白瀬矗―しらせのぶ。
彼は明治時代の終わりに、日本人で初めて南極を探検した白瀬隊の隊長です。子どもの頃から極地探検を志し、ノルウェーのアムンセン、英国のスコットと同時期に南極点到達を目指しました。結果として、南極点に到達することはできなかったものの、明治45(1912)年1月28日に南緯80度5分まで到達、探検隊員を全員無事に帰国させるという成果をあげます。その冒険には、当時多くの日本人が注目しました。
しかし、その旅は資金不足、探検隊内のいざこざ、さらには旅の途中の衣食住に関わる問題等々、決して一筋縄でいくものではありませんでした。現在では、国の事業として日本南極地域観測隊により南極の学術観測が安定的に行われていますが、当時は国からの支援が全くない、専ら個人による探検・冒険であり、その一つ一つを自分達で作り上げていくしかなかったのです。
そんな知られざる苦難と驚きに満ちた旅を、当館の貴重な資料で案内します。
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第1章 白瀬隊・南極への旅