【1コマ~5コマ】
昭和廿五年七月十一・十二日(於東京・三田・東交会館)
結成大会議案書
日本労働組合総評議会
東京都港区芝三田四国町二ノ六
議案目次
一 日本労働組合総評議会基本綱領
二 日本労働組合総評議会規約
三 日本労働組合総評議会当面の行動綱領
四 当面の斗争方針
五 組織強化に関する方針
日本労働組合総評議会基本綱領
日本労働組合総評議会は、日本のあらゆる自由にして民主的な労働組合の結集された力によつて、労働者の労働条件を維持改善し、その経済的政治的社会的地位の向上を図り、日本の民主々義革命を推進するとともに、社会主義社会の建設を期し、経済の興隆と民族の自主独立を達成して、自由と平等と平和の保障される人類社会の建設に貢献せんとするものである。この基本理念を推進するに際してわれわれは次の諸原則を確認し宣言する。
一、労働組合は、労働者が自からの経済的社会的共通の利益を維持増進するため自主的に組織した団体であって、政治権力の獲得を直接の目的とし特定の政治理念を基軸として結成される政党とは、その機能と性格を全く異にするものである。この故に労働組合は政府企業経営者等外部からの如何なる支配干渉をも絶対に排すると同時に政党からも完全に独立し自由でなければならない。
しかしながら、資本家階級が支配的地位を擁している状況下においては、労働運動のすべて経済的分野のみに留り得るものではなく、必然的にその活動は政治的分野にも及ぶものであるが政党と労働組合との性格と立場を混同し、労働組合をもつて政治権力獲得の行動部隊の如くみみなす理念とは、明らかに相容れないものである。
二、労働組合の経済諸活動は、すべて建設的に行われなければならない。労働者の生活安定は生産復興の根底であり経済安定の基礎的条件である。これを無視し、資本の保全と企業の維持を労働者の一方的犠牲にのみ求め、労働さく取と大衆収奪の上に経済の資本家的安定を計画するが如き反動的企図に対しては、これを粉砕するために、団結権罷業権その他労働組合が有する一切の斗争力を発揮してあくまで斗わなければならない。
しかしながら、この斗争をおし進めるに当つては、労働者の諸要求は国民経済力との正しい関連のもとに打立てられ、且つ労働者自からの建設的計画の上に推進さるべきであつて、この建設的努力に逆い経済の安定と社会の繁栄を故意に阻害せんとするが如き破壊的極左労働運動は、絶対に容認さるべきではない。
三、労働階級の利害は、基本的に資本家階級と相対立するものであつて、この原則は、公私の如何にかかわらず階級的さく取を伴う雇用関係の存在する限り、歴史を通じて確認されるところである。特定の条件のもとにおいては、労資協同の行動が存在するが、勿論これは労働運動の一般的原則ではない。また労働者相互間の利益は基本的に一致すべきものであつて、特に生ずる利害相反するが如き現象は、卑近の事象にのみとらわれた偏狭な利己心乃至は特定のイデオロギーによつて偏向された運動のもたらすものである。この故に労働組合は、その利害の本質は同一であるとの原則により信義と友愛を基調として協力提携し、相互に緊密な援助を行わなければならない。
四、労働階級解放のためには、政治権力を労働階級の手中に確保することが極めて重要である。しかしながら、その間の政権の獲得はあくまで立憲的手段によつて図られなければならない。この故に労働組合は、労働者が憲法と法令の秩序を通し且つそれらの内容のより民主的な前進を斗いとりながらこの最終目的に達するため、労働者の政治的関心と意恣の高揚に不断の努力を払いつつ独自の政治活動を展開するとともに、平和的民主的手段によつて社会主義社会を実現せんとする政党と積極的に協力提携して斗はなければならない。また組合と政党とのこの協力関係は、相異する機能の明確な認識と相互の自主性尊重の上に置かれるべきであつて、その間に両者の立場が混同されるようなことがあつてはならない。
五、恒久的世界平和のためには、人民の大多数を占める働く大衆の自由と経済的福祉の増進を基調とする民主々義が諸国に確立され、あらゆる民族と国家の自主と独立が、相互の理解と信頼と友愛の上に尊重され保障されなければならない。この世界平和への途を開くものは、自由にして民主的な労働組合による国際的団結の力である。この故にわれわれは、如何なる外部の支配からも独立し、全世界の働く人民の自由と福祉の増進を図り、相互信頼を打ち立てるために有効にして強力な活動を展開する国際労働組織の拡大強化に進んで参画し、志を同じくする全世界の労働者と緊密に提携しなければならない。
以上の諸原則を通じて推進される自由にして民主的な労働組合の諸活動は、保守反動勢力を封殺し、左右両極からの全体主義の抬頭を防ぎ、民主々義革命を達成するための最大要素である。この故にわれわれは、如何なる意味においても、労働者個有の権利であり労働組合存立の基礎である労働者の言論思想結社の自由の制限に反対する。
日本労働組合総評議会規約
前文
日本労働組合総評議会は、自由にして民主的な労働組合運動を、強固な基礎の上に確立しようとする同一の志と目的のもとに結集した労働組合により、一九五〇年三月十一日に組織され発足したものである。
