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第26回納本制度審議会議事録

日時:
平成27年9月4日(金)午前10時00分~10時45分
場所:
国立国会図書館東京本館3階総務課第一会議室
出席者:
中山信弘会長、福井健策会長代理、石﨑孟委員、植村八潮委員、江上節子委員、遠藤薫委員、相賀昌宏委員、角川歴彦委員、斎藤誠委員、永江朗委員、根本彰委員、藤井武彦委員、佐々木隆一専門委員、三瓶徹専門委員、樋口清一専門委員
会次第:
  1. 委員の委嘱の報告
  2. 納本制度審議会の目的及び構成
  3. 代償金部会所属委員の指名の報告
  4. 会長の選出
  5. 会長の挨拶
  6. 会長代理の指名
  7. 大滝国立国会図書館長の挨拶
  8. オンライン資料の補償に関する小委員会の設置について
  9. 事務局からの報告
    • (1)平成26年度出版物納入状況、平成27年度代償金予算及び平成26年度代償金支出実績
    • (2)オンライン資料収集制度の運用状況
  10. 今後の日程について
配布資料:
  • (資料1)第25回納本制度審議会議事録
  • (資料2)納本制度審議会委員・専門委員名簿
  • (資料3)納本制度審議会の構成
  • (資料4)オンライン資料の補償に関する小委員会の設置について(案)
  • (資料5)資料別納入実績(最近3年間)
  • (資料6)納入出版物代償金 予算額と支出実績(最近5年間)
  • (資料7)オンライン資料収集制度の運用状況について
  • (資料8)今期納本制度審議会の主な審議事項について
  • (資料9)国立国会図書館法(昭和23年法律第5号)(抄)
  • (資料10)納本制度審議会規程(平成9年国立国会図書館規程第1号)
  • (資料11)納本制度審議会議事運営規則(平成11年6月7日納本制度審議会制定)
  • (資料12)国立国会図書館法によるオンライン資料の記録に関する規程(平成25年国立国会図書館規程第1号)
  • (資料13)国立国会図書館法第25条の4第4項に規定する金額等に関する件(平成25年国立国会図書館告示第1号)
  • (資料14)国立国会図書館法第25条の規定により納入する出版物の代償金額に関する件(昭和50年国立国会図書館告示第1号)
議事録:
(開会)定足数の確認等
収集書誌部長:
定刻となりましたので、第26回納本制度審議会を開催いたします。本日は、委員の皆様にはお忙しいところ御出席くださいまして、誠にありがとうございます。国立国会図書館収集書誌部長の大曲でございます。御案内のとおり、この7月1日付けで第9期の審議会委員の委嘱をさせていただきました。本日は委嘱後の最初の審議会でございますので、互選となっております会長が選出されるまでの議事につきまして、私が進行役を務めさせていただきます。
なお、第9期発足に当たっての国立国会図書館からの御挨拶につきまして、後ほど館長の大滝が参りますのでその際にさせていただくとして、私は速やかに議事に入らせていただきますので、御了解ください。
まず、本日は15名の委員中、御覧のとおり12名の方々に出席いただいておりますので、定足数は満たされております。
会の次第と資料につきましては、机上に御用意したとおりでございます。審議中、もし資料の欠落等に気づかれましたら、事務局にお知らせください。
それでは、会次第を進めさせていただきます。
(会次第1)委員の委嘱の報告
収集書誌部長:
会次第の1、委員の委嘱について御報告させていただきます。
まず、お手元の資料のうち、資料1は、これは前回の議事録でございまして、すでに前回審議会当時の全委員に御確認いただいた上、公表もしているものですので、本日この場では扱いません。
資料の2を御覧ください。こちらに第9期の委員を載せてございます。このうち新規に委嘱させていただいた委員の方につきまして、僭越ながら私から、五十音順に紹介させていただきます。
〔収集書誌部長から、新規委嘱委員・専門委員の紹介〕
委員の任期は、2年とされておりますので、平成29年6月30日までとなります。何卒よろしくお願いいたします。
(会次第2)納本制度審議会の目的及び構成
収集書誌部長:
続きまして、会次第の2に入ります。新しい委員もいらっしゃいますので、審議会の目的等につきまして、改めて説明させていただきます。
〔資料3に基づき説明〕
(会次第3)代償金部会所属委員の指名の報告
収集書誌部長:
