連携協力
急速に電子情報の流通が進展する中で、情報を効果的に提供し、後世まで保存していくために、国立国会図書館では、図書館の枠を超えて国内外の多くの機関と協力を進めています。主な活動についてご紹介します。
国内の機関との連携協力
図書館のデジタルアーカイブ連携の推進に向けた取組
国立国会図書館は、デジタルアーカイブジャパン推進委員会及び実務者検討委員会(事務局:内閣府知的財産戦略推進事務局)(外部サイトへリンク)の方針のもと、博物館・美術館等のアーカイブ機関と協力して、「ジャパンサーチ」(外部サイトへリンク)を構築・運用しています¹。
ジャパンサーチは、書籍、文化財、メディア芸術など、さまざまな分野のデジタルアーカイブと連携して、我が国が保有する多様なコンテンツのメタデータ(コンテンツの内容、所在等に関する情報を記述したデータ)をまとめて検索・閲覧・活用できるプラットフォームです。国立国会図書館が中心となって2017年から構築を進め、2019年2月の試験版公開を経て、2020年8月25日に正式公開に至りました。
また、図書館分野のデジタルアーカイブについては、「国立国会図書館サーチ」がつなぎ役²として連携拡張を進めており、加えて、国内の各図書館におけるデジタルアーカイブ整備の推進にも努めています。各図書館がデジタルアーカイブ整備を進めるうえで役立つ情報は、「図書館におけるデジタルアーカイブの整備に向けて~新たな価値の創出へ~(PDF: 689KB)」をご覧ください。
- 1:ジャパンサーチの取組については、「ジャパンサーチ」の「ジャパンサーチの概要」(外部サイトへリンク)参照。
- 2:つなぎ役とは、分野・地域コミュニティにおけるメタデータを集約し、提供を行う機関のこと。内閣府の報告書「我が国におけるデジタルアーカイブ推進の方向性」(外部サイトへリンク)参照。
国立国会図書館サーチ
国立国会図書館サーチは、国立国会図書館が所蔵する資料の全てを探すことができるほか、都道府県立図書館、政令指定都市の市立図書館の蔵書、国立国会図書館や他の機関が収録している各種のデジタル情報などを探すことができます。
検索対象を計画的・効率的に拡大するため、国立国会図書館サーチ連携拡張に係る実施計画を策定しています。
最新の検索対象は検索対象データベース一覧をご覧ください。
デジタルアーカイブに関する調査研究・検討等
デジタルアーカイブに関する調査研究
国立国会図書館では、カレントアウェアネス・ポータルにおいて、デジタルアーカイブに関する様々な調査研究や文献等の情報を提供しています。国立国会図書館が平成21年度に行った、国内の公共図書館、大学図書館、公文書館、博物館等のデジタルアーカイブの整備・運営状況に関する調査研究の報告などもあります。
また、デジタル情報資源に関する博物館・美術館、図書館、文書館等の連携を深め、関連する共通の諸課題を解決していくため、デジタル情報資源ラウンドテーブルを平成21年度に設置し、平成23年度まで有識者会議等を開催しました。詳細は、デジタル情報資源ラウンドテーブル(インターネット資料収集保存事業(WARP)へリンク)をご覧ください。
ジャパンリンクセンター(JaLC)プロジェクト
平成24年5月、国立国会図書館は、独立行政法人科学技術振興機構(以下「JST」といいます。)、独立行政法人物質・材料研究機構、及び大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立情報学研究所との共同プロジェクトとして、学術コンテンツの所在情報を一元的に管理し、それらの相互リンクを実現することで学術情報の流通促進を図ることを目的にJSTが開発するジャパンリンクセンター(以下「JaLC」といいます。)の運営を開始することについて、覚書を交わしました。JaLCはコンテンツの電子データに付与される国際的な識別子であるDOIの登録機関となっており、国立国会図書館においても、デジタル化した資料等へのDOIの付与を進めています。詳しくは「国立国会図書館におけるDOI付与」のページをご覧ください。
国際的な連携協力
ワールドデジタルライブラリー
ワールドデジタルライブラリー(外部サイトへリンク)は、米国議会図書館とユネスコが共同で開始した電子図書館プロジェクトで、現在は米国議会図書館ウェブサイトで世界の多くの図書館が提供するデジタルコンテンツを見ることができます。当館からも、貴重書等の画像を提供しています。
国際インターネット保存コンソーシアム(IIPC)
