箏と琴。どちらも「こと」と読みますが、別の楽器です。どちらも弦楽器の一種ですが、琴柱ことじをたてて音を合わせ、箏爪ことづめをはめて弾くのが箏、琴柱を使わず弦を押さえて音を作るのが琴です。
そもそも「こと」とは、弦楽器の総称を意味しました。『源氏物語』【856-9】には、「きん(琴)のこと」「さう(箏)のこと」「びは(琵琶)のこと」という言葉で、箏や琴について書かれています。 また、箏を指す場合でも、琴という漢字が使われることがあったり、戦後、箏という漢字が常用漢字ではなくなったため、代わりに琴という字を用いていた時代もあったりと、箏と琴の用法は少し紛らわしいものになっています。
現在私たちが「おこと(お琴)」と呼んでいる十三弦の楽器は、一般的には箏を指します。箏は、奈良時代に唐から伝わり、雅楽の一楽器として合奏に用いられてきましたが、徐々に箏を伴奏とした歌曲が作られ、ついには「箏曲」という独自のジャンルを作りあげました。
今回の展示では、箏にまつわる資料や箏曲を紹介します。
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第1章 箏のしらべ