続きまして、会次第の3に入ります。代償金部会所属委員の指名の御報告です。資料の2にお戻りいただけるでしょうか。代償金部会所属委員は、委員の委嘱と同日の7月1日付けで、7名の方にお願いいたしました。資料にありますとおり、石﨑委員、江上委員、相賀委員、斎藤誠委員、斉藤正明委員、根本委員及び福井委員でございます。
本日は、審議会の終了後に、部会の開催も予定されているところでございます。よろしくお願いいたします。
(会次第4)会長の選出
収集書誌部長:
それでは、会次第4の、会長の選出に入らせていただきます。この手続は、委員の方の互選となっております。どなたか御推薦をお願いいたします。
委員:
前期に引き続きまして、中山信弘委員にお願いしたいと考えますが、いかがでしょうか。
委員一同:
異議なし。
収集書誌部長:
御異議がないようですので、中山委員が会長に決定いたしました。
(会次第5)会長の挨拶
会長:
中山信弘です。引き続き会長を務めよとのことですので、委員の皆様の御協力、御助言を得まして、務めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
なお、傍聴の方は、メモをとることは差し支えございませんが、録音及び写真撮影については、御遠慮くださいますよう、御協力をお願いします。
(会次第6)会長代理の指名
会長:
続いて、会次第6の、会長代理の指名に移ります。納本制度審議会規程第5条第3項によれば、「会長に事故があるときは、会長があらかじめ指名する委員が、その職務を代理する」こととなっておりますので、福井委員を会長代理に指名いたします。福井委員、よろしくお願いいたします。
委員:
はい、承りました。
(会次第7)大滝国立国会図書館長の挨拶
会長:
会次第の7に入ります。国立国会図書館長から御挨拶をいただくことになっております。大滝館長よろしくお願いいたします。
館長:
国立国会図書館長の大滝則忠でございます。このたびは、皆様方には、大変御多忙にもかかわらず、第9期の国立国会図書館納本制度審議会の委員をお引き受けいただき、誠にありがとうございます。また、本日は、御多用中のところ、当審議会に御出席いただき、重ねて御礼申し上げます。ただいま選出された中山会長、福井会長代理には、どうぞよろしくお願いいたします。
法律に基づく納本制度等による資料の収集は、申すまでもなく、国立国会図書館の使命に照らして、館が果たすべきあらゆる活動の基盤となるものであり、国会及び国民等に対して資料アクセスを保障するために不可欠なものであります。これらの制度の改善及び適正な運用のため、何卒よろしく御指導、御鞭撻を賜りますよう、お願いいたします。
さて、当審議会におきましては、近年、電子書籍などのオンライン資料の制度的な収集について、継続的に御審議をいただいており、その御審議の結果に基づき、段階的に制度の整備及び運用を進めさせていただいております。
まず、無償で技術的な制限なく配信されているオンライン資料につきましては、平成25年7月から制度的な収集を始め、2年を経過いたしました。今後も着実に収集を進めてまいりたいと存じます。次に、有償で配信されているオンライン資料につきましては、当審議会における御検討の方向性を踏まえ、出版諸団体との協議を重ねて、本年末を目途に、出版界・著作者等の関係者の御理解と御協力のもと、収集に関する調査研究と国立国会図書館施設内での利用の実際的在り方を探るための実証実験を行う予定でございます。
社会における電子書籍市場は、年々拡大しているところでございます。国立国会図書館といたしましても、国の文化的資産として、電子書籍などのオンライン資料を後世に引き継いでいくことができるよう、制度的な収集の実現に向け、今後とも努力を重ねる所存でありますので、当審議会におかれましても、引き続きの御審議をお願いいたします。
一方、紙媒体などの出版物の納本制度の運用につきましても、この2年間、当審議会での御審議を受け、日本出版取次協会の御尽力もあり、督促を経ずに納入される出版物の割合が大きく増加してまいりました。納本制度により出版物を網羅的に収集することの重要性を認識し、今後とも制度運用の改善に努めてまいる所存であります。
皆様方には、中山会長のもと、第9期審議会の場で、御経験と御知見に基づく多様な御意見を交換していただき、納本制度等の一層の充実、円滑な運用に向けて御審議いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