この組織の目的とするところは、創立に際して採択された基本綱領の主旨を実行し、その理想を達成するための活動を強力に推進することにある。
右の目的にそつてなされるこの評議会の活動、及び組織の維持運営は、この規約の定めるところに従わなければならない。
第一章 名称と事業
第一条 日本労働組合総評議会は、略称を単に「総評議会」と呼び訳名を次の如く定める。
(General Council of Trade Unions of Japan (J.C.T.U)
2、総評議会の本部事務所は東京都内に設ける。
第二条 総評議会は、その目的を達成するために、左の事項に関する事業及び活動を行う。
一、加盟組合共通の問題に対する共同方針の決定及びその推進
二、加盟組合の争議を成功に導くための有数な援助
三、本加盟組合の同調と加盟の促進
四、加盟組合間の連絡の強化及び同種産業内組織の産業別整理の助長
五、国外労働団体との提携連絡及び労働者の国際組織への参加
六、院内院外における政治的活動
七、国内国外の情報蒐集及び宣伝、出版、調査並びに諸資料の作製
八、その他目的達成に必要とする事項
第二章 組織及び加盟組合の責任
第三条 総評議会は、日本国内の労働組合によつて組織する。
2、すべての労働組合は、左の条件のもとに総評議会に加盟することができる。
一、原則として産業別組織並びに全国的連合組織の組合であること、但し評議員会が総評議会加盟組合として適当と認めた場合はこの限りでない。
二、総評議会の基本綱領及び現存する規約に賛同すること。
三、組織の権限ある正規機関で総評議会加盟を決定すること。
四、加盟によって生ずる責任を履行すること。
第四条 総評議会内における各加盟組合の地位と権利は、すべて規約のもとに平等である。
2、加盟組合は、その自主権に対する拘束を受けないが、左の責任を有する。
一、基本綱領及び規約、並びに総評議会の行う事業活動に反対する行動をとらないこと。
二、機関の決定事項を尊重し、具体的措置を伴う決定事項については、これを実行すること。
但し実行することが出来ない場合或いは出来なかつたときは、その理由を明らかにすること。
三、会費、特別賦課金を所定の期日に納めること。
四、組合員数を毎月報告すること、但し、組織が重複する組合間においてはその調整を当該組合間で協議し報告すること。
五、組織の変更、役員の改選、事務所の移転、争議の開始及び終結、その他組合に関する重要行事又は変化があった場合は、その都度報告すること。
第五条 総評議会加盟組合の選出すべき代議員数、会費の負担額、その他権利義務に関する組合員数は、前条第二項第四号の規定により報告された組合員数による。
第六条 総評議会加盟組合の地方下部組織は、その相互間で連繋し或いは地方的組織をもつ加盟外の単位労働組合をも参加させて、地方評議会を構成することが出来る。
2、地方評議会の運営及び活動は、総評議会の基本綱領並びに活動方針の原則にたつて、自主的に行われるものとする。
3、前項の原則が守られている限り、総評議会は地方評議会の構成及びその活動に対し何等の関与を行わないが地方評議会の組織と活動の状況は、定期的に総評議会へ報告されねばならない。また総評議会は、地方評議会に対して情報資料の提供等の便宜を供する。
第三章 加盟、脱退及び除名処分
【6コマ~10コマ】
第七条 総評議会へ新たに加盟しようとする組合は第三条に定める条件に合致する旨の証明を附して書面で申込むものとする。
2、加盟組合としての資格は、評議員会によつて加盟が承認され決定された会費負担額の第一回分を納めたときをもつて生ずる。
3、評議員会はその組合が、総評議会加盟組合として不適当であると認めたときは、加盟を拒否することができる。
4、総評議会より脱退しようとする組合は、書面をもつて議長に届け出なければならない。届出の日より一ヶ月を経過したときをもつて脱退行為が成立し、その組合の総評議会に対する権利義務が消滅する。
第八条 加盟組合が、総評議会の行う活動に対して妨害行動をしたり、或いはその責任を守らず、又会費を三ヶ月以上滞納し、且つ勧告を受けてもそれらの行為を改めようとしない場合は、権利の停止或いは除名されることがある。
2、除名及び権利の停止処分は幹事会の申立により、評議員会で決定する。除名及び権利の停止処分を受けた組合が、評議員会の決定に不服である場合は、次期大会に抗告することができる。
第四章 機関
第九条 総評議会に次の機関を置く。
大会
評議員会
幹事会
常任幹事会
2、各機関において、この規約に定める手続に従い決定された事項は、その事項に反対の加盟組合があつても、総評議会の意思として決定し、総評議会の名のもとに実行することができるものとする。
3、何れの機関においても、加盟組合の自主権に対し干渉を加える内容の決定をしてはならない。但し、この規約に定める責任を履行しない組合に対する勧告及び除名処分の決定についてはこの限りでない。
4、各機関(大会を除く)に対する不信任の表明及び役員のリコールは、一級上位の機関で決定せられるものとし、決定に対する不服の表示は、大会への抗告をもつて最終の機会とする。
