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第29回納本制度審議会議事録

日時:
平成30年1月26日(金)午前10時30分~11時30分
場所:
国立国会図書館東京本館3階総務課第一会議室
出席者:
中山信弘会長、福井健策会長代理、植村八潮委員、江上節子委員、遠藤薫委員、相賀昌宏委員、角川歴彦委員、斎藤誠委員、鹿谷史明委員、重村博文委員、永江朗委員、根本彰委員、佐々木隆一専門委員、三瓶徹専門委員、樋口清一専門委員
会次第:
  1. 委員の委嘱の報告
  2. 納本制度審議会の目的及び構成
  3. 代償金部会所属委員の指名の報告
  4. 会長の選出
  5. 会長の挨拶
  6. 会長代理の指名
  7. 国立国会図書館長の挨拶
  8. 小委員会の設置について
  9. 事務局からの報告
    平成28年度出版物納入状況、平成29年度代償金予算及び平成28年度代償
    金支出実績、電子書籍・電子雑誌収集実証実験事業の現状等
  10. 今後の日程について
配布資料:
  • (資料1) 第28回納本制度審議会議事録
  • (資料2) 納本制度審議会委員・専門委員名簿
  • (資料3) 納本制度審議会の構成
  • (資料4) オンライン資料の補償に関する小委員会の設置について(案)
  • (資料5) 資料別納入実績(最近3年間)
  • (資料6) 納入出版物代償金 予算額と支出実績(最近5年間)
  • (資料7) 電子書籍・電子雑誌収集実証実験事業について(平成30年1月)
  • (資料8) 国立国会図書館法(昭和23年法律第5号)(抄)
  • (資料9) 納本制度審議会規程(平成9年国立国会図書館規程第1号)
  • (資料10)納本制度審議会議事運営規則(平成11年6月7日納本制度審議会制定)
  • (資料11)国立国会図書館法によるオンライン資料の記録に関する規程(平成25年国立国会図書館規程第1号)
  • (資料12)国立国会図書館法第25条の4第4項に規定する金額等に関する件(平成25年国立国会図書館告示第1号)
  • (資料13)国立国会図書館法第25条の規定により納入する出版物の代償金額に関する件(昭和50年国立国会図書館告示第1号)
議事録:
(開会)定足数の確認等
収集書誌部長:
それでは、定刻となりましたので、第29回納本制度審議会を開催いたします。本日は、委員の皆様にはお忙しいところ御出席くださいまして、誠にありがとうございます。国立国会図書館収集書誌部長の大曲でございます。
御案内のとおり、昨年7月1日付けで第10期の審議会委員の委嘱をさせていただきました。本日は委嘱後の最初の審議会でございますので、互選となっております会長が選出されるまでの議事につきまして、私が進行役を務めさせていただきます。
なお、第10期発足に当たって、後ほど館長の羽入から御挨拶申し上げますが、私は速やかに議事に入らせていただきますので、御了承ください。
まず、本日は15名の委員中、委員1名がまだいらしておりませんけれども、11名の方々に御出席いただいておりますので、定足数は満たされております。
会の次第と資料につきましては、机上に御用意したとおりでございます。審議中、もし資料の欠落等に気づかれましたら、事務局にお知らせください。それでは、早速、会次第を進めさせていただきます。
(会次第1)委員の委嘱の報告
収集書誌部長:
会次第1、委員の委嘱について御報告させていただきます。
まず、お手元の資料のうち、資料1は前回の議事録でございまして、すでに全委員に御確認いただいた上、公表もしているものですので、本日この場では扱いません。
資料2を御覧ください。こちらに第10期の委員を載せてございます。〔委員1名到着〕皆様いろいろな肩書きをお持ちの方ばかりなのですが、国の機関であることや審議会でのお立場など勘案しまして、御本人御了解の上、ここに載せたような肩書きにさせていただいております。御了解ください。
このうち新規に委嘱させていただいた委員の方について、僭越ながら私から、御紹介させていただきます。
〔収集書誌部長から、新規委嘱委員の紹介〕
委員の任期は、2年とされておりますので、平成31年6月30日まで、何卒よろしくお願いいたします。
(会次第2)納本制度審議会の目的及び構成
収集書誌部長:
続きまして、会次第2に入ります。新しい委員もいらっしゃいますので、審議会の目的等につきまして、改めて説明させていただきます。
〔資料3に基づき説明〕
(会次第3)代償金部会所属委員の指名の報告
収集書誌部長:
続きまして、会次第3に入ります。代償金部会所属委員の指名の御報告です。資料2にお戻りいただけるでしょうか。