事務局の国立国会図書館といたしましても、委員の皆様方の御指導、御鞭撻を賜りつつ、当審議会の事務に当たらせていただく決意でございます。
このところ残暑も厳しく、気候の安定しない日々が続いております。委員の皆様方におかれましては、一層御自愛のほどお祈り申し上げ、第9期審議会の発足に当たりましての御挨拶とさせていただきます。
(会次第8)オンライン資料の補償に関する小委員会の設置について
会長:
当審議会では、第21回納本制度審議会において諮問を受けた「平成22年6月7日付納本制度審議会答申『オンライン資料の収集に関する制度の在り方について』におけるオンライン資料の制度的収集を行うに当たって補償すべき費用の内容について」専門的見地から調査審議させるために、「オンライン資料の補償に関する小委員会」を設置し、平成24年3月に中間答申の原案をとりまとめております。資料の4をご覧ください。
先ほどの大滝館長からの挨拶にありましたように、引き続き最終答申についてとりまとめるようにとの依頼を頂戴したところです。
今期の納本制度審議会では、収集したオンライン資料に対する補償の在り方については、電子書籍の製作及び流通の実情を把握し、法的、技術的な面で専門的事項について調査審議する必要があるという観点から、この小委員会において更なる調査審議を進めたいと存じます。
また、この所属委員といたしまして、植村委員、遠藤委員、斎藤誠委員、永江委員、根本委員及び福井委員にお願いします。専門委員からは、佐々木様、三瓶様と樋口様にお願いいたしまして、小委員長には福井委員を指名したいと存じます。この点について、御異議はございませんでしょうか。
委員一同:
異議なし。
会長:
よろしいでしょうか。ありがとうございます。福井小委員長をはじめ、小委員会に所属する委員、専門委員の方々には、調査審議をよろしくお願いいたします。それでは、福井小委員長から一言お願いいたします。
委員:
ただいま御指名をいただきまして、小委員長を務めさせていただきます。オンライン資料の収集・補償の在り方については、出版界の皆様と国立国会図書館サイドの協議が継続している最中です。継続性という観点からの指名ということで理解しております。所属の委員・専門委員の方々の御協力を得て、検討を行ってまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
会長:
ありがとうございました。よろしくお願いいたします。小委員会の名簿につきましては、この後、事務局から配布してもらいます。
〔事務局から小委員会名簿を各委員に配布〕
(会次第9)事務局からの報告
会長:
続いて、会次第の9に移ります。事務局から、2点の報告があるそうです。まず1点目は、平成26年度の出版物納入状況等についての報告です。よろしくお願いします。
事務局:
〔平成26年度出版物納入状況、平成27年度代償金予算及び平成26年度代償金支出実績について、資料5、6に基づき説明〕
会長:
ありがとうございました。次の報告は、オンライン資料収集制度の運用状況についてです。こちらも事務局からの報告をお願いします。
事務局:
〔オンライン資料収集制度の運用状況について、資料7に基づき説明〕
会長:
ただ今の事務局からの報告について、何か御質問や御意見はありますか。
委員:
オンライン資料という言葉の定義が気になっています。どのようなものがオンライン資料として収集の対象となるのか、もう少し、説明をお願いします。
事務局:
ウェブサイト上に様々な情報が流通していますが、民間で発信しているウェブ上の情報のうち、図書や逐次刊行物に相当する内容を持ったもの、ファイル形式でいうとPDF、EPUB、DAISYのような形式で流通しているもの、又は標準的な識別子ISBN、ISSN、DOIが付与されているものをオンライン資料として制度収集の対象としています。具体的には、民間企業の論文、各種報告書、私立大学で発信している論文や報告書の類です。
委員:
図書と論文に対応する、というのはわかりますが、境界線上のものもいろいろとあるのではないかと思います。定義については、この後の全体の議論にも関わってくるのでお聞きしました。
事務局:
資料27ページの国立国会図書館法第25条の4で、オンライン資料の収集について規定しています。また、資料36ページに国立国会図書館法によるオンライン資料の記録に関する規程第1条が掲載されており、ここでオンライン資料の定義が規定されております。
委員:
規程の第1条で定義について規定されているということで了解しました。
