「本会中第一の好発明」と評価され、鳳紋褒賞牌を授与された、いわゆる「ガラ紡」。がらがらと音がすることからこの名で呼ばれる。 ブリキ(底面は木)で作られた綿筒を左右に40個並べ、綿筒が自動で回転することで自然に糸が抽出され、同時に上部の枠も回転して糸を巻き取る。各筒の下には錘(おもり)があり、穴から抽出される糸の張りを調節する。これまで綿糸は手で一本ずつ抽出していたが、ガラ紡は複数の動きを自動化し、40本も自動で抽出できるのが画期的であった。出品されたものはハンドルを回して動かすが、水力を動力源とするものもすでに開発されていた。 洋式の紡績機が普及する明治20年代まで広く使われた。また、洋式の紡績機が何段階もかけて糸を細くするのに対し、ガラ紡は一度で糸を細くするため、簡便かつ風合いのある糸が出来、洋式紡績が普及したのちも用途を限定して生き残った。 (参考)コラム 明治の特許制度
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