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第24回納本制度審議会議事録

日時:
平成25年7月23日(火)午前10時00分~11時10分
場所:
国立国会図書館本館3階総務課第一会議室
出席者:
中山信弘会長、濵野保樹会長代理、植村八潮委員、遠藤薫委員、相賀昌宏委員、角川歴彦委員、永江朗委員、野原佐和子委員、福井健策委員、藤本由香里委員、山本隆司委員、湯浅俊彦委員、片寄聰専門委員、佐々木隆一専門委員、三瓶徹専門委員
会次第:
  1. 委員の委嘱の報告
  2. 納本制度審議会の目的及び構成
  3. 代償金部会所属委員の指名の報告
  4. 会長の選出
  5. 会長の挨拶
  6. 会長代理の指名
  7. 納本制度審議会議事運営規則(平成11年6月7日納本制度審議会制定)の改正について
  8. 大滝国立国会図書館長の挨拶及び諮問(国立国会図書館法第25条の4第4項に規定する金額について)
  9. 諮問事項の代償金部会への付託
  10. オンライン資料の補償に関する小委員会所属委員の指名
  11. 事務局からの報告
    • (1)平成24年度出版物納入状況、平成25年度代償金予算及び平成24年度代償金支出実績
    • (2)オンライン資料収集制度の運用状況
    • (3)代行機関における納入漏れ防止策の進捗状況
  12. 今後の日程について
配布資料:
  • (資料1)第23回納本制度審議会議事録
  • (資料2)納本制度審議会委員・専門委員名簿
  • (資料3)納本制度審議会の構成
  • (資料4)オンライン資料制度収集関連法規の改正・制定経緯
  • (資料5)納本制度審議会議事運営規則(平成11年6月7日納本制度審議会制定)の改正(案)
  • (資料6)諮問書(写し)
  • (資料7)オンライン資料の補償に関する小委員会所属委員の指名について
  • (資料8)資料別納入実績(最近3年間)
  • (資料9)納入出版物代償金 予算額と支出実績(最近5年間)
  • (資料10)オンライン資料収集制度の運用状況について
  • (資料11)平成25年度 納本制度審議会の課題・スケジュール(案)
  • (資料12)国立国会図書館法(昭和23年法律第5号)(抄)
  • (資料13)納本制度審議会規程(平成9年国立国会図書館規程第1号)
  • (資料14)納本制度審議会議事運営規則(平成11年6月7日納本制度審議会制定)
  • (資料15)国立国会図書館法によるオンライン資料の記録に関する規程(平成25年国立国会図書館規程第1号)
  • (資料16)国立国会図書館法第25条の4第4項に規定する金額等に関する件(平成25年国立国会図書館告示第1号)
  • (資料17)国立国会図書館法第25条の規定により納入する出版物の代償金額に関する件(昭和50年国立国会図書館告示第1号)
議事録:
(開会)定足数の確認等
収集書誌部長:
おはようございます。定時となりましたので、ただ今から、第24回納本制度審議会を開催させていただきます。本日は、誠にお忙しいところ御出席くださいまして、誠にありがとうございます。私はこの4月に国立国会図書館収集書誌部長に就任しました豊田でございます。
ご案内のとおり、7月1日付けで、皆様に審議会委員の委嘱をさせていただきました。本日は委嘱後の最初の審議会ということになりますので、この後、互選で会長が決まりますまでは、進行は私がさせていただきますので、よろしくお願いします。
本日は、16名の委員中、ご覧の通り12名の方がいらしておりますので、定足数は満たされております。
会の次第と資料の方は、机の上にご用意しました。特に、資料のチェックはいたしませんけれども、途中でもし足りないということがありましたら、事務局にお知らせください。
会の最初といいますと、私なりからご挨拶するのが通例かと思いますけれども、本日、議事で、館長の大滝が参りましてご挨拶いたしますので、私の方は、速やかに議事に入らせていただきますので、御了解ください。
(会次第1)委員の委嘱の報告
収集書誌部長:
それでは、まず、会次第の1を進めさせていただきます。
