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令和4年度国立国会図書館活動実績評価

国立国会図書館は、「国立国会図書館ビジョン2021-2025 -国立国会図書館のデジタルシフト-」(以下「ビジョン」)を掲げています。また、ビジョンの趣旨を踏まえ、ビジョンにおける重点事業や基本的役割等を対象として、年度ごとに活動実績評価を行うこととしています。

活動実績評価においては、評価の客観性を担保するために、「評価指標」と「参考指標」を設定します。
評価指標は、自律的に成果を挙げることが可能な業務や、利用者へのサービスの提供に係る日数等を対象とする指標で、近年の実績値とその増減の傾向、事業の規模・性質等を踏まえ、年度当初に数値目標を設定し、達成に努めます。
参考指標は、他律的な側面が強く対外的な要因に左右されやすいため目標値を設定しませんが、当館の活動の動向を把握するために用います。

評価に当たっては、ビジョンの構成にあわせて、館の事業全般に関する評価(ビジョンの「基本的役割」に対応)に加え、重点事業推進に関する評価を行います。館の事業全般に関する評価は、事業の実施状況や指標の達成状況等を踏まえ、評語で評価します。重点事業推進に関する評価は、その達成状況を総合的に判断し、定性的に評価します。

令和4年度は、次のとおり自己評価を行いました。
全評価結果をご覧になりたい場合は、[評価結果] (PDF:487KB) をご覧ください。

評価結果の概要

事業分野1 国会活動の補佐

概要及び目標

国会議員に対し、所蔵資料のほか、データベースその他の電子情報を活用し、客観的な調査・分析に基づく的確な回答を提供する。また、国政審議の参考に資するため、国政課題に関する調査研究を行い、その成果を刊行物等に取りまとめ、調査回答に活用するとともに、政策セミナーを通じて国会議員等に紹介する。

国内外の大学や調査研究機関等及び海外の議会関係機関等との連携を強化して、最新かつ高度な学術的知見を幅広く積極的に吸収し、調査サービスを充実させる。

国の基本的な政策課題や、法的・社会的・倫理的課題が生じやすい科学技術に関する国政課題について、外部専門家の知見と協力を得て、より総合的かつ高度な視点から、各種の調査プロジェクトを実施し、成果を公表する。令和4年度は、総合調査プロジェクト「格差、分配、経済成長」及び科学技術に関する調査プロジェクト3件(「宇宙空間の利用をめぐる動向と課題」、「科学技術のリスクコミュニケーション」及び「脱炭素社会の技術と諸課題」)(いずれも仮)をテーマに調査を実施する予定である。

国会会議録検索システム及び日本法令索引について、国会議員及び国民が容易にアクセスできるよう、コンテンツ及び機能のさらなる整備充実を図り、国会と国民とをつなぐ役割を一層強化する。

評価結果

目標を達成した。

事業分野2 資料・情報の収集・整理・保存

概要及び目標

納本制度に基づき、国内の出版物を広く収集する。また、国の機関や地方公共団体等の公的機関のウェブサイト等を法律に基づき収集するとともに、民間のウェブサイト等について公共性や時代性を考慮し許諾を得て選択的に収集する。無償かつDRM(技術的制限手段)のない電子書籍・電子雑誌も法律に基づき収集する。さらに、令和5年1月を目途に、有償等の電子書籍・電子雑誌の制度収集も開始できるよう、準備する。

国内刊行の出版物の目録、典拠、雑誌記事索引等のデータベースを作成し、広く利活用できるよう、インターネット等を通じて提供する。

収集した資料を永く保存し、国民共有の文化的資産として後世に伝える。そのため、デジタル化や適切な保存環境の整備、劣化・破損した資料の修復等、電子形態の資料を含め、長期保存対策に取り組む。

評価結果

目標をおおむね達成した。

事業分野3 情報資源の利用提供

概要及び目標

インターネット等で申込みが可能な遠隔複写サービス、図書館間貸出し及び図書館を通じたレファレンスサービスを提供する。とりわけ、申込みが増加傾向にある遠隔複写サービスについて、体制整備等を行い、低下しているサービス水準(製品発送までにかかる日数)の改善を図る。また、調べ方案内や電子展示会等の付加価値を付けた情報発信サービスを提供する。

所蔵資料のデジタル化及びその著作権処理を進め、インターネットを通じて提供する。インターネット提供を行っていないデジタル化資料のうち入手困難な資料を、図書館向けデジタル化資料送信サービスとして、国立国会図書館が承認した図書館内で提供する。また、令和4年5月を目途に個人向けデジタル化資料送信サービスを開始し、令和5年1月には複写も可能とする。

東京本館、関西館、国際子ども図書館の三つの施設において、新型コロナウイルス感染症対策に十分留意しつつ、所蔵資料の閲覧や複写、レファレンスのサービスを提供するとともに、オンラインも活用しつつ講演会等のイベントを実施する。東京本館においては、利用者の要望も踏まえ、図書資料の申込上限点数の引上げ、憲政資料室の平日開室時間の延長等を実施する。関西館においては、開館20周年記念行事を実施する。

