学校図書館における読書支援の取組 スライドは全37ページです。 《スライド1》 学校図書館における読書支援の取組 岐阜県立 岐阜清流高等特別支援学校 三宅 治朗 《スライド2》 自己紹介 《スライド3》 【この講義の流れ】 1.はじめに (1)学校紹介 (2)学校図書館の歴史 (3)学校図書館・学級文庫の様子 2.具体的実践 (1)図書委員会活動・公共図書館等との連携事例 (2)教科書・教科書関連図書コーナーと「セット箱」 (3)肢体病弱・知的障がいクラス等の事例 (4)りんごの棚の事例 3.参考文献 4.まとめ 《スライド4》 1.はじめに (1)学校紹介 現在私が勤務しております岐阜県立岐阜清流高等特別支援学校は、岐阜市にありまして、「知的障がいのみ」これを「単置校」と言います。その中で、高等部の生徒のみ」が学んでいます。以後は岐阜清流高等特支と省略させていただきます。 一方、岐阜県立可茂特別支援学校は、美濃加茂市にありまして、「知的障がいと肢体不自由、病弱」の併置、これを「併置校」と言います。その中で、「小・中・高等部」が同じ校舎で学んでおります。以後は可茂特支と省略させていただきます。 2023年1月からは東棟で高等部の生徒が学んでおります。 〔図の説明〕岐阜県立岐阜清流高等特別支援学校の校舎の写真〔図の説明終わり〕 〔図の説明〕岐阜県立可茂特別支援学校の校舎の写真と校舎配置図〔図の説明終わり〕 《スライド5》 グラフ。数値は次のとおり。2022年 小学部100人、中学部58人、高等部100人、合計258人。2023年 小学部103人、中学部57人、高等部118人、合計278人。2024年 小学部115人、中学部70人、高等部112人、合計297人。2025年 小学部126人、中学部77人、高等部120人、合計323人。  こちらが2022年度から2025年度の児童生徒数の推移です。合計323名は過去最高となります。 グラフ。数値は次のとおり。 小学部2022年度 病弱4人、肢体不自由17人、知的障がい79人、合計100人。小学部2023年度 病弱1人、肢体不自由18人、知的障がい84人、合計103人。小学部2024年度 病弱1人、肢体不自由15人、知的障がい99人、合計115人。 中学部2022年度 病弱9人、肢体不自由10人、知的障がい39人、合計58人。中学部2023年度 病弱8人、肢体不自由9人、知的障がい40人、合計57人。中学部2024年度 病弱7人、肢体不自由13人、知的障がい50人、合計70人。 高等部2022年度 病弱6人、肢体不自由15人、知的障がい79人、合計100人。高等部2023年度 病弱7人、肢体不自由14人、知的障がい97人、合計118人。高等部2024年度 病弱7人、肢体不自由11人、知的障がい94人、合計112人。  障害種には知的障がいが最も多く、次いで肢体不自由、病弱となっております。実際には視覚障がいや聴覚障がいが重複していたりしております。手話通訳などが求められることがありますので障害者サービスを行う際にはしっかり事前の確認が必要となってきます。また、寄附の予算で蔵書冊数を増やす努力をしてきました。 《スライド6》 令和6年度の障害種別学校数の状況(特別支援学校)(出典:学校基本調査等) グラフ。数値は次のとおり。単置 912 77.4% 併置 266 22.6% 併置①知的障害と肢体不自由        147 12.5%   ②肢体不自由と病弱・身体虚弱    36  3.1%   ③知的障害と肢体不自由と病弱・身体虚弱 30  2.5%  ←可茂特支   ④全てあり               15 1.3%   ⑤知的障害と病弱・身体虚弱       14 1.2%   ⑥聴覚障害と知的障害と肢体不自由    11  0.9%   ⑦聴覚障害と知的障害と肢体不自由    4  0.3%   ⑧視覚障害のみ無し           3  0.3%   ⑨視覚障害と知的障害          2  0.2%   ⑩視覚障害と肢体不自由         1  0.1%   ⑪視覚障害と病弱・身体虚弱       1  0.1%   ⑫視覚障害と聴覚障害と知的障害     1  0.1%   ⑬病弱・身体虚弱のみ無し        1  0.1%  これは、学校基本調査等から「令和6年度の障害種別学校数の状況(特別支援学校)」をグラフにしたものです。  