資料ですが、資料の1は、3ページ目にありますとおり、前回の審議会の議事録になっておりますので、この場では特に取り扱いません。前回の議事録につきましては、既に前回審議会当時のすべての委員に御確認いただき、当館ホームページに公表しているところでございます。
資料の2をご覧頂けますでしょうか。本日発足しました第8期納本制度審議会の委員が記載されております。このうち、新規に委嘱させていただいた委員の方々につきましては、僭越ながら、私の方から五十音順でご紹介させていただきます。
〔収集書誌部長から、新規委嘱委員・専門委員の紹介〕
委員の任期は、2年とされておりますので、平成27年6月30日までということになります。どうぞよろしくお願いいたします。
(会次第2)納本制度審議会の目的及び構成
収集書誌部長:
引き続きまして、会次第の2の方へ移らせていただきます。納本制度審議会の目的と構成というところへ参ります。かなり再任の方がいらっしゃいますけれども、新しい委員の方もいらっしゃいますので、審議会の目的等につきまして、改めてご説明させていただきます。
〔資料3及びその参考図に基づき説明〕
(会次第3)代償金部会所属委員の指名の報告
収集書誌部長:
では、会次第の3に進ませていただきます。代償金部会所属委員の指名の御報告です。資料の2にお戻りいただけますでしょうか。資料の下の方に、代償金部会の所属委員が記載されております。代償金部会の所属委員につきましては、委員の委嘱と同日の7月1日付けで、7名の方にお願いいたしております。資料にありますとおり、出席の方を先にご紹介いたしますと、相賀委員、福井委員、藤本委員、山本委員、湯浅委員にお願いしております。それに加えて、本日はご欠席ですが、石﨑委員と斉藤委員となっております。
本日は、審議会の終了後に、代償金部会を開催させていただくことになっておりますので、よろしくお願いいたします。
(会次第4)会長の選出
収集書誌部長:
それでは、会次第の4に移らせていただきます。会長の選出に入らせていただきます。会長の選出の手続は、委員の方の互選ということになっておりますが、どなたかからのご推薦はございますか。
委員:
前期に引き続きまして、中山委員にお願いできればと考えますが、いかがでしょうか。
委員一同:
異議なし。
収集書誌部長:
ご異議がないようですので、中山委員が会長に決定いたしました。
(会次第5)会長の挨拶
会長:
中山でございます。ご指名でございますので、前期に引き続きまして、会長を務めさせていただきます。皆様のご協力を得まして、議事を進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは早速、議事の進行に移りたいと思います。
(会次第6)会長代理の指名
会長:
続きまして、会次第6の、会長代理の指名に移りたいと思います。納本制度審議会規程第5条第3項によりますと、「会長に事故があるときは、会長があらかじめ指名する委員が、その職務を代理する。」となっておりますので、前期に引き続きまして、濵野委員を会長代理に指名いたします。濵野委員、よろしくお願いいたします。
委員:
はい。
(会次第7)納本制度審議会議事運営規則の改正について
会長:
それでは、会次第の7に移りたいと思います。この7月1日に納本制度審議会規程が改正されまして、この納本制度審議会の所掌範囲が拡大しております。これに伴いまして、この審議会の議事運営規則の改正を行う必要が出てまいります。この議事運営規則は、この審議会の場で決定することになっておりますので、今回、みなさんにお諮りする次第でございます。
まず、事務局が改正案を用意しておりますので、ご説明をお願いします。
収集書誌部長:
〔資料4,5に基づき説明〕
会長:
ありがとうございました。この点につきまして、ご質問などございませんでしょうか。きわめて事務的な改正ということで、よろしいでしょうか。それでは、本日付けで改正案のとおり決定することといたします。
(会次第8)大滝国立国会図書館長の挨拶及び諮問
会長:
それでは、会次第の8に入ります。国立国会図書館長からご挨拶及び諮問を頂戴することになっております。それでは大滝館長、よろしくお願いいたします。
館長:
