準備
被害が発生した場合に迅速に対処するために必要な準備をします。
資料防災計画を立てる
有事に資料を守り、迅速に救出するため、以下の内容を含めた資料防災計画を立て、すぐに参照できるよう準備しておきましょう。
指揮系統と連絡網の整備
有事の際に誰の指示で誰が何をするのか、初期対応のための指揮系統を定め、連絡網を整備しておきます。館内の施設管理者、資料管理者だけでなく、外部委託業者、警備会社等も含め、夜間や休日の対応者・連絡先も確認しておきます。
できれば、自館だけでは対処できない被害が発生した場合に備えて、県域・地域内の図書館・関連機関等で協力ネットワークを作り、その連絡先も防災計画に含めておけると良いでしょう。
救出する資料の優先順位と配置図・リスト
被害規模が大きい場合など、すべての資料を救うことが難しいかもしれません。自館にとって最も優先して残さなければいけない資料は何かを把握して優先順位を決めておきます。例えば、地域の「貴重書」に指定されている資料、一点ものや他機関に所蔵のないもの、自館を特徴づけるコレクション等の優先順位が高くなるでしょう。図書館資料だけでなく、公文書も優先的に救出する対象となります。優先順位が決定したら、非常時に迅速に救出できるよう、資料リストと配置図も準備しておきます。
対応マニュアル
資料の被害を確認して救出するまでの対応フローを決めて、チャート表のような参照しやすいマニュアルを作っておくと良いでしょう。資料の搬出場所や役割分担も決めておきます。
可能ならば、主な災害別に作成しておけると良いですが、特に迅速な対応が必要となる水濡れ被害対応マニュアルは必須です。国立国会図書館作成の「小規模水害対応マニュアル」をはじめ、対応のページで紹介している各サイトの情報を参考にしてください。
救出・復旧に必要な備品や物資の準備
次のような消耗品、備品等を常備して、すぐに使えるようにセットにし、配置場所を周知しておきます。
- 最低限用意しておくもの―吸水タオル、新聞紙、濡れた資料を入れるビニール袋
- 身体保護のため―手袋、マスク、使い捨て作業着等
- 防水、養生等のため―ビニールシート、土嚢、養生テープ等
- 吸水のため―バケツ、雑巾、キッチンタオル等
- 記録のため―資料確認票、筆記用具等
- 備えておけると良い備品―業務用扇風機、乾湿両用掃除機、冷凍庫
国立国会図書館の書庫内水濡れ対応グッズ
書庫内水濡れ対応グッズ(収納コンテナ外観)
参考情報
- 国立国会図書館「書庫内水濡れ対応グッズ」(PDF: 116KB)
- 東京都立図書館「被災資料救済セット」(東京都立図書館へのリンク)
訓練
人命救助・安全確保のための訓練に加えて、資料救出のための訓練も実施し、防災計画の確認、連絡網のテスト、資料の搬出方法、水損資料の乾かし方などを確認しておきましょう。