本文へ移動

第35回関西館資料展示「お届けものです!―モノと情報の輸送史」(終了しました)

第35回関西館資料展示「お届けものです!―モノと情報の輸送史」ちらし
ちらし(PDF:3.5MB)
【クリックするとちらし両面を表示します】

日時2026年 2月19日(木) ~3月17日(火) 9時30分~18時00分
※日曜・祝日を除く
会場国立国会図書館 関西館 閲覧室(地下1階)
参加費無料(18歳未満の方は所定の手続きの上でご覧いただけます。)
お問い合わせ先電話:0774-98-1341 (関西館資料案内 9時30分~17時00分)

>展示資料解説(PDF:4.5MB)
>前回の資料展示の様子(第34回 関西館資料展示「ブレイク刷るー!―ページが語る印刷技術の歴史」)

概要

私たちの暮らしは、モノや情報が運ばれることによって成り立っています。それらを運ぶ手段は、古くは人力や家畜を利用したものから始まり、中世の水運、江戸時代の廻船、そして近代以降は鉄道や自動車など、時代とともに発展してきました。
本展示では、古代から現代に至るまでの、モノや情報の輸送の変遷をご紹介します。
どんな輸送手段が日本にはあったのか?モノや情報の輸送によって世の中はどのように変わってきたのか?魅力あふれる輸送の歴史をお届けします!

また、関連イベントとして、綿貫友子氏(神戸大学大学院経済学研究科経済学専攻教授)による講演会「中世瀬戸内海東部の海運・水運とその拠点―兵庫・尼崎・淀―」も実施します。ぜひご聴講ください。

主な展示資料公開

第1章:物流とは、輸送とは
第2章:近世までの陸上輸送と郵便
第3章:水運
第4章:鉄道
第5章:自動車
第6章:輸送の現在

※【 】内は当館請求記号

第1章:物流とは、輸送とは

物流とは、生産された商品が消費者へ届くまでのモノの流れ全体を指し、大きく6つの機能(輸送・配送、保管、包装、荷役、流通加工、情報処理)に分けられます。輸送は、物流の中でも重要な機能であり、人力や船、トラックなどでモノを運ぶことを指します。日本においては、古くから輸送が行われ、国家の活動や人々の経済活動を支えてきました。

ロジスティクスとは、原料調達から生産、販売に至るまでの、効率的・発展的な物流に関わる活動を総合的に管理することを指します。本書は、江戸の河岸(かし)と都市の形成、平成23(2011)年の東日本大震災における物資の補給などを振り返り、ロジスティクスの歴史的役割や位置付けを論じています。

『駅逓志稿』は、明治時代初期に郵便事業などを管轄した官庁である駅逓寮が編纂した、日本における通信・交通の発達を叙述した歴史書です。下掲の図では、問屋場の様子や、二つ折りはがき、街道輸送、郵便馬車、黒ポストなど、明治期の郵便事業の様子が描かれています。

大日本交通史 : 原名 駅逓志稿

第2章:近世までの陸上輸送と郵便

火力や電力が動力として利用可能になる以前、陸上輸送は人力や畜力に頼るほかありませんでした。日本では古代から、人が担いで運送する人担や、駄馬、車などが、中央政府への貢納物や年貢の輸送に利用されていました。近世以前までは、飛脚と呼ばれる人々が通信や輸送を担っていましたが、近代にはいると、前島密によって近代的な郵便事業が確立されました。

古代日本における中央集権的な律令国家の建設にあたり、人・モノ・情報の移動を支える道路網の整備は、重要な要素でした。本書は特に、平城京と地方を結ぶ7つの主要幹線道路「七道」や、一定の距離ごとに駅家と伝馬を設置し逓送を行う公的交通制度「駅伝制」に注目しています。

日本における郵便の仕組みを築き、「郵便の父」と呼ばれた前島密の伝記集です。前島密の没後に前島家から発刊されました。700ページを超える書物で、「自叙伝」「後半生録」「逸事録」「夢平閑話」「郵便創業談」「追懐録」の諸編からなります。なお、標題紙の「鴻爪痕」の文字の筆跡は前島密本人のものです。

郵便趣味団体の1つである郵楽会が発行した切手収集資料です。日本で最初に発行された明治4(1871)年の郵便切手から昭和4(1929)年頃までの郵便切手を漏れなく掲載しています。