会長:
他に御意見や御意見はございますか。よろしいでしょうか。それでは、次に進みたいと思います。
(会次第10)今後の日程について
会長:
会次第の10に入ります。今後の日程について事務局から説明をしていただきます。
収集書誌部長:
はい。では、今後の日程につきまして御説明いたします。資料の8をご覧ください。
今期納本制度審議会の主な審議事項としては、オンライン資料の補償に関する事項と、納入の一括代行事務に要する金額の改定に関する事項があります。納入一括代行手数料の改定については、本日の納本制度審議会終了後、引き続き代償金部会を開催し、審議をお願いしたいと思います。
次回、第27回の納本制度審議会は、来年度の開催を予定しております。
小委員会については、今年度中の開催を予定しております。
いずれも、具体的な日程につきましては事務局から改めて御相談させていただきます。
(その他)
会長:
予定されている議題や報告は以上で終了いたしましたが、何か御意見、御質問等はございますか。
委員:
オンライン資料について、定義はわかったが、どのような分野を集めるのか、また、収集するのが目的なのか、利活用するのが目的なのかがわからないのですが。
事務局:
これまで、物理的に形態のある紙やパッケージ系電子出版物を納本制度に基づき国民共有の文化財として収集し、保存し次の世代に継承するということを行ってきました。現在、物理的な形態を持つものから、オンライン情報へと媒体が移り変わっていく中で、オンライン情報についても国民共有の文化財として収集し、保存していく必要があるということで、収集の制度化を進めています。
委員:
私はオンライン資料の補償に関する小委員会の委員長を務めてきたので、これまでの議論を紹介しますと、何を収集対象にするかという話は審議会や小委員会でもかなりあったと記憶しています。ウィキペディアやケータイ小説なども含めて収集、保存するという、インターネットアーカイブ的なものを目指すという意見もあり、個人的にはそのような意見に賛成でした。しかし、議論を進めていくと、それらを網羅的に収集対象とするには、人手、予算、様々な権利処理といった制約があることが明らかとなり、まずはできることをやっていこうという話になりました。例えば、紙で出ているジャーナルが電子に移行してしまい、紙では出さなくなるケースが増えており、その場合、納本制度の収集対象外となり消え去ってしまう。まずはこのような、これまでは納本制度で収集できたものについては、収集から漏れるのを防ぐということからスタートしていこう、そこから収集範囲を広げていこう、というコンセンサスができあがったように思います。
ちょうど手元に、今年3月に開催されたオンライン資料の補償に関する小委員会で配布された、有償オンライン資料収集実証実験事業についての補足説明資料があり、その中で実証実験の対象となる電子書籍・雑誌の説明がされています。参照させていただくと、「現在の法制度上の収集対象となっている電子書籍・雑誌等と同じ範囲を想定しています。具体的に対象となるのは、①EPUB、PDF又はDAISYで作成されたもの、及び②①以外のファイル形式で作成されたもののうちISBN、ISSN又はDOIが付与されたものです。ただし、(A)データベース、(B)紙版の図書・雑誌・新聞と完全に同一版面のもの、(C)音楽や動画などが埋め込まれたものは、対象外として想定しています。」と記述されています。現在の制度収集も基本的には、紙と同じものというより、紙から電子に移行したもの、電子で最初から紙の出版物に類するものとして出されているものを集めることを主眼として行っていると思います。そのため、できるだけ紙と電子で重複を避けるように収集しているというように理解しておりました。
事務局:
電子と紙の両方の形態で出ているものについては、両方を集めていますので、一部は重複もあります。
委員:
文藝家協会でも深刻な問題となってきていて、別冊文藝春秋が完全電子化してしまいました。井上ひさしさんなどは別冊文藝春秋の掲載を経て直木賞を受賞しているが、もう紙では入手できないことになります。協会で毎年年鑑を作っているが、その元資料が紙ではもう手に入らないので、どう対応しようか考えているところです。角川さんのところの週刊アスキーも完全電子化しました。ビジネスの方が先行しているので、有償オンライン資料の収集制度化を急ぎ足でやっていかないといけないと思います。
委員:
オンライン資料の収集制度が始まったのはいつですか。