特別支援学校は、全国で1178校ありました。そのうち単置校は77.4%、併置校は22.4%です。  単置校というのは、「視覚障害」「聴覚障害」「知的障害」「肢体不自由」「病弱・身体虚弱」の単一障害種のみの教育部門の学校です。 以後は「視(覚)」「聴」「知」「肢(体)」「病」と略させていただきます。  併置校には、1種類目の「知・肢(体)」が最も多く、次いで2種類目の「肢(体)・病」3種類目の「知・肢(体)・病」4種類目の「全てあり」5種類目の「知・病」6種類目の「聴・知」7種類目の「聴・知・肢(体)」8種類目の「視(覚)のみ無し」9種類目の「視(覚)・知」と続き1校のみですが、10種類目「視(覚)・肢(体)」11種類目「視(覚)・病」12種類目「視(覚)・聴・知」13種類目「病のみ無し」と13種の学校カテゴリーがありました。  このように、以前は「盲・聾・養護学校」でしたが、2007年の学校教育法の改正で多様な併置校が増加しています。 グラフ。数値は次のとおり。 単置(1)知的障害のみ            595 50.5%   (知的障害のみ【高等部のみの高等特支】 105  8.9%)←岐阜清流高等特支   (2)肢体不自由のみ 114  3.1%   (3)聴覚障害のみ    85  7.2%     (4)視覚障害のみ    61 5.2%   (5)知的障害と病弱・身体虚弱のみ 57 4.8%  岐阜清流高等特支は、「知的障害のみ」の単置校です。これは全国で595校(50.5%)。その内、「高等部のみの高等特支」は105校(8.9%)です。   可茂特支は、「知・肢・病」の併置校です。これは全国で30校(2.5%)です。知的障害教育部門を合計すると約7割。   また、重複障害学級で絵本の読み聞かせなどを行っていることも考えれば、ほぼすべての特別支援学校で知的障害の「読書バリアフリー」が課題になっているといえます。 岐阜清流高等特支は、「知的障害のみ」の高等特支です。これは全国で595校(50.5%)その内「高等部のみ」は105校(8.9%)です。  可茂特支は、「知・肢・病」の併置校です。これは全国で30校(2.5%)です。このように、約7割。ほぼすべての特別支援学校で知的障害の「読書バリアフリー」が課題になっています。 《スライド7》 高等特別支援学校と高等特別支援学校機能(出典:第4次子どもかがやきプラン〔岐阜県教育委員会〕)→https://www.pref.gifu.lg.jp/uploaded/attachment/406795.pdf  これは、岐阜県が令和6~10年度までの5年間に計画しております「第4次子どもかがやきプラン」からの図です。これによりますと、高等特別支援学校の全県展開と題しまして岐阜清流高等特支は、平成29年4月、西濃高等特支は平成30年度に既に開校。可茂特支は令和5年4月高等部に導入。東濃地域と飛騨地域はこれから整備予定となっており、増加する知的障がいが軽度の生徒の段階の図書資料等の整備充実も課題となっています。 〔図の説明〕高等特別支援学校機能の全県展開の図(出典:第4次子どもかがやきプラン〔岐阜県教育委員会〕)〔図の説明終わり〕 《スライド8》  (2)学校図書館の歴史についてお話させていただきます。当時の関係者へ聞き取ったりして明らかにしていきました。まず岐阜清流高等特支は、2017年の開校です。   可茂特支は、その6年前の2011年に開校。開校当初は「本が1冊もない」ということで大問題となり、その後全国的に珍しい「開館支援」がありました。  全国的に珍しい手引書までできた「開館支援」はその後のモデルケースとなりました。作業の様子をご覧ください。残念ながらサインは、生徒が壊してしまい現在は残っておりません。  