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令和7年度第3回 国立国会図書館活動実績評価に関する有識者会議 議事概要

1. 開催日時

令和8年3月11日(水曜)10時00分から12時00分まで

2. 開催形式

Web会議システムを用いたハイブリッド開催

3. 構成員

  • (座長)岸田 和明(慶應義塾大学文学部教授)
  • 上田 健介(上智大学法学部教授)
  • 田辺 国昭(東京大学大学院法学政治学研究科教授)
  • 呑海 沙織(筑波大学副学長、筑波大学附属学校教育局教育長)

4. 国立国会図書館出席者

木藤副館長、松浦総務部長、川西総務部副部長企画課長事務取扱

5. 主な会議内容

国立国会図書館ビジョン2026-2030及び新ビジョン下での活動実績評価並びに令和8年度国立国会図書館活動実績評価の枠組み(案)について国立国会図書館(以下「NDL」という。)から説明を行った後、有識者会議構成員(以下「有識者」という。)による意見交換を行った。意見交換の概要は、以下のとおりである。

① 国立国会図書館ビジョン2026-2030及び新ビジョン下での活動実績評価について

有識者:
何点かコメントと質問をしたい。
全体に対するコメントとして、国立国会図書館ビジョン2026-2030「共につくる知の循環」を読んで、極めて野心的・未来志向であると感じた。本の収集という物理的な部分、それからデジタル化によって広がった情報だけではなく、最終的なアウトプットとしての知の構築という概念を前面に出し、そこに向かってリソースを使っていくという方向で取りまとめられているところが、特に野心的だと感じた。「知の循環」の「知」はNDLが作っているわけではなく、外部に情報を提供することによって、人々が様々な「知」を構築していくということになるだろう。そう考えると、従来以上にネットワーク化の中で、NDLがオープンな姿で生きていくというところを重視したものになっている、というのが率直な感想である。
内容については、例えば、本とデジタルの境目をなくす、有体資料と無体資料を組み合わせて提供するなどは、5年間で終わるかは分からないが、その方針で使いやすくしてもらえればと思う。
2点ほど質問したい。重点実施事項2-2は「知へのアクセスの保障を実現するための読書バリアフリーの推進」とされている。ここでいうバリアフリーとは読書に限定されるものなのか。様々な情報の媒体があり、例えば動画を見て情報得ることを読書と表現するかどうかは疑問であり、この表現で良いのかということが1点目の質問である。
2点目は、重点事業3「国会の活動を確かな根拠で支える」について。昨今EBPM(Evidence-Based Policy Making)などと言われている中で、正確なデータと確かな根拠に基づき国会活動を支えることは非常に重要である。重点実施事項3-2「外部機関との連携の強化による調査サービスの充実」の令和12年度末までに達成すべき事項として、国内外の大学や調査機関及び海外の議会関係機関との連携が挙げられているが、国立の調査研究機関は質問を送れば必ず返答が得られる一方で、国内外の大学に協力を求めた際に、業務の繁忙等から情報を提供してくれるのかという懸念がある。研究機関・大学との連携について、どのように考えているのか、具体的な連携の姿やそれを進めていくための施策などを教えてほしい。
以上、ビジョン全体は評価するが、細かいところで具体例に落とし込んだときにどのようになるのかの懸念としてお聞きしたい。

NDL:
ビジョンの狙いについて大変高く評価していただき感謝する。
1つ目の御質問の、読書バリアフリーという言葉を用いて、バリアフリーの対象を「読書」に限定して良いのかという点について回答する。法律(読書バリアフリー法(1))などもでき、読書バリアフリーという用語が一般的になってきており、国の機関として取組が求められている。情報へのアクセスという面について、ビデオや音楽についてのバリアフリーは、進んでいるところもあるが、障害を持つ方にとってはまだアクセスが難しいというところもある。一方で、読書については紙の本の使いにくさ、読みにくさへの関心が大変高くなっており、どういう人が本を読みにくいのか、それに対してどう技術的に対応すればよいのかも、かなり明らかになっている。それに対応し、より多くの人がテキストの情報にアクセスができるよう、この5年間で取り組むことを目指している。
国会サービスにおける他機関との連携については、科学技術に関する調査プロジェクトという取組を行っている。そこでは、こちらで一定の予算を取り、調査を委託することがある。委託先は調査研究機関や大学の研究機関になることもあり、そうした形での連携を行っている。また、大学の先生方から御意見を伺う機会として、意見聴取会、あるいは特定のテーマを定めて、当館の調査及び立法考査局の専門調査員と大学の先生が一緒に研究をして、政策セミナーなどの場で発表をすることもある。連携の在り方については、さらにどういう方法が考えられるかは検討していきたい。

有識者:
今回のビジョンに関して、「共につくる知の循環」が大変魅力的だと受け止めている。また、中央教育審議会の答申「我が国の「知の総和」向上の未来像」とも親和性が高いのではないかと感じた。
今後、少子化が進む中で必要とされる、教育の質の向上や適切な機会確保と、相性良く結び付いて、正のスパイラルを描くようなイメージを受けた。
1点、重点事業5「知の循環を支える組織をつくる」の中で、「生成AIをはじめとする先進的な情報技術を適切に活用し」と書かれているが、生成AI、あるいはAIを単なる技術として受け止めているように読めることが気になった。他の部分ではAIを技術の一つという枠組みに限定していない表現と読める部分もあるが、特に重点事業5では、AIトランスフォーメーションと言われているような、抜本的にプロセスや組織文化を改変するという試みが読み取りづらいと感じた。

NDL:
生成AIについて、より組織文化の刷新などに寄与するものとして捉える必要があるのではないか、という御指摘と受け取った。現在はまだ、国の機関全体で、生成AIで活用できる情報がある程度制限されていて、着手を始めたばかりという状況である。ひとまずはAIの技術的な活用を進めながら、5年間のうちにAIトランスフォーメーションを進めていきたいと考えている。また、AIトランスフォーメーションというところまで追いつけるように、より広く業務上での活用、一般的に利用ができるように(制度や文化を)進めたいというのが今回のビジョン期間の狙いである。さらに、AIの需要を急速にNDL内で増やすことができれば、より早く組織文化の刷新にもつなげることができ、また、技術的な活用の中でそうした動きも徐々に起こってくるものと考えている。

有識者:
重点事業1「ネットワークとしての「ナショナル・コレクション」を築く」と重点事業2「デジタルで知へのアクセスをひらく」が同じような内容だという印象を受けた。重点事業1はコレクションの収集についてであり、それにいかにアクセスするかが重点事業2なのかと受け取った次第である。その点については、今後必要に応じて切り分け、分かりやすく進めてもらいたい。
そして、先ほどの質問とも絡むが、関係機関との連携というのがビジョンの文章中に何度か出てくる。この関係機関というのは博物館や文書館など、MLA連携のようなことも視野に入れているのか。

NDL:
MLA連携については、重点事業4「情報技術を活用したサービスで知の創造に貢献する」で、ジャパンサーチの構築などによる情報の提供を通じて進めていくという想定である。一方、重点事業1で述べている連携強化では、機関リポジトリや民間アーカイブなど従来図書館資料として扱ってきたもの、ウェブ上の情報など新しく図書館資料として扱われるようになった、あるいは扱われるであろうものを扱っている機関との連携を進めていくことを想定している。そのため、重点事業1で述べているのは、MLAという枠組みではなく、比較的図書館に近い機関との連携ということになる。

有識者:
全体として知の創造、知のネットワークというコンセプトは非常に野心的で良いと感じた。
疑問に思ったのは、その中で重点事業3がどのような位置付けになるかということである。「国会の活動を確かな根拠で支える」というのは、第一義的な責務であるため、ビジョンに取り入れることは当然だと思うが、これと他の1から5の重点事業の中で書かれている知の循環との関係はどうなるのか。
国会議員からの依頼調査などを通じて、NDLは知を生み出す仕事もしているという印象を持つ。そうしたことにビジョンの中で触れても良いのではないか。重点実施事項3-3「国会発生情報へのアクセス整備と調査及び立法考査局刊行物の利用促進」の令和12年度末までに達成すべき事項の中で書かれているように、国会活動の補佐を通じて得られた成果を公衆に対して提供するという役割を、NDLは持っている。国会活動の補佐からその成果の国民への共有は一体のものであると考えているのかもしれないが、そこが上手く切り分けられると良いのではないかと感じた。
それに関連して、文書の中で「国会サービス」と「調査サービス」という言葉が使用されているが、これらはどのように異なるのか。また、「調査サービス」には国会議員を対象とする調査だけではなく、国民に対する「知」の提供も含めて「調査サービス」という扱いになるのか。

NDL:
国会サービスの重要な部分は、依頼を受けて調査をする、あるいはそれに先んじて国政課題について調査研究をする調査サービスではある。その他にも、図書館として保管している資料を国政審議のため国会議員に提供する、議員閲覧室・国会分館という閲覧・調査・研究の場の提供といった、我々が図書館サービスと呼んでいるサービスも行っており、国会サービスというのは、そういった調査サービスよりも広い概念ということになる。

② 令和8年度活動実績評価の枠組み(案)について

重点事業1について

有識者:
活動実績評価に関しては、基本的にはこれまでどおりの数量的指標に基づくベンチマークの達成状況を評価するということか。例えば図書館情報学分野で話題になっている質的評価などは、この段階では明示的に取り込まず、有識者会議で意見があれば評価の改善を検討するという形になると考えてよいか。

NDL:
数値的な評価は、この数値目標の達成状況をみるということになるが、その他に文言による評価として、検討する、諮問するといった行動自体が取られたか、活動自体が行われたかどうかということも評価の対象にするということとしている。

有識者:
基本的な方針については理解した。評価の対象を主に重点事業に置いて、これと別枠で基本的な活動に関する数値を出しているという方向を向いているというのが私の理解だが、従来の活動実績評価では、ここで基本的な活動として挙げられている図書館としての機能を基に、収集・保存・利用という分類に分けて、それをベースに(評価の枠組みを)組み立てて、評価指標を設定していたはずである。それが全てなくなるわけではないが、重点実施事項を定めて、この5年間に取り組むことを明示し、それが進んだか進まなかったのか、やったのかやらないのかというところに評価の重点を移していくのは、一つの方向ではあると思っている。
その一方で、失われてしまう可能性があるものについて言及する。NDL以外の図書館は、図書館情報学で提供されている評価の枠組みがありつつも、NDLの評価のやり方を参考にして評価のひな型のようなものを作ってきたのではないのかと思う。基本的な機能の評価を重視するところから、重点事業の評価を重視する方向に評価の在り方を転換すると、他の図書館にとってはあまり参考にならないのではないか。基本的な機能と重点事業を入れ替えることは悪いことではないが、他の図書館にとっての「こういう形でやろう」という指導的役割は低下すると感じる。ただし、5年間の活動で評価する部分を明確にするという方向は、それはそれで悪くはない。
質問に近い意見であるが、評価の重点を変えた結果として、数値目標よりもやった/やらないという文言による表現が多くなるというのは、評価の仕組み上、仕方がないのかもしれない。しかし、数値目標がビジョン最終年度でどの程度積上げたかというアウトカムに近いところが出ることになるので、それがプレッシャーになるのではないか。目標が未達になった場合に組織の中でその責任を追及することになるので、厳しい状況になることもあるのではないかと感じた次第である。
重点事業1に関する質問として、ナショナル・コレクションを築くため、様々な媒体の資料の収集や、民間団体との協力を行うということだが、その際、著作権法上の障害は生じないのか。この目標を達成するために、クリアしないといけない部分がまだ残っていないのかということをお尋ねしたい。

NDL:
コメントいただいた点についてはしっかりと受け止め、そのようなデメリットや懸念点あるということを認識した上で、今後の評価あるいは業務を進めていくことを心掛けたい。
それから、御質問いただいた著作権法上の障害については、著作権法上の問題が特に大きいのは、集めたナショナル・コレクションを皆様に提供するというところである。構築したナショナル・コレクションを、直ちにどこからでもそれを見ることができるようになるというところまでは、著作権の関係上できないところは出てくると思う。
収集に関しては、著作権法の例外規定が存在するので、その中で可能な範囲は着実に収集を実施し、可能であれば、それ以外のところも許諾等によってクリアしながら、収集に努めていきたい。

有識者:
文言について、「電子化」という表現と、「デジタル化」という表現を使っているところがあると思うが、これらは使い分けをされているのか。
また、数値目標について、3ページ目の脚注4に、「令和7年度統計については集計が完了していないため、参考として令和6年度の数値を示した。」とあるが、この数値はどこを見ればよいのか。また、各目標値は単年度の目標値として見るのか、あるいは累積値として見るのか。

NDL:
説明、資料が整っておらず申し訳ない。「電子化」と「デジタル化」については、この資料内では意図して使い分けているものではないので、用語の統一を図る。
令和7年度の数値について、表に「(令和7年度)」と書かれており、実際の評価のときには、ここには令和7年度統計の数字が入る。ただし、現時点でまだ令和7年度が進行中であり、統計の数字が確定していないため、令和6年度の数値を示している。また、令和7年度の数値が入っていないところがあるが、こちらについては、まだ指標の対象となる事業が行われていない、あるいは指標になる統計を取っていないところであり、それらは「―」で表している。
また、令和8年度の目標について、基本的には単年度の目標値である。累積値を目標値とする場合には、累計何人、累計何個という形で明示している。

有識者:
脚注4は、この表だけではなくて、その後の全ての表に関わる注記という理解で良いか。

NDL:
その通りである。

有識者:
重点実施事項1-1「デジタル情報資源の収集強化」の数値指標として設定されている「電子取次等によるオンライン資料一括納入代行試行への参加出版社数」について、こうした試みは、海外では進んでいるのか。また、20社というのは見込みとして妥当なのか。

NDL:
紙の場合と同様に、一括納入という仕組み自体が、比較的日本特有のものではないかと考えている。電子の場合の納本が各国でどのように行われているのかは把握していないが、やはり同様に、海外では必ずしも一括納入という仕組みではないのではないかと考えている。
20社という数字については、事業を開始していきなり20社というのはどうかということは、NDL内でも議論があったところである。今のところ、このぐらいは可能ではないかと考えている。若干野心的な数字とは言えるかもしれない。

有識者:
承知した。難しい取組ではないかと感じたため、質問した。

有識者:
コメントだが、重点実施事項1-3「紙と電子(有体資料と無体資料)の収集・組織化の一元化」のところで、令和12年度末までに達成すべき事項として、有体資料と無体資料の一元的なメタデータの作成を考えているようであるが、これはなかなか難しいのではないかと思う。もし、目標達成のためのアイデアが今あるのであれば教えてもらいたい。もしなければ、検討するということでも良いとは思う。METSなどを使って組み込むのかと直感的に思ったのだが、いかがか。

NDL:
メタデータ自体の一元化まで実現できれば、それは良いが、ひとまずは統合的に検索ができ、検索結果に示されるというところが、一つのゴールだと考えている。メタデータ自体の一元化については、現時点では答えを持ち合わせていない。

有識者:
有体資料と無体資料とではアクセス方法なども異なるので、難しいとも思うが、ぜひこういうことが実現できればと良いと思うため期待の意味も込めてコメントした。

重点事業2について

有識者:
まず基本的なことだが、重点実施事項2-1「所蔵資料のデジタル化、全文テキスト化及び所蔵デジタル資料のマイグレーションの推進」にある、国内刊行雑誌のデジタル化点数は具体的にどういう単位か確認したい。

NDL:
点数の点について、特に雑誌の場合、巻号の単位である。例えば、国立国会図書館月報という雑誌であれば、その何年何月号を1点と数える。

有識者:
目標値の規模からタイトル数でないことは把握していたが、物理的に独立しているものが1点と理解した。

有識者:
重点実施事項2-2「知へのアクセスの保障を実現するための読書バリアフリーの推進」の数値目標について、「みなサーチ」の新規データ数の目標値を設定しない理由は説明があったが、その直下のうち数には3000件や100件という数値がある。これは毎年の件数を定めたビジョン期間目標がそうなっているからだと思うが、この目標値は実際の業務状況を踏まえた数値と考えてよいか。

NDL:
視覚障害者等用データの収集あるいは視覚障害者等用データの製作は、これまでも行ってきた事業であり、製作実績等から妥当と考えられる目標値である。特に収集件数については令和6年度の数値が7000件のところ、目標値が3000件となっているのは、令和6年度に大学図書館1館からまとまった件数を提供いただいた結果数値が大きくなっているためである。こうした影響を除くと、ベースとなる数値としては毎年3000件ぐらいで推移している。

有識者:
重点実施事項2-2にある令和8年度当初に設定した取組②の「視覚障害者等用データ送信サービスへの参加を促すとともに、「みなサーチ」、全文テキストデータ等の認知度向上と利活用の促進を図る」については、ぜひお願いしたい。日本点字図書館の利用者はこうした取組をよく知っているが、特に後天的に視覚障害となった方は視覚障害者のためのサービスを知らないということが私たちの研究活動の中で分かった。

有識者:
先ほどの有識者の話にあった数値目標について、やはりこうした視覚障害者のためのサービスの件数が減っているように見えることは、気になった。説明を聞くと、令和6年度の実績値が特殊な要因によるということは理解できたが、最初から説明を付した方が良いだろう。重点実施事項2-1の数値目標について、国内刊行雑誌のデジタル化をビジョン期間に400万件実施すると宣言されることは評価したい。一方、デジタル化資料の全文テキスト化点数とマイグレーション実施点数については、令和8年度の目標値が令和6年度の実績値よりも少ない数値となっており、またビジョン期間目標も令和8年度と同規模を続けた数値となっている。これらも令和6年度が特殊であったか、あるいは事業を進めていくにつれ、取組がある程度終わっていくものであれば、それで件数が減るのはわかるので、状況を教えていただきたい。

NDL:
実績値等と乖離のある目標値には何らかの説明が必要ではないかという点について、御指摘を踏まえて注記等の追加の対応を検討する。重点実施事項2-1の数値目標にあるマイグレーションの実施点数については、対象とする媒体の種類あるいは資料群によって変わってくるところである。また、全文テキスト化はここ数年で進めている事業であるが、令和6年度が(内製によるテキスト化に)本格的に取り組んだ最初の年度(2)であり、テキスト化すべきデジタル化済みの資料が多かったことから72万点という実績値となった。令和7年度の実績値は大体50万点の規模となる見込みであり、また今後は資料をデジタル化した後に一定期間を経たものをテキスト化するという作業の流れとなるため、50万点程度に平準化していくと考えている。

重点事業3について

有識者:
重点実施事項3-2の外部機関との連携に関連して、科学技術に関する調査プロジェクトを毎年度コンスタントに実施されているが、国会議員の関心はどの程度あるか。

NDL:
科学技術に関する調査プロジェクトについては重点実施事項3-1「国会サービスの着実な実施と高度化」の中で説明した政策セミナー等も行っており、他の政策課題と同じ程度に、国会議員あるいは秘書等に参加いただいている。他の政策課題と比較して必ずしも直接的な反応が多いというわけではないが、国会の調査機関の中で当館が特徴的に行っているものであり、その点では貢献していると考えている。

重点事業4について

有識者:
2点質問がある。1点目は重点実施事項4-1「遠隔サービスの利活用の促進と図書館ネットワークの拡充」の数値目標、レファレンス協同データベースの参加館数についてである。ビジョン期間目標は990館とされているが、ビジョン期間の後、最終的に参加館数がどの程度となれば理想的と考えているか。2点目は重点実施事項4-2「情報探索環境及び情報探索支援コンテンツの充実」の数値目標、リサーチ・ナビ又はレファレンス協同データベースについての解説動画等の閲覧数についてである。ビジョン期間目標の「合計で年5000回」について、何をどうカウントするか教えていただきたい。

NDL:
レファレンス協同データベースの参加館数について、最終的な数値は持ち合わせていないが、レファレンスを実施している図書館で、参加いただける余裕があればどんどん参加していただきたいと考えている。解説動画等の閲覧数については、解説動画が複数あるため、複数ある解説動画の閲覧数を全部足し合わせて年間5000回となることを意図している。

有識者:
基本はデジタル化した資料をデジタルで利用するということを拡大すれば良いと思うが、重点実施事項4-3「調査研究を支え、知との出会いの場となる来館サービスの実施」の「来館サービス」は、リアルな空間とデジタルをどのように組み合わせるかという部分と思う。「Ex Libris: The New York Public Library」といったドキュメンタリーを見ていると本を読むだけでなく図書館でイベントを頻繁に開催していて、そのイベントが楽しそうに見える。どういったコミュニティに接していくか、またコミュニティが利用できるリアルな空間があるかについて、取組の方向性を教えてほしい。

NDL:
今回策定したビジョン2026-2030におけるコミュニティとしては、研究者、学習支援者等の知の創造に係る重要な役割を担うということで、創作・研究などに携わる方々をまずターゲットにしている。また、学習支援者という若年層につながるところも例として挙げており、(ターゲットとするコミュニティについて)さらに検討は進めていく予定である。リアルな空間としては、今のNDLは一人一人が静かに本を読む環境が大半であるが、2026年3月にグループ研究室を東京本館に新しく作った。まだ大々的な広報はしていないが、大学のゼミなどで使えるものであり、どのような利用がされるのかを見ながら、今必要とされている、グループやコミュニティで使うことができるリアルな空間をどのように準備していくかも検討を進めたい。

有識者:
重点実施事項4-2は生成AIの出現によって大きく変化しているところと思う。その中で令和8年度当初に設定した取組①の「生成AIを通じた利用に適したAPI等の整備について、技術的検討を進める。」については、検討ではなく実際に作ると、NDLの持っている情報の価値も高まるだろう。件名標目と併せて、早期に実現いただけるとありがたい。

NDL:
早期に実現できるように努める。

有識者:
27ページの数値目標のうち、所蔵資料や事業・施設等に関する理解を深めることを目的とした①展示会の回数、②来場者数、③満足度の平均値について、③の満足度はどのように測るのか。測り方によっては90%は高すぎるのではないか。

NDL:
ここでの満足度は、展示会の入場者に尋ねるアンケートにおける「満足、どちらかといえば満足、どちらかといえば不満足、不満足」のうち、「満足」又は「どちらかといえば満足」を回答した人の割合で算出し、また複数の展示会を予定していることから平均値を用いるという意図である。これまでの実績値からそこまで難しい目標値ではないと考えている。

重点事業5について

(質疑なし)

有識者:
全体を通して意見はそれぞれあったが、大きいところで目標値設定の際の根拠が示されると良いという点があった。対外的に説明する場合に大事なことであり、改めてコメントする。また、有識者からレファレンス協同データベースに関する理想値といった質問があった。前年度ベースで数値目標を設定することはPDCAの標準的な手法ではあるが、理想値といった観点から時折目標値を振り返って確認することができればよいと思ったので、それもコメントしておく。

有識者:
特に取りまとめはしないが、令和8年度国立国会図書館活動実績評価の枠組み(案)については了承ということでよろしいか。

(異議なし)

  1. ^
    視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(令和元年法律第49号)
  2. ^
    なお、令和3年度に、外部委託により約247万点のデジタル化資料をテキスト化している。