第一次仮議事堂が完成する前には、議事堂の想像図が描かれました。城郭のように天守閣を持つ建物や西洋の建築様式にならった幻想的な建物がみられます。
帝国議会の開院式は、馬車で天皇が臨幸しました。錦絵や写真などには当時の華やかな様子が残されています。
議事堂の中には議場があり、そこでは会議が行われます。玉座は貴族院に設けられましたが、「帝國議會衆議院之圖」と「帝國議會議事堂之圖」を比べてみると違いがよくわかります。
エンデ・ベックマン事務所の図案を始めとして、本議事堂の設計図は着工までに多数作られました。最終的には、大正7(1918)年の建築設計競技で(第2章で紹介した)渡邊福三案が一等として採用されましたが、下に掲載する他の図案も一つ一つが意匠を凝らした作品となっています。
約17年かけて完成した本議事堂。落成時の議事堂に多くの人々が集まって挙行された式典の様子からは、その完成が長らく待望されたものであったことが伝わってきます。
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参考文献