平成27年度第1回納本制度審議会オンライン資料の補償に関する小委員会議事要録
- 日時:
- 平成28年3月23日(水)午前9時45分~午前10時22分
- 場所:
- 国立国会図書館本館3階総務課第一会議室
- 出席者:
- 福井健策小委員長
植村八潮委員、永江朗委員、佐々木隆一専門委員、三瓶徹専門委員、樋口清一専門委員 - 会次第:
-
- 電子書籍・電子雑誌収集実証実験事業に関する報告
- その他
- 配布資料:
-
- (資料1)納本制度審議会オンライン資料の補償に関する小委員会所属委員及び専門委員名簿(五十音順)
- (資料2)電子書籍・電子雑誌収集実証実験事業について
- (資料3)電子書籍・電子雑誌収集実証実験事業の意義・経緯
- (資料4)国立国会図書館の想定する実証実験のための技術的枠組
- (資料5)電子書籍・電子雑誌収集実証実験事業についての補足説明資料
- (資料6)納本制度審議会オンライン資料の補償に関する小委員会審議経過報告
- 議事概要:
-
資料2に基づいて、事務局から、平成27年12月1日に開始された電子書籍・電子雑誌収集実証実験事業について説明を行い、質疑応答が行われた後、今後も実証実験事業を着実に進めることで了解が得られた。主な発言は以下のとおりである。
- 出版社が電子書籍・電子雑誌を実証実験に提供するために著作者の許諾が必要であるが、実証実験のことを知らない著作者は、依頼状を受けとっても、書面だけではよくわからない。説明がないと、許諾書を送り返さないこともあるかもしれない。著作者の理解を深めていくことが課題のひとつではないか。
- 認知度を上げるために、著作者団体と国立国会図書館が共催で、シンポジウムなどを行うことを考えてもよいのではないか。出版社の編集者にも、実証実験を知らない人がいるのではないか。認知度を高めるために仕掛けていく必要がある。
- 学術専門書の出版社は、電子ジャーナルになじみがあり、例えば、大学図書館でのプリントアウトサービスは当たり前と考えている。これに対して、一般の電子書籍は、プリントアウトにはハードルがあるだろう。利用者のニーズを満たすためには、プリントアウトできることを目標に、権利者まで丁寧な説明をする必要があるのではないか。
- OPACで検索したときに、実証実験対象資料を電子書籍で読めることがわかるようにフラグを立てることができるとよい。
- 実証実験での収集目標は1万点ということだが、1万点を集めるための方策を考えるのではなく、現在市場に流通している30万点を集めるのにはどうするかという発想が必要ではないか。コンテンツの種類によって扱いを変えてよいと思う。学術専門書はプリントアウトできるが、個人認証をかけている。一方、文芸書でそれをやるのはおかしなことになる。コンテンツの種類に応じて扱いを変えないと、文芸書、学術専門書など広範囲に集められないのではないか。
- 学術専門書の出版社は苦境にあり、図書館で電子書籍が自由に閲覧できるようになることに警戒心が強い。実証実験のハードルは低くし、意義をよく理解してもらわないといけない。実証実験に参加していない出版社の懸念や要望についても調査してはどうか。
- コンテンツごとに事情が違うので、事情の違いを整理できるような実証実験をしないといけない。文芸書に合わせていくということでは、いろいろ問題が生じて混乱の種になる。図書館の電子サービスにおいてどういう整理をしていったらいいのかというところに踏み込んで、実証実験で採取すべきデータを絞り込んでいった方がよい。
- 将来のビジョンを示しながら、実証実験を進める必要がある。利用者のニーズを掘り起こすような実証実験であるべき。
- 国立国会図書館の利用者層を出版社に知ってもらうことが必要であると思う。調査研究目的の利用者が多数で、公共図書館の利用とは違う。国立国会図書館の役割がビジョンにつながるようにすべきだ。
(以上)