第十条 大会は、総評議会の最高機関であつて、毎年三月に定期的に開催するのを原則とし、必要ある場合は臨時に開催する。大会の召集は幹事会の決定に基いて議長が行うものとし、会日の少なくとも一ヶ月前に、議題を示して各加盟組合に通告しなければならない。
2、議長は加盟組合から左の各項の要件を具備した大公開催請求を提出された場合には、遅滞なく幹事会の会議に附し請求の提出された日より四十日以内に大会を召集しなければならない。
一、議題及び開催を必要とする理由が明示されてあること。
二、請求組合数が、加盟組合総数の三分の一以上であり、且つそれらの組合に属する組合員数が、加盟総組合員数の四分の一以上に相当すること。
第十一条 加盟組合は、規約別表に定める割合で代議員を選出し、大会に出席させるものとする。
2、代議員選出の基礎となる組合員数は、その大会召集前六ヵ月間に納入された会費の算出基礎組合員数の平均による。但し、大会会日の属する月より起算して三ヵ月前までの会費を完納している組合(完全資格組合という)でなければ、代議員を算出し出席させることができない。
3、代議員は、一人につき一票の表決権を有する、出席できない代議員は、委任状をもつて同一組合送出の他の出席代議員に表決権を委任することが出来る。表決権の委任を行つた代議員は出席者とみなす。
4、出席代議員は、委任表決権を含めて一人につき三票を超える表決権を行使することはでできない、また委任表決権の再委任は、これを認めない。
第十二条 大会は代議員及び役員をもつて構成し、代議員が、完全資格組合の四分の三以上から、且代議員総数の四分の三以上出席することによつて成立する。
2、大会の議長は、その大会において代議員の中から選出するものとし、選出方法は大会がきめる。
3、大会の議事は、出席代議員の三分の二以上の多数の賛成によって決定する。但し完全資格組合の過半数の組合の代議員が反対した場合は、その議事は成立しない。
4、大会に於て、特定の事案につき組合代表による記名投票に附すべき事が決定された場合は記名投票を行う、記名投票は、各加盟組合の代表代議員が、その組合員数に相当する票数をもつて投票を行う、この場合において、組合員数百名未満の端数は切捨てて票数に算入しない、記名投票の場合の表決は、投票総数の過半数によつて行う。
5、役員は大会に於て、発言権を有するが表決権を有しない。
第十三条 左の各号に掲げる事項は、定期大会開催の都度上程されねばならない。
一、活動報告
二、会計報告
三、役員及び評議員の改選
四、加盟組合の提出議案
五、幹事会の必要と認めた議案
2、左の各号に掲げる事項は、大会における議決文は承認を経なければならない。
一、名称の変更、本部事務所の移転、組織の改組及びその他規約一般の改廃
二、会費額の変更、積立金の処分方法、重大な事業計画及びその予算
三、労働組合の国際的組織への参加及びその代表の派遣
四、組織の解散
第十四条 評議員会は、大会から次期大会に至る間において、大会の決定した基本方針に反しない範囲で総評議会の意志を決定する権限、ならびに緊急を要する重要事項について、大会を開催する余裕のない場合に、大会にかわつて決定を行う権限を有する。
2、評議員会は二ヶ月毎に一回開催するのを原則とし、必要ある場合は臨時に開催する、評議員会の召集は、幹事会の決定に基いて議長が行う、また議長は評議員総数の四分の一以上から、或いは加盟組合総数の三分の一以上から、理由を示して評議員会開催の請求があつた場合は、幹事会の議に附して遅滞なく評議員会を召集しなければならない。
第十五条 評議員会を構成する評議員の定数は、議会において、代議員数の五分の一を基準として、各加盟組合別の選出割当員数を定めるものとする、但し何れの加盟組合に対しても最少限一名の評議員選出権を認め、また如何なる組合であつても同一組合より八名を超える評議員の選出は認めない。
2、各加盟組合は、前項の規定による割当数に基いて評議員を選出する、また正規の評議員が出席できない場合に、評議員の権限を代行すべき評議員代理を選出して置くことができる、評議員の任期は、選出されたときに始まり、改選が行われたときに終る。
3、評議員は、一人につき一票の表決権を有する、出席できない評議員は、委任状をもつて同一組合の他の出席評議員に表決権を委任することができる、また評議員一名のみの組合の評議員が出席できない場合は、委任状をもつて他の組合の評議員に表決権を委任することができる。但し、委任を受ける評議員は、一人につき二名を超える評議員の委任を受けてはならない、表決権の委任を行つた評議員は出席したものとみなす。
4、新加盟の組合があつた場合、または加盟組合の組織に大きな変化があった場合の評議員割当数の決定は、評議員で定める、評議員の欠員に対しては、当該評議員選出組合が後任評議員を選出補充する。
第十六条 評議員会は、評議員及び役員をもつて構成し、評議員総数の四分の三以上の評議員が出席することによつて成立する。評議員会の議長は、その評議員会において、評議員の中から選出するものとし、選出方法は評議員会がきめる。
