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第32回納本制度審議会議事録

日時:
令和元年8月5日(月)15時00分~16時05分
場所:
国立国会図書館東京本館3階総務課第一会議室
出席者:
斎藤誠会長、福井健策会長代理、植村八潮委員、江上節子委員、江草貞治委員、遠藤薫委員、相賀昌宏委員、奥邨弘司委員、鹿谷史明委員、重村博文委員、柴野京子委員、永江朗委員、根本彰委員、佐々木隆一専門委員、樋口清一専門委員
会次第:
  1. 委員の委嘱の報告
  2. 納本制度審議会の目的及び構成
  3. 代償金部会所属委員の指名の報告
  4. 会長の選出
  5. 会長の挨拶
  6. 会長代理の指名
  7. 国立国会図書館長の挨拶
  8. 小委員会の設置について
  9. 事務局からの報告(平成30年度資料収集状況、平成30年度出版物納入状況、令和元年度代償金予算及び平成30年度代償金支出実績、電子書籍・電子雑誌収集実証実験事業の現状等)
  10. 今後の日程について
  11. その他
配布資料:
  • (資料1)第31回納本制度審議会議事録
  • (資料2)納本制度審議会委員・専門委員名簿
  • (資料3)納本制度審議会の概要
  • (資料4)オンライン資料の補償に関する小委員会の設置について(案)
  • (資料5)国立国会図書館の資料収集状況(平成30年度末時点)
  • (資料6)資料別納入実績(最近3年間)
  • (資料7)納入出版物代償金 予算額と支出実績(最近5年間)
  • (資料8)電子書籍・電子雑誌収集実証実験事業報告(令和元年8月)
  • (資料9)国立国会図書館法(昭和23年法律第5号)(抄)
  • (資料10)納本制度審議会規程(平成9年国立国会図書館規程第1号)
  • (資料11)納本制度審議会議事運営規則(平成11年6月7日納本制度審議会制定)
  • (資料12)国立国会図書館法によるオンライン資料の記録に関する規程(平成25年国立国会図書館規程第1号)
  • (資料13)国立国会図書館法第25条の4第4項に規定する金額等に関する件(平成25年国立国会図書館告示第1号)
  • (資料14)国立国会図書館法第25条の規定により納入する出版物の代償金額に関する件(昭和50年国立国会図書館告示第1号)
議事録:
(開会)定足数の確認等
収集書誌部長:
それでは、定刻となりましたので、第32回納本制度審議会を開催いたします。本日は、委員の皆様にはお忙しいところ御出席くださいまして、誠にありがとうございます。国立国会図書館収集書誌部長の山地でございます。
御案内のとおり、本年7月1日付けで第11期審議会委員の委嘱をさせていただきました。本日は委嘱後の最初の審議会でございますので、互選により会長が選出されるまでの議事につきまして、私が進行役を務めさせていただきます。
まず、本日は15名の委員中、御覧のとおり13名の方々に御出席いただいておりますので、定足数は満たされております。次に、配布資料について御説明いたします。
事務局:
〔配布資料について説明〕
なお、議事の進行に関し1点お願いがございます。御発言の際は、卓上のマイクのスイッチを入れてからお話しいただき、御発言が終わりましたら、その都度、マイクのスイッチを切っていただくようにお願い申し上げます。また、傍聴の方は、メモをとることは差し支えございませんが、録音及び写真撮影については、御遠慮くださいますよう、御協力をお願いいたします。
収集書誌部長:
それでは、会次第を進めてまいります。
(会次第1)委員の委嘱の報告
収集書誌部長:
会次第1、委員の委嘱について御報告いたします。
まず、お手元の資料のうち、資料1は前回の議事録でございます。前回御出席いただいた委員皆様に御確認いただいた上、当館ホームページで公表もしているものですので、本日この場では扱いません。
次に、資料2、通しページ6頁の第11期の委員一覧を御覧ください。皆様、様々な肩書きをお持ちの方ばかりなのですが、国の機関であることや審議会でのお立場等を勘案いたしまして、ここに載せたような肩書きにさせていただいております。御了解ください。
このうち新規に委嘱させていただきました委員の方について、御紹介させていただきます。着席のままで結構でございます。