国立国会図書館長の大滝則忠でございます。このたびは皆様方に、大変ご多忙にもかかわらず、第8期の納本制度審議会の委員にご就任いただきまして、誠にありがとうございます。また本日は、ご多用中のところ、本審議会にご出席いただきましたことを、重ねて御礼申し上げます。
国立国会図書館にとりまして、法定納本制度の運用をはじめ、多様な資料の収集の充実に努め、国会をはじめ広く国民の利用者が、これら収集資料にアクセスできるようにすることは、果たすべき最も基本的な活動であります。引き続き、納本制度等の改善、発展及び適正な運用に努めてまいりたいと存じますので、委員の皆様方には、何とぞよろしく、ご指導ご鞭撻をいただきますようお願い申し上げます。
このたび、本年7月1日から、無償かつDRMのないオンライン資料の制度的な収集が開始されております。運用の状況につきましては、後ほど事務局からご報告いたしますが、ここまで段階的に、法律に基づくオンライン資料収集の制度化が前進できましたことは、ひとえに、これまでの納本制度審議会の中山会長をはじめ委員の皆様方のご尽力ご指導の賜物と感謝申し上げる次第であります。国立国会図書館といたしましては、今後、有償オンライン資料等、現在収集できていないものにつきましても、文化的資産として収集蓄積し、広く利用に供すことができる制度の整備に向けて取り組む所存でありますので、引き続き、納本制度審議会における調査審議を深めていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
さて、我が国の電子書籍市場の規模は、近年ますます拡大し、かつ充実しつつあります。その一方で、電子書籍の事業モデルの方向性や市場動向の見通しはいまだ固まらず、広く関係者によって様々に模索されている状況にあると拝察されます。
他方、電子書籍の時代に応じた出版者の権利関係のあり方につきましては、現在、法制化に向けた検討が進行しております。また、電子書籍の図書館サービスにおける利用も大きな課題でありまして、先の東京国際ブックフェアでは意欲的な構想が発表されて大きな注目を集めたとも伺っております。いずれにいたしましても、読者からの熱い視線が、紙媒体の書籍に加え、新たに電子書籍に向けられていることは確かであり、我が国の出版文化がますます発展する方向で、電子書籍市場がしかるべき一定の安定期を迎えることをご期待申し上げ、同時に、これらの動きの中で国立国会図書館が果たすべき役割につきまして、皆様のご指導をいただきながら、追求すべきものと思っているところであります。
それにいたしましても現在の急務は、オンライン資料の中には、デジタル世界に生まれて流通し、かつ、人知れずに消滅する貴重な情報も多くあるという状況に照らし、社会的な装置として、それらを収集蓄積し、長く利用できる体制を整備することであります。国立国会図書館が、有償オンライン資料を制度収集するためには、いずれ、著者、出版者を含む広範な関係者から、幅広いご理解、ご協力を仰ぐことが不可欠でありますが、一方、社会において、とりわけ著者、出版者をはじめとする関係者間で、広く共有できる電子書籍の将来像が描かれ、そして確立されるまでには、今しばらく年月を要すると予測されるところでもあります。このような状況下ではありますが、国立国会図書館といたしましては、関係者のご理解とご協力のもとに、段階的にでも、できるだけ早急に、有償オンライン資料の収集を開始できるよう、取り組む必要があると考えておるところでございます。
以上、縷々申し上げましたような状況を踏まえますと、国立国会図書館が実施すべき制度作りに際しては、新たな、より柔軟な視点が求められているのかもしれないと考えるところであります。例えば、制度による収集を中心としつつも、制度によらない収集でそれを補完するというような方向性、つまり、制度と制度外の手法を適切に組み合わせて運用するような、いわば「日本型システム」の確立を検討する必要もあると考えられます。そのために国立国会図書館は、これまでの議論の積み重ねを十分に踏まえる一方、より豊かな選択肢のもとで広く関係者のご理解を得られるよう努力を重ねることが必要であると考えております。委員の皆様方におかれましては、有償オンライン資料等の実効性ある収集のあり方につきまして、改めて多角的に調査ご審議をいただき、引き続き、よろしくご指導をいただくことをお願い申し上げます。
