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4-10 反軍演説
斎藤隆夫の反軍演説 『日本百年の記録 写真図説』第3所収
昭和15(1940)年2月2日の衆議院本会議で代表質問に立った民政党の斎藤隆夫は、日中戦争(日華事変)の処理につき米内光政首相を追及した。斎藤は、昭和13年末に当時の近衛文麿首相が表明した処理方針の持つ欺まん性を厳しく批判し、政府が樹立工作を進める汪兆銘政権の統治能力に疑義を呈しながら、「唯徒に聖戦の美名に隠れ国民的犠牲を閑却し」、国際正義・道義外交・共存共栄など雲を掴むような文字を列べ立てて国家百年の大計を誤ってはならない、と演説したのである。
これに陸軍などが憤慨したため、小山松寿衆議院議長が職権で議事速記録から斎藤演説の後半部分を削除した。懲罰委員会に付された斎藤は、周囲からの議員辞職勧告に対して、「憲法の保障する言論自由の議会」での演説に対する速記録削除や自らの論旨を曲解した非難がもとで辞めるのは、「国民に対して忠なる所以ではない」と拒否した。しかし3月7日の本会議で斎藤の除名処分が議決された。
斎藤代議士勧告拒否の弁
- [昭和15年2月]
- 大木操関係文書 45-17
- 国立国会図書館
官報号外 第七十五回衆議院議事速記録 第五号・第六号
- 東京印刷局
- 昭和15年2月3日・4日
- BZ-6-11
- 国立国会図書館
- 閲覧は複製(東京大学出版会):BZ-6-15
[斎藤隆夫演説削除部分]
- [昭和15年2月]
- 大木操関係文書 45−5
- 国立国会図書館