第31回保存フォーラム
(終了しました)
第31回保存フォーラムの終了について
令和2年12月16日から令和3年1月15日までの間、第31回保存フォーラムをオンライン動画配信の形式で開催しました。動画視聴者数は302名(うち館内からは39名)でした。
外部講師の3名の方からご報告いただくとともに、当館からも1件報告いたしました。報告と質疑応答の模様を動画に収録して配信いたしました。
報告1は、宮内庁正倉院事務所保存課保存科学室員の髙畑誠氏から、正倉院と唐櫃の二重の調湿作用による保存環境の維持や、現在の桐製やアーカイバルボードによる宝物の特性に応じた専用の保存容器について、正倉院文書や紙を素材とした宝物を中心に報告していただきました。
報告2は、資料保存コンサルタント、専門図書館協議会顧問の安江明夫氏から、近代の資料保存の歴史から、日本の書帙をヒントにした保存容器の開発、「防ぐ」資料保存策としての保存容器について解説していただきました。
報告3は、九州大学附属図書館収書整理課長の山口良子氏から、九州大学附属中央図書館で行われた所蔵資料の大規模移転と、移転に際し作成された多様な保存容器について、準備作業、資料の種類ごとの対応や工夫、移転後の状況などを報告していただきました。
報告4は、当館から、保存容器導入の歴史、様々な保存容器の活用事例や作製方法について、災害時の保存容器の活用と効用について報告しました。
また、各報告の後に、申込者から事前に寄せられた質問を元に質疑応答が行われました。重要文化財等の貴重図書の保存容器には帙(四方帙)と中性紙ケースのどちらが望ましいか、保存容器を作る際の注意点、建物の劣化による環境変化や温湿度管理調整の苦労、工夫等についてご回答いただきました。
動画視聴後のアンケートで寄せられたご質問に対する講師からの回答を掲載いたします。
報告2「近代容器の起源と「防ぐ」保存の発展」をご講演いただきました安江明夫氏が、令和3年1月29日に逝去されました。
本フォーラムでご講演いただきましたことに深く感謝し、謹んで哀悼の意を表します。
- 第31回保存フォーラム:戦略的「保存容器」の使い方<報告> カレントアウェアネス-E No.411 2021.04.22 E2373
第31回保存フォーラムの開催について
近年、地球温暖化に伴う世界規模の異常気象により、日本でも記録的な猛暑や豪雨災害が発生しており、図書館や文書館など資料の収蔵・保存機関もその影響を免れません。必要とされる資料の劣化対策、防災対策は多岐に渡りますが、その中でも「保存容器」への収納は、資料を長期的に保存するための基本的かつ簡便な保存技術であり、適切に使用することによって、資料を劣化・破損させる様々な外的要因から保護する機能が期待できます。
歴史を遡れば、正倉院の宝物は1000年以上に渡り、校倉と唐櫃と呼ばれるスギ製の木の箱に守られ保存されてきました。また、日本を含む東アジアでは書物を「帙」に保管する伝統があります。アメリカでは資料に安全で長期保存に適したボード紙製の保存箱が1960年代に開発され、現代の資料保存の取組に大きな影響を与えました。日本でも1990年代以降、このようなボード紙製の保存容器が図書館等で広く普及しています。
「保存容器」の原点、開発と普及、活用事例についての報告から、各機関が保存容器をどのように使って大切な資料を守ってきたかを知り、未来への備えを考える材料とすることを目的に、以下のとおり第31回保存フォーラムを開催いたします。
日時 |
2020年12月16日(水) ~2021年1月15日(金) 上記期間中、いつでも配信動画を視聴していただけます。 |
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会場 | オンライン動画配信(参加登録者限定) |
テーマ | 戦略的「保存容器」の使い方―さまざまなカタチで資料を護る― |
プログラム |
※動画は報告別にファイルを分けて配信します。 |
対象 | 図書館員等の資料保存に関心のある方 |
募集人数 | 300名(先着順) |
参加費 | 無料 |
申込方法 | 終了しました |
申込み締切 | 12月2日(水)17時(定員に達した時点で受付を終了します。) |
お問い合わせ先 | 国立国会図書館 収集書誌部 資料保存課 電話番号 03(3506)5219(直通) メールアドレス:hozonka ![]() |