2、評議員会の議事は、出席評議員の三分の二以上の票数の賛成によつて決定する。但し現に評議員をもつ組合の過半数の組合の評議員が反対した場合は、その議事は成立しない。
3、役員は評議員会において、発言権を有するが表決権を有しない。
第十七条 幹事会は、評議員会及び大会に対して責任を負い、総評議会の一般業務の執行及び経費の収支、財産の管理等に関する事項を審議決定するほか、この規約に定める任務を担当し、事務局の活動を監督する。
2、幹事会は議長が主宰し幹事及び事務局長によつて構成するものとし、必要に応じて随時代表が召集する。
3、幹事会は構成員の三分の二以上が出席することによつて成立しその議事は全員一致による。
4、会計監査は、随時幹事会に出席し、会計にかかわる事項に対して助言を行うことが出来る。
第十八条 常任幹事会は、幹事会の決定に基づいて事務局を運営し、且日常活動を遂行する。
又緊急やむを得ない事項について幹事会を幹事会を開催する余裕のない場合に幹事会の任務を代行することが出来る。
2、常任幹事会は、事務局長主宰の下に常任幹事をもつて構成し、議事は全て合議による。
3、常任幹事会は、大会に提出する活動報告と会計報告を完全に作製する義務を有し、且つ会計監査の要求があつた場合は、何時でも会計に関する一切の証拠を提出しなければならない。
第五章 事務局及び特別機関
第十九条 総評議会の事務を処理するために事務局を設ける、事務局は事務局長、常任幹事及び部員、書記を持つて構成する。
2、事務局には、左の専門部を設け、常任幹事が夫々業務を分担し、その責に任ずる。
総務部、国際部、組織部、政治部、調査部、教育宣伝部、厚生部、機関紙部、会計部
3、各専門部には必要とする部員及び書記を置くこととし、部員及び書記の任免並びに報酬の決定は、常任幹事会の議を経て事務局長が行う。
第二十条 総評議会の事業活動を円滑かつ効果的に行うために、必要に応じて、業種別部会及び特定の目的に対する専門委員会を設けることができる。
2、業種別部会及び専門委員会の設置、構成、任務及びその運営に関する事項は、先ず評議員会の議に附してきめることを要する。またこれらの日常活動は、幹事会の助言のもとに行われなければならない。
3、専門委員会には、総評議会に未加盟の組合、或いは個人であっても、その方針において相反せず且総評議会の事業活動に協力するものは、必要に応じて参加させることができる。
第六章 役員
第二十一条 総評議会に次の役員を置く
議長 一名
副議長 若干名
常任幹事 若干名
幹事 若干名
事務局長 一名
会計監査 三名
2、議長は、総評議会を代表する。
3、副議長は議長を補佐し、議長事故あるときはこれを代行する。
4、役員は代議員又は評議員を兼任することができない、従つて役員が代議員又は評議員の中から選出された場合は、その代議員または評議員の地位は空席となり、この規約に定める手続きにより、空席に対する欠員補充が行われなければならない。
5、役員の任期は、一年間とし、欠員補充者の任期は前任者の残りの期間とする。役員は、任期満了后であつても後任者が選出されるまでは引続きその任務を行うものとする。また役員はその重任を妨げられない
第二十二条 議長、副議長、事務局長及び会計監査は大会に於て出席代議員の無記名投票により選挙する。但し大会の決議によって投票によらないで他の選方法をとる事ができる。
2、議長、副議長、事務局長及び会計監査に欠員を生じた場合は、その補充を評議員会において行う事ができる。
3、幹事は定員及び加盟組合に対する割当数を改選の都度その大会で定め割当を受けた組合がそれぞれ選出するものとする。
4、常任幹事は、幹事会においてその定員を決定し、幹事の互選により選出するものとする。
5、役員の選出にあたつては左の各号にかかげる事項を避けるものとする。
(1) 幹事を同一の組合から二名を超えて選出すること。
(2) 常任幹事並びに会計監査を同一の組合から二名以上選出すること。
(3) 事務局長又は常任幹事と、会計監査とを同一の組合から選出すること。
第七章 会計
第二十三条 総評議会の経費は、会費、寄附金、その他を持って賄う。
2、会費は規約別表に定める額に従つて、各加盟組合が毎月納めるものとする。また四半期分づつの会費を前納する方法によつても差支えがない。
3、加盟組合が、大争議の結果財政的苦境に立至つた場合、或いはその他の避けることのできない特別の事情にある場合は、規定の会費額を減額し、又は会費納入を一時延期し、或いは会費の全額を免除することができる。この措置の決定は、幹事会が行う。
4、総評議会の事業活動又は維持のため、特別の費用を必要とする場合は、評議員会の決定により特別賦課金を徴収することができる。
5、一旦納入された会費賦課金等は一切返金しない。
第二十四条 総評議会の会計年度は、毎年一月一日をもつて始まり、その年の十二月末日をもつて終るものとし、この間を三ヶ月毎の四半期に分つ。
2、会計報告はすべての収支の費目及び金額、主要な寄附者の氏名、並びに整理の現況を明らかにして、毎四半期毎に作成し、年度末には、一年分の会計報告を作製するものとする。会計報告はすべて会計監査の監査結果報告を附して、書面により公表しなければならない。
