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干支②方位神(ほういじん)
干支は、年、月、日、時間、方位などを示すためにも使われ、それらの吉凶を表わすようにもなりました。
例えば、方位は北から東回り(時計回り)に子、丑、寅…と12等分します。すると北東、東南、南西、西北が表現できないため、中国では易の八卦(はっけ)に基づいた坎(かん)、艮(ごん)、震(しん)、巽(そん)、離(り)、坤(こん)、兌(だ)、乾(けん)を用いて表現していました。日本では、北東(艮)は十二方位の丑と寅の中間なので丑寅(うしとら)、同じように、東南(巽)は辰巳(たつみ)、南西(坤)は未申(ひつじさる)、西北(乾)は戌亥(いぬい)とも呼んでいました。
そして、陰陽家は方位神(ほういじん)と呼ばれる方位の吉凶を司る神を祭り、例えば、今年はこの方向に嫁にいってはいけないなどと、暦上に記していました。方位神は現在でも一部の暦や占いなどで使用されています。
八掛 | 音読み | 訓読み | 方位 | 十二支 |
---|---|---|---|---|
坎 | かん | 北 | 子 | |
艮 | ごん | うしとら | 北東 | |
震 | しん | 東 | 卯 | |
巽 | そん | たつみ | 東南 | |
離 | り | 南 | 午 | |
坤 | こん | ひつじさる | 南西 | |
兌 | だ | 西 | 酉 | |
乾 | けん | いぬい | 西北 |
歳徳神(としとくじん)
牛頭天王の后で、八将神の母。この神のある方位は「恵方(えほう)」「あきの方」などと呼ばれ、万事に吉とされます。
金神(こんじん)
殺伐を好むといわれ、この神の方位は極めて凶とされます。
土公(どくう)
土公神(どくじん)ともいい、土を司る神で、四季により位置を変えます。その場所、方位で土を犯すことを忌みます。
八将神(はっしょうじん)
吉凶の方位を司るとされる八神。暦本の最初にあげてあり、その方位は年の十二支によって決まります。太歳、大将軍、大陰、歳刑、歳破、歳殺、黄幡、豹尾の八神。
八将神 | 暦注記載例 | 解説 |
---|---|---|
太歳神 (たいさいじん) |
此方ニむかひて万よし 但木をきらす |
木星の精。毎年、その年の十二支の方角と同方位に位置する(例えば子の年は北)。この方向に向かってことを行なえば万事吉だが、木を伐るのは凶。 |
大将軍 (だいしょうぐん) |
ことしまて三年ふさかり | 金星の精。殺伐を司り、その方角は凶。同方位に3年とどまって次の方角に移ることから、「三年ふさがり」ともいう。 |
大陰神 (だいおんじん) |
此方ニむかひてさんをせす | 土星の精で、太歳神の皇后とされる。この方角に向かって結婚・出産を行なうのは凶。 |
歳刑神 (さいきょうじん) |
むかひてたねまかす | 水星の精で、刑罰を司るとされる。この方角は万象に凶で、耕作・種まきを忌む。 |
歳破神 (さいはじん) |
むかひてわたましせす ふねのりはしめす |
土星の精で、常に太歳の反対位置にあるという。この方角に移転(わたまし=引越)、旅行、乗船は凶だが、家畜を求めるを吉とする。 |
歳殺神 (さいせつじん) |
此方よりよめとらす | 金星の精。この方位は殺伐の気に満ち、万物を損し滅する。特に結婚・出産を忌む。 |
黄幡神 (おうばんじん) |
むかひて弓はしめよし | 架空の星、羅侯星の精。万物の墓の方といい、また兵乱の神ともいう。この方角に向かって土を動かすのは凶だが、弓はじめなどには吉。 |
豹尾神 (ひょうびじん) |
むかひて大小へんせす くるいもとめす |
架空の星、計都星の精。黄幡神と反対の位置にあり、万事不浄を忌み禁ずるとされる。大小便すること、家畜類を求めることを忌む。 |