大日本郵便切手類鑑 改訂増補版

第3章:水運

船は、陸上輸送に比べて一度に大量のモノを運ぶことができるため、古代から重要な輸送手段として利用されてきました。戦国時代に豊臣秀吉や徳川家康によって国内統一が進められると、内海の物流が活発になっていきました。その後、河村瑞賢によって東廻り航路、西廻り航路が整備されてからは、日本列島の各地域が船によって結ばれ、全国規模でモノや人が行き交うようになりました。米を年貢として大量輸送しなければいけなかった時代において、船は非常に大きな威力を発揮したのです。

平成16(2004)年に行われた同名シンポジウムをもとに書き下ろされた論集です。瀬戸内海が国内外と結びつく重要な流通経路として古い歴史を持ち、活発に船が行き交う海域だったことが、本書から見えてきます。

京都市内を流れる高瀬川を取り上げた、郷土史家による研究書です。高瀬川は、江戸時代の商人・角倉了以によって作られた運河です。高瀬川では、底の浅い高瀬舟を使い、京都中心部で消費・生産される物資のやりとりが行われました。

江戸時代の廻船商人である高田屋嘉兵衛を主人公とした司馬遼太郎の長編小説『菜の花の沖』を題材として、江戸時代における北前船の地域的展開について解説しています。北前船は遠隔間の貿易で高い収益を上げることができたため、当時、多くの北前船主たちが、嘉兵衛のように蝦夷地での交易を目指していました。

神戸港に関する各種データを収めた年鑑です。統計や施設の現況、気象情報に至るまで、各年の情報を一覧できます。神戸は古くから海運の拠点でしたが、慶應3(1867)年に近代港湾として開かれて以降、本格的な整備と拡張が行われました。

神戸港大観 昭和3年刊

第4章:鉄道

明治時代に入ると鉄道が敷設され、陸上輸送が発達し、鉄道が貨物輸送の主流となります。当初は石炭などの工業原材料の輸送が中心でしたが、次第に一般貨物も増加しました。鉄道は人々の暮らしを支えるとともに、戦時中は兵員や軍需物資を輸送する手段として使われるなど、戦争と密接な関係も持っていました。

豊富な写真や図で日本の貨物鉄道の歴史を辿る1冊です。各章にその年代の鉄道路線網の整備状況が記載されており、ページが進むにつれて路線網が拡大・再編成していく様子も見どころの一つです。

第2次世界大戦中に運輸通信省鉄道総局により発行されました。鉄道による石炭や木材などの資材や、生活必需品の輸送状況を知ることができます。

決戦輸送図絵

第5章:自動車

トラックは戦前にも利用されていましたが、主流となるのは戦後になってからでした。高度経済成長期には、高速道路の開通にともない、大型トラックが開発されて自動車での大量輸送が実現されました。今日に至るまで、自動車輸送は国内貨物輸送の根幹を支えており、宅配便や引っ越し輸送など、わたしたちの身近なところでも活躍しています。

宅扱(発足当初の名称は特別小口扱)は、陸上輸送の主役が鉄道だった昭和初期に、鉄道省が駅から先の配達を担う小運送業の合理化を目指して打ち出した輸送サービスです。本書は、宅扱の普及やサービスの特徴について、多くの写真をもとに解説されています。

大正8(1919)年、大和運輸株式会社として創業した、ヤマトホールディングスの歩みをたどる社史です。「クロネコマーク」の誕生秘話は必読(p.91)です。

第6章:輸送の現在

宅配便の発達やインターネットの普及により小口配送は増加し続け、輸送は今や人々の生活に欠かせないものとなりました。一方で、ドライバーの高齢化や物流の2024年問題により、物流現場では人手不足が課題となっています。円滑な輸送を維持する方策の1つとして、自動車輸送から船や鉄道による輸送への転換(モーダルシフト)が進められています。さらに、近年は、環境への配慮や災害時の緊急物資輸送など、新たな視点での取組も活発になっています。

ネット通販の普及によって物流は大きく変化しました。日本ではほとんどのネット通販事業者が配送を宅配便に頼っていますが、これは世界的には珍しい事例です。本書はネット通販時代の宅配便について、日本と諸外国を比較しつつ特徴や課題を検討しています。

地理学の視点から、災害時における救援物資輸送について検討した資料です。自然災害のメカニズムや地理学での既存研究について述べた後、南海トラフ地震を例に、津波浸水や土砂災害による道路被害などを想定した、被災地への効果的な物資輸送のシミュレーションを試みています。