壁に設置するなどの工夫が必要です。私はといいますと、2013年度から着任。2015~2013年度までの何と9年間、図書館を担当させていただきました。  現在校に異動になってからも2年目となっています。 〔図の説明〕岐阜県立可茂特別支援学校の学校図書館の歴史年表(2011年度)、開館支援の様子の写真〔図の説明終わり〕 《スライド9》 2018年度には高校と特支が共通の図書館システムを導入。2019年度には「読書バリアフリー法」が施行。その年に伊藤忠記念財団様から「わいわい文庫」を全作品寄贈していただきまして、チャティーブックスも整備しました。  また、ブックコーテイングを書店の方に依頼し、面出しによる貸出しアップ作戦を継続して行ってきました。2019年度からは移動学級文庫もはじめました。 〔図の説明〕岐阜県立可茂特別支援学校の学校図書館の歴史年表(2011~2019年度)、開館支援の様子の写真、移動学級文庫の写真〔図の説明終わり〕 《スライド10》  2020年の一斉休校から2024年までに計4回の研究発表、2つの年報、5つの論文、1つの新聞、2冊の本を執筆してきました。  その間2022年には国立国会図書館の視覚障害者等用データの送信を受けることができる図書館として承認されております。 こうした公共図書館との連携と感染症対策でもあるのがセット貸出作戦であります。 〔図の説明〕岐阜県立可茂特別支援学校の学校図書館の歴史年表(2020~2024年度)〔図の説明終わり〕 《スライド11》  これは、平時の貸出ではなく、「コロナ禍」だからこそ本が読みたいという声に学校図書館が応えた実践と理解していただけたらと思います。 〔図の説明〕岐阜県立可茂特別支援学校の学校図書館の歴史年表(2020~2024年度)〔図の説明終わり〕 《スライド12》 次に(3)学校図書館・学級文庫の様子についてお話させていただきます。 こちらが2022年コロナ禍の図書館の様子です。オンラインは最初の頃だけで特別支援学校の多くは対面での授業を行っておりました。 まず、本はすべて返却台へ返却し、全教職員で除菌・3日間以上の隔離を徹底しました。 〔図の説明〕岐阜県立可茂特別支援学校の図書館内の写真(2022)〔図の説明終わり〕 《スライド13》  こちらが学級文庫の一部の様子です。学級文庫には、クラスの児童生徒の自宅にあるマンガを持ち寄って増やしたもの、破っても良い写真多めの雑誌を配架したもの、県図書館のセット文庫を配架したものなどがみられました。 〔図の説明〕岐阜県立可茂特別支援学校の学級文庫の写真3枚(2022)〔図の説明終わり〕 《スライド14》 2024年1月にはこのように図書館が改善されました。 2025年8月にはこのようにさらに図書館が改善されています。 〔図の説明〕岐阜県立可茂特別支援学校の図書館内の写真(2024、2025)〔図の説明終わり〕 《スライド15》  図書館内には図書委員の手作りの「本は心の栄養」という言葉が掲示されていました。可茂特支のマスコットにこりんが、タブレット端末と紙の本を持っています。 2022年のクリスマスの写真や2023年度の新聞・読書週間の写真をご覧ください。中学部では創作絵本を製作し、原画展を開催しました。 〔図の説明〕岐阜県立可茂特別支援学校の図書館内の写真1枚・廊下の写真2枚(2022、2023)〔図の説明終わり〕 《スライド16》 次に2.具体的実践(1)図書委員会活動・公共図書館等との連携事例についてお話させていただきます。 2021年の①学級文庫抽選会では、図鑑のニーズが高いことを発見しました。②新聞・読書週間では、コロナ禍に放送による読み聞かせなどによる委員会活動を行いました。 〔図の説明〕岐阜県立可茂特別支援学校の図書館だよりと図書館内の写真(2021)〔図の説明終わり〕 《スライド17》 ③公共図書館(国際子ども・岐阜県)相互貸借の実施につきまして、このように両面刷りの図書館だよりのQRコードからホームページにあるセットを確認していただき、多数リクエストをしていただきました。   