事務局:
平成25年7月から無償かつDRMなしのオンライン資料の制度収集が始まっています。
委員:
法律が成立して、オンライン資料収集が制度化されても、資料収集のための予算は3億何千万円程度と変わっていないのが現状です。法律は作っても予算はつかないというのは義憤を感じます。オンライン資料の収集を始めるに当たり、資料収集予算も増やしてもらうべきです。もう少し政治活動を盛んにしていただいて、紙の資料とは別途にオンライン資料収集の予算獲得を目指してほしいと思います。そうしないと、紙で発行されず、電子でしか出ないような資料が収集しきれなくなるのではないかと懸念しています。
会長:
私自身も、個人的には国立国会図書館や文化庁の予算はあまりにも少なすぎると感じています。文化にかける予算が少なすぎるのではないかというのは、角川委員がおっしゃるとおりです。他の業界に比べて圧力が弱いせいか、文化予算が増えないというのが現状ですが、文化立国を目指す上で、極めて重要な問題と考えています。
委員:
例えば、個人が国立国会図書館に寄付をした際に、相続財産や税金から控除されるといった制度は作れないのでしょうか。
会長:
現在でも、国に対する寄付は控除になると思います。
委員:
そうであるなら、その制度を明確に伝えるため、運動などをされたらいかがでしょう。そうすれば予算も増えるかもしれません。
会長:
国立国会図書館への寄付に限らず、日本はアメリカと比べ寄付文化が根付いていない現状があります。
委員:
ふるさと納税の代わりに寄付してくれるといいのですが。国立国会図書館は国であるから、それに対する寄付が控除されるというのをもっと知らせる必要があると思います。
委員:
ふるさと納税で連想しましたが、各地の文学館で危機的な状況のところが増えているという話を聞きます。人手も予算も全く足りない。国立国会図書館とのデジタルアーカイブ面での連携もまだまだ進んでいない状況ということを先日作家の皆様方から聞いたので、何とか連携を進めるような仕組みを作れないかと考えています。
会長:
著作権法の改正により、一部のデジタル化資料を国立国会図書館から他の公共図書館へ送信できるサービスが始まったので、地方の図書館の振興を図れるといいと思います。
委員:
違う観点からの意見ですが、今から20年くらい前に、国立国会図書館の中で、納本制度と電子出版物への対応に関する研究会に外部からの研究者として参加していました。1995年から1997年当時はインターネットがまだ始まったばかりの頃で、各国の対応と比較をしながら検討をしました。この時の研究成果は、図書館研究シリーズで発表されています。それから20年過ぎて、各国の最近の電子出版物への対応について、国立国会図書館内で検討されているのかどうか、もし情報があるのであれば、本日でなくてよいが、様々な場で御紹介いただければと思います。長尾先生が館長の時には、この面では世界の中でリーダー的な役割を果たしていた、出版界と図書館界とのいい関係が作られつつあったと思っています。その点では、むしろこちらの制度について、日本が外国に紹介するような立場かもしれませんが、違う観点から検討するためにも、各国の電子出版物に対する納本制度について、是非お知らせいただければと思います。
会長:
デジタル時代になって、納本に限らず、図書館の在り方についていろいろと難しい問題も出てきています。また、一国だけの問題ではなく世界的な問題にもなってくると思います。貴重な御意見をありがとうございます。他に何かありますか。
委員:
先ほどビジネス界で電子化が進んでいるという意見が出ましたが、アカデミックの方でも、学会の財政が逼迫していて、学会誌が次々と電子化されています。その意味でも、オンライン資料の収集制度化は重要です。そのためには、政策提言も頑張らなくてはいけないのかと思います。例えば、学術会議と合同でシンポジウムなども開くということも有効ではないでしょうか。私、学術会議の社会学委員会の委員長をしているので、御協力できることがあれば、是非と思っています。
会長:
貴重な御意見ありがとうございます。その他に御意見や御質問はありますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、以上をもちまして、第26回納本制度審議会の会次第は全て終了しましたので、これで散会といたします。
(午前10時45分終了)

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