石原重勝出品の踏転繰糸器

『明治十年内国勧業博覧会出品解説』 10冊 (1878)

解説

1日に繭1斗を繰ることができるという繰糸器。富岡製糸場でも実験を行い、足踏み式の有益性が明らかになったため、佐位郡伊勢崎西久保に製糸教授場を開場し、この方法に基づいて授業を始めたと説明がある。
本体は木製で、大輪の軸は錬鉄、鍋は胴製、はずみ車は洋鉄製、鉤は真鍮製、伝動帯は象皮製。手前の鍋は右が煮繭用、左は糸引のためのもので、空気管の開閉により火勢の強弱を調節できる。鍋に向かって腰掛を用意して座り、鍋の下の棒に足をあてて交互に踏むことで動力を起こす。鍋の上にある鉤には二本を撚った糸が描かれている。右上部奥の小さい枠に巻き取り、それをさらに左の大きな枠に巻き取って揚げ返し*を行う。動きを伝動帯によって伝えるのが特徴。

* 揚げ返し 一度巻いた糸が濡れた状態なので、そのまま固着しないよう、さらに大きな枠に巻く。

標準画像を開く