代償金部会所属委員は、委員の委嘱と同日の7月1日付けで、7名の方にお願いいたしました。資料にありますとおり、江上委員、相賀委員、斎藤委員、鹿谷委員、重村委員、根本委員及び福井委員でございます。
本日は、審議会の終了後に、部会の開催も予定されております。よろしくお願いいたします。
(会次第4)会長の選出
収集書誌部長:
それでは、会次第4、会長の選出に入らせていただきます。この手続は、委員の方の互選となっております。どなたか御推薦をお願いいたします。
委員:
是非中山委員に今期も私たちを率いていただければと思います。
収集書誌部長:
ただいま、中山委員を会長にとの御推薦がございましたが、他の委員の方はいかがでございましょうか。
委員一同:
異議なし。
収集書誌部長:
御異議がないようですので、中山委員が会長に決定いたしました。この後の議事をよろしくお願いいたします。
(会次第5)会長の挨拶
会長:
中山信弘です。引き続き会長を務めよということでございますので、委員の皆様方の御尽力、御助言を得まして、今期務めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
なお、傍聴の方々は、メモをとることは差し支えございませんが、録音及び写真撮影については、御遠慮くださいますよう、引き続き御協力をお願いします。
(会次第6)会長代理の指名
会長:
続いて、会次第6、会長代理の指名に移ります。納本制度審議会規程第5条第3項によれば、「会長に事故があるときは、会長があらかじめ指名する委員が、その職務を代理する」こととなっておりますので、福井委員を会長代理に指名いたします。福井委員、よろしくお願いいたします。
委員:
はい、承りました。
(会次第7)国立国会図書館長の挨拶
会長:
会次第7に入ります。国立国会図書館長から御挨拶を頂戴したいと思います。羽入館長、よろしくお願いいたします。
館長:
館長の羽入でございます。会長にはこのような機会をいただきまして誠にありがとうございます。
皆様方には、大変御多忙にもかかわらず、第10期の国立国会図書館納本制度審議会の委員をお引き受けいただきまして心から感謝申し上げます。また、長年この審議会で御議論いただいている先生方も多く、引き続き御助言賜わりますようお願い申し上げます。
改めて申し上げるまでもなく、国立国会図書館の使命を考えましたときに、納本制度等、法律に基づいて行う資料の収集は、館のあらゆる活動の基盤となるものであり、この基盤を基に国会、そして国民、すべての利用者の方々が資料へのアクセスが可能になるよう、それを保障するために納本制度というものは不可欠なものであります。これらの制度等の改善及び適正な運用のため、御指導、御教示を賜りますよう、心からお願い申し上げます。
本年、国立国会図書館は開館70周年を迎えます。同時に、納本制度も運用を開始してから70年となる節目の年となります。
制度発足当時から考えまして、資料の収集に係る状況、そして、館を取り巻く状況は著しく変容していると考えております。その都度状況変化に応じて納本制度も更新を図ってまいりました。
特に、昨今の、出版物を巡る情況は、予測できない程の早さで変化しております。こうした状況の変化に対してできる限り対応すべく、館に課せられた使命を心に留めて、そして、できる限り多くの方々に御利用いただけますように取り組んでまいりたいと考えております。
さて、直近の課題であるオンライン資料の収集につきましては、まず、無償で技術的な制限なく配信されているオンライン資料を対象として、平成25年7月から制度的な収集を開始いたしました。
有償で配信されているオンライン資料につきましては、この審議会において御検討いただいた方向性に基づき、出版界・著作者等の関係の皆様の御理解と御協力をいただき、平成27年12月から収集と館内利用に関する実証実験を開始し、2年が経過したところでございます。
この実証実験によって得られた情報をもとに、この審議会での御議論の結果を参考にさせていただき、出版関係の方々の御理解を得ながら、国立国会図書館として有償オンライン資料の制度的な収集に向けて努めてまいりたいと考えております。
この審議会におかれましても、引き続き御審議を賜りますよう、心からお願い申し上げます。
第10期の審議会会長に選出されました中山先生には、一層の御指導をいただきますようお願い申し上げます。委員の皆様方には、中山会長のもと、深い御見識と御経験に基づく御意見を賜りますよう、納本制度等の一層の充実、円滑な運用に向けて御審議いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
以上、第10期審議会の発足に当たりましての皆様への心からのお願いの御挨拶とさせていただきます。本日はありがとうございます。これからもよろしくお願い申し上げます。
