「いい男」と聞いて、どのような男性をイメージしますか。顔立ちのよい男性を思い浮かべる人もいれば、気風のいい親分肌の男性を思い浮かべる人もいるかもしれません。「いい男」の基準は、個人的なもので、それぞれの好みや考えで異なるものだといえます。しかし、一方で、ある時代に「いい男」とされた男性をあれこれ眺めてみると、「いい男」像を通じて、その時代の価値観が見えてくることがあります。
「本の万華鏡」第3回では、日本のそれぞれの時代の「いい男」を、国立国会図書館が所蔵する文学作品、歌舞伎や映画などの芸能にまつわる資料を通じて紹介します。第1章では、王朝文学に描かれた貴公子たちや軍記物に出てくる美男子にスポットをあて、第2章では、武士や町人の価値観が「いい男」像に与えた影響を取り上げます。そして第3章では、明治以降、近代化の中で男性の美意識がどのように変化していったのかについて見ていきます。紹介した資料を通じて、様々な時代の「いい男」たちの息吹を感じていただければ幸いです。
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第1章 鎌倉以前