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絵暦
現代と違い文字が読めない人が多かった時代には、絵だけで作られた暦(絵暦)も登場しました。絵暦には、現在の岩手県で作成された「田山暦(たやまごよみ)」と「盛岡絵暦(もりおかえごよみ)」があります。
絵暦は、寛政期に刊行された橘南谿(たちばななんけい1753-1805)の『東遊記』に図入りで紹介されて世に知られることとなりました。
田山暦(たやまごよみ)
田山暦は、南部領鹿角(かづの)郡田山村(現在岩手県二戸郡安代(あしろ)町)で発行されていた絵暦で、創始の年代は江戸中期ともいわれます。古いものは天明3年(1783)にまで遡ります。幕末まで製作されました。農具や生活用具、十二支の動物などの絵を組み合わせ、素朴な木活字が使われています。
タイトル(巻) | 著者名 | 形態事項 |
---|---|---|
[盲暦張交帖](享和2年(1802)田山暦) | — | 1枚 ; 24.5×101cm |
出版年 | 出版者 | 出版地 |
— | — | 南部領鹿角郡田山村(岩手県二戸郡安代町) |
注記 | 分類 | 請求記号 |
木活、一部手描き。尾島碩宥旧蔵書 | 449-81 | 本別15-21 |
伊勢暦を参考として山村生活に必要なものを抜き出し、一つ一つ木製の活字を捺して作成してある。最初に犬の絵があり戌年(いぬどし)であることを表わし、主な暦注を絵で示している。現存するものは少ない。
盛岡絵暦(もりおかえごよみ)
盛岡絵暦は絵や記号で暦の内容を判読させるもので、江戸時代後期の文化年間にはすでに体裁が整っていたものと思われます。明治以後中断した時期はあったものの、版元をかえて現在も毎年刊行されています。江戸時代の盛岡絵暦では、出版地、出版者も絵によって表されています。
タイトル(巻) | 著者名 | 形態事項 |
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[盲暦張交帖](天保16年(弘化2、1845)盛岡絵暦) | — | 29cm×18cm |
出版年 | 出版者 | 出版地 |
1844(天保15年) | — | 盛岡 |
注記 | 分類 | 請求記号 |
尾島碩宥旧蔵古暦 | 449.81 | 本別15-21 |
田山暦が主として絵を表意文字的に使用するのに対し、盛岡絵暦は主として絵の示す事物の発音を借りて表音文字的に使用している。荷をかついだ盗賊が「入梅」(荷奪い)、塔と琴柱(ことじ)で「冬至」と読ませるのはその典型である。