国際インターネット保存コンソーシアム(International Internet Preservation Consortium、略称IIPC)は、各国の国立図書館等が国際的に連携してウェブアーカイブの技術開発等を行うための組織で、米国、フランス等欧米言語圏の国立図書館等が中心となり、2003年に結成されました。2010年6月時点で39機関が加盟しています。(最新の参加館一覧は、IIPCホームページをご覧ください。)
当館は、国際的な連携の枠組みでインターネット情報の収集・保存・提供の課題に対処するために、2008年からIIPCに加盟しています。提供ワーキンググループに参画し、IIPCが開発したウェブアーカイブ用ソフトウェアを欧米言語圏以外でも利用可能とする機能改良等に取り組んでいます。
日中韓電子図書館イニシアチブ(China-Japan-Korea Digital Library Initiative: CJKDLI)
2010年8月、当館は、中国国家図書館および韓国国立中央図書館と「日中韓電子図書館イニシアチブ協定」を締結しました。2007年の長尾真国立国会図書館長(当時)からの呼びかけをきっかけに始まったこの事業は、三国の文化・学術遺産をインターネット上で統合的に検索し、利用できる仕組みを作ること等を目指しています。概要は以下のとおりです。
- 3か国における文化・学術遺産へのアクセスを容易にし、人々に豊かな多文化・多言語コンテンツを提供するとともに、学術界へ貢献します。
- メタデータの標準化、統合的情報サービス(ポータル)、電子情報の長期保存等についての取組みを共同で行います。その第一段階として、各国立図書館が運営するポータルサイトの相互運用性を高めていきます。
- 各国立図書館は、自国内の他の図書館、博物館、美術館、公文書館等とのデジタル連携の促進に努めます。
- プレスリリース(PDF: 116KB)
- 第12回図書館総合展(平成22年)講演資料
(当館主催のフォーラム「MLA(博物館・図書館・文書館)のデジタルアーカイブ連携―世界、そして日本」において、日中韓電子図書館イニシアチブについてご紹介しました。)
なお、中国国家図書館とは1981年以来、韓国国立中央図書館とは1997年以来、相互に代表団を派遣して業務交流を行っています(各館との業務交流の詳細は、国際協力活動のページをご覧ください)
East Asia Digital Library(EADL)
East Asia Digital Library(EADL)は、東アジアの文化・学術資源を対象とするポータルサイトです。韓国国立中央図書館が主体となって運営しており、国立国会図書館は参加館として構築・運用に協力しています。2020年12月にβ版が公開され、今後、正式版へ向けた機能改善や連携データの拡充が行われる予定です。
アジア・オセアニア地域国立図書館長会議(CDNLAO)
アジア・オセアニア地域国立図書館長会議(Conference of Directors of National Libraries in Asia and Oceania: CDNLAO)は、アジア・オセアニア地域の国立図書館長による会議体で、メンバー間の情報共有、相互協力を目指しています。当館は、CDNLAOホームページの運営及びニューズレターの編集・刊行を担当しています。
日本で行われた2008年の同会議において、CDNLAOメンバーが協同して取り組む4つの分野が選定されました。当館は、ウェブ・アーカイビングの分野について、幹事国となっています。
IFLA資料保存コア活動(IFLA/PAC)
IFLA資料保存コア活動(IFLA/PAC)は、IFLAが推進するコア活動の一つで、資料保存のプログラムです。図書や雑誌等紙の資料だけではなく、電子資料の保存についても取組みを行っています。当館は、1989年からアジア地域センターとして活動しています。
世界図書館(Bibliotheca Universalis)プロジェクト
「世界図書館」プロジェクトは、1995年~2005年において、各国の国立図書館等の連携により実施されていたプロジェクトです(当初は、G7(G8)電子図書館プロジェクトとしてスタートしましたが、1999年以降は各国の国立図書館の間で行う電子図書館事業という枠組みに変更)。
この事業は、各国における電子図書館事業に関する情報を共有し、また相互運用性に関するワークショップも開催するなど、電子図書館事業の国際的協力を推進する役割を果たしてきましたが、各国における事業の進展、あるいは複数国間での協力事業における目覚しい成果が見られるようになってきたため、2005年にプロジェクトは終了しました。
電子図書館サービスに関する講演会・国際シンポジウム
国立国会図書館では、国内外の有識者をお招きし、電子図書館サービスに関連した講演会・国際シンポジウム等を行っています。
各講演会・シンポジウムの詳細、申し込み方法等はイベント・展示会情報をご覧ください。