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平成29年度第1回納本制度審議会オンライン資料の補償に関する小委員会議事要録

日時:
平成30年3月23日(金)午後1時30分~午後3時
場所:
国立国会図書館本館3階総務課第一会議室
出席者:
福井健策委員長、植村八潮委員、遠藤薫委員、斎藤誠委員、永江朗委員、根本彰委員、佐々木隆一専門委員、三瓶徹専門委員、樋口清一専門委員
江草貞治一般社団法人出版梓会副理事長(株式会社有斐閣社長)、金原優一般社団法人自然科学書協会理事(株式会社医学書院会長)、金原俊一般社団法人日本電子出版協会会長(株式会社医学書院社長)
会次第:
  1. 小委員長の挨拶
  2. 電子書籍・電子雑誌収集実証実験事業について
  3. 学術専門書系の電子書籍・電子雑誌の出版・流通事情に関するヒアリング
  4. 今後の予定について
配布資料:
  • (資料1)納本制度審議会オンライン資料の補償に関する小委員会及び専門委員名簿(五十音順)
  • (資料2)電子書籍・電子雑誌収集実証実験第2段階における枠組み(案)【改】
  • (資料3)学術専門書系の電子書籍・電子雑誌の出版・流通事情について(ヒアリング項目)
  • (参考資料1)電子書籍・電子雑誌収集実証実験事業について(平成30年1月)
  • (参考資料2)電子書籍・電子雑誌収集実証実験第2段階における枠組み
  • (参考資料3)電子書籍・電子雑誌収集実証実験第2段階における枠組みに対する主な意見
議事概要:

資料2に基づいて、事務局から、平成27年12月1日に開始された電子書籍・電子雑誌収集実証実験事業の現状について説明を行った。

資料3に基づいて、学術専門書系の電子書籍・電子雑誌の出版・流通事情に関するヒアリングを実施した。主な発言は次のとおりである。

  • 図表が多く含まれる、レイアウトに編集上の工夫がある等の理由で、リフロー型のEPUB形式ではなく、版面固定型のPDF形式が主流。
  • 個人向けの配信と機関(図書館、大学、病院等)向けの配信がある。個人向けはダウンロード方式、売り切り型、著作物単位提供の傾向がある。機関向けはストリーミング方式、利用できる期間を区切った利用権契約型、セット提供の傾向がある。個人向けと機関向けで、あるいは機関の中でも規模や使用頻度によって、値付けは異なる場合がある。制度収集にあたっての補償の考え方にも影響する。
  • 汎用的なメタデータフォーマットがなく、販売サイトごとに独自に管理している状況。国立国会図書館への提供にあたり、メタデータ作成に係る過大な作業を求められると、対応は難しい。
  • 版元ごとに、データ保管状況は異なる。コンテンツファイルとメタデータを保管している場合でも、刷違いのデータまで全てを保管するのは難しい状況。
  • 専用ビューアを要するものについては、購入者が特定の環境のみで閲覧できるようDRMをかけているものが多い。webブラウザや一般ビューアで閲覧できるものについては、ソーシャルDRM(複写禁止のフットプリント)をかけたり、ファイル単位を1頁/1論文ごとと小さくしたりすることで、違法複製のリスクを抑える等の対策を行っている。
  • 電子書籍等の制度収集について、収集・保存と閲覧提供は分離して考えて欲しい。
  • 消滅の恐れがある電子書籍等を、国立国会図書館が収集することには意義がある。長期的な保存とアクセス保証を可能とするため、特定のフォーマットに依存しない形式で保存するのが望ましい。
  • コンテンツの中身そのものに加えて、他のコンテンツと相互リンクすることで表現される「拡張された機能を持つ本」や、コンテンツ間の横断検索機能を付随させたサービスが増えている。それらは、概ね特定のプラットフォームに依存しているが、収集対象に含めるのか。収集対象としても、保存や利用に際してのハードルは高いのではないか。
  • 国立国会図書館が収集・保管した電子書籍等は閲覧提供せず、各社が提供する電子配信サービスを利用することも検討してほしい。ただし、国立国会図書館と付随する施設内での閲覧提供に限られるのであれば、商業ビジネスと競合することはないと考えている。必要な部分を少しだけ見たいという来館利用者の要望に応えることは国立国会図書館が果たすべき役割であり、電子書籍に接する機会を作ることは出版社にとっても悪いことではない。一方で、地方の公共図書館への配信まで行うのは、相当大きなビジネス上の影響があり、許容し難い。
  • 国立国会図書館では、国内外の雑誌・論文、新聞、法令・判例等の商用データベースについて、契約に基づき利用可能である。
  • 商業プラットフォームで提供されたコンテンツは、公序良俗に反する場合、著作権侵害が発覚した場合などの例外を除けば、提供が中止されるケースはあまりない。一方、版違いにおける内容の差分にも価値があるという考え方もあり、旧版の扱いについては課題があると認識している。

(以上)

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