ハ組合員ト同一ノ家ニ在ル者ニ譲渡シ又ハ利用セシムルニ至ル迄利用スルコトヲ得
第三条 組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ組合員又ハ組合員ト同一ノ家ニ在ル者以外ノ者ニシテ海外ニ在住スル者ニ対シ前条第一項及第二項ノ事業ヲ行フコトヲ得
第四条 組合ハ一区域一個ニ限リ之ヲ設立スルコトヲ得
第五条 組合員ハ組合ニ関スル一切ノ行為ヲ代理スベキ者ヲ定メ之ヲ組合ニ届出デタル後ニ非ザレバ海外ニ移住スルコトヲ得ズ
組合員前項ニ規定スル代理人ヲ組合ニ届出デズシテ海外ニ移住シタルトキハ組合ノ会議及組合ノ為ス通知又ハ催告ニ関スル一切ノ権利ヲ抛棄シタルモノト看做ス
前二項ニ規定スル代理人ハ当該組合ノ区域内ニ居住スル組合員タルコトヲ要ス
第六条 組合ノ理事及監事ハ地方長官ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ海外ニ移住スルコトヲ得ズ
第七条 海外移住組合ハ共同シテ其ノ目的ヲ達スル為海外移住組合連合会ヲ設クルコトヲ得
連合会ハ法人トシ其ノ組織ハ有限責任トス
第八条 連合会ハ其ノ目的ヲ達スル為左ノ事業ヲ併セ行フ
一 海外移住組合ノ普及、発達及連絡ヲ図ルコト
二 所属海外移住組合ニ必要ナル資金ヲ貸付シ及貯金ノ便宜ヲ得セシムルコト
三 所属海外移住組合ガ組合員又ハ組合員ト同一ノ家ニ在ル者ニ譲渡シ又ハ利用セシムベキ土地、建物其ノ他ノ物件ヲ取得シ又ハ借受ケ之ヲ所属海外移住組合ニ譲渡シ又ハ利用セシムルコト
第二条第二項、第三項及第三条ノ規定ハ連合会ニ之ヲ準用ス
第九条 連合会ハ全国ヲ通ジテ一個トシ其ノ設立ハ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ
第十条 海外移住組合以外ノ者ト雖モ定款ノ定ムル所ニ依リ連合会ノ会員ト為ルコトヲ得
第十一条 連合会ノ理事及監事ハ会員タル海外移住組合ノ理事及監事並ニ前条ノ規定ニ依リ会員ト為リタル者ノ中ヨリ総会ニ於テ之ヲ選任スベシ但シ特別ノ事由アルトキハ其ノ他ノ者ヨリ選任スルコトヲ得
前項但書ノ規定ニ依ル選任ハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第十二条 連合会ハ主務大臣之ヲ監督ス
第十三条 第六条ノ規定ハ連合会ノ理事及監事ニ之ヲ準用ス但シ地方長官トアルハ主務大臣トス
第十四条 産業組合法第一条、第二条第一項、第四条第一項、第六条ノ二、第九条第二項、第十六条ノ六第二項、第四十二条、第四十六条ノ二、第四十六条ノ三、第四十九条、第五十八条、第六十八条、第七十六条乃至第七十七条、第七十九条、第八十条第一項、第八十一条但書及第八十二条乃至第九十二条ノ規定ヲ除クノ外産業組合法中産業組合ニ関スル規定ハ海外移住組合ニ、同法中産業組合連合会ニ関スル規定ハ海外移住組合連合会ニ之ヲ準用ス但シ海外移住組合連合会ニ付テハ同法第八十一条ノ規定ニ依リ準用スル産業組合ニ関スル規定中地方長官トアルハ主務大臣トス
付 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム