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科学技術情報整備の沿革

科学技術振興における国立国会図書館の役割

当館の科学技術情報整備は、創立から間もない昭和27(1952)年、米国政府委託研究の成果を集めたPBリポートの収集開始をその原点としています。PBリポートとは、米国における第二次世界大戦中の軍事研究から戦後の原子力や宇宙開発などの大型研究開発に至るまでの豊富な研究成果を含む資料群で、その公開のために設置された‘Publication Board’の頭文字が名称の由来となっています。当館での収集開始時には既に研究者間でその存在と有用性が注目されており、国の中央図書館にこの資料群を揃える必要性が重視され、衆議院および参議院の各図書館運営委員会において、それぞれ昭和27(1952)年6月18日及び6月20日に、PBリポート購入に関する決議が行われました。国会決議に関しては、科学技術文献整備に関する決議も昭和32(1957)年1月21日の衆議院議院運営委員会で行われており、当館におけるこれまでの科学技術関係資料の収集を始めとする様々な情報整備活動が、スタート時点から国全体の科学技術情報基盤整備の一環としての性格を備えていたことがわかります(国会会議録検索システムで、これらの決議がなされた会議録本文をご覧になれます)。

PBリポートとほぼ時を同じくして、昭和28(1953)年、当館は原子力関係資料の収集にも着手しました。その際、各界の著名な専門家による懇談会を発足させて助言と協力を仰ぎましたが、これは、外部の識者の意見を基に科学技術関係情報整備の指針を形成するという当館のその後の体制の基礎となり、現在の科学技術情報整備審議会に至るまで連綿と継続しているものです。

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「科学技術基本法」と諸計画の策定

時を経て平成7(1995)年11月、我が国の科学技術政策の基本的枠組みとなる「科学技術基本法」が施行され、翌年7月には国の「第1期科学技術基本計画」(文部科学省ホームページへのリンク)が閣議決定されました。国のこの計画は、地球環境問題やエネルギー・資源問題を始めとした内外の諸課題に対応するために、我が国の科学技術活動を巡る環境を抜本的に改善し、創造的な研究開発を可能とするシステムの構築の必要性を強調するとともに、情報ネットワークや科学技術関係のデータベース整備など情報・知的基盤の整備促進をうたっていました。

当館では科学技術情報の電子化・ネットワーク化等の進展と国のこの計画が策定された状況に鑑み、平成10(1998)年から向こう5か年間を視野に置いた「国立国会図書館科学技術情報整備基本計画」(PDF: 167KB)を策定しました。この計画は、科学技術関係情報資源の構築及びドキュメント・サプライ・サービスの確立と電子図書館の実現等を主柱としていましたが、現時点で振り返ってみると、電子情報の蓄積・提供の面などにおける具体的な施策の展開はまだ緒についたばかりのものでした。

その後平成16(2004)年1月に、「国立国会図書館科学技術情報整備基本計画」(PDF: 167KB)の継続課題を中心とする当面の諸課題の遂行のために、3か年程度を目途とした「科学技術関係情報整備計画」(PDF: 317KB)を作成しました。さらに同年12月の第45回科学技術関係資料整備審議会「電子情報環境下における国立国会図書館の科学技術情報整備の在り方に関する提言」(PDF: 325KB)が当館館長に提出されたことを受け、平成18(2006)年6月に「第二期科学技術情報整備基本計画」(PDF: 189KB)を策定しました(策定に至る経緯などについては、『国立国会図書館月報』545号(平成18年8月)(PDF: 3.5MB) pp.14-16参照)。

「第二期科学技術情報整備基本計画」(PDF: 189KB)は、我が国の科学技術関係の情報基盤整備において当館が創立当初から担ってきた使命と役割および実績を踏まえつつ、電子情報環境下におけるその後5か年にわたる基本方針と施策を示すものでした。これまでの事業の充実とともに電子図書館事業を推進し、国内で生成された科学技術関係電子情報の包括的収集と提供、外国科学技術情報の整備と活用、各種科学技術関係情報源への総合的アクセスのためのシステム構築といった諸目標の実現を目指すことをうたっていました。

当時、国の計画としては、平成18(2006)年3月、「第3期科学技術基本計画」(内閣府ホームページへのリンク)があり、「第3章 科学技術システム改革」の中で、研究情報基盤の整備に関して当館の機能強化に言及していました。

平成23年1月の第52回科学技術関係資料整備審議会「国立国会図書館における今後の科学技術情報整備の基本方針に関する提言」が了承され、当館館長に手交されました。この提言では、科学技術情報の生産、流通、利用、保存の全ての段階で電子情報資源が主要な役割を果たすようになってきたことを踏まえて、日本全体として新しい学術情報基盤である「知識インフラ」の構築が必要との認識を示した上で、「知識インフラ」の構築は、単独の機関によってなされるものではなく、関係機関の関与、協力によって可能となるものであり、国立国会図書館がその中核としての役割を果たすことを求めています。

この提言を受けて、当館は、平成23年3月に「第三期科学技術情報整備基本計画」(PDF: 234KB)を策定し、平成23年11月には、一部改訂しました。

第7回科学技術情報整備審議会(平成27年12月14日開催)において、「イノベーションを支える『知識インフラ』の深化のための提言~第四期科学技術情報整備基本計画策定に向けて~」が当館館長に手交されました。この「提言」では、「知識インフラ」に係る課題と近年の国内外の動向を踏まえ、将来にわたっても持続的に我が国の知的生産活動を支え、イノベーションを創出するには、多種多様な資料・情報への長期的かつ広範なアクセスと利活用を可能とする基盤となる、より深化した「知識インフラ」の実現が必要であるとされました。この提言を受けて、当館は平成28年3月に「第四期国立国会図書館科学技術情報整備基本計画」(PDF: 60KB)を策定しました。

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第五期国立国会図書館科学技術情報整備基本計画

第13回科学技術情報整備審議会(令和3年1月13日開催)において、「第五期国立国会図書館科学技術情報整備基本計画策定に向けての提言:『人と機械が読む時代』の知識基盤の確立に向けて」が了承され、当館館長に手交されました。この「提言」では、デジタルトランスフォーメーションによる社会変革を後押しし、少子高齢化や地方創生といった我が国の課題の解決やSDGsの達成に貢献していくために、オープンで広く信頼され、大規模災害や感染症流行といった非常事態に対するレジリエンス(しなやかさ)を備えた国の知識基盤の整備に取り組まねばならないとされました。 この提言を受けて、当館は令和3年3月に「第五期国立国会図書館科学技術情報整備基本計画」(PDF: 198KB)を策定しました。

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