国立国会図書館ビジョン2026-2030―共につくる知の循環―
国立国会図書館は、国会活動の補佐を始めとする国立国会図書館法に定められた使命・目的を、この激変する情報流通環境の中においても変わらずに果たすため、「国立国会図書館ビジョン2026-2030―共につくる知の循環―」を定めます。
このビジョンに掲げる「知の循環」とは、知識・情報の集合体である「ナショナル・コレクション」が国会活動、知的活動、その他様々な活動のために活用され、その結果生み出される知的生産物が更にコレクションを発展させていく一連の循環です。「ナショナル・コレクション」が、世界的・普遍的な情報アクセスの一翼を担い、その役割を果たすために、コレクションを構成する情報は情報流通環境に対応して変わらなければなりません。
国立国会図書館は、これまで専ら自館において構築してきた「ナショナル・コレクション」を、情報流通環境の変化に適応させていくとともに、関係機関と連携して拡充することを目指します。また、「ナショナル・コレクション」を基盤として、知的資源を利用し、生産し、又は管理する全ての人々と共に「知の循環」をつくることを目指します。このために、令和8年度からの5年間で以下の事業を重点的に実施します。
重点事業1 ネットワークとしての「ナショナル・コレクション」を築く
重点事業2 デジタルで知へのアクセスをひらく
重点事業3 国会の活動を確かな根拠で支える
重点事業4 情報技術を活用したサービスで知の創造に貢献する
重点事業5 知の循環を支える組織をつくる
重点事業1
ネットワークとしての「ナショナル・コレクション」を築く
インターネット資料及びオンライン資料の収集制度による収集対象の拡大を図るとともに、様々な機関との連携協力を組み合わせることによって、分担保存と統合的アクセスを基本原理とする「ナショナル・コレクション」を構築することを目指します。また、紙等の有体資料と無体資料(電子書籍・電子雑誌)の収集・組織化を統合・一元化する方向を目指します。
このため、ビジョン期間においては、現在の収集制度の枠内での収集強化を図るとともに、制度収集対象の拡大に向けて、収集対象とするデジタル情報資源の範囲及び収集優先度について検討します。国内の機関リポジトリ、民間アーカイブ等との連携強化を図ることで、「ナショナル・コレクション」をネットワーク上で構築します。「ナショナル・コレクション」へのアクセスを担保する書誌サービスを向上させるため、有体資料と無体資料の収集・組織化を統合・一元化します。
重点実施事項
- デジタル情報資源の収集強化
- 国全体としてのデジタル情報資源の保存とアクセスの担保
- 紙と電子(有体資料と無体資料)の収集・組織化の一元化
重点事業2
デジタルで知へのアクセスをひらく
資料のデジタル化の推進、読書バリアフリーの視点を組み込んだ資料・サービスの整備により、知の基盤をデジタルへ統合し、より多くの情報資源に誰でもアクセスできる環境を作ることを目指します。
このため、ビジョン期間においては、国立国会図書館が所蔵する様々な情報資源をデジタルの基盤上で検索・アクセスできるようにするため、所蔵資料のデジタル化、全文テキスト化及び所蔵デジタル資料のマイグレーション(データ移行・データ変換)を推進します。視覚障害者等用データについて、収集・製作を一層推進し、インターネット上での提供の充実に取り組みます。
重点実施事項
- 所蔵資料のデジタル化、全文テキスト化及び所蔵デジタル資料のマイグレーションの推進
- 知へのアクセスの保障を実現するための読書バリアフリーの推進
重点事業3
国会の活動を確かな根拠で支える
国立国会図書館の第一義的任務である国会サービスを着実に実施し、国会議員の活動や国政審議を十全に補佐します。国会議員に対して、客観的な調査・分析に基づく的確で付加価値の高い調査回答を提供します。国政審議の参考に資するため、国政課題に関する調査研究の成果を刊行物に取りまとめ、国会議員に提供するとともに、調査回答に活用します。国立国会図書館の有する人的・物的資源と先進的な情報技術を活用して、調査サービスを一層高度化します。
国内外の大学や調査研究機関、海外の議会関係機関等との連携により得られる知見・情報等を活用し、調査サービスを充実させます。衆議院・参議院と共同で構築している国会会議録検索システムを始め、国会発生情報へのアクセスを整備します。国政課題に関する調査研究の成果を取りまとめた刊行物について、広く国民の利用促進を図ります。
重点実施事項
- 国会サービスの着実な実施と高度化
- 外部機関との連携の強化による調査サービスの充実
- 国会発生情報へのアクセス整備と調査及び立法考査局刊行物の利用促進
重点事業4
情報技術を活用したサービスで知の創造に貢献する
情報技術を活用した、遠隔サービスの利用拡大及び図書館ネットワークの発展により、広域サービスを確立するとともに、人がAIと共に知の創造を行う時代に向けた情報探索サービスを構築することを目指します。また、以上のようなサービス環境に対応した来館サービスを提供することを目指します。
このため、ビジョン期間においては、個人送信サービスの利用者の拡大、若年層による利用を含む図書館送信サービスの可能性の追求、情報技術の動向を踏まえた利用案内の提供等による遠隔サービスの利活用の促進に取り組みます。また、図書館等における双方向性を組み込んだレファレンスネットワークの段階的な構築等により、図書館ネットワークの拡充に取り組みます。情報探索サービスについては、現行サービスの拡充を図りながら、AI技術の普及・発展など変化する情報環境にふさわしいサービスの在り方を探究します。来館サービスについては、調査研究を支え、知との出会いの場としての役割を担うサービスを実施するとともに、今後の広域サービスの確立を踏まえた来館環境の整備に向けた検討を進めます。
重点実施事項
- 遠隔サービスの利活用の促進と図書館ネットワークの拡充
- 情報探索環境及び情報探索支援コンテンツの充実
- 調査研究を支え、知との出会いの場となる来館サービスの実施
重点事業5
知の循環を支える組織をつくる
生成AIを始めとする先進的な情報技術を適切に活用し、新規業務・サービスの開発、業務プロセスや運用の見直し、サービスの改善を適時かつ的確に実施できる環境を整備します。このため、ビジョン期間においては、生成AIの業務・サービスへの活用のための開発・運用等、先進的な情報技術の活用・開発のための人材育成・連携、業務データ活用基盤の構築を行います。
また、時代の変化に適応した人材育成、専門人材等の確保により、業務サービス水準の向上を図り、知の基盤の構築と豊かな社会の形成に貢献します。それと同時に、組織内の業務分担や組織機構の在り方、資源配分の枠組みの見直しを行い、課題に取り組む体制を整備します。
重点実施事項
- 生成AI等の先進的な情報技術の活用・開発に向けた環境整備
- 時代の変化に適応した人材育成、専門人材等の確保
- 課題に取り組むための組織編成と資源配分