第二十五条 総評議会の会計帳簿、預金通帳、預金その他の財産を保管する責任は、事務
局長にあるものとする。
2、財産の管理及び経費の収支に関する事項は、すべて幹事会の認可のもとに処理されねばならない。事務局長及び常任幹事は、正規の手続きを経ない会計の処理については、避けることの出来ない不測の事由につき正当な根拠を立証しないかぎり、連繋して会計に関する一切の責任を負うものとする。
第二十六条 会計監査は、会計に対する定期的監査を行うほか、事務局長または会計部担当幹事に異動がある場合、或いは会計帳簿が更新される場合、その他必要に応じて随時会計が規約の規定及び機関の決定に従つて正しく処理されているかどうか、すべての収支が正当に行われているかどうか、必要書類が完全に整備されているかどうかを監査しなければならない。
2、会計監査は、会計に不正があると認めた場合、或いは疑わしい点があると認めた場合は、これを糾明すると共に、必要に応じて評議員会の召集を要求し、評議員会における査問を勧告しなければならない。
3、会計監査は、毎定期大会において、会計の状況と監査の結果に基く意見を報告しなければならない。
附則
1、この規約の施行について、更に細目の規則を必要とする場合は、評議員会において決定する。
2、業務執行上の準則を定める権限は、幹事会が有する。
3、この規約は、一九五〇年 月 日より施行する。
【11コマ~15コマ】
日本労働組合総評議会当面の行動綱領
一、われわれは政府、資本家の低賃金政策に反対し、実質賃金の向上と労働者の文化的生活を保障するにたる最低賃金制の確立のために斗う。
二、われわれは労働者の首切り、賃金引下げ、労働強化などの犠牲の上に、日本経済の安定をはかろうとする資本家的企業整備に反対し、完全雇傭の実現のために斗う。
三、われわれは労働組合法、労働関係調整法、国家公務員法、公共企業体労働関係法などの民主的改正と労働組合弾圧諸法令の撤廃を実現し、労働者の基本的権利である団結権、団体交渉権、罷業権の確立と政治活動の自由獲得のために斗う。
四、われわれは基本的人権を無視する資本家階級の労働協約改悪企図を打破して既得権を守り、進歩的労働協約の即時締結と労働基準法の完全実施のため斗う。
五、われわれは政府ならびに資本家の全額負担による失業保険の拡充をすみやかに実現し、進んで労働者の生活に基礎をおいた綜合的社会保障制度確立のために斗う。
六、われわれは性別による差別待遇に反対し、同一労働同一賃金制の確立と、婦人少年労働者の完全保護のために斗う。
七、われわれは給与所得税および一切の大衆税を軽減し、退職手当に対する課税の撤廃、人頭割的地方税制反対のために斗う。
八、われわれは六三制の完全実施、教育の機会均等などの実現を期するとともに、労働者自らの手による労働教育事業の普及をはかり、働く者の明るい文化の建設のために斗う。
九、われわれは中央地方行政制度と機構を徹底的に民主化し、特権的官僚支配を一掃するために斗う。
十、われわれは企業経営の徹底的民主化と、金融機関重要産業の社会化を促進し、日本経済の民主的再建のために斗う。
十一、われわれは鉄道電化、水力電源開発など基礎産業の拡充、ならびに公共事業の振興による雇傭量の増大と経済力充実のために斗う。
十二、われわれは公海自由の原則に立脚する制限漁区のすみやかな拡張を期し、海洋資源の活用による日本国民の生活水準向上のために斗う。
十三、われわれは日本経済復興に重大な支障を与える不等価貿易に反対し、平和的国際海運へのすみやかな復帰と、それに必要な海運力の増強とをはかり日本船による自由貿易を促進するために斗う。
十四、われわれは労働組合組織の強化と斗争力の充実を期して、ストライキ基金の積立、統一共同罷業金庫の実現、中央労働銀行創立のために斗う。
十五、われわれは農民漁民一般市民中小商工業者とともに、低米価政策、不当重税、金融資本の圧迫に対する共同の斗いに参加し、広く勤労大衆のために斗う。
十六、われわれは労働組合の産業別整理を促進し、産業別単一労働組合の基礎にたつた強力にして行動的な民主的労働組合の統一体実現のために斗う。
十七、われわれは社会民主々義政党の強化と活動に協力し、日本の民主革命推進の障害たる反動吉田内閣打倒のために斗う。
十八、われわれは世界の民主的な労働組合によつて結成された国際自由労連への加盟のすみやかな実現を期し労働者の国際的団結の強化に貢献するとともに、恒久的世界平和確立のために斗う。
十九、われわれは全面講和の締結を促進し、自由と平等の保障される日本のすみやかな独立達成のために斗う。
当面の斗争方針
一、三月斗争の成果の上にたつて
ドツヂ・ラインを梃子とする急激なるインフレ抑制政策は昨年より本年にわたって労働者、農民、市民等一般勤労大衆のみならず、中小企業その他広汎な国民の各層に深刻な生活の窮乏を投げあたえている。それは昨廿四年度予算に打ち出された低賃金、低米価という大衆収奪的な分配率を基礎とする私的資本の蓄積と金融資本制覇を目的とする吉田反動内閣のデフレ政策によつてもたらせられたものである。われわれは賃金の遅欠配、賃下げ、大量首切りといったこの資本攻勢のあらしのなかで、国鉄、日教組、全通等の「給与ベース引上げ」斗争を中心に、これに民間労組の賃金斗争を加えた国会共斗の結集をおこない、これをもって昨年の越年斗争と本年の三月斗争を果敢に斗ってきたのであつた