株式会社有斐閣代表取締役社長の江草貞治委員、慶應義塾大学大学院法務研究科教授の奥邨弘司委員、上智大学文学部新聞学科准教授の柴野京子委員です。
委員の任期は2年とされておりますので、令和3年6月30日まで、どうぞよろしくお願いいたします。
(会次第2)納本制度審議会の目的及び構成
収集書誌部長:
続きまして、会次第2に入ります。新しい委員もいらっしゃいますので、審議会の目的等につきまして、改めて説明させていただきます。 資料3を御覧ください。審議会の目的は、納本制度並びにインターネット資料及びオンライン資料の記録に関する制度に関する重要事項、そして、国立国会図書館法第25条第3項に規定する代償金額及び館法第25条の4第4項に規定する金額に関する事項について、国立国会図書館長の諮問を受けて調査審議し、又は意見を述べること、となっております。審議会は、館長が学識経験者のうちから委嘱する委員20名以内で構成され、委員の任期は2年となっております。また、専門的事項の調査が必要なときは、館長は、専門委員を委嘱できます。審議会の会長は委員の互選により選出され、会長は、会長代理を指名することとなっております。審議会の定足数は過半数で、議事は出席委員の過半数をもって決します。
審議会には、代償金額に関する事項を調査審議するための常設の機関として代償金部会が設置されております。また、審議会の会長は、特定の事項を調査審議する必要があると認めるときは小委員会を設置することができます。これら審議会に関する事項は、「納本制度審議会規程」及びその下位規定である「納本制度審議会議事運営規則」に基づいており、それぞれ通しページ34頁及び36頁で御紹介しております。
議事運営規則の中で、議事録その他審議会の資料については、原則として公開するものとされております(第16条)。公開は、国立国会図書館ホームページ上で行い、議事録については、発言された委員名を明記しない形としております。
通しページ8頁にお戻りください。納本制度審議会では、これまで全部で9件の答申をまとめていただきました。このうち、平成15年にまとめていただいた個別の出版物の代償金額に関する答申を除き、全ての答申の内容を当館ホームページで公開しております。次の通しページ9頁に、御参考までに、審議会の構成図を載せております。
(会次第3)代償金部会所属委員の指名の報告
収集書誌部長:
続きまして、会次第3に入ります。代償金部会所属委員の指名の御報告です。資料2、通しページ6頁にお戻りください。
代償金部会所属委員は、委員の委嘱と同日の7月1日付けで、7名の方にお願いいたしました。資料にありますとおり、江上委員、相賀委員、奥邨委員、鹿谷委員、重村委員、根本委員及び福井委員でございます。よろしくお願いいたします。
本日は、審議会の終了後に、部会の開催も予定しております。
(会次第4)会長の選出
収集書誌部長:
それでは、会次第4の会長の選出に入ります。委員の方の互選となっておりますので、どなたか御推薦をお願いいたします。
委員:
斎藤誠委員にお願いできればと思います。
収集書誌部長:
ただいま斎藤誠委員を会長にとの御推薦がございましたが、他の委員の方はいかがでございましょうか。
委員一同:
異議なし。
収集書誌部長:
御異議がないようですので、斎藤誠委員に決定いたしました。それでは会長となられた斎藤委員に以後の進行をお願いいたします。
(会次第5)会長の挨拶
会長:
斎藤でございます。ただいま、会長の任務を果たすようにと御推挙をいただきましたので、謹んでお引き受けいたします。大変微力ではございますが、皆様の御協力の下に務めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
(会次第6)会長代理の指名
会長:
続きまして、会次第6の、会長代理の指名に移ります。納本制度審議会規程第5条第3項によれば、「会長に事故があるときは、会長があらかじめ指名する委員が、その職務を代理する」こととなっております。今回、福井委員に会長代理をお願いしたいく、指名させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
委員:
さらに微力ではございますが、お引き受けさせていただきます。
