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第35回納本制度審議会議事録

日時:
令和3年9月2日(木)14時00分~14時55分
場所:
Web会議システムによるリモート開催
出席者:
斎藤誠会長、植村八潮会長代理、伊藤真委員、江上節子委員、江草貞治委員、奥邨弘司委員、小野寺優委員、柴野京子委員、仲俣暁生委員、根本彰委員、堀内丸惠委員、村松俊亮委員
会次第:
  1. 委員の委嘱の報告
  2. 納本制度審議会の目的及び構成
  3. 代償金部会所属委員の指名の報告
  4. 会長の選出
  5. 会長の挨拶
  6. 会長代理の指名
  7. 国立国会図書館長の挨拶
  8. 事務局からの報告(令和2年度資料収集状況、令和2年度出版物納入状況、令和3年度代償金予算及び令和2年度代償金支出実績、有償等オンライン資料の制度収集開始に向けた方針等)
  9. 今後の日程について
配付資料:
  • (資料1)納本制度審議会委員名簿
  • (資料2)納本制度審議会の概要
  • (資料3)国立国会図書館の資料収集状況(令和2年度末時点)
  • (資料4)資料別納入実績(最近3年間)
  • (資料5)納入出版物代償金 予算額と支出実績(最近5年間)
  • (資料6)有償等オンライン資料の制度収集開始に向けて
  • (参考資料1)第34回納本制度審議会議事録
  • (参考資料2)納本制度審議会答申「有償等オンライン資料の制度収集を行うに当たって補償すべき費用の内容について」(令和3年3月25日)概要
  • (参考資料3)国立国会図書館法(昭和23年法律第5号)(抄)
  • (参考資料4)納本制度審議会規程(平成9年国立国会図書館規程第1号)
  • (参考資料5)納本制度審議会議事運営規則(平成11年6月7日納本制度審議会制定)
  • (参考資料6)国立国会図書館法によるオンライン資料の記録に関する規程(平成25年国立国会図書館規程第1号)
  • (参考資料7)国立国会図書館法第25条の4第4項に規定する金額等に関する件(平成25年国立国会図書館告示第1号)
  • (参考資料8)国立国会図書館法第25条の規定により納入する出版物の代償金額に関する件(昭和50年国立国会図書館告示第1号)
議事録:
収集書誌部長:
それでは、定刻となりましたので、第35回納本制度審議会を開催いたします。本日は、委員の皆様にはお忙しいところ御出席くださいまして、誠にありがとうございます。国立国会図書館収集書誌部長の山地でございます。御案内のとおり、本年7月1日付けで第12期の審議会委員の委嘱をさせていただきました。本日は委嘱後の最初の審議会でございますので、互選となっております会長が選出されるまでの議事につきまして、私が進行役を務めさせていただきます。
まず、本日は14名の委員中、12名の方々に御出席いただいておりますので、定足数は満たされております。次に、事務局から、配付資料について説明いたします。
事務局:
〔配付資料について説明〕
また、議事の進行に関し1点お願いがございます。御発言の際は、ミュート解除をしてからお話しいただき、御発言が終わりましたら、その都度、ミュートにしていただくようにお願い申し上げます。また、議事録作成のため、会議を録画させていただいております。どうぞ御了承ください。以上です。
【会次第1 委員の委嘱の報告】
収集書誌部長:
それでは、会次第1、委員の委嘱について御報告いたします。資料1、通しページ1、第12期の委員一覧を御覧ください。みなさま様々な肩書きをお持ちの方ばかりなのですが、国の機関であることや審議会でのお立場などを勘案しまして、ここに載せたような肩書きにさせていただいております。御了解ください。
このうち新規に委嘱された方を、御紹介いたします。弁護士の伊藤真委員、日本文藝家協会電子書籍出版検討委員会委員長の仲俣暁生委員、日本新聞協会会長の丸山昌宏委員は本日欠席、日本レコード協会会長の村松俊亮委員です。委員の任期は2年とされておりますので、令和5年6月30日まで、何卒よろしくお願いいたします。
【会次第2 納本制度審議会の目的及び構成】
収集書誌部長:
続きまして、会次第2に入ります。新しい委員もいらっしゃいますので、審議会の目的等につきまして、改めて御説明いたします。お手元の資料2、通しページ2を御覧ください。