この斗争は終局においてドツチ・ラインの修正を目標とし、その血路を打開する方向で斗われたものであるが、その成果は必ずしも全面的な勝利といえない。給与ベースは引上げられたわけでなく、ただ企業三原則によつて釘付けされていた全鉱電産および専売等の部分的な成功にとどまり、廿五年度予算は依然としてドツチ・ラインに沿う超均衡デフレ予算の再現であった。しかしそれにもかかわらずわれわれの斗争は、決して過小評価を許さない大きな成果をかち得ている。それは吉田内閣をしてあれ程強硬だった「給与ベース改訂せず」の一枚看板をひきおろさせたばかりか、国全体の与論をしてドチチ・ラインの修正の方向にこれをおしだし、ついに政府の「政策転換」の拍車となったことにある。またそれにもまして見逃されてはならないことは、この斗争を通じて全国廿五府県に民主労組を打って一凡とする共斗組織の確立と、その推進によって民主的労組四百万の統一体総評が結成されたことであった。
この総評の結成によってもたらされた三月斗争以后の成果は、参院選挙斗争の圧倒的勝利によって示されている。しかしながら総評は、いまや以上の斗争の成果と自己批判の上にたって、当面の斗争をさらに広汎に組織し沿総評四百万の全労力をここに総動員して斗うべき段階にたった民主労働戦線および一般勤労大衆全体の運命をかけた新たなる決戦の場であると同時に、今后史に経続される個々の組合の行う経済斗争の突破口となるものでなければならない。
二、実質賃金確保を中心とする斗争
(一) 政府は廿四年度においてシャープ案による減税と消費者実効価格の停滞などによって実質賃金は五%の上昇をしめており、廿五年度は物価の下落、消費物質の増加および大巾の減税などの結果一〇%の上昇になるといい、しきりに実質賃金上昇説を放送している。
(1) ところが政府の統計では現在深刻な生活窮乏化にある中小企業の実態や、賃金の慢性的な遅欠配情態にある実情が無視されている。税負担についていえば資本家のみ大巾減税となって労働者の場合はわずかに二・一%~二・五%に過ぎず、しかも地方税の大巾増税によって、労働者及び勤労大衆は全体としていささかも減税にはなっていないのである
(2) またわれわれの生計算の大部分をしめている、主食、電気、ガスおよび家賃の値上りによって実質賃金はむしろ切下げられつつあり、なお最近の傾向として厚生施設ならびに交通費などの会社負担の削減が行われていることも見逃せない。
(3) 実質賃金の切下げによって生れた購買力の低下と大衆窮乏化は各種物価の大巾値下りという事実のなかにはっきりと現わされている。
以上の如く政府がいかなる宣伝を行うとも、政府の施策そのものが大衆収奪的な基礎の上にたったデフレ政策を強行する限り、右の事実を蔽いかくすことはできないのである。したがってわれわれの当面の斗争方針の第一は実質賃金の確保におかれるとともに、この斗争は必然にドツヂ・ラインの修正を骨子として展開されるものでなければならないのである。
(二) 実質賃金確保の斗争をおしすすめる場合、資本家側のこれに対する態度が充分検討されなければならない。とくに日経連の賃金対策は次の点に集約されている。
(1) 能率給方式をとりあげ、経営競争と歩調をともにしなくなった数量的能率給に対して、質的採算的能率給に移行する。
(2) 生活給から能率給えの移行のための職階級制度の採用。
(3) 企業最低賃金制度の確立によって、賃金支払総額を同一に維持して、能率給によって分配をかえる。
すなわち資本家陣営の賃金対策は、低賃金えの釘付と労働強化を資本蓄積の手段としてこれを強行しようとするところにある。
(三) かくしてわれわれの賃金斗争は、企業経営の合理化、資本の技術構成、労働力の再編成、(完全雇用)等の問題をめぐって、きわめて頭脳的な斗いとしてとりあげられるべき段階にあり、これまでの単純な「よこせ」運動、「くわせろ」運動式の貸上斗争は当然止揚され、日本経済再建の課題と結びついた多角的な斗争形態えと発展すべきである。
(1) 要するにわれわれの賃金斗争は、首切り、賃下げ、労働強化等の諸条件を積極的に克服するための企業再建斗争とともに斗わねばならない
(2) なお実質賃金確保のための斗争は、適正な労働条件の確保を目的とする協約斗争と切り離しては考えられない。むしろ賃金斗争は協約斗争の一環とさえいえるのである。しかも重要な一環なのである。
(3) 他に実質賃金確保のためには、企業内では労務者用物資の低価格配給、生活協合組合の確立強化、厚生施設、労務者住宅等の完備向上の諸活動とともに、企業外においては大衆課税の大巾軽減、社会保障制度の確立、ガス、電気料金その他の値上反対、電力事業分断等の企業の社会化に逆行する施策に対する反対斗争を活溌に展開することによって、はじめて所期の目的を達成し得るのである。
