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第34回納本制度審議会議事録

日時:
令和3年3月25日(木)14時00分~15時00分
場所:
Web会議システムによるリモート開催
出席者:
斎藤誠会長、福井健策会長代理、植村八潮委員、江草貞治委員、遠藤薫委員、奥邨弘司委員、小野寺優委員、重村博文委員、永江朗委員、根本彰委員、堀内丸惠委員、佐々木隆一専門委員、樋口清一専門委員
会次第:
  1. オンライン資料の補償に関する小委員会の審議経過及び報告書について
  2. 納本制度審議会答申「オンライン資料の制度収集を行うに当たって補償すべき費用の内容について」(案)について
  3. 今後の日程について
配付資料:
  • (資料1)所属委員・専門委員名簿
  • (資料2)令和2年度第4回オンライン資料の補償に関する委員会における審議の概要について
  • (資料3)令和2年度第5回オンライン資料の補償に関する委員会における審議の概要について
  • (資料4)オンライン資料の補償に関する小委員会報告書概要
  • (資料5)オンライン資料の補償に関する小委員会報告書
  • (資料6)納本制度審議会答申「オンライン資料の制度収集を行うに当たって補償すべき費用の内容について」(案)
  • (参考資料1)第33回納本制度審議会議事録
  • (参考資料2)国立国会図書館法に規定する制度に基づく資料収集イメージ図
  • (参考資料3)有償等オンライン資料制度収集に向けた課題の整理について
  • (参考資料4)国立国会図書館法(昭和23年法律第5号)(抄)
  • (参考資料5)納本制度審議会規程(平成9年国立国会図書館規程第1号)
  • (参考資料6)納本制度審議会議事運営規則(平成11年6月7日納本制度審議会制定)
  • (参考資料7)国立国会図書館法によるオンライン資料の記録に関する規程(平成25年国立国会図書館規程第1号)
  • (参考資料8)国立国会図書館法第25条の4第4項に規定する金額等に関する件(平成25年国立国会図書館告示第1号)
  • (参考資料9)国立国会図書館法第25条の規定により納入する出版物の代償金額に関する件(昭和50年国立国会図書館告示第1号)
議事録:
【開会】
会長:
定刻となりましたので、第34回納本制度審議会を開催いたします。委員の皆様にはお忙しいところ御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
本日は現在のところ15名の委員中11名の方々に御出席いただいておりますので、定足数は満たされております。また、専門委員各位にも御出席いただいております。
それでは初めに、事務局から、配付資料の説明をお願いします。
事務局:
〔配付資料について説明〕
また、議事の進行に関しお願いがございます。御発言の際は、ミュート解除してからお話しいただき、御発言が終わりましたら、その都度、ミュートにしていただくようにお願い申し上げます。また、議事録作成のため、会議を録画させていただいております。どうぞ御了承ください。以上です。
【会次第1 オンライン資料の補償に関する小委員会の審議経過及び報告書について】
会長:
それでは、会次第1に入ります。オンライン資料の補償に関する小委員会の審議経過及び報告書について、小委員長から報告があります。小委員長、よろしくお願いします。
委員:
御報告いたします。前回の審議会以降、2月17日に令和2年度第4回オンライン小委員会、3月5日に第5回オンライン小委員会を開催しました。審議の概要は、第4回については資料2、第5回については資料3にまとめてあります。いずれも、オンライン資料の補償に関する小委員会報告書の取りまとめについて審議を行ったもので、この後、報告書の内容を御説明する中で、小委員会で議論になった点についても御紹介することにいたします。まずは、報告書の前提となる事項について、事務局から説明してもらいます。
事務局:
事務局から御説明いたします。
参考資料2、通しページ75の「国立国会図書館法に規定する制度に基づく資料収集イメージ図」を御覧ください。この図は、制度に基づく資料収集全体のイメージ図となっており、同様の図が既に当館のHPにも掲載されております。こちらに沿って、制度収集の全体像、報告書の背景、スコープ等について御説明させていただきます。
まず、左側の黄色い部分、有形の資料につきましては、昭和23年の当館創設以来運用しております納本制度に基づいて、図書・逐次刊行物相当の伝統的な出版物を、官民の区別を問わず収集しております。その後、CD、DVD等の有形であるパッケージ系電子出版物も、平成11年に頂戴した納本制度調査会の答申に基づき、平成12年度から収集対象といたしました。