審議会の目的は、納本制度並びにインターネット資料及びオンライン資料の記録に関する制度に関する重要事項、そして、国立国会図書館法第25条第3項に規定する代償金額及び館法第25条の4第4項に規定する金額に関する事項について、国立国会図書館長の諮問を受けて調査審議し、又は意見を述べることとなっております。審議会は、館長が学識経験者のうちから委嘱する委員20名以内で構成され、委員の任期は2年となっております。また、専門的事項の調査が必要な時は、館長は、専門委員を委嘱できます。審議会の会長は委員の互選により選出され、会長は、会長代理を指名することとなっております。審議会の定足数は過半数で、議事は出席委員の過半数をもって決します。審議会には、代償金額に関する事項を調査審議するための常設の機関として代償金部会が設置されております。また、審議会の会長は、特定の事項を調査審議する必要があると認めるときは小委員会を設置することができます。これら審議会に関する事項は、納本制度審議会規程及びその下位規定である納本制度審議会議事運営規則に基づいており、それぞれ通しページ30及び32で御紹介しております。議事運営規則の中で、議事録その他審議会の資料については、原則として公開するものとされております(第16条)。公開は、国立国会図書館ホームページ上で行い、議事録については、発言された委員名を明記しない形としております。
通しページ3にお戻りください。納本制度審議会では、これまで全部で10件の答申をまとめていただきました。このうち、平成15年にまとめていただいた個別の出版物の代償金額に関する答申を除き、全ての答申の内容を当館ホームページで公開しております。次の通しページ4に、御参考までに、審議会の構成図を載せております。
【会次第3 代償金部会所属委員の指名の報告】
収集書誌部長:
続きまして、会次第3に入ります。代償金部会所属委員の指名の御報告です。資料1、通しページ1にお戻りください。代償金部会所属委員は、委員の委嘱と同日の7月1日付けで、7名の方にお願いいたしました。資料にあります通り、伊藤委員、江上委員、奥邨委員、小野寺委員、根本委員、堀内委員及び村松委員でございます。本日は、審議会の終了後に、部会の開催も予定しております。よろしくお願いいたします。
【会次第4 会長の選出】
収集書誌部長:
それでは、会次第4の、会長の選出に入ります。委員の方の互選となっておりますので、どなたか立候補又は御推薦をお願いいたします。いかがでしょうか。
委員:
では、推薦させてください。先の第34回納本制度審議会でも会長を務められました斎藤誠委員に、引き続き会長をお願いしたいと思います。
収集書誌部長:
ただいま、斎藤誠委員を会長にとの御推薦がございましたが、他の委員の方はいかがでございましょうか。よろしいでしょうか。
では、御異議がないようですので、斎藤誠委員に決定いたしました。それでは、会長となられた斎藤委員に以後の進行をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
【会次第5 会長の挨拶】
会長:
東京大学の斎藤でございます。ただいま、御推薦をいただきました。微力ながら会長職を勤めさせていただきたいと思います。謹んでお引き受けいたします。オンライン資料の収集を含めて、着実に国立国会図書館では業務を進めてきておられますが、なおデジタル化の進展やコロナ禍ということもあり、色々な課題がまた出てくると存じます。皆様の御協力を得まして、成果がある審議会運営に勤めたいと考えますので、どうかよろしくお願いいたします。
【会次第6 会長代理の指名】
会長:
続きまして、会次第6の、会長代理の指名に移ります。納本制度審議会規程第5条第3項によれば、「会長に事故があるときは、会長があらかじめ指名する委員が、その職務を代理する」こととなっておりますので、このたびは、植村委員を会長代理に指名させていただきたいと存じます。植村委員、どうぞよろしくお願いいたします。
委員:
はい、承りました。
会長:
ありがとうございます。
【会次第7 館長挨拶】
会長:
それでは、会次第7に入ります。国立国会図書館長から御挨拶をいただきます。吉永館長、よろしくお願いいたします。
館長:
館長の吉永でございます。 皆様方には、大変御多忙にもかかわらず、納本制度審議会の委員をお引き受けいただき、誠にありがとうございます。また、本日は、オンライン開催ではございますが、御多用のところ審議会に御出席いただきましたこと、重ねて御礼申し上げます。
法律に基づく納本制度等による資料の収集は、国立国会図書館のあらゆる活動の基盤であり、わが国の文化的資産を蓄積し、国政審議に資するとともに、広く国民の皆様に図書館サービスを提供するという当館の使命を果たすために、必要不可欠なものであります。この納本制度等の改善及び適正な運用のため、納本制度審議会の委員の皆様方には、よろしく御指導、御鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。