会長:
続けて、副館長からも一言御挨拶をいただきたいと思います。
副館長:
副館長の坂田でございます。皆様方には、平素より当館の資料収集に係る法制度関連の御知見を賜りありがとうございます。今後とも審議会等を通じて一層の御指導をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
(会次第8)オンライン資料の補償に関する小委員会の設置について
会長:
当審議会では、第21回納本制度審議会において諮問を受けた「平成22年6月7日付納本制度審議会答申『オンライン資料の収集に関する制度の在り方について』におけるオンライン資料の制度的収集を行うに当たって補償すべき費用の内容について」を専門的見地から調査審議させるために、「オンライン資料の補償に関する小委員会」を設置し、平成24年3月に中間答申の原案をとりまとめております。資料4を御覧ください。
先ほどの羽入館長からの挨拶にもありましたように、引き続き有償オンライン資料の制度収集の施行に向けまして審議するよう依頼を頂戴したところです。
今期の納本制度審議会では、収集したオンライン資料に対する補償のあり方については、電子書籍の製作及び流通の実情を把握し、法的、技術的な面で専門的事項について調査審議する必要があるという観点から、この小委員会においてさらなる調査審議を進めたいと存じます。
また、この所属委員といたしまして、植村委員、遠藤委員、斎藤委員、永江委員、根本委員及び福井委員にお願いします。専門委員からは、佐々木様、三瓶様と樋口様にお願いいたしまして、小委員長には福井委員を指名したいと存じます。この点について、御異議はございませんでしょうか。
委員一同:
異議なし。
会長:
ありがとうございます。福井小委員長をはじめ、小委員会に所属する委員、専門委員の方々には、調査審議をよろしくお願いいたします。それでは、福井小委員長から一言お願いいたします。
委員:
有償オンライン資料の制度収集の施行に向けて引き続き小委員長を行うようにとのことですので、所属の委員・専門委員の方々の御協力を得て、慎重に検討を行ってまいりたいと思います。これは新しい制度でありますので、関係の皆様、様々な御苦労がおありかと思います。しかしながら、しばしば夜明け前が一番暗いとも申します。一番大変なときはゴール間近なときではないかとも考えております。時代の流れに対応すべく、スピード感を持った議論を心掛けたいと思います。よろしくお願いいたします。
会長:
ありがとうございました。よろしくお願いいたします。小委員会の名簿につきましては、この後、事務局から配布してもらいます。
(会次第9)事務局からの報告
会長:
続いて、会次第9に移ります。事務局から、2点の報告があるそうです。まず1点目は、平成28年度の出版物納入状況等についての報告です。よろしくお願いします。
事務局:
〔平成28年度出版物納入状況、平成29年度代償金予算及び平成28年度代償金支出実績について、資料5、6に基づき説明〕
会長:
ありがとうございました。次の報告は、電子書籍・電子雑誌収集実証実験事業の現状等についてです。こちらも事務局からの報告をお願いします。
事務局:
〔電子書籍・電子雑誌収集実証実験事業の現状等について、資料7に基づき説明〕
収集書誌部長:
実証実験の現状につきまして、若干捕捉いたします。資料7の通しページ19頁を御覧ください。ただ今御報告したのは実証実験の第1段階であり、外部に用意されたサーバを当館側から見に行く、主に収集した資料の利用とその影響、技術的な課題についての実験です。これを約3年行います。平成31年以降は、第2段階に移行する想定で、大きな違いは、データの保管と利用について、リポジトリの仕組みの政策的な課題についての分析ができる実証実験にしなければならないということです。第2段階をどのような形で実施するか、その枠組み等につきましては、昨年度から実証実験の第1段階会議や審議会の場を通じて、当館の考えを御説明してきました。今年度も引き続き、国全体として有償の電子書籍・電子雑誌について後世に貴重な文化的資産を残すことができる仕組みを、関係者の御理解のもとで実現するために、誠心誠意御説明をしながら、全力を挙げて調整の努力をしてまいりたいと考えているところです。
会長:
ただ今の事務局からの報告について、何か御質問や御意見はありますか。本日の議論の中心は正にこの点でございますので、よろしくお願いいたします。
委員:
納本制度全体のことで質問させてください。資料3で納本制度審議会の仕事に関し、納本制度並びにインターネット資料及びオンライン資料の記録に関する制度に関する重要事項や代償金等などを扱うこととなっております。本日や過去も、納本制度の運用について御報告いただいているのですが、資料5の納入実績のように、これまで紙やパッケージ関係の資料についての御報告はございましたが、インターネット資料やオンライン資料の扱いについてもこの審議会で取り扱うことになっているので、運用全体がどうなっているのか全体像を把握したいと思っていたところでございます。その辺りの統計はどうなっているのでしょうか。
現在、有償でDRM付きのオンライン資料が議論の中心となっています。例えば、無償でDRMなしのオンライン資料は収集の対象となっていると理解していますが、こういうものの運用全体が国立国会図書館としてどうなっているのか、次回でも構いませんので、こういう場で共有しておいた方がいいのではないかというのが私の考えでございます。
また、国立国会図書館の代償金などを巡る議論が中心になっていると理解していますが、納本制度というのはかなり広いものであるし、デジタル化の状況の中で、紙やパッケージ系のノウハウだけでは処理できないような新しい問題が色々出ていると思います。そういうもの全体をこの審議会で議論するのかよく分かりませんけれども、ただ、大きな変動、変容の状況を共有できた方が審議会の運用としては望ましいのではないかと考えておりまして発言させていただきました。
会長:
事務局からお願いいたします。
収集書誌部長:
委員の御指摘のとおりでありまして、紙から電子に移ってきております。 平成12年からCD等のパッケージ系を収集し始めており、そこまでが有体物でございまして、それから無体物の収集に努力をしているというところでございます。まず、インターネットの資料収集を目指して、これは国、地方自治体等の公的機関のインターネット資料を集めることとしております。あとで数字は御報告いたしますが、これは相当な規模、頻度でホームページを集めております。そこから切り出して、電子書籍・電子雑誌のようなものも相当な集積となってきております。
平成25年7月からは、民間のインターネット上に出版されている資料も制度的収集を開始しており、現状では、無償で頒布されているISBNやISSN等が付いているものやファイルフォーマットがEPUBやPDFのもの等を対象にして、少しずつ収集範囲の拡大に務めております。
そして、現在は、有償の電子書籍・電子雑誌の収集とそれを後世にどう残していくのか、利用環境をどうするのかがまさに課題となっております。こういう流れになっております。
事務局:
では数字につきまして御報告させていただきます。
オンライン資料として、制度収集を行いましたものは、国立国会図書館年報によりますと、平成28年度末で20,116件となっております。それ以外にWARPから抽出したものや制度以外で許諾で収集したものは、概数14万件ほどになると考えられます。
委員:
ありがとうございます。今後も今のような形で御報告いただければと思います。もう少し言うと、資料5では、官庁出版物と民間出版物で分けてあるので、ここでも分けて報告するといいのかなと思います。
事務局:
先ほど申し上げた数字はいずれも民間のものとなっております。失礼いたしました。WARPから抽出した公的機関のオンライン資料は28万件を超える数字でございます。また、サイトとして収集した数字はまた別になりますので、次回のときにはそうしたことも一覧表として御用意したいと存じます。
委員:
関連で私も気になったことがあります。通しページ16頁の変化の質問ですが、パッケージ系電子出版物の官庁出版物が例年減ってきていることが明らかになっています。これは、官庁はパッケージのCD-ROMを作らないで、ウェブサイトで公開するだけになっているのではないかと推測できます。もし収集の上でそのような傾向が分かっていれば教えていただきたいと思います。そして、この表の中に納本における資料や予算とは別になってしまうから載せられなかったのかもしれませんが、いわゆるオンライン資料の官庁のコンテンツがどれくらいあるかということを併せて書いていただかないと、単純に減っているように見えてしまうのが気になりました。もしこの数字が減っていることも含めて分かっていることがあれば教えてほしいと思います。
会長:
事務局からお願いいたします。
収集書誌部長:
委員の御指摘の部分はあると思いますが、正確に官庁のパッケージ系で省庁のものや自治体のものが減って、一方でオンラインでの発信が増えているのか、その辺りを厳格に調査したことはないので、今後の課題であると思います。ただ、紙と電子との関係を調べたとき、WARPという国や地方自治体のホームページから刊行物も含めて全部を網羅的に収集する仕組みで、世界的にも優れた制度で集めている仕組みだと思いますが、そちらの方の収集と併せて全体の収集率を考えますと、自治体も含めて収集率は上がってきています。紙からCDになり、それがオンラインになってきています。それに対する当館の対応は順次行っています。WARPで相当深いところにある資料以外は相当集められている状況だと思います。