続きまして、右上の青い部分、公的機関が発行する無形のもの、いわゆる電子情報につきましては、平成16年答申を受け、全ての公的機関を対象として、オンライン資料を含むウェブサイト全体を定期的に収集する「インターネット資料収集制度」を平成22年から開始いたしました。
一方、右下の民間発行の無形のものにつきましては、平成22年答申において、図書・逐次刊行物に相当するもの、赤い点線で囲った部分をオンライン資料とし、これらに限定したうえで、民間発行のオンライン資料、赤い枠線で囲った部分を包括的に収集する制度を設けることが適当であることが示されました。その後、平成23年に「オンライン資料の制度的収集を行うに当たって補償すべき費用の内容について」の諮問がなされました。これに対して、平成24年中間答申において、オンライン資料を有償・無償、DRMの有無で4種類に区分し、A群についてはファイル本体や提供に係る手続費用について補償は不要、記録媒体に格納して郵送する場合についてのみ記録媒体と郵送費用を補償するのが妥当であるが、B・C・D群の有償等オンライン資料については引き続き調査審議が必要である、とされました。これを受けて、平成25年7月から、オンライン資料収集制度、eデポを開始いたしました。当面は民間発行の無償かつDRMなしのオンライン資料、A群のものに限って収集することとし、B・C・D群は免除、ということとなっております。
今回の報告書は、先ほど申し上げた平成23年の諮問に対する小委員会の調査審議の結果として、このB・C・D群の有償等オンライン資料について、収集や補償の在り方に結論を出したものであります。
なお、制度に基づく収集以外にも、購入や寄贈等の手段によって選択的に収集している資料がございます。左下の「参考」という囲みに例示いたしました。古典籍や政治史料等のいわゆる出版物以外のもの、外国で発行されたもの、民間発行のウェブサイトのうち特定の主題に関するもので許諾が得られたもの、現行では提供免除となっている有償オンライン資料のうち許諾が得られたもの、等であります。本案件には直接的には関係ありませんが、制度に基づかない手段でも資料を収集しているという実態について、御参考として申し添えます。以上です。
委員:
ありがとうございました。それでは、小委員会報告書の内容について御説明いたします。報告書本体は資料5、通しページ8からですが、大部ですので、概要をまとめた資料に沿って御説明いたします。資料4、通しページ7、「オンライン資料の補償に関する小委員会報告書の概要」を御覧ください。
先ほど事務局から説明がありましたとおり、諮問された内容は「オンライン資料の収集に当たって補償すべき費用について」であります。しかし、その前提となる収集対象や収集されたものの利用方法について、どのように考えるかを明らかする必要があります。このため、報告書では、収集対象、収集除外される場合、その後の利用等の観点について、前回審議会で確認されました課題整理の方向性に沿ってまとめた上で、最後に補償について結論を述べる形としました。
まず、収集対象についてです。現行法では、特定のコードが付与されたもの、又は特定のフォーマットで作成されたものを収集対象として規定しております。これは、収集すべきオンライン資料、すなわち「図書又は逐次刊行物に相当するもの」の外縁を一義的に確定するのは容易ではないところ、制度収集の現実的な運用や実効性の担保にも鑑みて外形的な基準を設けたものです。有償等オンライン資料についてもこれが踏襲されます。この点は、小委員会において非常に活発に意見が交わされました。例えば、ニュースサイトやウェブマガジンのコンテンツのように、内容的には冊子体の「図書又は逐次刊行物」に近いものであっても、外形基準に合致しないと収集対象にはなりません。しかし、出版流通状況の変化によって様々な形のコンテンツの存在が考えられますので、収集すべき「図書又は逐次刊行物に相当するもの」を適切に捕捉できるよう、外形基準を不断に見直すことが重要であることを明記しました。なお、小委員会における議論の中で、オンライン資料の定義内の話ではなく、その定義から外れる「図書又は逐次刊行物に相当するもの」以外のオンラインコンテンツの収集についても、今回の諮問の範囲ではないものの、重要な課題であろうという御指摘が出ましたことを御紹介いたします。また、市場においてDRMが付された状態で流通しているオンライン資料についても、DRMが付されていない状態のファイルを収集すべきである、そして、同一内容が複数のフォーマットで流通している場合、代表的バージョンを優先的に収集する運用が考えられるということも記載しました。この優先的に収集すべきバージョンの具体的な選定基準については、報告書の末尾に補論(1)としてまとめました。