関係機関と連携して学術文献の録音図書やテキストデータを製作するとともに、公共図書館等が製作した音声DAISYデータ、点字データ等を収集し、これらのデータをインターネットを通じて提供する。

国際子ども図書館においては、児童書や子どもの読書に関わる活動の支援や子ども向けのサービスを通じて、子どもが読書や図書館に親しむきっかけを提供する。

評価結果

目標をおおむね達成した。

事業分野4 各種機関との連携協力

概要及び目標

国立国会図書館の情報資源やサービス、図書館業務に関する知識及び経験が国内の各種図書館の業務やサービスの向上に役立つよう、オンラインを含む研修や情報発信を通じて、その活動や人材育成を支援する。

国際図書館連盟(IFLA)等への委員の派遣、大会への参加(オンラインも含む。)や、中国国家図書館、韓国国立中央図書館を始めとする海外の図書館との業務交流等を通じて、図書館に関わる普遍的な課題の解決に取り組む。

インターネットを通じたデータ連携により、全国の図書館等のデジタル化資料を含む所蔵資料、調べ方の事例等の横断検索サービス等、様々なデータ連携プラットフォームを提供し、我が国の情報資源への総合的なアクセスや利活用の利便性向上を図る。

評価結果

目標を達成した。

【重点事業に係る事業分野①】ユニバーサルアクセスの実現

概要及び目標

インターネットや身近な図書館で閲覧できるデジタル資料の拡充を図る。「著作権法の一部を改正する法律」(令和3年法律第52号)を受け、令和4年5月を目途に、絶版等の理由で入手困難な資料について、個人向けデジタル化資料送信サービスを開始し、令和5年1月には複写も可能とする。

障害者用資料の統合検索サービスを開発し、β版を公開する。また、デジタル化資料から作成した全文テキストデータの視覚障害者等への提供を開始する。さらに、「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画」に則り、関係団体等と協力し、図書館におけるアクセシブルな電子書籍サービスの基準(ガイドライン)の素案を作成する。

専門知識を活かして膨大な資料・情報をキュレーションし、効率的な調べ方のガイドや、知識を深めるための資料の紹介等、社会に役立つ情報を発信する。

評価結果

「著作権法の一部を改正する法律」(令和3年法律第52号)の施行を受け、絶版等の理由で入手が困難な資料を国内居住者へ送信する「個人向けデジタル化資料送信サービス」を令和4年5月に開始し、令和5年1月には複写も可能とした。

令和5年3月に、障害者用資料検索サービス「みなサーチ」β版を公開するとともに、デジタル化資料から作成した全文テキストデータ約247万件の視覚障害者等への提供を開始した。また、アクセシブルな電子書籍の図書館への導入促進に向け、有識者や関係団体からなる検討会を開催し、「電子図書館のアクセシビリティ対応ガイドライン1.0(案)」を作成した。

令和4年7月にリサーチ・ナビをリニューアルし、コンテンツを整理統合するとともに、ユーザビリティ、アクセシビリティの向上を図った。また、「近代日本人の肖像」に159名の肖像を、「NDLイメージバンク」に4,500点以上の画像を追加するなど、電子展示会コンテンツの充実に努めた。

【重点事業に係る事業分野②】国のデジタル情報基盤の拡充

概要及び目標

デジタルで全ての国内出版物が読める未来を目指し、所蔵資料約4800万コマ分をデジタル化する。デジタル化資料から作成した全文テキストデータの活用に向け、関係団体との協議や調査研究を行う。

令和5年1月を目途に、有償等の電子書籍・電子雑誌の制度収集を開始できるよう、準備する。また、他機関のデジタル資料の収集・移管、再生困難なデジタル資料の形式変換等、多面的な取組によってデジタル資料の長期保存を目指す。

図書館の領域を超えて幅広い分野のデジタルアーカイブを連携させる「ジャパンサーチ」を通じて、多様な情報・データがオープン化され、活用が促進される環境づくりを支える。

評価結果

図書、雑誌、新聞、古典籍資料等約5100万コマ分のデジタル化を実施した。また、令和4年12月に実施した国立国会図書館デジタルコレクションのリニューアルにおいて、デジタル化資料から作成した全文テキストデータを用いた全文検索を可能とした。そのほか、同テキストデータを活用した、出版年代ごとの単語及びフレーズの出現頻度を可視化できる実験サービス「NDL Ngram Viewer」を開発し、令和4年5月に公開した。

有償等の電子書籍・電子雑誌の制度収集開始に向け、法規整備、関係者との調整等を着実に行い、令和5年1月に制度収集を開始した。また、デジタル資料の長期保存について国内約3,000機関(有効回答数ベース)に実態調査を行った結果を取りまとめ、報告書を公開した。

ジャパンサーチにおいて、6連携(つなぎ役)機関、32データベースと新規連携を行った。また、画像検索機能の追加や、連携機関向けワークショップの開催等により、利活用を促進した。

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