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ネパール大震災と図書館の被災状況

平成27年7月2日、ネパール大地震と図書館等の被災状況について、ネパール事情に詳しい村山隆雄氏(聖徳大学教授)と山田伸枝氏(滋賀文教短期大学司書講習講師)からお話を伺いました。

村山氏

村山氏からは、ネパールで繰り返される地震について、以下のお話がありました。

ネパールでは大規模な地震が80~100年周期で繰り返されているが、地震への対策が困難な原因として、財政状況や地域による格差等の問題の他に、①記録が少ないこと、②記憶の伝承が困難であること(その一因として国民の平均寿命が短いこと等)が推測される。また地球温暖化の影響により、降雨量が上昇し、氷河が後退することなどにより、山岳地帯に大きな影響が出ている。そのうえで、総合的な災害対策として、①減災という考え方を早期に導入すること、②建物の耐震化の促進、③救済の加速化、④被災記録のアーカイビング化、が必要であると思われる。

山田氏

山田氏は4月25日の大地震発生時にネパールに滞在中でした。カトマンズにある図書館はほぼ全て被害を受けていますが、山田氏からはネパールの国立図書館を中心とした被災状況について、以下の報告がありました。

ネパール国立図書館はカトマンズのHarihar Bhawanと呼ばれる古いラナ王朝期の宮殿の2階の奥まった部分にあり、蔵書は12万冊。4月25日当日は土曜日だったため休館日で人的被害はなかったが、書架は倒れて、資料が床に散乱し、壁に亀裂が入り、倒壊の危険性があるため立ち入り禁止になった。別棟の児童室は被災を免れたため、国立図書館の事務室をそこに移し、5月3日からそこで閲覧を再開し、新聞などを提供している。5月12日の余震において3階部分の被害が拡大した。5月末には国立図書館は、近くの学校の2部屋を仮置き場所として確保し、モンスーン前にそこに資料を移動するべく作業をしており、6月中旬で資料(図書・雑誌)の90%は移動済みである。ただし、この仮置き場は非常に狭く、利用者サービスは不可能、部屋に納まりきれないものはテントを使用しており、より適切な場所に移動しなければ図書館サービスができないため、安全な移設先を求めて教育省と交渉中である。

山田氏が5月5日に撮影したネパール国立図書館

ネパール国立図書館外観

ネパール国立図書館内部

ネパール国立図書館内部

ネパール国立図書館内部

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