結びに、本日は暦どおりの正に大暑でありますが、委員の皆様方におかれましては、ご自愛のほどお祈り申し上げまして、ご挨拶とさせていただきます。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
引き続き、本日の諮問の理由について、ご説明申し上げます。
オンライン資料の提供に関し通常要すべき費用につきましては、本来は納本制度審議会に諮問し、決定するものでございますが、オンライン資料の記録に関する規程附則の経過規定に基づき、納本制度審議会の調査審議を経ずに、7月1日に施行された告示で定められております。そこで、あらためてこの件につき、調査審議をお願いする次第であります。
それでは、諮問させていただきます。
〔会長起立〕
館長:
納本制度審議会規程第2条第1項の規定に基づき、次のとおり諮問する。
「国立国会図書館法第25条の4第4項に規定する金額等に関する件(平成25年国立国会図書館告示第1号)第1項に規定する金額の決定について」
国立国会図書館法第25条の4第4項に規定する金額及び算定方法について調査審議をお願いしたい。
よろしくお願いいたします。
〔会長に諮問書を手交〕
会長:
諮問の件、確かに承りました。今後、委員の皆様の御協力を得まして、鋭意調査審議いたしまして、答申いたします。
〔館長退席、会長着席〕
会長:
ただいま館長から頂戴しました諮問事項につきまして、事務局から補足説明がございます。よろしくお願いいたします。
収集書誌部長:
〔資料6に基づき説明〕
会長:
ありがとうございました。それでは、諮問事項、及びただ今の事務局からの説明につきまして、何かご質問、ご意見ございましたら、お願いいたします。よろしいでしょうか。それでは次に進みたいと思います。
(会次第9)諮問事項の代償金部会への付託
会長:
ただいまの諮問は、国立国会図書館法第25条の4第4項に規定する金額に関する事項でございますので、先ほど改正されました納本制度審議会議事運営規則第7条の規定に基づきまして、代償金部会に付託いたします。同規則第8条本文の規定によりまして、部会の議決をもって当審議会の議決とするということになります。したがいまして、部会で決まりますと、我々は審議会を開くことなく、議決したことになるとの規則の仕組みになっておりますので、よろしくお願いいたします。
代償金部会の皆さま方には、ご苦労をおかけいたしますけれども、審議のほどをよろしくお願いいたします。
それでは、次に進みたいと思います。
(会次第10)オンライン資料の補償に関する小委員会所属委員の指名
会長:
当審議会では、第21回納本制度審議会において諮問を受けました「平成22年6月7日付け納本制度審議会答申『オンライン資料の収集に関する制度の在り方について』におけるオンライン資料の制度的収集を行うに当たって補償すべき費用の内容について」を専門的見地から調査審議させるために、「オンライン資料の補償に関する小委員会」を設置し、平成23年3月に中間答申の原案を取りまとめております。
先ほどの大滝館長からのご挨拶にありましたように、引き続き最終答申についてとりまとめるようにとのご依頼を頂戴したところです。
今期の納本制度審議会では、収集したしましたオンライン資料に対する補償のあり方については、電子書籍の製作及び流通の実情を把握し、法的、技術的な面で専門的事項につきまして調査審議する必要があるという観点から、この小委員会においてさらなる調査審議を進めてまいりたいと思います。
また、小委員会の所属委員といたしましては、植村委員、永江委員、福井委員、山本委員及び湯浅委員にお願いをいたします。専門委員からは、片寄様、佐々木様と三瓶様のお三方にお願いをいたしまして、小委員長には、福井委員を指名いたします。この点について、よろしいでしょうか。よろしいですね。それでは、よろしくお願いいたします。福井小委員長をはじめ、小委員会の委員、専門委員の方々には、調査審議をよろしくお願いいたします。それでは、福井小委員長から一言お願いいたします。
委員:
若輩ではございますが、小委員長を引き続き拝命させていただきました。我が国のデジタル立国にとっては、極めて重要なテーマであるかと思います。館長のお言葉にもありましたとおり、関係者の皆さんの御理解を頂きながら、バランスの良い、世界最先端の「日本型システム」、これを提案させていただくべく、委員の皆さんのお力をお借りしまして、微力を尽くしたいと思っております。何とぞよろしくお願いたします。