委員:
民間のパッケージ系出版物の収集が増えたり減ったりしている割には、支出実績が増えています。特段高いものがあるのか、時代の流れからするとパッケージ系出版物は減っている可能性があるにもかかわらず、支出が増えている理由がもし分かれば御教示いただければと思います。
会長:
事務局からお願いいたします。
事務局:
当館では毎年収集に課題のある分野あるいは媒体の資料について重点をおいて収集に取り組んでおります。平成28年度は、DVDソフトやBlu-rayあるいは音楽CDといった映像資料や録音資料の収集に重点を置いて取り組みました。パッケージ電子出版物の中に、DVDやBlu-ray、音楽CDといった映像資料や録音資料が含まれておりまして、こうした収集の重点的な取組みが支出実績の数値に反映されております。
委員:
電子書籍・電子雑誌収集実証実験の第1段階から第2段階に移った場合に、図だけ見ると、日本電子書籍出版社協会から外に出した暗号化されたデータを図書館でということしか分からないのですが、そこについてもう少し丁寧に説明していただいた方がよいのではないでしょうか。
会長:
事務局からお願いいたします。
収集書誌部長:
この辺りは雑ぱくな図になっていることは事実でございますが、ただ、現在の法律の制度、国立国会図書館法でオンライン資料を収集するといったときに、サーバについては、収集と認められるような仕組みで第2段階については構成するというような図となっております。ただ、この辺りは実験でございますので、色々な考え方が出版界にはあると思います。第2段階の図については、当初実験を開始する段階で考えていたものですが、今後、出版界の皆様と話合いをしながら、サーバの位置についてもどのような形での対応が可能なのか、色々と意見を交わしながら議論をして、審議会の先生方の御意見もいただいて、法律の制度的収集の枠の中に収まり、出版界の御理解も得られる形にしたい。第2段階の形はこれで決まったというものではないので、出版界を始め関係者、ステークホルダーの方々と協議しながら、審議会で御議論いただいて、調整を続けていきたいと考えております。何とか決着点を見つけていきたいというのが今の考え方でございます。
会長:
よろしいでしょうか。
委員:
あまりよろしいようには聞こえないのですが、やはり出版界としては、法律がどうというよりも、出版界にとって利益になるかどうか、損害が大きくなってしまうのではないかを気にしていると思います。その辺りのことを率直に聞いていただいた方がむしろいいのではないかというふうに思います。日本書籍出版協会理事長や日本雑誌協会理事長もいますので。
会長:
それをこれから詰めていくものと考えていますが、図書館の使命としては、資料を100年200年300年保存するという点もありますし、一方で、出版社の権利利益も守らなければいけない。その辺りの調整がこれからの実験、調査の目的になるのではないかと思います。
委員:
私は、電子書籍・電子雑誌収集実証実験の第1段階会議の委員でもあり、少し状況が分かる面もあります。
ちょっと違った見方で今日の報告を見ると、利用状況調査がほとんどです。どうしてもこういうものを見ると、興味深いので、利用がないとニーズがないのではないかと利用を増やすことばかり考えがちです。しかし、この目的は、網羅的な収集を実現して、さらにそれを技術的に検証するとか、ビジネスへの影響を検証するとか、出版界の協力を得られる形をどう作るか、コンセンサスを得られるかが目的です。余談となりますが、私は、障害者差別解消法以降、電子書籍が非常に有効であると捉えて、研究や調査をしています。公共図書館で電子書籍の導入が進まないことについてアンケートを採ると、一番多いのがニーズや要望がないという発言です。しかし、御理解いただいているとおり、図書館の蔵書はニーズによって収められているわけでは決してないわけです。ましてや国立国会図書館にあっては網羅的に集めておくという、未来に引き渡すという意義をより理解しなければならないわけです。どうしてもこのアンケートの出し方では、利用が低いといった議論になりがちになってしまうので注意された方がよいのではないかと思います。未来に向かって、どう理解を得ていくか、情報提供の仕方も考慮されてはいかがかなと思いました。
委員:
委員のおっしゃるとおりだと思うのですが、関連して通しページ24頁の利用状況につきましては、コミックを増やせば需要が増えるというふうになってしまいます。実際に公共図書館でもコミックばかり増えていくという傾向もあると聞いているので、利用状況の出し方も問題になり得るかなと思います。