また、貸出後にリクエストがあり、寄附の予算で学校図書館に整備することもできました。 〔図の説明〕岐阜県立可茂特別支援学校の図書館だよりと図書館内の「学校図書館セット貸出し」「セット文庫」の様子の写真(2022~2023)〔図の説明終わり〕 《スライド18》 こちらは学校をとりまく主な相互貸借を表した図になります。それ以外にも校外学習で公共図書館を利用しています。 可茂地区というのは、可児市と美濃加茂市など10の市町村が合わさった地区です。  岐阜清流高等特支のある岐阜地区には、Library of the Year2022年大賞を受賞した「みんなの森ぎふメディアコスモス 岐阜市立中央図書館」があります。 〔図の説明〕岐阜県立可茂特別支援学校の主な相互貸借と「学校図書館セット貸出し」の図と校外学習の写真(2022~2023)〔図の説明終わり〕 《スライド19》 ④可茂特支オリジナル「CLブック」(バリアフリー図書)につきまして、こちらは、図書委員が作製した「CLブック」の作製方法と規格例と活用法になります。CLというのは、クリアー(透明)という意味の造語です。透明なもので保護しないと、本が読みにくいからですね。 また、作製方法のところで、透明ホルダー(作品を掲示するときに学校でよく使われる消耗品です。)  この「角を丸く加工する」とか「ブックコーティングしたあとに穴を空ける」といった工程は省略してありますので注意して作製していただければと思います。規格例といたしましては、A4サイズA5サイズなどがあります。活用方法といたしましては、本が読みたいとサインを出したとき学級文庫での活用するなどの例を想定しました 〔図の説明〕CLブックの作成方法、規格例、活用法の図(2022~2023)〔図の説明終わり〕 《スライド20》  これがA4サイズのバリアフリー図書「CLブック」の写真です。このように丈夫で消毒でき、ページもめくりやすくなっています。 2023年にはコーナー化しました。しかし、想定通りの活用をしないとすくに壊れます。これまで、大人が目を離してしまってつい破ってしまうことを防げる程度の効果しかない図書です。 〔図の説明〕CLブックとCLブックコーナーの写真〔図の説明終わり〕 《スライド21》 次に新しい「バリアフリー図書」の提案をします。  この表の出典は、野口武悟・植村八潮先生の『改訂図書館のアクセシビリティ:「合理的配慮」の提供へ向けて』(樹村房)2021年、p.38-61.の書物からの引用です。 (1)出版物 ①「視覚」を活用 ・大型活字本/LLブック/手話DVD       ②「聴覚」を活用 ・オーディオブック/朗読CD       ③「触覚」を活用 ・点字付きさわる絵本/布の絵本 (2)電子  ④電子書籍       ⑤特定電子書籍 ・マルチメディアDAISY図書 (3)媒体変換⑥録音       ⑦テキストデータ  この(1)~(3)までは、現在のバリアフリー図書の種類です。私は、新たに(4)として次の種類を提案します。 (4)保護  ⑧表・裏・背表紙等       ⑨全ページ ・丈夫で消毒できる本=CLブック  この(4)保護が追加されることで、より多くの人の読書バリアフリーが実現できると考えています。たとえば、  ⑧表・裏・背表紙等…これは、通常のブッカーがけをイメージしていただければよろしかと思います。可茂特支では、常にブッカーがけした図書を配架し、修理をきちんと行うことで、以前は大量に出ていた廃棄図書をほとんどないほどに削減できたことからも言えると思ます。  ⑨丈夫で消毒できる本=CLブックについては先ほど紹介したものです。  また、かるたや百人一首などの教材も、紙にふれると握りつぶしたり破いてしまう利用者がいます。そのような場合に紙を保護する「透明なケース」も「全ページ保護」にあたります。 《スライド22》 次に⑤特支担当者間の「データ共有」(県立学校図書館支援事業)についてです。  連携事例の最後として岐阜県の県立学校図書館の支援事業の1つ「データ共有」をご紹介致します。  