さて、今般、国立国会図書館では、今後5年間の方針を定めた「国立国会図書館ビジョン」を策定いたしました。2021年度から2025年度までを「国立国会図書館のデジタルシフト」の推進期間と位置づけ、「国のデジタル情報基盤の拡充」と「ユニバーサルアクセスの実現」に取り組んで参ります。特に、重点事業の1つとして掲げた「デジタル資料の収集と長期保存」は、有償で配信されているオンライン資料の制度収集を開始し、著作者や出版者の皆様の御協力を得て、安定的な資料収集の実現を目指すものであります。この、有償で配信されているオンライン資料の収集や補償の在り方については、本年3月25日に、納本制度審議会からの答申を頂戴したところでございます。国立国会図書館としましては、答申の内容を踏まえまして、オンライン資料を全面的に収集する制度の開始に向けて、全力を尽くす所存でございます。
第12期の審議会会長に選出されました斎藤会長には、今後とも御教導をお願い申し上げます。委員の皆様方には、斎藤会長のもと、御経験と御知見に基づく多様な御意見を交換していただき、納本制度等の一層の充実、円滑な運用に向けて御審議いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。以上、第12期審議会の発足に当たりましての御挨拶とさせていただきます。
会長:
ありがとうございました。ここで、吉永館長と田中副館長は退席されるとのことです。
館長:
それではこれで、失礼いたします。
〔館長、副館長退席〕
【会次第8 事務局からの報告】
会長:
そうしましたら、次は会次第8、事務局からの報告です。まずは資料の収集状況等について、よろしくお願いします。
収集書誌部長:
それでは、まず令和2年度末時点における国立国会図書館の資料収集状況を御報告いたします。資料3、通しページ5を御覧ください。
有体物としておりますのが、図書、雑誌・新聞、その他非図書資料等のグループです。その他非図書資料等とは、マイクロ資料や映像資料、録音資料等です。印刷資料である図書と雑誌・新聞を合わせますと、約3,122万点となります。非図書資料を足すと約4,561万点です。その下の無体物が、インターネット資料及びオンライン資料の収集数です。インターネット資料とは、ウェブサイトを収集したものです。下の注1にありますように、国、地方公共団体等の公的機関のウェブサイトを制度に基づき収集しています。また、公益法人、私立大学、政党、国際的・文化的イベント(例えば東京オリンピックに関するサイト)、そして東日本大震災関連等の民間のウェブサイトを許諾に基づき収集しています。1サイト1タイトルと数えております。20万件という数字は、ある時点で収集したウェブサイトを構成しているデータの固まりを1件と数えたもので、1タイトルにつき複数件のデータが存在しています。現在約2PB蓄積され、昨年1年では350TB増加しております。
オンライン資料は、電子書籍・電子雑誌に該当するものです。これも注2にありますように、私人がインターネット等で出版した電子書籍・電子雑誌等を制度に基づき収集している他、インターネット資料として収集した公的機関のウェブサイトから、電子書籍・電子雑誌等に相当するものを取り出して収集しています。現在、約133万点が蓄積されています。昨年度の収集実績は約8万点でした。
引き続き、納本制度に基づく出版物納入状況等について国内資料課長から御説明申し上げます。
事務局:
令和2年度出版物納入状況、令和3年度代償金予算及び令和2年度代償金支出実績について御報告いたします。
最初に、昨年度・令和2年度の出版物納入状況です。お手元の資料4、通しページの6ページを御覧ください。図書、パッケージ系電子出版物、及び逐次刊行物につきまして、最近3か年の納入数を示しております。昨年度を中心に報告いたします。図書は、官庁出版物が3万1,420冊、民間出版物が10万4,265冊、合計13万5,685冊が納入されました。パッケージ系電子出版物は、官庁出版物が2,028点、民間出版物が2万550点、合計2万2,578点が納入されました。逐次刊行物は、官庁出版物が8万3,513点、民間出版物が28万9,067点、合計37万2,580点が納入されました。なお、逐次刊行物の数値の中には、地図、静止画資料、点字・大活字資料も若干含まれておりますが、そのほとんどは逐次刊行物です。令和2年度の出版物納入状況については、以上でございます。