会長:
よろしくお願いいたします。
(会次第7)国立国会図書館長の挨拶
会長:
次に会次第7に入ります。国立国会図書館長から御挨拶をいただきます。よろしくお願いいたします。
館長:
ありがとうございます。館長の羽入でございます。皆様、このような暑い中お集まりいただき、本当にありがとうございます。大変御多忙にもかかわらず、お時間をいただきまして、心から感謝申し上げます。納本制度審議会の会長として、今、斎藤委員が選出されました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
この審議会は、私どもの図書館の納本制度に基づく様々な取組に対して御審議いただき、そしてお知恵を拝借している会議でございます。納本制度は、いわば国立国会図書館の全ての活動の基盤をなしているものでございまして、この制度の適切な運営、運用なくして、私どもの活動は成り立たないというほどのものでございます。皆様から納本いただきました資料を保存し、まずは国会議員の先生方の審議に資するように提供すること、そして国民全体が利用できるようにする役割を担っている私どもとして、この納本制度審議会における議論が何よりの要でございますので、委員の皆様方にはお忙しいことと存じますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
今、私どもの大きな課題となっておりますのは、オンライン資料の収集でございます。無償で技術的な制限なく配信されているオンライン資料につきましては、平成25年7月から制度的収集を開始いたしました。また、有償で配信されているオンライン資料につきましては、この審議会で大変な御審議をいただきまして、その方向性に基づいて、出版界の皆様や著作者の皆様の御理解と御協力をいただきながら、平成27年12月から収集と館内利用に関する実証実験を開始いたしました。現在、3年半が経過したところでございます。
このオンライン資料のみならず、電子書籍を巡る状況というのは著しく変化しております。国立国会図書館といたしましては、こうして実証実験によって得られた情報や電子書籍の多様な動向をよく観察しつつ、納本制度審議会での御議論を踏まえて、出版関係の皆様、それから著作者の皆様の御理解をいただき、有償オンライン資料の制度的収集の施行に向けて一層努めてまいりたいと考えております。
先ほども申し上げましたとおり、この審議会での御議論、そしてこの審議会での御教示が私ども国立国会図書館の資産蓄積の大きな要素となっておりますので、どうぞ皆様には御議論いただき、そして御教示いただけましたら大変ありがたく存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
会長:
ありがとうございました。
(会次第8)小委員会の設置について
会長:
会次第8に入ります。資料4、通しページ10頁を御覧ください。
当審議会では、第21回納本制度審議会において諮問を受けた「平成22年6月7日付納本制度審議会答申『オンライン資料の収集に関する制度の在り方について』におけるオンライン資料の制度的収集を行うに当たって補償すべき費用の内容について」を専門的見地から調査審議するために、「オンライン資料の補償に関する小委員会」を設置し、平成24年3月に中間答申の原案をとりまとめております。
先ほど羽入館長からの御挨拶にありましたように、引き続き有償オンライン資料の制度収集の施行に向けまして審議するよう依頼を頂戴したところであります。
そこで、今期の納本制度審議会においても、収集したオンライン資料に対する補償のあり方について、電子書籍の製作及び流通の実情を把握し、法的、技術的な面で専門的事項について調査審議する必要があるという観点から、引き続き小委員会を設置し、さらなる調査審議を進めたいと存じます。
また、この小委員会の所属委員といたしまして、植村委員、遠藤委員、奥邨委員、柴野委員、永江委員、根本委員及び福井委員にお願いいたします。専門委員からは、佐々木委員、樋口委員にお願いいたしまして、小委員長には福井委員を指名したいと存じます。この点について、御異議はございませんでしょうか。
委員一同:
異議なし。
会長:
よろしいでしょうか。ありがとうございます。福井小委員長をはじめ、小委員会に所属する委員、専門委員の方々には、調査審議をよろしくお願いいたします。それでは、福井小委員長から一言お願いいたします。
委員:
有償オンライン資料の制度収集の施行に向けて引き続き小委員長を務めるようにと仰せつかりました。この制度的収集は、立ち上げにも大変な苦労があったところですが、さらに有償オンライン資料の収集に関しては、もう一歩、関係者の努力が必要なところにあろうかと思います。所属の委員・専門委員の方々の御協力をいただきながら、慎重に、しかし前向きな検討を行ってまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
会長:
どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。小委員会の名簿につきましては、改めて事務局の方から配布してもらいます。
(会次第9)事務局からの報告
会長:
続いて、会次第9に入ります。事務局から報告があるそうです。まずは資料の収集状況等について、よろしくお願いします。
収集書誌部長:
〔平成30年度資料収集状況について、資料5に基づき説明〕
事務局:
〔平成30年度出版物納入状況、令和元年度代償金予算及び平成30年度代償金支出実績について、資料6、7に基づき説明〕
会長:
ありがとうございました。次の報告は、電子書籍・電子雑誌収集実証実験事業の現状等についてです。こちらも事務局からの報告をお願いします。
事務局:
〔電子書籍・電子雑誌収集実証実験事業の現状等について、資料8に基づき説明〕
会長:
どうもありがとうございました。ただ今の事務局からの報告、資料の収集状況についてと、実証実験の現状について、何か御質問や御意見がありましたらお願いします。
委員:
単純な質問ですけれども、通しページ21頁、スライド番号10のグラフにある赤丸はどういう意味なのでしょうか。
事務局:
補足が漏れておりまして申し訳ございません。この赤丸3つが特に多い時間帯という意味です。「1分未満」、「2分未満」、「5~10分未満」が特に多いという意味で囲んでおります。
委員:
通しページ15頁の代償金の予算額と支出実績について、NDLとしては十分に資料を収集できたという金額なのでしょうか。それとも、もっと予算があればもっと多く収集できたのにという金額なのでしょうか。
事務局:
お答えいたします。代償金がもっとあればたくさん集められたということではございません。法的には、代償金につきましては民間出版物で収集したものに対して一定の割合の額を支払うという形で進めておりますので、たくさんあればその分だけ収集できるというものではございません。ただし、一方で、まだまだ未収の資料はございますので、そうしたものにつきましては、私どもの方で調査して、出版社に働きかけて納入してもらい、それに対してまた代償金を支払っていくということでございます。また代償金の額につきましては、従来の出版状況を勘案しながら十分な額を用意しているところでございます。以上です。
会長:
よろしいでしょうか。他にはいかがでしょうか。
委員:
通しページ13頁のオンライン資料に係る御説明で、国立情報学研究所(NII)のNII-ELSが終了し、約56万点のファイルがまとめてNDLに納入されたということでした。これは、納入対象として入っていると考えてよいのか、それとも別のルートで入っているということなのか、そのあたりをお聞きしたい。
収集書誌部長:
(制度が始まってからの資料は)納入対象として入っていると整理しております。リポジトリをNIIがお止めになった際に、無償でDRMのない資料が雲散霧消しては困りますので、国立国会図書館の納入対象として収集したという理解でおります。
委員:
この件について発言させてもらいたいのですが、機関リポジトリの位置付けが今のままでよいのかということについてです。この場で発言してよろしいでしょうか。
会長:
どうぞ。
委員:
ここでの中心的な議論は有償のものに対する補償をどうするかという話ですが、無償のものも納入対象としているわけです。納入義務対象の概念図が、国立国会図書館のホームページにあります。それによると、納入対象の具体例として年報や年鑑、要覧が挙がっているのですが、J-Stage、CiNii、機関リポジトリで公開している資料は納入の義務はないとあります。J-Stage、CiNiiというのは国の機関に準ずるものという位置付けで半恒久的に大丈夫ということが前提なのかと思いますが、今の御説明のようにNIIでも状況に変化があると思うのです。一番気になっているのは、機関リポジトリです。国立大学等の国の機関はともかくとして、私立大学や民間の研究所が機関リポジトリを持っていて、そこに電子書籍や電子雑誌に相当するものが集められているのですが、今のところ納入を免れている、義務はないとされていると思います。それでいいのかということです。
また、従来、研究紀要や報告書が紙で出ていたものが電子メディアに切り替わる例が増えています。私が所属する機関で出している学会誌もそうで、来年度から電子メディアに完全に切り替え紙版を廃止する予定です。これらは当然国立国会図書館に納本されていたものです。今後は電子メディアは所属大学の機関リポジトリには入るわけですが、これらは納本義務がないので納入されないことになります。一貫して国立国会図書館の所蔵雑誌とされてきたものが途切れることになるわけですが、こういったものの扱いは国立国会図書館ではどうなっているのか。今までも紙のものがオンラインになってしまうケースはたくさんあるのではないかと思うのですが、そういうものを国会図書館に納入してもらうような働きかけなり何なりやられているのかどうか。そのあたりも含めて、機関リポジトリが今のままでいいのか少し検討を要するのではないかと思います。
もう1点、オープンアクセスということが非常に強く言われております。これは文部科学省が研究成果をできるだけオンラインで公表しなさいと主張しており、機関リポジトリに集中してアップしなさいという言い方がされています。ですから、これからは、そこに学術情報が集まってくるのだと思うのですが、それが納入対象にならないことが気になっています。無償オンライン資料の収集が始まった時とは状況の変化があり、検討を要するのではないかと思うわけです。
会長:
事務局の方から現時点でお答えできることがあれば。よろしくお願いいたします。
収集書誌部長:
委員の御発言の趣旨は2点ありまして、機関リポジトリとオープンアクセスジャーナルの問題かなと存じます。まず、機関リポジトリについての考えを申し上げますと、基本的には、国立国会図書館が持っている機能、つまり資料を保存し、文化的な資産として蓄積して後世に残すという機能を、国立国会図書館の目から見ても果たせる機関、それはリポジトリということが現行規定上も認められております。NIIの話は、そのような機関リポジトリであっても運営ができなくなったので、できなくなった以上は、基本的には国立国会図書館にコンテンツを提供する、あるいは他のリポジトリで受けてもらう。実際にJSTに分けたものと国立国会図書館に提供されたものがあったので、国立国会図書館の理念である資料を蓄積して保管するということが遂行できる機関に渡す、あるいは国会図書館に渡すということをやっていただいたと思っています。
2つ目のオープンアクセスについては、色々と議論があると思いますが、世の中でオープンアクセスのものが増えて、無償かつDRMなしで使えるものがあるということであれば、それは国立国会図書館として今の制度で収集することが任務なのかなと思っております。
委員:
収集しているとのお話ですが、少なくとも機関リポジトリは納入が義務付けられてはいないと認識しています。国の機関は他の方法があるのだと思いますが、民間の機関だと納入の対象になっていないので、NDLに入っていないものがいつの間にかなくなってしまうことがあるのではないかということです。
収集書誌部長:
私どももそれは心配をしております。つまり、リポジトリで抱えていただいているものであれば、それは簡単にはなくならないと思いますが、いろいろな形の多くの民間無償オンライン資料を、網羅的に集めるのはなかなか厳しいものがあります。オンライン資料の収集を丁寧にやりなさいということについては大切な任務とは思いますが、なかなか手が回っていなくて抜けが多いと言われれば、そういう面はあると思いますので、抜けがないように対応するにはどうすればいいか考えていくべきことかと思っております。
委員:
確認なのですが、オンライン資料で納入対象にならないものがあるというのは一時的な措置だと私は理解しております。確か、当面は、オンライン資料の類型でA群(無償・DRMなし)だけを対象にし、他のものについては、審議会で検討し、補償をどうするかといったことが決まれば、また動き出すのだと思います。今の話は、A群(無償・DRMなし)の部分についても問題があると考えているところであり、何らかの検討が必要なのではないかなと思います。
委員:
ただ今の委員の御指摘について、私も小委員長として長く取り組んできた部分ですので、自分の理解を申し上げます。当分の間収集を免除する扱いは、確かに有償あるいはDRMの付された資料については行われてきたところです。ただし、リポジトリは、規定上は別の部分に該当するのかなと思っております。通しページ38頁、国立国会図書館法によるオンライン資料の記録に関する規程があり、第3条があります。これは、館法第25条の4第2項第3号に紐づいた規定で、収集義務を免除する対象として具体的に規定されたのが、この規程第3条です。第3条第3号に「オンライン資料が長期間にわたり継続して公衆に利用可能とすることを目的としているものであって、かつ、特段の事情なく消去されないと認められるものである場合」、この場合は収集目的の達成に支障がないものとして収集義務が免除されるとしており、すでに法整備が行われた部分であろうと思います。よって、リポジトリに関しては「当面免除する」というよりは、そういうリポジトリが公衆に長期にわたって提供され、かつ簡単には消去されないということが確保されるかどうか、実態が非常に重要なのではないかと思うところです。そういう実態をそれぞれのリポジトリにおいて確認し、確保していくことが、この審議会及び小委員会の役割なのかなと思い、そういう検討がこれから重要ではないかと思うところです。間違っていれば御指摘ください。
収集書誌部長:
制度的な理解は全くそのとおりでございます。先ほどのNIIの電子図書館事業については、安定して運営できると思っていた事業が続かなくなり、大きくコンテンツを分割して管理しなければならなくなったことが事実として発生してしまったということです。制度の趣旨は福井委員のおっしゃったとおりですが、お話申し上げましたとおり、大丈夫と思っていたリポジトリも時代の趨勢で、10年、20年、30年というスパンの中では色々なことを考えなくてはならなくなる事実もあります。それが制度の趣旨を大きく変えるものではないと思っているのですが、運用を変えていく必要については、まずは審議会において発生した事実をお知らせするのが事務局の役割と思っております。
委員:
まさに重要なポイントであると思います。インターネット上には様々なデータが存在し、どんな人でもフラットにそのデータに触れられるという特質を確かに持つものであり、そう期待されてきたわけです。けれども、現在においては、今この瞬間にもネット上の情報はどんどん消え続けている状況があって、実は紙に比べて脆弱な情報群であるかもしれないということが明らかになってきているように思います。その意味で、リポジトリのような場で十分に提供されており、現在は収集対象にしなくてよいものであっても、リポジトリが継続的に情報を提供できなくなった場合に、どのように国会図書館に引き継いでいくのか。そのような仕組みを作るとすると協定のようなものが重要かと思ったところです。残すということにおける国会図書館の役割は大きいと感じるところです。この点に関連して小さいことですが御提案がありまして、いただきました委員・専門委員限りとされた収集と検索のイメージ図ですが、私もこの分野に関わっていながら、実は全体としてどういう関係にあるのか、なかなか分かり難いところがありました。こうして図にしていただいて、それぞれの制度間の関係が分かったことで、自信を持って発言できると感じたところです。社会にとってこの制度の理解はとても大事なことだと思いますので、いずれこのような制度全体のイメージ図のようなものが公開されるとよいかと思います。御提案というか、お願いでございます。
会長:
ありがとうございました。リポジトリ関係について色々整理できたと思いますので、それを小委員会も含めて対応していけたらと思っております。
委員:
資料8、通しページ16頁の「電子書籍・電子雑誌収集実証実験事業報告」についてです。まさに今、機関リポジトリと納本制度の関係で議論があったところですが、毎回いただく事業報告は、国立国会図書館での電子書籍の利用結果がほとんどです。しかし、本来この事業で重要なのは、電子書籍納本を機能的に、円滑に、さらに網羅的、永続的に行えるかを見ていくことであり、それからすると、たまたま利用された、国立国会図書館における電子書籍の利用については、必要な情報のごく一部にしか過ぎないのではないか。ここで議論するための資料としては足りないように思うわけです。例えば、通しページ19頁にある4,627点、33社という数は順調なのか、各出版社としてコンテンツを提供し難い状況があるのか、そういうことをむしろ知りたいと思うわけです。さらに、NIIですら継続性がなかったのに民間に委託する事業については、その継続性を踏まえ、より慎重に議論する必要があると考えます。実証実験が令和2年1月までですので、その段階までに、リポジトリの継続性を担保するような約束事を、ひな形でもよいのですが、どうするべきかを本来ここで、あるいはオンライン小委員会で議論することになるかと思います。ちょっとこれだと資料として足りないと思います。
会長:
この点について答えられることがあれば。
事務局:
御指摘ありがとうございました。機関リポジトリの話と実証実験の話について、主体が同じなので我々もよく混同してしまうのですが、別の文脈で走っているそれぞれの事業だと認識しております。あくまで実証実験は、電子書籍をどう見せるか見せないか、それから第2段階につきましては、それを当館で長期的に保存していくことについての調査研究の実験ですので、第2段階は来年1月には終了しますが、その時の報告書には機関リポジトリとしてどうなるというところの報告は入ってこないと思っております。一方で、御指摘の機関リポジトリの継続性等につきましては、我々も危惧しているところであります。先ほど委員もおっしゃったとおり、協定等を結んでどう担保していくのか、具体的には、今回のNIIのように事業が終了した場合に、我々が電子書籍を確保できるような組み立ての約束事をどう作っていくのかが課題であると認識しております。それから、電書協さんが作る機関リポジトリ以外の機関リポジトリも当然存在すると思いますので、それをどう展開していくのか、といったところもあわせて、実証実験の結果ということではなく、別の文脈で小委員会等において御議論いただくことになると思っております。
委員:
繰り返しになりますが、通しページ16頁にある実証実験の目的には、収集や長期的保管・利用の技術的検証、ビジネスへの影響分析が書いてあります。そもそもそれに関することを知りたいのに、今のところ出ているのは国立国会図書館での利用がどうなっているのかしか情報がないので、他の部分もしっかりと報告を求めていただきたいと思います。
事務局:
分かりました。ありがとうございました。
会長:
この点については、小委員会の方で充実した資料を出していただいて、深めていただければと存じます。その他に何かございますか。よろしいですか。それでは、次に進みたいと思います。
(会次第10)今後の日程
会長:
会次第10に入ります。今後の日程について事務局から説明をしていただきます。
収集書誌部長:
今後の日程につきまして御説明いたします。今期納本制度審議会の主な審議事項としては、オンライン資料の補償に関する事項があります。
次回、第33回の納本制度審議会は、今年度後半の開催を予定しております。また、小委員会については、できるだけ早期の開催を予定しております。
いずれも、具体的な日程につきましては事務局から改めて御相談させていただきます。以上です。
会長:
ただ今の説明について、何か御質問等はありますか。よろしゅうございますか。特にないようですので、次に進みたいと思います。
(その他)
会長:
定されている議題や報告は以上で終了いたしましたが、何か御意見・御質問等はございますか。よろしゅうございますか。事務局からは何かございますか。ございませんね。
(閉会)
会長:
それでは、以上をもちまして、第32回納本制度審議会の会次第はすべて終了いたしました。本日はこれにて散会といたします。ありがとうございました。
(16時05分終了)

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