日本最初の職業作家
(きょくていばきん)
1767-1848(明和4年-嘉永元年)
本名は滝沢興邦(おきくに)、のちに解(とく)、隠居して篁民。幼名は倉蔵、左七郎。通称は左吉、清右衛門。著作堂主人、蓑笠漁隠(さりつぎょいん)などたくさんの号をもった。
戯作者
江戸深川で旗本用人の五男として生まれる。寛政2年(1790)、山東京伝の門に入り、最初黄表紙作家となり、のちに読本に転向。82歳で亡くなるまでに読本、黄表紙、合巻、そのほか雑著あわせて約470種の著作を著した。なかでも28年かけて刊行された『南総里見八犬伝』9輯106冊は有名。
ほかに、「曲亭文庫」「著作堂図書記」など13点が知られている。
「瀧澤」(たきざわ):17x12mm
「曲亭蔵本」(きょくていぞうほん):26x9mm
「瀧澤文庫」(たきざわぶんこ):37x11mm
50数年にわたって収集した書籍は、5、6千巻、60余櫃にのぼる。蔵書の分野は、和漢の歴史、諸子百家の書、小説、伝奇、歌書、草紙、物語をはじめ、医書、仏書、卜筮、方位にまでおよんだ。
天保10年(1839)ごろから蔵書の売却をはじめ、高松藩家老木村黙老、伊勢松阪の素封家殿村篠斎、豪商小津桂窓ら、馬琴終生の友人たちに渡った。小津桂窓にゆずった旧蔵書の多くは現在天理図書館に、また木村黙老に渡ったものは香川県松平公益会などに残されている。
当館では、『南総里見八犬伝』第9輯巻1-6、『照子池浮名写絵(かがみいけうきなのうつしえ)』2点の自筆稿本、馬琴の校合・書き入れ本『後の為の記』などを所蔵。また、馬琴から殿村篠斎や小津桂窓に宛てた書簡40数点を収蔵している。
馬琴は、手稿本(原稿)と版本(印刷物)で表現が違うことで、版元ともめたといわれる。
『曲亭馬琴』(天理図書館 1967)【913.56-Ta624T2k】