また、ジャンル分けを、どのような基準で提示しているか、分かり難いと思います。例えば、「ドキュメンタリー・ノンフィクション・ルポ」と、「ドキュメンタリー・ノンフィクション」があります。「文藝」とその他の小説との関係も分からず、どのようにジャンルが決定されているか御教示いただけると幸いです。
事務局:
通しページ21頁を御覧いただけますでしょうか。実証実験は電書協との受託関係で実施しています。集めていただいたコンテンツの提供は、「電子文庫パブリ」を基本としており、その枠組みの中でジャンル分けも活用させていただいております。商業的なジャンル分けとなっており、国立国会図書館で行う分類とは異なる点もございます。
委員:
小委員長ということではありますが、一委員として意見を申し上げます。会長の御発言や先ほどの委員の御発言に非常に共感するところが大きいわけでありまして、我々は、保存と利用を分けて考えるべきではないかと思います。国の予算を、消え去ってしまう様々なコンテンツの保存のために活かしていく、一方で、保存されたものを利活用していく主体はあくまでも民間であるという仕分けは、既に多くの関係者で共有されているのではないかと思います。国のリソースと民間の力を一刻も早く合致させて、保存、利用両面で活かしていくのが大事なことではないかと思います。
館長の言葉にもあったように変化が非常に早い時代にあって、スピードイコールクオリティという部分がありますので、数年かかって議論して、それでまた次の数年に向けての課題が見つかりましたというスピードでは到底追いつくことはできないように思います。そのスピードでは存在しないのと一緒ということになりかねないのです。その場合、代わりにどこがデジタルのコンテンツ流通を担っていくのかというと、海賊版と海外からきたデジタルプラットフォームになりかねない。というよりは、現状はかなりそうなってきてしまっている気がします。ちょうど出版産業の売上高のデータが出たところで、約4.2%の減少が伝えられていますが、その主因として躍り出てきているのが海賊版です。我々も対応をともに行っていますが、おそらく今最も悪質な海賊版で月間の訪問者数が数千万人規模であり、少なく見積もって3千万人以上の数値は出ているはずです。さきほどの、閲覧数月間700といった報告や漫画の比率が云々というレベルの議論をしているゆとりはない。正規版のデジタルアーカイブを一刻も早く立ち上げていかなければ、他のところにその役割が奪われてしまいかねないことも踏まえつつ、多くの関係者が納得できる解を見つけていきたいと思います。
会長:
他に御意見や御意見はございますか。よろしいでしょうか。それでは、次に進みたいと思います。
(会次第10)今後の日程について
会長:
会次第10に入ります。今後の日程について事務局から説明をしていただきます。
収集書誌部長:
今後の日程につきまして御説明いたします。今期納本制度審議会の主な審議事項としては、オンライン資料の補償に関する事項があります。
次回、第30回の納本制度審議会は、来年度の開催を予定しております。小委員会については、今年度中の開催を予定しております。いずれも、具体的な日程につきましては事務局から改めて御相談させていただきます。
会長:
ただ今の説明について、何か御質問等はありますか。よろしゅうございますか。
(その他)
会長:
予定されている議題や報告は以上で終了いたしましたが、何か御意見、御質問等はございますか。
委員:
(有償オンライン資料の)収集と利活用という大きな問題について、収集は国立国会図書館が真摯に対応するということで評価できると思いますが、その利活用については、前々から出版界の同意が得られるような形が可能だという議論がありながら、なかなか両者とも立ち入ることを避けてきたところがあるように思われます。もうそろそろ真摯に話し合っていくような状況であると思います。先ほど話にもあったように、海賊版サイトが急速に出版界を侵食し始めており、国立国会図書館の利活用に貢献できることがあるなら、審議会の委員をしている意義もあり、議論も深めていきたい。
収集書誌部長:
我々としても、利用と収集が本当の意味で両立するように今後話し合い、実証実験第2段階の方法につきましても十分に誠意を尽くして御相談してまいりたいと存じます。
会長:
先ほど委員がおっしゃったとおり、是非国立国会図書館と出版社等の関係者との関係について、スピーディにやらなければならないので、関係者各位是非よろしくお願いいたします。
それでは、以上をもちまして、第29回納本制度審議会の会次第はすべて終了いたしました。
本日はこれにて散会といたします。ありがとうございました。
(午前11時30分終了)

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