このように各特別支援学校図書館の状態を写真情報を用いて特支担当者間で共有しています。 こうすることで自校の図書館活動向上に役立ち、今後の情報交流につなげる一助となっています。  このデータ共有は、他校の様子を知りたいという担当者の声を受けて2019年度から始まりました。 〔図の説明〕特支担当者間の「データ共有」(県立学校図書館支援事業)の図〔図の説明終わり〕 《スライド23》 それでは、具体的に本校の事例で紹介します。これは2019年の岐阜清流高等特支の様子になります。開校3年目でまだ書架に本が入っていない様子がわかります。 〔図の説明〕岐阜清流高等特別支援学校図書館の写真入りの図(2019)〔図の説明終わり〕 《スライド24》 6年後の2025年度にはこのように変わりました。館内図、季節のかざり、セルフ貸出、返却用のワゴン、独自の見出し、生徒による蔵書点検、清流祭展示、図書館だより、りんごの棚など多くの変更点がありました。2026年度にかけてデータの更新が作業が行われ、担当者の情報共有が行われる予定になっています。 〔図の説明〕岐阜清流高等特別支援学校図書館の写真入りの図(2025)〔図の説明終わり〕 《スライド25》 (2)教科書・教科書関連コーナーと「セット箱」についてお話します。 教科書コーナーの設置につきましては、学校教育法附則第9条(以前は107条)に定められた一般図書のコーナーのことです。このように特別支援学校などでは、子どもの障害の程度や特性に合わせて教科書や一般図書を柔軟に選択・活用することが重要です。この新設されたコーナーの特徴は、附則9条本の大型絵本の上部に附則9条本を配架したところにあります。絵本などの大型絵本は授業で活用できるので大変人気があります。児童生徒のニーズと、教職員が残念ながら図書館で借りることができい場合でも通常のサイズの絵本を活用できますよというコーナーです。 教科書関連図書コーナーの設置につきましては、附則9条本のシリーズ本を中心に配架したものです。こちらは、すべて「セット箱」に収められた状態で配架されていまして、ブックトラックに積んですぐに活用できるようになっております。 教科用図書採択結果を県の教育委員会のホームページで100パーセント公開している岐阜県だからこそできたコーナーです。図書館だよりで詳しく説明しました。 〔図の説明〕岐阜県立可茂特別支援学校の図書館だより〔図の説明終わり〕 《スライド26》  この可茂特支オリジナル「セット箱」の作製につきましては、ブックトラックに積みやすい「本の出前箱」と言い換えても良いものであります。  「図鑑読み比べセット」のセット箱もありまして、これは箱に取っ手がついており、箱の手前に「シリーズ名」または「セット名」箱の横に「書名」と「バーコード」が貼ってあります。  「図鑑読み比べセット」は、同じ種類の図鑑が読み比べられます。これは、これまでにない読書指導の提案です。このセット内容は、 0歳から楽しめる図鑑と3歳から楽しめる図鑑と大きく2つに分けられます。 〔図の説明〕岐阜県立可茂特別支援学校のセット箱の写真(2019)〔図の説明終わり〕  また、これは貸出の割合を分析したグラフになります。男子児童生徒が多く、「乗りもの」「鉄道」「恐竜」などの順に貸出が多いことが わかりました。これらを踏まえて環境を整備しました。 図鑑貸出割合(2018-2021) グラフ。数値は次のとおり。乗りもの 24%、鉄道 22%、恐竜 10%、魚 7%、動物 6%、植物 4%、爬虫類・両生類 5%、昆虫 4%、危険生物 4%、水の生き物 4%、鳥 3%、星と星座 2%、人体 2%、宇宙 2%、地球 1%。 《スライド27》 (3)肢体病弱・知的障がいクラス等の事例について紹介します。 ①生活単元学習の「読みたい本を見つけよう!」については、こちらが各種コーナーを設置する根拠となる研究となります。 附則9条本を整備するだけで、10パーセントの読みたいに答えることができることがわかりました。  ②自立活動については、このように、天井にスクリーンを設置することも有効です。 