[日誌] 昭和三十年三月下旬至同年九月十五日
※95コマ1行め~96コマ右14行めのみテキスト化しました。
八月十九日 (金) 晴
今朝と明朝にかけて、毎日に書いた"歴代首相の十年を顧みて"が出る。
九時半を出る。十時 Mrs. Rooseveltを帝国ホテルに往訪。昨日和光で買った七宝の小形のシガレット箱を贈る。来月初のBankokのU.N.世界大会に出る迄Hongkong・Indonesiaを歩くという元気に感心させられた。成功とBon voyageを祈って五,六分間で帰つた。
産経会館で加藤正人、石山賢吉、竹田儀一の四人で昼食をして、日ソ交渉や対米外交の話をし、加藤君の参議院選挙の準備についても話をした 本人は自信満々。
それから銀行への借金返済の手続を芥川君に依頼した
午後一時半 約束通りグランドホテルで三木武吉君と二人で談り合つた 以下は三木君の意見。
保守合同に障害となるものが三つある
1.鳩山氏の態度決心
2.自由党吉田派
3.民主党内の革新派
現在鳩山は来春五月頃まで残りたいと考えている
然し自由党は秋には引込めという。その妥協点をいつにするのかが問題である。万一民自の話が決裂すれば鳩山はノタレ死ぬより外はない。然し解散をしても勝つ見込はないから結局ノタレ死ぬだけだ そこは徹底した功利主義者の鳩山だからソロバンを示せば言うことは聞くと思う 俺が悪者になればよいのだ。
緒方・大野共に自由党吉田派の動向を甘くみているが、池田勇人などは今一度吉田にやらせるつもりでいる。
遮二無二合同をするとして民主党の三木北村が離れ、吉田派が離れるとして合同が250名に上ればやれる 然し絶対多数を占めないと、この連中がCasting votesを握ってくわゑてふり廻される
結局十月・十一月が焦点になる そして鳩山は言うことを聞くと思う。松村謙三、大麻等は最後にはついてくる。後釜は緒方にする外はない。
岸がアメリカで鳩山引退の話をして、それが手形として鳩山を拘束することにならう
二時十分退出、三木君は"眼がくらむから医師に見せたら 血圧が96だという・・・食欲が無いしね"という今夜四国に発つというから、"無理をしてはいけない。体に気をつけないと"と握手して別れた
大森に帰つて郵便物をみる
中村三之丞君来訪 来年の参議院選挙には
a、京都では保守連携で行くこと、
b、保守合同した時は、暫定的にも私が会長になるようとの話があつた a、は全然同感 b、は引受けられぬと答えた
それから手紙書きをして夕食
品川から急行銀河にのつて一路西下。