三、国会斗争と結合した多角的な斗争へ
以上によって明白なごとくわれわれの斗争はもはや個々の単産の斗争や、一企業、一職場のワク内の斗争をもってしては、きわめて組織的、統一的な日経連を先達とする資本攻勢および吉田内閣の反動攻勢に立ち向かへないばかりか、なにごともなし得ない現状である。総評による戦線統一の急務は、かくして民主労働戦線全体の現状における強い要請となっている。こんにちわれわれの経済斗争は政治斗争と不可分である。すなわち労働法規改悪、公務員法、公企法、地方公務員法その他大衆運動抑圧諸法令反対のための斗争は総評への全組合勢力の結集によってのみ斗い得るのであって、総評は給与ベース改訂およびドツヂ・プランの修正等の斗争をこれらの斗争とともに、これを国会斗争に集約して斗うと同時にこれらの政策の直接の遂行者たる吉田反動内閣打倒のため、社会党その他の友誼的な政党との積極的な協力によって、斗争を推進しなければならない。
すなわちわれわれの斗争方針は、これを集約すれば、次の斗争目標を強力に斗うことである。
1.賃金ベース改訂
2.大衆収奪の悪地方税反対
3.集会・結社の自由の確保
4.首切り・賃下げ反対・賃金遅欠配解消
5.労働協約締結促進
6.地方公務員法制定反対
7.国家公務員法修正
8.失業対策の強化
9.社会保障制度の拡充
10.電気事業分断反対
四、斗争態勢の強化とその進めかた
われわれは以上の斗争の展望の上にたって今后の斗争を次の方針のもとにおし進める。
(一)インフレ期における斗争方式は、もはや今日の段階では全面的に止揚され、現実の経済事情にもっともマッチした方式をもって斗わなければならない。インフレの収束を労働階級の一方的な犠牲と負担のもとに強行しようとする激しい資本攻勢の的に展開されつつある、われわれの斗争は、あきらかに防衛斗争の性格をもつものであるが、それはまた同時に常に攻勢転移えと発展する性格のものでなければならない。
(二)当面する斗争の焦点は、単純な賃上斗争から一歩前進し、資本家的企業合理化とわれわれの企業再建斗争との鋭い対立をめぐって、日本経済の再建方向を誰が打ち出すかの斗争ともつらなり、なおまた経済斗争、協約斗争、政治斗争との諸斗争をいかに有機的に結合し、これを組織の確立、戦線の統一を通じて労働階級全体の斗争にまでいかにたかめてゆくかにある。
(三) 総評はこれらの諸斗争を集約し、斗争の組織的、統一的な展開を期するためにすでに中央斗争委員会を設置し、これに配するに数個の専門委員会をもち、斗争の進めかたおよびその具体化に努力している。
(1) 〔協約対策委員会〕
これは各単産の調査部の綜合機関として予定され、各単産の調査部長その他学識経験者を招請し、協約問題の現状打開の第一義にとりあげ、その後賃金体系の確立とその対策に努力をはらっておるが、可及的速やかにもっと広汎な調査活動委員会への発展が期せられねばならない。
(2) 〔福祉厚生対策委員会〕
実質賃金確保の裏付に必要な福祉厚生対策活動はこれまで各単産において比較的軽視され、バラバラなかたちで行われており、労務用物資対策のみならず生活協同組合、労働銀行、労働者住宅等の諸対策をはじめ社会保障制度全体に関する対策をふくめた福祉厚生対策委員会を発足せしめ、積極的な活動を展開している。しかしながらこの委員会もまた他の専問委員会と同様に頭だけの中央部活動にのみ終始することなく、組織の末端の諸要求と有機的に結合した実際的な対策活動および指導が期せられなければならない
(3)〔中央斗争委員会〕
国会共斗による三月斗争以後の斗争を集約し今后の斗争全体を統一的に推進するため、総評は「中央斗争委員会」を設けると同時に、特に国会対策を中心とする政治活動の綜合的指導機関として「政治活動委員会」(仮称)の如きものを設置する必要があるが、この委員会の活動方針等については別に検討することとし、ここでは中央斗争委員会を軸とする斗争の進めかたについてふれておきたい。
第一に当面する一切の斗争が、現段階においてはすべて政治との関連なしには本質的が解決の方途を見出し得ないというところにわれわれの斗争の特質があることを確認し、運動全体の政治性をたかめつつ、積極的な政治斗争を行うものであるが、とくに次の点が留意されなければならない。それは労働組合の行う政治斗争は、あくまでも経済斗争を有利に解決するために行われるものであって、この場合政治斗争の主体は政党にあり、その決戦の場は議会にあるのであって、総評は国会外における労働階級の勢力を結集し、これを国会内の斗争に結合して斗うのでなければならない。
【16コマ~18コマ】
第二に国会斗争における官公労組と民間労組とのズレを調整し、斗争の成果を総評全体の立場において統一的に斗いとるためには、中央斗争委員会の任務とのその当面の戦術的措置は十分な組織性と計画性の上にたった配慮をもって行われなければならない。この場合対策方針の確立にあたっては、中央斗争委員会は政治活動委員会をはじめ調査活動委員会(協約対策委員会)福祉厚生対策委員会等の専問委員会によって十分に裏打された対策をもって進むべきである民間労組の当面の斗争目標は事実的には例外もなく賃金斗争であり、協約斗争であるが、地方税改正あるいは社会保障制度確立に関する問題についてはこれを国会斗争においてかちとる以外になく、また賃金問題も全体としてドツヂ・ラインの修正を斗うことなくしては、問題解決に一歩も近づき得ないのであって、この意味において、国会斗争を官公労組にのみ委ねることなく一体となって斗うべきである。
