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第28回 関西館資料展示「ニッポン茶・チャ・CHA」

第28回関西館資料展示チラシ
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ちらし (PDF: 1.53MB)

私たちの生活に欠かせないお茶は、関西館の位置する「けいはんな学研都市」がまたがる京都、大阪、奈良と歴史的に深い関わりがあります。特に近隣の京都府南部は、「お茶の京都」として、宇治茶や茶畑景観等に注目した地域振興が図られています。

世界で最も生産されているお茶は紅茶ですが、日本では茶の湯などに代表されるように、緑茶が大きな存在感を持っています。近年、新しいスタイルの日本茶専門店の登場や、海外での抹茶ブームなどにより、日本のお茶が改めて脚光を浴びています。また、成分の解明や新品種の育成など、科学的な研究も展開されています。

本展示では日本のお茶に関する本と雑誌約70点を、歴史、文化、産業・科学の切り口からご紹介します。ほっと一息、心を潤すお茶の世界に浸ってみませんか。

また、関連イベントとして、藤井孝夫氏(京都先端科学大学バイオ環境学部食農学科特任教授)による講演会「宇治茶のイノベーション ~嗜好の荒野を開拓した人たち~」も実施します。ぜひご聴講ください。

開催予定が変更になる場合があります。当ページなどでの最新情報及び【重要】新型コロナウイルス感染拡大防止のためのお願い(関西館)の内容をあらかじめご確認の上でご来館ください。
入館時の検温、館内でのマスクの着用・手指消毒にご理解とご協力をお願いします。

展示資料紹介

※【 】内は当館請求記号

※(3)、(4)、(5)の画像は、国立国会図書館デジタルコレクションではモノクロ画像。(3)は、東京本館所蔵資料のカラー画像あり。

たどる~お茶の歴史~
(1)『番茶と日本人』 中村羊一郎 著, 吉川弘文館, 1998.8【DM235-G16】

お茶を飲むことは、昔から私たち日本人にとってごく一般的な行為でしたが、商品としての主役は抹茶と煎茶でした。一方、煎茶の普及以前から、番茶と呼ばれる自家用または狭い市場でしか流通しない規格外のお茶も、庶民の生活と密接に関わってきました。展示資料では、その番茶の製造法や、日常生活における番茶を「食べる」という行為が紹介されており、番茶と日本人の強い結びつきを垣間見ることができます。

(2) 『茶叶全书 上册 (中国茶叶研究社丛书)』 威廉·乌克斯原著, 中国茶叶研究社社员集体翻译, 中国茶叶研究社, 1949.5【XP-B-44448】

William H. Ukers 著の『All About Tea』(1935年刊)の中国語訳で、日本を含む世界各地の茶文化を紹介しています。展示資料は、中国の国共内戦という激動の時代に刊行され、出版されたその月は状況が緊迫し、出版地の上海で支配勢力の交代がありました。国立国会図書館関西館は上海新華書店旧蔵書コレクション約15万冊を所蔵しており、1930年代から1990年代初めまでの 上海を中心とする地域の代表的出版物が含まれています。展示資料もそのコレクションの1冊です。

たしなむ~お茶と文化~
(3) 『売茶翁茶器図』 [木村孔陽 編], 泉谷末三郎, 大正13【15-415】

売茶翁(ばいさおう)(高遊外(こうゆうがい))は、江戸時代に腐敗した禅僧社会の覚醒を促すため、煎茶を売りながら仏道や人の生き方を説いた人物です。売茶翁が用いた煎茶道具は、大阪の文人木村蒹葭堂(きむらけんかどう)の後嗣である孔陽(石居)が編んだと伝わる『売茶翁茶器図』にまとめられています。展示資料は、大正13(1924)年に、煎茶道の花月菴の人々が急須塚を修築して石碑を建てた記念に再版したものです。急須塚とは、花月菴の初代鶴翁が、天保6(1835)年に邦福禅寺(ほうふくぜんじ)(現大阪・統国寺)境内に設けた供養塚です。鶴翁は、愛玩の茶器が破損した際、同寺に持参し供養しており、門下の人々もこれに倣うようになったといいます。

(4) 『大正名器鑑 第1編』 高橋義雄 編, 大正名器鑑編纂所, 大正10-15【422-74】

実業界を引退した高橋義雄(箒庵)は、大正元(1912)年、当時伝来していた茶道具の名品の悉皆調査を思い立ちます。様々な研究の後、大正6(1917)年からは諸名家に赴き、茶入(茶道に用いる抹茶の容器)と茶碗の実見調査を重ねました。本編9編分の編纂が完了したのは、大正時代が幕を閉じる大正15(1926)年12月の事で、収録された茶入は436点、茶碗は439点にのぼります。展示資料は、高橋が大正時代を丸ごと注ぎ込んだ茶道具研究の集大成です。画像は、足利義政により「初花」と名づけられたと伝わる茶入で、信長や秀吉を経て徳川家に伝わり、重要文化財に指定されています。

そだてる~お茶と産業・文化~
(5) 『教草』 丹波修治 等著, 溝口月耕 等画, 明治5-9【特67-212】

明治6(1873)年に開催されたウィーン万国博覧会への出展を機に、文部省博物局(現在の東京国立博物館など)が中心となり、日本各地の産物やその製法を調査させ、それぞれ一枚の木版画にまとめたものです。『教草』というタイトルは、寺院や寺子屋で使われた子供向けの教材を示す普通名詞であり、展示資料は、日常よく目にする物の原料や製造過程を子供に教え、産業の振興につなげたいという意図の下で製作されました。お茶については、チャの花や実の構造や、茶摘みから製茶に至るまでの各工程が描かれています。

(6) 『緑茶ノ化学的成分ニ就テ』 辻村みちよ [著], [1932] 【UT51-農12-16】

関西館では、特徴的な資料群の一つとして、国内博士論文を所蔵しています。辻村みちよは展示資料により、女性として日本で初めて農学の博士号を取得しました。英語の主論文では、緑茶からカテキンやタンニンを分離しその構造を解明したことが述べられています。また日本語の副論文には、緑茶に含まれるビタミンCが扱われており、番茶や紅茶に比べて緑茶はビタミンCを多く含むことが指摘されています。

日時 2021年 8月19日(木) ~9月14日(火) 9:00~18:00 日曜を除く
会場 国立国会図書館 関西館 閲覧室(地下1階)
参加費 無料(18歳未満の方は所定の手続きの上でご覧いただけます。)
お問い合わせ先 0774-98-1341 (関西館資料案内 9:30~17:00)