会長:
心強い御挨拶ありがとうございます。
(会次第11)事務局からの報告
会長:
続きまして、会次第の11に移ります。事務局から3点の報告があります。まず1点目は、平成24年度の出版物納入状況等についての報告でございます。よろしくお願いいたします。
事務局:
〔資料8,9に基づき説明〕
会長:
ありがとうございます。次の第2点目の報告は、オンライン資料収集制度の運用状況でございます。よろしくお願いいたします。
事務局:
〔資料10に基づき説明〕
会長:
ありがとうございます。続きまして3点目の報告は、代行機関における納入漏れ防止策の進捗状況でございます。よろしくお願いいたします。
事務局:
続きましてご報告いたします。この件につきましては、前回の第23回納本制度審議会以降の状況についてご説明いたします。組織的・系統的納本漏れ防止策につきまして、代行納入機関である日本出版取次協会と、現在も断続的に協議を行っています。現時点での方向性についてご説明すると、日本出版取次協会が取引をされている出版各社に対して、納本ルートの確認作業、すなわち、取次経由であるのか、あるいは、直接に当館にお送りいただいているのか、あるいは、その際にでも、代償金の支払いを必要とするのか、あるいは、無償で寄贈されているのかなど、いろいろなパターンで当館に納入されています。図書、雑誌、コミックスといった種類別で納本の仕方も違うと聞いておりますので、その実態をまずは把握する調査を行うこととしています。これは、前回の審議会におきましても、出版社の方々から、出版社ごと、あるいは出版社の部門によっても納本の仕方がいろいろ違う、あるいは、流通に乗せる乗せ方も違う、というお話をうかがいまして、遅ればせではありますが、まずは実態をしっかり調査していきたいと考えているところです。
ただ、日本出版取次協会加盟各社の取引先の出版社というのは、大きいところから小さいところまで含めまして3,000を優に超える、という非常に膨大な数でございます。したがいまして、すべてを同じ密度で調査すると、大変な手間と時間がかかりますので、効果的な方法について日本出版取次協会と協議しているところです。
とりわけ納本漏れが多いのではないかと思われる分野として、コミックス、それからムックといったところがありますので、この分野の調査がまずできればよいと考えています。
今後の進め方としては、調査結果を含めて、一定の成果が得られた段階で、代償金部会を開催させていただき、日本出版取次協会から実務担当者を招いて、疑問点があれば委員の方々から直接意見聴取を行い、どのような改善策があるのかについて、意見交換したいと考えているところです。以上でございます。
会長:
ありがとうございました。ただ今の3件の報告につきまして、ご質問等ございましたらお願いします。
委員:
今、ご報告を頂きまして、一歩進んだのかなという感じを受けましたが、調査をするにはかなり手間がかかると思います。だとすると、調査ではなく、逆に、取次を通して納入するということの許諾を一斉にやってしまって、異議がある人は申し出てくれ、という方が後々早い、というか、効率的ではないかと思うのですが、そういう方法は採れないのでしょうか。
事務局:
その点については、日本出版取次協会様と検討させていただきたいと思います。ただ、未だ納本制度が十分に周知されていない点については、繰り返し言われているところでありまして、調査の際にも単に聞き取るのではなくて、納本制度の周知をまず、徹底させていくところから始めたいと考えています。今ご提案の点については、無駄のないように、かつ実効性の上がるような方向で調査を進めていきたいと思います。
会長:
納入漏れにつきましては、比較的簡単にできると思っていたのですが、どうもそうではないようです。しかし、文化財の保存という点については、基本的に重要な問題でございますので、今後また鋭意努力していただきたいと思います。それでは、この点はよろしいでしょうか。
(会次第12)今後の日程について
会長:
次に、会次第の12に入ります。今後の日程につきまして事務局から説明をお願いいたします。
収集書誌部長:
〔資料11に基づいて報告〕
会長:
ただ今の説明につきまして、何かご質問がありましたら、お願いいたします。こういう日程でよろしゅうございますか。ありがとうございます。
(その他)
会長:
それでは予定されている議題や報告は以上で終了でございます。この際でございますので、何かご意見やご質問等がございましたら、お願いいたします。
委員:
ちょっとお尋ねしたいのですが、6月7日の出版協(一般社団法人日本出版者協議会)のプレスリリースを見ますと、国立国会図書館が所蔵資料の大規模デジタル化事業としてデジタル化した「大正新脩大蔵経」88巻全巻ほか、それが(復刻版を)刊行中にもかかわらず、著作権保護期間切れということで、全国にネット公開されている。これについて(出版社が)異議申立てを行ったところ、(国立国会図書館は)当該資料を館内閲覧に限定する、ということです。この取扱いというか、これは何かルール化されているのか、その間の経緯についてご説明いただければと思います。
総務部長:
ただ今の件につきましては、現在、ルール化されていない段階でございます。出版社の方の損害ということの申出がありましたので、一時的に取り下げまして、当館の方で、こういう場合はこうする、というルール化なども含めまして、調査検討の組織を立ち上げまして、検討する予定でございます。それまでの間、一旦、取り下げているということでございます。
委員:
分かりました。ありがとうございます。
会長:
難しいところです。著作権法上は問題ないのですが、そういう本を出すことについて多大な労力を費やしていても、すぐにインターネット上に出されてしまうと、もう出版できないという事情がございます。法的にはインターネット公開を差し止める権利がない。国会図書館としては、おそらく任意に停止することは、法には触れないのではないかと思います。ただ、ユーザーとしては見たい、という欲求もありますので、これは悩ましいところでしょう。恐らくこれから検討されるのでしょうけれども、よろしくお願いいたします。
委員:
書店流通ではない書籍の、展示会のカタログとか、歌舞伎の筋書きとか、演劇のプログラムとか、映画のパンフレットとか、美術のカタログは、上野の美術館、図書館にはそこそこあるのですが、漏れが多い。見ようと思うと、演劇のプログラムなんて、本当に手に入らない。そういうものは、国会図書館としては、どういう扱いになっているのでしょうか。納本対象外でしょうか。
事務局:
納本対象外ではありませんが、流通に乗っていないという事情で、なかなか収集しにくい資料ではあります。
委員:
大変高価なのですよね。時期が過ぎると、パンフレットで20万円もする。
会長:
「なんでも鑑定団」を見ますと、そういうのが鑑定されているようです。何か収集の努力、たとえば啓蒙とか、そういうことはされているのでしょうか。
事務局:
パンフレットを送って周知活動をしたり、利用者の方から入っていないという情報があれば、確実に出版されているということを確認して、督促という形で納入を促していく、というようなことはしていますが、かなり個別の対応になってしまうので、全体的に納入していただいてはいないかと思います。
会長:
映画の業界あるいは演劇の業界と、団体で話し合っていただければよろしいかと思うのですが。そういう努力をしていただければと思います。
事務局:
分かりました。
委員:
初歩的な質問ですが、これは会長に伺った方がよいのかもしれませんが、法的には納本義務がある出版者は、どこからどこまで、と考えればいいのでしょうか。
会長:
それは一定の線があると思うのですが。
事務局:
発行者です。
会長:
どういうものを納入しなければならないか、という義務の範囲については、どうなっていますか。
事務局:
どこからどこまでが納入対象、というよりは、対象外となるものは大変少数でございます。非常に個別に、限定的に出版して、数部しか頒布する予定がないもの、あるいは、ホチキスで留めたような保存に向かないような資料等は、対象外になります。それ以外のものは、すべて納入対象になります。
会長:
出版の部数もあったと思うのですけれども。
事務局:
部数は、広く頒布していることを、出版しているとしているので、ある程度の部数、たとえば100部くらいは頒布している、というようなことを確認する場合もございます。
