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図書館におけるアクセシブルな電子書籍サービスに関する検討会 令和3年度報告書

本報告書は、令和3年度に開催した「図書館におけるアクセシブルな電子書籍サービスに関する検討会」において報告した内容を基に、アクセシブルな電子書籍等を提供する民間電子書籍サービスの図書館への導入の推進に当たっての課題や今後検討を進める上で踏まえるべき事項を整理したものである。

1. 検討会開催の経緯

令和元年6月、「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(令和元年法律第49号)が施行された。令和2年7月には、同法第7条の規定に基づき、文部科学省及び厚生労働省において「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画」(以下「基本計画」という。)が策定された。同基本計画では「音声読み上げ機能(TTS)等に対応したアクセシブルな電子書籍等を提供する民間電子書籍サービスについて、関係団体の協力を得つつ図書館における適切な基準の整理等を行い、図書館への導入を支援する。」という施策の実現が求められている(「III. 施策の方向性」>「4. アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等」>「(4)その他」)。関係省庁との協議の結果、本施策は、国立国会図書館が中心となって進めることとなり、令和3年度に計4回「図書館におけるアクセシブルな電子書籍サービスに関する検討会」(以下「検討会」という。)を開催した。

2. 報告書の構成

報告書は、以下の5章と、別紙からなる。
第1章では、図書館で提供される電子書籍にアクセシビリティ対応が求められるようになった国内外の背景を整理し、国内の電子図書館の導入率の低さ及びアクセシビリティ対応の遅れという課題を踏まえ、検討会の目的と扱う範囲及び検討会各回の内容を明確にした。

第2章では、図書館において視覚障害者等が電子図書館を利用する上での課題を把握するために行った調査の結果をまとめた。調査は、令和3年8月に、公立図書館、大学図書館、学校図書館の職員へのヒアリングによって行った。

第3章では、国内外の図書館に既に導入されている電子図書館のアクセシビリティへの対応状況を把握するために行った調査の結果をまとめた。国内の事業者には、令和3年10月から12月にかけてアンケートを実施した。海外の事業者については米国のOverDrive社に令和4年1月にヒアリングを実施し、イタリアのMediaLibraryOnLine及び米国のVitalSourceについては、ホームページ等で提供されている情報を調査した。

第4章では、視覚障害者等に対して行った二つのアンケート調査の結果をまとめた。一つ目の調査は、調査会社にモニター登録をしている20歳以上を対象に令和3年2月から3月にかけてオンラインで行ったものである。電子図書館のアクセシビリティが向上することで読書が容易となる主体は、重度の障害者にとどまらない。日常的には特段の配慮を必要としない軽度の障害者も、その恩恵に浴することになることが想定されるため、障害の有無で限定せず、読書に困難を感じている者を対象に調査を行った。二つ目の調査は、令和3年9月から10月にかけて障害者団体の加盟者を対象に郵送等の方法により実施したものである。オンライン調査で把握できなかった、ICT技術を持たない層及び若年層も含む視覚障害者等の読書ニーズについて把握することを目的とした。

第5章では、令和3年度の検討会の内容から、令和4年度以降の検討の際に踏まえるべき点をまとめ、施策実現のための今後のロードマップを示した。短期的目標としてまずは音声読み上げについて取り組むこととし、その他のアクセシビリティ機能については、中長期的目標とすることとした。令和4年度以降も検討会を継続開催し、令和4年度には令和3年度の検討を踏まえ基準(ガイドライン)の素案を作成、令和5年度は素案を適宜見直し、成案として一般公開、令和6年度は基準(ガイドライン)を更新というスケジュールを想定している。スケジュールは今後も見直しつつ進めていくこととする。

巻末には、別紙として電子図書館事業者へのヒアリング結果やアンケート調査の単純集計表等を掲載した。

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