続きまして、収集除外についてです。現行制度において、「文化財の蓄積及びその利用に資する」という収集目的の達成に支障がない場合に収集対象から除外することが認められておりますが、これを有償等オンライン資料に適用する際には注意すべき点があります。具体的にはリポジトリの認定についてです。これについても、小委員会において極めて活発に意見が交わされました。現行制度では、「長期間にわたり継続して公衆に利用可能とすることを目的とし」「特段の事情なく消去されないと認められるもの」は収集対象から除かれるものとされております。これは主に、学術研究機関が運営するリポジトリに収録されているコンテンツを想定しております。しかし、営利企業で構成される組織が運営するリポジトリに収録されているコンテンツについても、要件への合致状況次第では、これに該当する可能性があります。ただし、安易に拡張を認めると、単なる「収集逃れ」を誘発してしまいますので、そのリポジトリの長期継続性、公衆による利用の担保、コンテンツの保全の観点で予め確認するとともに、仮にリポジトリ自体が運営を停止するような場合、あるいは、何らかの理由で個別コンテンツの配信を停止する場合には、国立国会図書館や他のリポジトリに対して、コンテンツが確実に引き継がれるように、そして、収集対象から除かれる場合であってもメタデータ連携が確実に行われるように、覚書等で担保する必要があります。これについては、小委員会における議論の中で、リポジトリを認定する基準と、認定に際して締結すべき国立国会図書館との覚書等の標準的記載事項を、報告書の中に盛り込むべきであるということになり、報告書の末尾に補論(2)(3)としてまとめました。
次に収集されたコンテンツの利用等についてです。有形の図書館資料と同等の利用形態、すなわち、同時アクセスを防いだ上で国立国会図書館の施設内においてのみ閲覧可能とするならば、出版ビジネスを阻害するほどの影響は認められず、また、著作権法で認められる範囲内でのプリントアウトも特段問題はありません。ただし、出版業界には、将来における利用の拡大、特に、外部への送信を伴う利活用に対する根強い懸念や不安があります。そのため、関係する権利者の利益保護への配慮が必要となります。しかし他方では、許諾を得られた資料についてはインターネットで公開する等、一般利用者のニーズに応えるような利便性の向上についても、当然、配慮が必要となります。そして、利便性向上の一環とも言えますが、有形・無形を問わずに日本国内で発行された出版物を統合的に検索する仕組みやアクセシビリティへの配慮も必要となります。
最後に、本題である補償についてです。これも、前回審議会で確認されました課題整理の方向性に沿った結論になっております。
まず、ファイル本体については、それを提供するための複製に係る費用は軽微であり、有形の図書館資料と同等の利用形態を前提とするならば、利用による特別な経済的損失は発生しないため、補償は不要と考えました。提供に係る手続費用についても、メタデータの付与や送信に係る作業は、これを仮に最小限に限るという前提であれば軽微であり、また、DRMが付される前のファイル提供を前提とするならばDRM解除に係る特別な作業も発生しないため、補償は不要と結論しました。しかし一方で、記録媒体に格納して送付する場合の媒体費用と送料については、現行制度と同様、補償が必要であるとしました。そして、制度収集の実効性を高めるためには、金銭的補償にこだわるのではなく、政策的補償に相当するインセンティブが必要であることを述べました。例えば、著作の真正性を証明するための国立国会図書館による受入証明や、収集済のデータを提供者自らの求めに応じて無償で提供するようなデータバックアップ機能、そして、統合的検索サービスの検索結果から販売サイトを含めた本文情報へのナビゲート機能、これらは、現代的なインセンティブとして大いに期待されるものであります。
なお、報告書本体の「はじめに」においては、電子書店の廃業に伴い電子出版物の閲覧ができなくなる等「オンライン資料の散逸・消滅」という新たな課題が情報社会で生じている状況に言及しました。また、「おわりに」においては、国立国会図書館に求められる役割について記載しました。知の収集と未来への継承を中核とする文化の発展は、創作者、出版社、読者、図書館その他の多くの欠くべからざる関係者の不断の努力と協力によってのみ達成されるものであることを最後に述べております。これはおそらく多くの小委員会委員の共通の想いではないかと思います。