〔図の説明〕岐阜県立可茂特別支援学校の10%が附則9条本とわかる表、教室の写真〔図の説明終わり〕 《スライド28》 ③国語・社会科については、こちらが「移動図書館」(本の出前)となります。様々な教科などで活用でき、教室があっという間に図書館になります。総合百科事典の出前も有効でした。 〔図の説明〕岐阜県立可茂特別支援学校の「移動図書館」(本の出前)の写真〔図の説明終わり〕 《スライド29》 (4)りんごの棚の事例についてお話します。  「リンゴの棚」につきましては、1993年のスウェーデンで始まったものですが、 2019年6月に読書バリアフリー法が施行されましてついに本校でも2025年度にできたものです。   こちらが現在の学校の「りんごの棚」の写真です。LLブックやリーディングトラッカーなども整備しました。特にLLブックなどの貸出がアップしました。  また次に紹介するリーディングトラッカーなどのリクエストアンケートの取組はこれまでにないものです。学校があっという間に読書バリアフリーになりますので、ぜひ参考にしてください。 〔図の説明〕岐阜県立岐阜清流高等特別支援学校の「りんごの棚」の写真〔図の説明終わり〕 《スライド30》  図1をご覧ください。これは筆者が、2025年6月に岐阜清流高等特支の先生方に協力していただいて生徒にアンケート調査した結果です。これによりますと、キハラリーディングトラッカーについては、イエロー・パープル・エメラルドグリーン・ライトグリーン・クリア・ブルー・ローズピンクの順に多く、ピンクは0%であるなどのニーズをつかむことができました。今後の整備の参考にしていきます。 グラフ。数値は次のとおり。イエロー 22.4%、パープル 19.4%、エメラルドグリーン 16.4%、ライトグリーン 11.9%、クリア 11.9%、ブルー 10.4%、ローズピンク 7.5%、ピンク 0%。  《スライド31》  図2をご覧ください。これは同様に生徒にアンケート調査した結果です。これによりますと、キハラリーディングルーペについては、ライトグリーン・イエロー・ライトグリーン・イエローの順に多いなど、ライトグリーンの割合が多く、長さは150mmと短いものが多いというニーズをつかむことができました。この結果も今後の整備の参考にしていきます。 グラフ。数値は次のとおり。ライトグリーン(150mm) 42.6%、イエロー(150mm) 33.8%、ライトグリーン(210mm) 14.7%、イエロー(210mm) 8.8%。  《スライド32》  3番目といたしまして参考文献について紹介させていただきたいと思います。 これらは、まずは各都道府県立図書館そして国会図書館の順にお尋ねになってぜひ読んでいただければ参考になるかと思います。 《スライド33》  1番目に『高教研会誌』です。これは岐阜県高等学校教育研究会の会誌で、各部会の活動がこの1冊でわかります。この研究会はもともと教科研究会であったのですが、岐阜県学校図書館協議会から高校と特殊教育諸学校が切り離されて一緒になったことで高等学校教育研究会となったものです。 巻末の「研究・研修報告」の図書館部会の報告は16ありますが、そのうち特別支援学校の報告は53号のみです。  2番目といたしまして『歩み』です。これは岐阜県学校図書館協議会が、昭和26年に『学校図書館の歩み』として創刊。第11号より題字を『歩み』に変更されたものです。75号からは、小・中学校と高等学校が分離し、高等学校教育研究会は『わたしはこのように読んだ』と1冊に合本されて発行されるようになりました。 また、創刊号など事務局の火災のため冊子がないものもありますが、創刊号は、コピーが岐阜県総合教育センターの図書・教育資料室に所蔵されています。 内容はコンプトン氏百科事典懸賞学校図書館コンクールなどによって、岐阜県の高等学校の学校図書館が整ったことや、「学校図書館は学校の心臓部」などの表現がみられます。  8・11・61号には盲学校、31号に関養護学校の記事があります。