第三に中央斗争委員会は国会斗争とともに民間労組の賃金斗争、協約斗争を積極的に推進すると同時に、これらの斗争が常に中央、地方を通じて全国的に統一されたカタチで行われるごとく、とくに地方においては前回の三月斗争でもたれた地方共斗組織を更に強化拡充し、中央とほぼ同一態勢をもって斗えるようあらゆる努力を傾倒すべきである。
第四に中央斗争委員会は以上の斗争の展開にあたって総評未加盟の組合の場合でも総評の方針に一致する限りこれらを広く結集して斗うものである。
組織の強化に関する方針
総評議会準備会の発足によって民主的労働戦線統一巨大な拠点は築かれた。この統一によって労働階級の斗争力が飛躍的に強化されることを妨げようとする者達が、笑うべきデマ・中傷を飛ばしているが、全国の組織大衆はこれを排除克服し、ここに日本の労働戦線は共産党の動員部隊と化し益々細って行く全労連と民主的労働組合の大きな統一体としての総評議会とに大勢が決し、総評議会は日本労働運動の主流を形成するに至った。
けれども、総評議会は未だ十分に強い統一体として固まっているのではない。今后の斗争を撓まない努力とによって強固な組織が完成されるのだ。
われわれは正式結成を機会に、総評議会の組織を更に一段と拡大し強化するために大要次の方針に基く活動を展開推進しようとするものである
一、未加盟組合対策
未加盟の全国組合は総評議会え、地方的組合は地方評議会えと加盟せしむる方針のもとに積極的に働きかける。
未加盟組合の中にはオヴザーヴァーとして参加し遠からず正式参加に導き得る組合もある。内部で共産派、新産別派の妨害のため規約による正式決定が容易に出来ない組合もあり、又上位団体加盟に比較的関心が薄いために中立でいる組合もあり、総評議会に対し充分な認識と理解を与えることが必要である。そしてそれらの孤立した組合の内部事情は全く多様である。これらの事情を正確に掴んで有効な働きかけを為すことが必要である。これらの組合の斗争の支援、会合えの出席、懇談会の開催、総評の機関紙、その資料のたえざる流し込みなどは是非必要である。この働きかけには特に総評内の同一産別、或は同一業種の組合の協力を待たねばならない。
二、地方組織対策
地方評議会組織準備は各地方で着々進められているが、これをもっと計画的に推進しなければならない。
先づ総評加盟組合の地方組織の実情を正確に掴んで、その地方において中心的な有力組合代表者の会合を持ち地方評議会提唱に関する打合を行う。又これらの府県組織代表の全国的会合を開いて相互に情勢や意見の交換を行い組織の基準等につき協議し地方評議会組織の促進を行う。
今の情勢では各地一斉に同じ形で組織することは非常に困難と思われるから先づ可能な地方情勢のよい地方から組織し、急速にこれを拡げて行く方針をとる。総評本部からも可能な限り地方え代表を送り、オルグ活動を起す。又地方と本部との情報や資料の交換は緊密に行うことが必要である。
地方評議会は一府県単位を原則とし、やむを得ない場合は、近接府県で連合して組織する
三、加盟組合対策
加盟組合の内部は今日必ずしも充分に民主化が徹底し、安定した状態とは言えない。これを充分に民主化し、共産派の妨害や組合乗取策動を完全に封殺し、総評議会の基本綱領によって武装された民主的労働組合に安定させるための努力を今後絶えず続けなければならない。このことは、組合そのものの民主化を徹底し、方針上の統一をなしとげることであり、これが充分になされなければ、総評議会の真の強化は出来ない。この事業を推進するためには、総評議会において加盟組合に強力な指導と援助を与えなければならない
四、産業別整理対策
総評加盟組合のうちには国鉄、日教組、海員、電産等産別組合の形態を既に整えている組合が相当多い。しかし他面には総同盟、全日労共他民間労働組合の産業別整理の問題は総評の中において急速に解決を要する。
今日の日本の労働組合の組織は大産業別労働組合主義による金属、化学の外に企業別連合、業種別連合の各組織が雑然としている状態である。この組織を真に斗い得る合理的組織に再編することが急格である。総評はこの整理再編された産業別労働組合の上に立った強力な連合体としなければならない。
この産業別労働組合は抽象的組織論によるのではなく現在の日本の産業構造と具体的に見合うことが何よりも重要である。
既に総同盟、全日労等においては過去の殻にこだわることなく総評内において新たなる産別整理を起すべきことを決定しているので総評議会においては金属、化学、鉱山、繊維、土建、港湾等々産業別に小委員会を設けて積極的に促進しなければならない。
以上一、二、三、四の対策は労働者の利益を守る組合の日常斗争を強力に展開しつつ、この斗争の中において推進されねばならぬ。