続きまして、今年度・令和3年度の納入出版物代償金予算及び令和2年度の代償金支出実績について御報告いたします。お手元の資料5、通しページの7ページを御覧ください。今年度の代償金予算額は、3億9,747万6,000円でございます。昨年度と同額でございます。次に、昨年度の支出実績ですが、3億4,102万291円でございます。参考といたしまして、図書、パッケージ系電子出版物、及び逐次刊行物の支出実績の内訳を示しております。令和2年度は、図書48%、パッケージ系電子出版物18%、逐次刊行物34%となっております。令和元年度に比較して代償金予算の執行残が多くなっておりますが、これは新型コロナウイルス感染症の影響等により出版物の納入が減少したこと等によるものでございます。なお、代償金の運用につきましては、当館収集書誌部におきまして、高額で販売実績の少ない資料を中心に厳正な審査を行って、引き続き適正に進めております。御報告は以上です。
会長:
ありがとうございました。次の報告は、有償等オンライン資料の制度収集についてです。こちらも事務局からの報告をお願いします。
事務局:
有償等オンライン資料の制度収集について事務局から御報告いたします。資料6、通しページ8・9の「有償等オンライン資料の制度収集開始に向けて」を御覧ください。
当館は平成25年7月から、参考資料3の国立国会図書館法に基づき、民間発行のオンライン資料を収集しております。現状、無償かつDRM、技術的制限手段が付されていないもののみが収集対象となっており、有償又はDRMが付されたオンライン資料、有償等オンライン資料については、館法及び参考資料6の国立国会図書館法によるオンライン資料の記録に関する規程により、当分の間、提供義務が免除されているという状況です。この有償等オンライン資料については、本年3月の審議会において答申「有償等オンライン資料の制度収集を行うに当たって補償すべき費用の内容について」を頂戴したところでございます。
当館としましては、答申の内容に沿った形で、現状実施している無償DRMなしのオンライン資料制度収集の実態を踏襲する方向で、有償等オンライン資料の制度収集開始に向けて準備を進めることしたいと考えております。
(1)の収集については、まず、有償等オンライン資料の提供義務免除の規定を削除するという形で、館法及び規程を改正することによりオンライン資料の全面収集を実現することといたします。また、収集対象を定義するコードやフォーマット、提供を求めるメタデータ項目や収集方法につきましては、現行制度を踏襲することといたします。さらに、答申の内容に基づき、市場においてDRMが付された状態で流通している場合でもDRMが付されていない状態のファイルを収集すること、同一内容が複数フォーマットで流通している場合は代表的なバージョンを優先的に収集することといたします。
(2)の収集除外についてですが、機密扱い及び簡易なもの、同一版面であるもの、長期間にわたり利用可能であり消去されないと認められるもの等、収集除外となる条件については現行制度を踏襲することといたします。また、答申において詳細に言及されております、営利企業で構成する組織が運営するリポジトリを収集除外対象とする場合については、答申の内容どおり、長期継続性、利用の担保、コンテンツの保全の観点であらかじめ確認した上で、コンテンツの散逸防止やメタデータ連携について覚書等により担保することを必須とします。なお、収集除外リポジトリとのメタデータ連携は、国内の資料を幅広く対象とする統合的検索サービスである国立国会図書館サーチによる外部連携の一環として行うことといたします。また、収集除外リポジトリについては、必要に応じて利用権契約を締結することにより、当館内での利用提供を実現したいと考えております。
(3)の利用についてですが、現行制度や任意提供により収集済みのオンライン資料と同様、国立国会図書館デジタルコレクションによる館内限定公開とし、更に有償等オンライン資料については同時閲覧制御を行うことといたします。ただし、権利者の許諾が得られる場合には、インターネットで公開し広く利用可能とすることといたします。複写については、既に収集済みのオンライン資料と同様に取り扱うことといたします。オンライン資料の館内におけるプリントアウト及び遠隔複写は、現在、提供に向けて検討中でありますが、同じ枠組みで引き続き検討していくことといたしたいと思います。