以上、小委員会報告書の内容について、小委員会の議論の様子にも触れながら御説明いたしました。
会長:
ありがとうございました。事務局から何か補足説明がありましたら、お願いいたします。
収集書誌部長:
事務局から、第5回オンライン小委員会の議事内容について、補足で御説明いたします。資料3、第5回オンライン小委員会議事要録のうち、通しページ6、議事概要「②その他」に記録があるオンライン資料の定義に関することです。平成22年の納本制度審議会答申では、国立国会図書館に対してオンライン資料を提供する義務を負う者について、オンライン資料を「広く公衆に利用可能とした者」とし、また、国立国会図書館館法第25条の4においては、「公衆」に利用可能とされたオンライン資料を収集対象と規定しておりますが、この、「公衆」の指す範囲についてです。著作権法においては「公衆」には「特定かつ多数の者を含む」と明示されておりますが、実は、館法では明示されておりません。この度、有償等オンライン資料収集に向けて当館内で検討する過程において、館法における「公衆」の定義を明確化した方がよいだろうということになりました。仮に、「公衆」の範囲に特定多数の者を含まないものと解すると、資格審査を経て利用可能となる会員限定のオンライン資料(学協会の会員限定資料、特定職種限定資料等)が収集できないことになり、有体物の資料を対象とした納本制度において特定多数向けの資料も収集対象としていることとのバランスを欠くことになってしまいます。また、納本制度審議会やオンライン小委員会においても、納本制度で収集していた有体物が無体物として流通するようになり、それをいかにして収集すべきかを御議論いただいたもので、特定多数向けの資料も、当然、収集対象に含む前提であったと理解しております。この特定多数向けの資料で問題となるのは、公開されては困る内部情報に当たるような資料なわけですが、館法上は機密情報に該当するものを収集の対象から除くということを明記しておりますので、この点について心配はないものと思います。このようなことを踏まえまして、第5回オンライン小委員会において、改めて、念のため、「特定かつ多数の者」に向けて利用可能とされたオンライン資料も国立国会図書館として収集すべきであるということを確認させていただきました。以上です。
会長:
ありがとうございました。それでは、ただいま御報告のありました小委員会の審議経過及び報告書の内容について、何か御質問や御意見はありますか。
委員:
一点事務局に質問と、もう一点は、先ほどの小委員長のコメントに補足意見です。一点目の質問ですが、最初に事務局から説明がありましたように、平成11年度から始まって、デジタルコンテンツをどのように国会図書館で収集していくかということを検討して、かなり綿密な検討をした結果、最後に残されたものを今回ここで決定したというふうに私は理解しております。先ほど75頁の参考資料2にありましたが、最初、狭い意味での納本制度から始まって、どんどん拡げていって、国会図書館がネット上のものまで含めてかなり広い範囲のものに対応しようとしてきて、A,B,C,Dという図がありましたが、これまでAまで対応していたところ、B,C,Dまで拡げたわけです。これの持つ意味は非常に大きくて、DRMがあってかつ有償で提供している、要するに普通の商業的な電子書籍をこの制度の対象にしようとするわけです。DRMを外してくれということもあるし、それから、基本的にオンラインで納本する場合には補償はないとしています。民間の事業者の方々の負担に対しては、最後の方でインセンティブという話がございましたけれども、こういうことがきちんと理解され、実行されればある種のインセンティブにはなるかと思うのですが、今のところなかなかそこまでの理解が進むかどうか非常に疑問な感じもします。事務局に質問したいのは、広報とか、今後どのように周知徹底させるか、どのように進める考えなのかというあたりがよくわからないので、そこについて御説明いただければと思います。特に、電子書籍の提供はプラットフォームの上で、例えばアマゾンのキンドルみたいなところで提供しているものが多いところ、納本の義務は出版者にあるということになっていると思うので、個々の出版社にどういう形でお知らせして、納本してもらうかということについて、お聞きできればと思います。
会長:
ではまずは今の点、事務局からいかがでしょうか。今後の広報を、特に電子書籍の出版者に対してどのように進めていくかですが。
事務局:
事務局からお答えいたします。今後の広報につきましては、こういう時代でもありますので、ウェブを通じて広く出版者の方々に広報するということを行っていく一方、出版者の方々がお集まりになるような場をとらえまして、その場で御説明をさせていただくことも考えております。今日この場に御出席いただいております日本書籍出版協会様や日本雑誌協会様の御協力を得て、大会等ございましたら、少しお時間を頂戴して、このような制度が始まりますということを広報していきたいと考えております。また、この後法律が出来まして、実際の施行に至るまでに周知期間を設ける想定です。半年程度かと考えておりますが、その間につきましても、今言ったようなこと以外でも何かできることがあれば、広く広報をしていきたいと考えております。
委員:
はい、わかりました。極めて重要なことだと思いますので、ぜひしっかりとやっていただければと思います。昭和23年に国会図書館法が始まって納本制度が作られた時と同じような状況があるのではないかと思うのですね。そういう意味で、結構大変ではないかなという気がしますので、お聞きいたしました。
もう一点ですが、先ほど小委員長からお話しがございましたが、今回、オンライン資料の納本ということで議論したわけですが、そこに該当しないものについて、これは私が申し上げたのですが、オンライン資料というのは本来の納本制度の中で、お手元の資料81頁に国立国会図書館法の条文がありますが、24条のところに、図書から始まって小冊子、逐次刊行物等とあって楽譜、地図、映画フィルム、蓄音機用レコードとか並んでいるわけですね。これが狭い意味での納本制度の対象で、現物資料ということだと思います。私もちゃんと理解していなかったのですが、色々伺い、自分でも考えてみて、なるほどこの中でオンライン資料というのは1号と3号の電子版を、特にネット上にあるものを収集できるようにしたということであります。ここは図書館という意味では一番中心になるからそのようにしてきたわけですが、本来納本制度の対象は1号から9号までであって、9号についてはパッケージ系の電子資料なので別においておくとして、1号から8号までの中で、こういうものがやはり先ほどの図でいえば参考資料2でいうとウェブサイト情報と書いてあるところ、A,B,C,Dの隣の隙間になっている部分に該当するものがいろいろあると。この中に納本資料に該当するものが本来はあるのだろうけど、とりあえずオンライン資料から始めたというところだと思います。ウェブサイト情報は後回しにしているし、非常に把握し難いわけですが、今、デジタル庁ができるということもあり、こういうネット上のコンテンツをきちんと扱えるところは著作権法の関係と納本制度というこの2つが中心になるのではないかと思います。ウェブサイト情報を今後どういう風にしていくのかについて、何らかの検討がいずれ必要になるのではないかと思いますので、意見を申し上げました。
ついでながらもう一点申し上げれば、納本という言葉や、先ほどの1号から8号までの用語そのものが非常に古臭いわけですね、「蓄音機用レコード」とか。この条文そのものがどうなのか、そもそもこういうデジタル情報がネットワークでやりとりされる状況の中で、納本制度という言葉、あるいは我々の役割がどういうところにあるのかも含めて、今後検討が必要なのではないかと思いまして、発言させていただいたわけです。文化財の収集蓄積というのが本来の目的でありますので、そこで文化財が何であるかということをもう一度考える必要があるかと思います。別にこの場での議論は必要ないのですが、一応そういうことを発言させていただきました。以上です。
会長:
どうもありがとうございました。今後の課題に向けての非常に重要な御指摘であったと受け止めております。せっかくですので、今の御意見に関することでも、他の委員の方々、小委員長を含めて、何かございましたらお願いします。いかがでしょうか。よろしいですか。非常に重要な課題でありまして、75頁の図にもありますように、収集対象になっていない部分は、今後、分量的にも質的にも大きくなっていくと思いますし、館法自体の条文の文言等も非常に古いものが残っていて、それも長期的には考えていかなければならないものであると、私も考えるところであります。
それでは、小委員長からの報告につきまして、その他何か御質問・御意見ありましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。それでは、小委員会報告書の内容につきまして当審議会として了承し、これを答申案として審議したいと思いますが、それで御異議ございませんか。
〔異議の声なし〕
それでは、そのように取り扱います。小委員会所属の委員、専門委員の皆様には、長きにわたり非常に充実した検討を行っていただき、誠にありがとうございました。