委員:
少しその関連で、これは納本義務というのとは違うとは思いますが、日本脚本アーカイブスというところが、過去の放送台本5万冊ほどの収集を進めており、そのうち約半数くらいを国会図書館で収集・保存していただけることが決まったと、私もちょっと関わっているものですから、うかがっております。過去の放送番組というのは、1980年代以前のものは、もうほとんどテープが残っていないとされる中で、これは、日本の放送文化を伝える大変貴重な資料になると思います。これは価値ある取組ですので、その内容と今後の予定等をご紹介いただければと思います。
それからその関連で、先ほど演劇業界の話が出ておりました。放送台本は進んでおりますが、戯曲、ですね。演劇用の台本というもののうち、刊行物に当たらないものは、どうも全く国内で収集・保存が、「全く」は言い過ぎですね、現物等は早稲田の演劇博物館さんなど、少し取組があるのですが、あまり進んでいないように聞いております。こういうものが今後収集対象になる可能性があるのか、短くでも伺えればと思います。
収集書誌部長:
ご質問全体につきましては、納本ですとか、いわゆる出版物とは違うレベルでの発想になるかと思うのですが、脚本につきましては、担当がおりますので、こちらから概要を説明させます。
事務局:
ご説明いたします。日本放送作家協会が集めました5万冊のうち、1980年以前の脚本・台本、約2万7千点を当館の書庫に、今、搬入しております。脚本アーカイブス・コンソーシアムで、全体の目録データベースを作成しておりまして、現在、そのデータベースと、当館に搬入したものの照合作業をしております。この作業が終わりましてから、私どもの受入作業を行いまして、来年度を目途に、一般の利用に供する準備を進めております。残りの脚本・台本につきましては、それぞれ、演劇台本は早稲田、映画の台本はフィルムセンター、というように、いろいろなところに搬入されています。新しい部分につきましては、川崎の市民ミュージアムに搬入しておりまして、当館の利用提供と、あまりずれない形で、一般の方に提供する準備を進めております。
委員:
では、演劇用台本については、具体的なお話も予定もないということでしょうか。
収集書誌部長:
ここで申し上げられるようなレベルのことはございません。また、今の脚本にしてもデジタルの時代になっておりますので、その点との兼ね合いも考える必要があると思っております。いずれにしましても、当館も投入できるリソースに限界もございますので、それとの相談にはなるかとは思いますが、できることはもちろんやっていきたいと考えております。
委員:
今回ご説明いただいたオンライン資料の納入について関連するところですけれども、納入対象の基準は、標準コードが付与されていることになると思いますが、一般的にどれくらいの範囲で考えればよろしいのでしょうか。たとえば、ニュースサイトで、紙のニュース、紙媒体に載っている記事、プラスアルファ電子版の記事を掲載していたり、インターネットだけで独自のニュースサイトというものがありますが、そういったような、ある種、電子雑誌とも言えると思うのですが、そういうものも含むのでしょうか。標準コードが電子媒体にどれくらい入っているのか、というのが分からないので、少しそういうところを御説明いただければと思います。
事務局:
標準コードにつきましては、まだまだ電子出版物には付与されていないというところはあるのですが、外形的に電子出版物を規定できる基準という、分かり易いものがございませんので、今のところ、ISBN、ISSNといったものを、一つの基準としております。ただ、それだけではなくて、電子書籍に向いているフォーマットとされているもの、日本の場合は「.book」とか「XMDF」が多いのですけれども、今のところは、ここの部分は有償のものが多く、まずは無償でDRMのないものということでやっておりますので、PDFやEPUBに限って、どちらかに該当すれば、集めるということにしております。先ほどお話のありましたニュースサイトなのですが、こちらは更新が非常に早いということがございます。また、ウェブページに掲載されているだけでPDFやEPUBに固定されていないものにつきましては、現在のところ収集対象にはしておりませんので、お話に上がったような電子新聞は、今のところ、対象とはなっておりません。