(4)の補償その他についてですが、まず、金銭的な補償につきましては、答申の内容どおり、現行と同様、記録媒体に格納して収集する場合の媒体費用と送料を補償することといたします。また、非金銭的なインセンティブとして、受入証明やデータバックアップ機能といった事業につきましては、実施に向けて引き続き検討することといたします。また、既に実現していることではありますが、収集済みのオンライン資料と同様、リンクリゾルバ機能等により、販売サイトを含めた本文情報へのナビゲートを引き続き行うことといたします。なお、著作権者や発行者を始めとする関係する権利者の御理解・御協力を得られるよう、制度の趣旨や具体的な収集実務について、丁寧な説明を行うよう努めてまいりたいと思います。
最後に、制度収集開始までのスケジュールですが、今年度中に制度の詳細設計及び運用調整、関係法規整備に向けた準備を行い、来年度になりましたら関係法規整備、周知及び収集除外手続等の期間を経て、令和5年1月から全面的な制度収集を開始したいと考えているところでございます。御報告は以上となります。
会長:
ただ今の事務局からの説明、つまり、資料の収集状況、出版物の納入状況、有償等オンライン資料の制度収集、この3つの説明について、せっかくの機会でございますから、委員の方々から何か御質問や御意見がありましたらお願いいたします。オンラインの少人数ですので、御発声いただくか、リアルに手を挙げていただければ、私なり事務局なりでキャッチしますので御遠慮なく。
委員:
前回の審議会の最後のところで発言させていただきましたが、先ほど館長の御挨拶で、新しい5年間のプランでデジタル化というのを最前線に掲げて国立国会図書館で進めるというお話がございまして、デジタル化資料、オンライン資料、こういうものが極めて重要な役割を果たすというお話でした。ちょっと確認させていただきたいのですが、今回の2年間の我々の期で検討するのは、今日の資料の8,9ページに掲げられた制度収集の実行に向けての具体的なプランを作るだけなのでしょうか。という聞き方は変なのですが、とりあえずはそこからスタートするという理解でよろしいのでしょうか。というのは、前回も国立国会図書館法でオンライン資料、つまり図書・逐次刊行物に当たるもの以外のデジタル化の状況について発言させていただき、前期の小委員会の方でも、収集対象資料のコードやフォーマットに意見を述べさせていただいたことがございます。つまり、今ここで進もうとしているのは、従来、紙とかパッケージ系で出ていたものがオンライン化されて、ネットにあるものをどういうふうに国立国会図書館で収集するかということの基本的な方針は決まったわけなのですが、それだと同じ枠組みで議論することになると思うのですね。ただ、デジタル化という時に、今極めて状況は流動的で、いろいろな新しい事が起こっているという話を小委員会の方でもさせていただいたのですが、例えばパッケージ的なフォーマット、PDFとかEPUBとか、こういうものの収集を行うということなのですが、それ以外のHTMLとかが、ここでは対象になっていないわけですね。そういうものも含めて、新しい時代の、納本制度とは言えないと思うのですけれど国立国会図書館はどういうものをどういうふうに収集するのかということについての議論は、ここでやることなのかどうかは疑問ですけれども、ただ国立国会図書館にそういう戦略みたいなものが別にあって、どこかで検討されているのかどうかというのは、私どもがこの議論をする時に、傍らでもう少し広い議論がどういうふうに進むのかということを合わせて知っていたいと思うのですね。そういう意味で、この議論をすることと、前から私が申し上げているような新しい時代のネット上の情報の収集の在り方みたいなものの検討をどういうふうに考えるかということについて、何か、ここの委員の方というよりは、NDLの方針として何かあるのでしたらお聞かせいただいて、我々の議論を明確にしたいと思います。以上です。
会長:
ありがとうございました。事務局、今の点についていかがでしょうか。
収集書誌部長:
ただ今の御質問は、非常に幅の広い資料の収集についてどう考えていけばよいのか、また、デジタルの時代を考えていけばよいのかということで、これまでも御意見をいただいております。まず具体的な戦略としては、今期、電子書籍・電子雑誌の部分は成功させたいと思っておりますので、ぜひとも御支援を賜りたく、ある意味ではそこに注力しているというのが事実かと思います。一方で、デジタルシフトの中では、既に紙で集めたものをデジタル化して、利用と保存の両立を図る作業も進めていく、特にコロナの下では、電送、電子的に図書館送信として扱われているものの活用を図っていくということが今議論されているので、その部分はデジタルシフトの中ではベーシックなこととしてきちんとやっていくことが大事だと館は認識しております。戻りますが、広い資料群の中でどれを収集しましょうかということは、これから御相談しながらやっていくことだろうという気がいたします。