あわせて、先ほど事務局から補足説明のありました「公衆」の解釈について、繰り返しますと、特定多数の者を対象としたものについても含む、例えば学会員限定のオンラインにおける刊行物というようなものも含むという解釈です。国立国会図書館が何を収集すべきかという観点からしますと、当然、機密情報に該当しない限りという条件は付きますが、特定多数向けのオンライン資料も収集対象にすべきであろうと考えます。この点も特に異論はございませんか。
〔異議の声なし〕
よろしいですか。それでは、この点、事務局からの補足説明についても、当審議会として確認したということにいたします。
【会次第2 納本制度審議会答申「オンライン資料の制度収集を行うに当たって補償すべき費用の内容について」(案)について】
会長:
それでは続きまして会次第の2、納本制度審議会答申「オンライン資料の制度収集を行うに当たって補償すべき費用の内容について」(案)についてです。先ほど、オンライン資料の補償に関する小委員会の報告を審議会として了承いたしましたが、この小委員会報告書の内容を踏まえまして、事務局に審議会としての答申(案)を作成してもらいました。まず事務局から説明をお願いいたします。
事務局:
事務局から御説明いたします。資料6、通しページ33を御覧ください。答申(案)の内容は、小委員会の報告書とほぼ同一ですが、「小委員会の報告書」という趣旨の記載を、全て「審議会の答申」を表す記載に置き換えまして、全体的に、体裁を答申の形式に整えております。その他の本文の記述、内容等については、小委員会報告書と変更はございません。答申(案)についての説明は、以上です。
会長:
ありがとうございました。何か御意見・御質問等はございますか。小委員会報告につきましてさきほど御了承いただいて、特にそこでも小委員会案に対する変更の御意見は出ておりませんので、小委員会報告に基づいた答申案についても特段問題ないと私としても考えますが、よろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。それでは、お手元の審議会答申案に本日の審議経過を加筆のうえ、本日付けで納本制度審議会答申を決定することでよろしゅうございますね。
〔異議の声なし〕
会長:
ありがとうございました。御異議がないようですのでこれを納本制度審議会の答申として決定いたしました。
納本制度審議会答申は、後ほど、国立国会図書館長に提出いたします。委員・専門委員の皆様には、長きにわたり真摯に御議論いただきまして、本当にありがとうございました。ここで、吉永館長から、一言御挨拶があるそうです。ただいま会議に参加されます。
〔館長・副館長参加〕
館長:
国立国会図書館長の吉永でございます。お許しを得まして、一言、御挨拶させていただきます。納本制度審議会の委員、専門委員の皆様には、日頃から、納本制度等の改善及び適正な運用のために御尽力いただきまして、誠にありがとうございます。
ちょうど10年前のことになりますが、平成23年9月に諮問いたしました「平成22年6月7日付け納本制度審議会答申『オンライン資料の収集に関する制度の在り方について』におけるオンライン資料の制度的収集を行うに当たって補償すべき費用の内容について」につきまして、ただいま、納本制度審議会の答申を御決定いただきました。
まずは、ここに至るまでの、斎藤誠会長、中山信弘前会長をはじめとする歴代の委員、専門委員の皆様の御尽力に深く感謝申し上げます。特に、この諮問に対する調査審議のために設置された「オンライン資料の補償に関する小委員会」におきましては、福井健策小委員長をはじめ、委員、専門委員の皆様には大変お忙しい中を長きにわたり熱心に御審議いただきました。重ねて御礼申し上げます。
国立国会図書館では、今回の答申に先立つ平成22年の答申「オンライン資料の収集に関する制度の在り方について」及び平成24年の中間答申「オンライン資料の制度的収集を行うに当たって補償すべき費用の内容について」を得まして、平成25年7月から、無償かつ技術的な制限がない状態で配信されるオンライン資料の制度収集を行ってまいりました。
一方で、有償又は技術的な制限がある状態で配信されるオンライン資料は、当分の間、収集の対象から除かれるものとされております。我が国の文化的資産を蓄積し、国政審議に資するとともに広く国民の皆様に図書館サービスを提供するという当館の使命からすれば、それらについても、制度に基づく安定的な収集を行うことが求められるものであり、当館にとって解決すべき大きな課題でございました。