41号には本巣郡穂積町(現在の瑞穂市)の小学校でブックトラックの写真入りの記事で初の移動図書館(本の出前)が紹介されています。49号には「移動式書棚庫」「107条」について文部省研でふれられたことが記載されています。  56・58号には中学校の50分間読書の実践で「選書傾向の発達段階」が記載されています。73号にもふれていますが、58号にはじめて劇団「はらぺこ」の報告がみられます。  73号には、「本を心の栄養にする教育」と題した可茂特別支援学校の報告の要旨が記載されています。このような過去の報告は大変参考になりました。 《スライド34》  3番目に「読書指導と環境の改善」という小論ですけども、発表したものは全部で4つありましてまずはじめに「学級文庫・教科書等各種コーナーの活用」2つめは「教科書関連図書の活用」、3つめに「学校図書館賞の分析を実践に生かす」、4つ目は「校内図書セット(大型絵本)の検討」です。  まずはじめは、コロナ禍に「教科書コーナー」などの各種コーナーを設置して活用した実践研究です。  2つめは、コロナ禍に「CLブック」や「移動図書館」など「教科書関連図書コーナー」を活用した実践研究です。  3つめは、特別支援教育を中心に「学校図書館賞」受賞による環境改善の効果を明らかにした実践研究です。  4つめは、大型絵本の校内図書セットを検討した特別支援学校図書館のリニューアルに役立つ実践研究です。  4番目に野口武悟先生、植村八潮先生の共著による『改訂 図書館のアクセシビリティ:「合理的配慮」の提供へ向けて』樹村房です。 これは、現在の「バリアフリー図書」についてよくわかる参考文献です。ぜひお読みください。 《スライド35》  最後に障害者サービス担当者様におすすめの1冊を紹介させていただきます。野口武悟編著『学校の読書バリアフリーはじめの一歩―学校図書館10の事例―』(学事出版)という本です。国立国会図書館関西館の取組みも紹介されています。  この講座を受講された皆様には、今回ご紹介した「特別支援学校図書館」以外の取組みもこの本も読んで知っていただいて、これからもみなさまとともに学校の「読書バリアフリー」を進めていきましょう。 《スライド36》 講義のまとめです、  1.はじめにといたしまして(1)学校紹介では、特別支援学校でも知的障害の単置校と併置校の岐阜県立学校2校を紹介、併置校では増加していることを紹介させていただきました。(2)学校図書館の歴史では、岐阜県の特別支援学校では「開館支援」が行われており、高校と特別支援学校が共通の図書館システムが導入されており、ブックコーティングなど図書を保護することは効果的であることを紹介させていただきました。(3)学校図書館・学級文庫の様子では、コロナ禍でも教職員の工夫と努力が実践されていたことを紹介させていただきました。  2.具体的実践といたしまして(1)図書委員会活動・公共図書館等との連携事例では、学級文庫抽選会や新聞・読書週間、公共図書館の相互貸借やCLブック、特支担当者間の「データ共有」を紹介させていただきました。(2)教科書・教科書関連図書コーナーと「セット箱」では、附則9条本とその関連図書のコーナーと図鑑読み比べセットなどの事例を紹介させていただきました。(3)肢体病弱・知的障がいクラス等の事例では、生活単元学習や自立活動、国語・社会科の事例を紹介させていただきました。(4)りんごの棚の事例では、LLブックの貸出の増加など学校があっという間に「読書バリアフリー」になった事例を紹介させていただきました。  3.参考文献では、デジタル化されていない貴重な資料から、文書読み上げに対応した小・中・高校・特別支援学校図書館や公共図書館の取組みまで載っている書籍まで紹介させていただきました。 《スライド37》 こちらのホームページをご覧ください。 どちらの学校も授業の一環でカフェや販売会を行っております。 みなさまのご来店・ご来館をお待ちしております。 ご清聴ありがとうございました。 〔図の説明〕岐阜県立岐阜清流高等特別支援学校と岐阜県立可茂特別支援学校ホームページの「QRコード」〔図の説明終わり〕