制度として集めるというところは、御指摘のとおり、いろいろ問題や障壁がある部分もあるかもしれませんので、必要性に応じて、許諾をベースに、発行者や著作権者の御理解の下で保存を図るという事業に、原則は、当面の間は収束するのかと思っております。今申し上げたことには2つありまして、収集対象とする資料群をさらに広げていくかということは議論が要ることかと思っておりますし、またそれを制度でやりましょうかということにも議論が要ることかと思っております。いろいろな御要望がある中で、館もどこから手掛けようかと悩んでいることは間違いないのですが、この12期においては、ぜひとも電子書籍・電子雑誌を発進させたい、その中で並行して、どんな資料群についての収集保存を行ったらよいかということを考えていきたいというのが原則的なところでございます。いかがでしょうか。
会長:
よろしいでしょうか。
委員:
基本的なことはそうかと理解しておりますが、例えばISSNに限定する等、先ほどのフォーマットの範囲に入るものと入らないものがどうしても出てきますし、やはりこういう枠組みそのものが古臭い部分もあるのではないかと思うのです。そこを固めるというのは分かるのですが、先の事を考えながら行った方がよいのではないか、それが館法にある文化財の蓄積と利用という、文化財とは何かという極めて重要な部分で、デジタル化という状況の中で大きく変貌しているということを常に考えて行きたいと思っております。以上です。
会長:
ありがとうございます。
収集書誌部長:
会長、よろしいですか。
会長:
どうぞ。
収集書誌部長:
今、委員がおっしゃったことについては、私達は出版物を扱うということを主に手掛けている組織でありまして、そのことについて、現代においてどうなのかという御疑問があることは間違いないと思っております。ただ、ブックナンバー、シリアルナンバー等、規格化された情報が付された出版物を集めることが制度でも義務付けられておりますので、おっしゃったテーマについて、運用の中で繰り返し確認していかなければならないことは、前期の審議会でも申し上げさせていただいたことなので、志そのものは変わっておりません。補足させていただきました。
会長:
一方で有償オンライン資料の収集をより具体化して運用までもっていくということがあり、他方でそれ以外の範囲についてどう考えるかという議論がありますので、両方について必要に応じてこの審議会なり小委員会で諮問を受けて議論することもあろうかと思いますのでよろしくお願いいたします。他の委員の方もこの機会に何かありましたら御遠慮なく。いかがでしょうか。
委員:
よろしいですか。資料4、通し番号で申しますと6になります。ここでは3年度分の比較でしかないのですが、とりわけ民間出版物の納入実績が、ダウントレンドとは決して言えない中でもかなり少なかったかなと数字上は見えます。昨年、今年もそうですけれども、特別な状況下で、納本されるべき本が刊行されていないということなのか、そもそも納本されないような事情があるのかというあたり、もし事務局の方で御存知でしたら教えてください。
会長:
ありがとうございます。事務局いかがですか。出版点数の減なのか、それとも出ているけれども納入のところで何かあるのか、もし先ほどの説明に補足していただけることがありましたらお願いします。
事務局:
お答えいたします。当館では民間出版物等につきましても納本率というものを毎年算出しておりまして、納本率というのは出版されたものの中でどのくらい納本されているかというものなのですけれども、その数値につきましては、令和2年度も令和元年度もあまり大きな差異はなく、99パーセント程度ということになっておりますので、おそらくは出版点数が減少したことによって納入点数も併せて減少したものではないかなと考えております。また、あわせて、パッケージ系の電子出版物の減少が非常に大きいわけなのですが、こちらにつきましては、督促することによって納入されることが通常の事務手続上多いのですけれども、昨年度は新型コロナウイルスの影響等で、出版社の中で在宅勤務等がありまして、なかなか連絡が取れないということで、通常よりも督促業務が順調に行えなかったということも理由としてはあるかと思います。以上です。
委員:
ありがとうございます。
会長:
それでは次の御質問をお願いします。
委員:
資料6「有償等オンライン資料の制度収集開始に向けて」についてです。私どもの今期2年間の中で、この制度収集が具体的に始まるということで、前期までの小委員会等で議論してきた者としても実質的にしっかりとスタートするとよいなと大いに期待しているところです。その上で、今まで議論したことの一番のポイントは、この収集除外の一番下に記載されている営利組織が運営するリポジトリというところで、実証実験等も行われた件かと思います。スケジュールを見ると、来年度に周知されるということなので、今年度中に形が決まって、公表し、来年度はそれについて周知していくという流れだと受け取りました。差し支えない範囲で、民間組織が運営するリポジトリについてどの程度進んでいるのかご教示ください。つまり、ここでは具体的な組織名は出ていないわけですが、やはり具体的な組織があって進められていることかと思いますので、可能な範囲で状況を教えていただけないでしょうか。というのが一つ目です。
それと関連しまして、私も議論に参加したはずで、すっかり忘れているだけかもしれませんが、補償のところで、リポジトリ等で収集除外になったものに対する補償というものは、考え方として、収集していないのだから補償しないのでしょうか。あるいは利用料という形で別の枠組みで考えるのでしょうか。ということが分からなくなりましたので教えてください。この2点です。
会長:
ありがとうございます。事務局よろしくお願いいたします。
事務局:
お答えいたします。まず1点目、民間リポジトリの状況についてですけれども、前期に小委員会の方で、リポジトリの運営を予定している電書協さんからヒアリングをさせていただいたかと思います。その時に御提示いただいたスケジュールですと、もう既にリポジトリを構築しているはずだったのですけれど、現状確認をさせていただいたところ、具体的にリポジトリが出来ている状況ではないと聞いているところでございます。今般、このような形で令和5年1月に全面的収集を開始するというスケジュールもお伝えをした上で、そこまでの間にきちんと構築し、かつ、我々と覚書を結ぶ必要があることも含めてスケジューリングするよう調整しているという状況でございます。今現在何か御提示できるようなものはないという状況ですが、制度開始までのスケジュールを共有して、それに向けて調整しているという状況でございます。それ以外のところにつきましても、リポジトリとなる可能性はあるかと思います。その方々に対しても、こういう答申が出ましたということについて、説明できるところはしておりますので、そちらの側で、リポジトリとして運営できるのかどうかを含めて御検討いただいているのかなという状況です。
2点目、収集除外に対する補償ということですけれども、収集されていませんので、補償という概念はございません。ただし、通しページ9の上の方に書いておりますけれども、収集除外リポジトリについては、他の外部データベースと同様、必要に応じて利用権契約を締結するとあります。こちら、全ての収集除外リポジトリについて利用権契約を結ぶというのは難しいと思っていますが、必要に応じて、この利用権契約は、交渉次第でありますけれども、有償ということも想定しておりますので、そちらの方で、補償ではないですけれども、金銭的なやり取りが発生する可能性はあると考えております。
委員:
ありがとうございます。よくわかりました。
会長:
それでは他に何かございますか。よろしいですか。そうしましたら、今まで出ました貴重な御意見を踏まえまして、今後の運営について考えていきたく存じます。
【会次第9 今後の日程について】
会長:
それでは次に会次第9、今後の日程について、事務局から説明をお願いします。
収集書誌部長:
今後の日程につきまして御説明いたします。
まず、有償等オンライン資料の制度収集に向けては、本日御報告しました方針とスケジュールに沿って、引き続き、制度収集開始に向けた準備を行ってまいります。
次の審議会は、今年度第4四半期頃を予定しております。具体的な日程につきましては事務局から改めて御相談させていただきます。以上です。
会長:
日程についての今の説明について、何か御質問等はございますか。よろしいですか。それでは、予定されている議題や報告は以上で終了いたしました。何か、なお御意見・御質問等はございますか。よろしいですか。事務局からは何か補足等よろしいですか。よろしいですね。
【閉会】
会長:
それでは、以上をもちまして、第35回納本制度審議会の会次第は全て終了いたしました。なかなか首都圏は緊急事態の解除には至りませんし、むしろ拡大している状況でもありますので、委員の皆様方、事務局の皆様方も、御自愛専一でお過ごしください。これで散会といたします。どうもありがとうございました。
(14時55分終了)

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