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(参考)
(秘)
大日本弁護士会聯合会憲法改正案
天皇制ハ之ヲ存続シポツダム宣言ノ趣旨ニ従ヒ民意ヲ基礎トシテ大権ヲ行使セラルルカ為メ且天皇ト国民トヲ直結シ従来軍閥官僚等カ袞竜ノ袖ニ隠レ跋扈跳梁シタル弊習ヲ芟除セムカ為帝国憲法ノ条章ニ次ノ如キ改正ヲ行ハルルヲ適当ト認ム
第一 国民投票制ノ採用
最モ重要ナル国務ヲ決定スルカ為必要アリト認ムルトキハ天皇ノ発議ニ依り国民ノ直接投票(レフエレンダム)ニ諮フノ途ヲ啓クト共ニ議会モ亦第七十三条第二項及第三項ノ特別決議ニ依り之ヲ要請シ得ルモノトスルコト
第二 立法ニ対スル議会権限ノ拡張
法律ノ制定ハ裁可ヲ要セス帝国議会ノ議決ヲ以テ足ルコトトシテ天皇ノ裁可権ヲ拒否権ニ改ムル為第五条第六条及第三十七条ヲ改正シ猶憲法ノ改正ニ付テモ議会ニ発案権ヲ認ムルカ為第七十三条等ヲ改ムルコト
第三 天皇ノ大権ニ対スル制限
(イ)議会大権ニ関シ議会ノ両院ヨリモ臨時議会ノ召集ヲ要求シ得ル様第七条ニ規定スルコト
(ロ)命令大権ニ関シ第八条ノ緊急命令ハ之ヲ廃止スルト共ニ第九条中「及臣民ノ幸福ヲ増進スル為」ノ所謂助長命令モ之ヲ削除スルコト
(ハ)外交大権ニ付テハ帝国議会ノ協賛ヲ以テ之ヲ行フヘク第十三条ヲ改正スルコト
(ニ)統帥大権及軍政大権ニ関スル第十一条及第十二条ヲ削除スルコト
第四 臣民ニ対スル保障
第十九条乃至第二十九条及第三十一条ノ規定ヲ整備シ日本臣民ハ社会上政治上及経済上平等ナル原則ヲ明記スルト共ニ総括的ニ臣民ノ自由ヲ制限スルニハ法律ノ規定ニ依ルヘキ旨ヲ定メ憲法ニハ法律ヲ以テモ仍制限スヘカラサル自由ニ付テノミ保障規定ヲ置クコト
第五 貴族院ノ改組
貴族院ノ名称ヲ改メ職域代表者及勲労ニ因り勅任セラレタル者(華族制度ヲ存置スル場合ニハ其ノ代表者ヲモ加フ)ヲ以テ之ヲ組織スルコトトシ其ノ選定方法ハ法律ヲ以テ之ヲ定ムル様第三十三条第三十四条等ヲ改正スルコト
第六 常置委員ノ設置
議会閉会中其ノ権限ヲ代行セシムルカ為議会ニ常置委員ヲ設置スルコト
第七 内閣制度ノ確立
内閣制度ニ付憲法ニ明定シ行政権ハ内閣総理大臣及各省大臣ヲ以テ組織スル内閣ニ於テ之ヲ掌理スルト共ニ内閣ハ議会ニ対シテモ責任ヲ負フヘキ旨ヲ定メ内閣総理大臣ノ任免ニ付テハ議会ヨリ推薦スルノ途ヲ啓キ更ニ内閣総理大臣及各省大臣ハ当然国務大臣タルコトヲ規定スルコト
第八 枢密顧問ノ廃止
枢密顧問ヲ廃止スル為第五十六条ヲ削除スルコト
第九 司法裁判権ノ拡張
行政官庁ノ違法処分ニ因リ権利ヲ傷害セラレタル場合ニハ広ク行政訴訟ヲ提起シ得ルコトトスルト共ニ其ノ裁判権ヲ司法裁判所ノ管轄トシ行政裁判所ヲ廃止スヘク第六十一条ヲ改ムルコト
尚官吏ノ違法行為ニ因ル損害ニ付テハ国家ニ賠償責任アリトスルコト
第十 譲位ト華族
皇室典範ヲ改正シ譲位ノ途ヲ啓クト共ニ華族令ヲ廃止シ又ハ一代華族制度ニ改ムルコト |