史料にみる日本の近代 -開国から戦後政治までの軌跡-

斎藤代議士勧告拒否の弁

斎藤代議士勧告拒否の弁

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〔注:斎藤代議士勧告拒否の弁〕
我輩の進退について、各方面の人々から懇切なる勧告を受けたるに依り、充分考慮して見たが、結局当初の所信を覆すことは出来ない。苟しくも国民を代表して国政協賛の大任を荷ふところの議員が、憲法の保障する言論自由の議会に於て、国民の問はんと欲する所を問ひ、国民の聞かんと欲する所を云はしむるために政府に質問したるに、政府はこれに答へず、議長は誤って速記録を削除しこれを公表せず、これに乗じて一部の人々は、殊更に我輩の論旨を曲解して悪声を放ち、平地に波紋を起して議会政治を撹乱せんとするに当り、これを顧慮して議員の職を抛つが如きは、国民に対して忠なる所以でないのみならず、断じて憲政を擁護する途ではないと確信する。
同僚諸君の好意の勧告に応ずる能はざるは、甚だ遺憾であるが、已を得ない次第である。
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