本日、納本制度審議会からの答申を得まして、オンライン資料を全面的に収集する制度の構築に向けて、全力を尽くす所存でございます。出版界や著作者等、関係する権利者の皆様にも、御理解と御協力を得られるよう、努めて参りたいと存じます。納本制度審議会の委員、専門委員の皆様には、引き続き御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。
会長:
吉永館長、ありがとうございました。吉永館長は、ここで会議から退出されます。
〔館長・副館長退出〕
【会次第3 今後の日程】
会長:
それでは会次第3、今後の日程について、事務局から説明をお願いします。
収集書誌部長:
今後の日程につきまして御説明いたします。
まず、納本制度審議会答申をまとめていただき、誠にありがとうございました。長きにわたり御議論いただきましたことに、私からも重ねて御礼申し上げます。頂戴しました答申の内容は、準備が整い次第、国立国会図書館のウェブサイト上で公開させていただきます。公開に際しては、プレスリリースも行う予定でございます。早ければ明日にもプレスリリースのうえ公開することとし、状況については委員の皆様に御連絡差し上げますので、恐縮ですが、それまでは答申に関する情報の発信を控えていただくようお願い申し上げます。速やかに準備をいたします。
今後につきましては、この答申の内容を踏まえる形で、有償等オンライン資料の収集に向けた制度設計を加速させ、法規の整備、運用の調整を行うとともに、特に発行者・著作者を始めとする権利者の皆様には、制度の趣旨について御理解・御協力をいただけるよう、丁寧に説明して参りたいと存じます。制度化に向けた進捗状況につきましては、引き続き、納本制度審議会において御報告させていただきます。
なお、第11期納本制度審議会の任期は、本年6月末までとなっております。今のところ、近いうちに審議会を開催する予定はございません。委員・専門委員の皆様には、2年にわたり真摯に御議論いただきまして、誠にありがとうございました。今後とも、御指導・御鞭撻を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。事務局からは以上でございます。
会長:
ありがとうございました。ただ今の説明、プレスリリースも含めた今後の日程につきまして、何か御質問等はありますか。
委員:
質問ではないのですが、よろしいでしょうか。
会長:
はい、どうぞ。
委員:
ただいまの御説明、ありがとうございました。全て承知いたしました。配付資料の中に、通し番号でいうと60頁から、調査審議の経過がまとめられています。このうち通し番号の63頁以降に、歴代の委員の方々のお名前が並んでいる頁があります。お話しを伺いながら、この頁を眺めてお一人お一人の顔を思い浮かべておりました。私自身は、中山前会長の下で、2009年から委員を務めさせていただき、2011年から小委員会の委員長を務めさせていただきました。本来は、もっと早くにこの宿題を果たしているべきところ、私の力不足によって、結局小委員長を10年務めさせていただくことになりました。今回出した結論には、まだまだこの先、実務という本当の御苦労が、事務局や出版界の皆様には横たわっているだろうと思いますが、ここまでたどり着けたのは、本当に各委員の皆様はもちろんですが、事務局の皆様の大変な御努力と忍耐、それから出版界、有識者の皆様等の粘り強い交渉があってのことだと思います。そのことについて最後に御礼を申し上げ、また、最大限の敬意を表したいと思います。
ただ、今日も御指摘がありましたけれども、国会図書館の役割や、人類の文化資産を未来に残していくということの意味とその射程という問題は、おそらくこれからも考え続けるべきことだろうと思いますので、それを次期以降の皆様に託しまして、最後の御礼とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
会長:
ありがとうございました。私からも特に福井小委員長のこれまでの御尽力に対しまして、厚く御礼を申し上げます。他に、今後の日程等について、よろしいでしょうか。そうしましたら予定されている議題や報告は以上で終了いたしました。
この際、今後の課題、答申からの色々な制度設計に向けて、あるいはその他でも結構ですが、何かございましたらどうぞ。よろしいですか。ございませんね。
【閉会】
会長:
それでは、以上をもちまして、第34回納本制度審議会の会次第は全て終了いたしました。
本日はこれにて散会といたします。緊急事態宣言は解除されましたが、首都圏を中心になかなか落ち着かない状況が続いておりますので、何よりも皆様の引き続きの御健勝をお祈りいたします。どうもありがとうございました。
(15時終了)

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