委員:
このオンライン資料の納入の目的というか、趣旨を考えて判断すべきだと思います。一般にインターネット上で流通しているいろいろな情報で、かつ、ブログとか個人の発信ではなくて、出版社的な立場で発信しているもので、HTMLで発信されているものが大量にあります。それらはおっしゃるように更新速度が速く、紙媒体では毎日発行が最速だけれど、それでは間に合わないのでリアルタイムで発信しているわけです。それを敢えて対象外とするという意味が良く分かりません。確かにPDFと限定すると運営上はやりやすい、というのは重々承知していますし、何がしかの仕切りを決めるのであれば、ISBNコードというやり方もあるのかもしれませんが、そもそもいろいろな出版物というか、公表されている著作物を、ある程度文化として残していく、という趣旨から考えれば、先ほどできないと言われていた部分は、非常に重要で巨大な領域だと思います。現段階では、これが対象外というのは今のご説明で理解しましたけれども、今後どう改善するかについてどこかで検討されているのか、ということについても、教えていただければと思います。
事務局:
そもそも平成11年くらいに検討が始まりまして、その時には、インターネット上に流れる情報すべてを収集したいという考えもあったのですが、おっしゃいましたように、情報量が非常に莫大なものになりますので、これはやはり集めきれないだろう、ということで、段階的に少しずつ集めていこうということになりました。まず官公庁、公的機関のサイトに掲載されている情報を集めよう、ということになりまして、進めております。こちらは既に制度化されております。次に、インターネット上に公表しているもののうち、集めやすい、固定化された、ある意味、形の定まった書籍、雑誌の部分から手を付けようとなっています。そこにつきましても、まだ、無償のものしかできていない状況で、いわゆる流通、商業出版について、非常にまだ難しい段階ということになっています。そこができましてから、さらにその外側を段階的に進めていければと考えておりまして、まだそこの部分について、いつ着手できるかということは、全く見通しが立っていない状況になっております。
会長:
過去の審議会でも、どの範囲、というのは審議したのですが、恐らくリソースごとの問題もありまして、なかなか一挙にはいかないのだと思います。
委員:
今ほどの話に関わるのですが、20ページの資料10、この3の私立大学、私立短期大学に打診されたということですが、その反応はどうなっているのでしょうか。何と言っても、この審議会の委員の中に私立大学の教員が6人もいる、という状況ですのでお伺いしたいと思います。そもそも、国公立大学というのは、この上の(表の)「公益法人」というところに入るのでしょうか。対象となるサイト単位収集の中で、どの程度あるというふうに考えていらっしゃいますか。
事務局:
まず、国公立大学の場合は、これとは別の、インターネット資料収集という制度化された中で、国の機関に準ずるものというところで、制度的に集めております。有無を言わせず、集めさせていただいているところです。
委員:
そうすると、それは、「IR」、機関リポジトリも含むのですか。
事務局:
機関リポジトリは含みません。機関リポジトリは、今回のオンライン資料の制度収集の対象からも除外してあります。それは非常に規模も大規模でございますし、そもそも機関リポジトリ自体が、私どもに代わってと言うべきですが、国民に広く、末永く提供しようという趣旨で実施されているものでございますから、重ねて集めても、あまり意味はない、ということで、それは除外しているということでございます。あと、私立大学等の打診状況というのは、ちょっと私も直接携わってないので、現時点では分かりかねるのですが、既に、ここに書いているように、80件、362分の80については、良い、という返事が、徐々に集まってきている、ということだろうとは思われます。
会長:
よろしいでしょうか。以上をもちまして、第24回納本制度審議会の会次第はすべて終了しました。これにて終了いたします。
(午前11時10分終了)

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