広告あれこれ ―明治、大正、昭和の化粧品広告―

化粧品広告のデザインやキャッチコピーからは、化粧品の様々な効果や当時理想とされた顔のイメージが伝わってきます。以下では、明治後期~昭和中期の雑誌に掲載された化粧品広告の一部を紹介します。

1890年代

このころ、広告はまだ白黒印刷であり、広告文は文語体、モデルは和服姿でした。当時の人々は美白を追求していたのでしょうか。「肉體色白新劑」の広告文には、商品を使用すれば、男女共に肌が白く美しくなり、きめも細やかになると書かれています。

家庭雑誌

風俗画報

風俗画報

家庭雑誌図書館送信

『家庭雑誌』(13) , 家庭雑誌社, 1893.9【雑50-1】

「花王石鹸」(長瀨富郎)

色を白くし美艶はだとなり●にきび●そばかす●はたけ●あせぼ●たむしの類●ひゞ●しもやけ●はだのあれ(後略)

風俗画報

『風俗画報』(74) , 東陽堂, 1894.7.【雑23-8】

「肉體色白新劑」(日新館)

本剤は男女共全体皮膚を白哲艶美ならしめ膚理を軟密にする峻烈なる特効を有す(後略)

風俗画報

『風俗画報』(99) , 東陽堂, 1895.9.【雑23-8】

「水おしろい」(松澤八右衛門)

此水おしろいはへちまの水にてさらし御顔の薬をえらみ麝香龍脳は良品を以て製したる所にしてはたに香気を保ち衛生要用の早化粧なり

1900年代

二色・三色刷りの広告が現れ、カタカナ交じりの商品が増えました。「ヲイテルミン」の広告は、当時鉛中毒の問題が認識されていながらも依然として鉛白粉が使用されていたことを示しています。

風俗画報

風俗画報

風俗画報

風俗画報

家庭雑誌

風俗画報

『風俗画報』(237), 東陽堂, 1901.8.【雑23-8】

「ヲイテルミン」(福原資生堂)

ヲイテルミンは高等の化粧料なれば貴婦人令嬢方の必需品にして第一顔手足等あれ性の人常に之を用ゆれば皮膚を美麗滑澤ならしむるのみならず(にきび、そばかす)顔の小じは等の生ずることなく又白粉下として使用すれば本邦在来の鉛製白粉と雖も中毒を起すことなし

風俗画報

『風俗画報』(38) , 東陽堂, 1906.8.【雑23-8】

「プレスト洗粉」(GYOKUSENDO)

ARMSTRONG’S CASTILE SOAP POWDER DIFFERENT FROM AND BETTER THAN ALL OTHERS.

風俗画報

『風俗画報』(40) , 東陽堂, 1906.10.【雑23-8】

「カメリヤ洗粉」(小林富次郎)

カメリヤは時代の要求により生れたる最新最良の洗粉なり香気爽快にして色を白くし皮膚を艶麗ならしむ紳士貴女の常用として他に比類なし

風俗画報

『風俗画報』(41) , 東陽堂, 1906.11.【雑23-8】

「クラブ洗粉」(中山太陽堂)

最も善良なるトイレットとして愛用せらる(注・「トイレット」は、「化粧、身じまい」の意で用いられていると考えられます)

家庭雑誌図書館送信

『家庭雑誌』1(2) , 東陽堂, 1908.6.【雑50-1】

「小町糠」(芙蓉園)

小町糠は(中略)「ニキビ」「フキデモノ」等を予防し白粉のりも非常によく美容と衛生経済を兼備したる最良化粧料なり

1910年代

広告文では依然として白肌が強調されていますが、より成分や効能に言及するようになりました。また、鉛中毒の危険性が広く認識されてきたのでしょうか。御園白粉をはじめ、無鉛を謳う広告が登場しました。

風俗画報

婦人週報

婦人週報

風俗画報

『風俗画報』(447), 東陽堂, 1913.7.【雑23-8】

「ハンドコロン溶液」(オリエンタル薬舗)

本液は多年欧米各種の身体白色法を研究の結果発見せられたる新液にして世上雑多の白色化粧水の比にあらず本邦に於いても貴紳淑女粋士間に大高評を博し殊に愛用せらるる最新流行の白色剤にして本剤を塗擦すれば其主成分の力に依り皮は次第に新陳代謝を盛にし皮膚を漂白するを以て全身次第に白色艶美となる

婦人週報図書館送信

『婦人週報』2(14), 婦人週報社, 1916.3.【雑51-29】

「御園白粉」(伊東胡蝶園)

(前略)御園白粉は純無鉛製にして殺菌消毒を施したれば安全此上なく永久の保存と陽気の変遷に堪へ効能の変る事無く濃淡自在乗りよく伸びよく斑點(むら)なく附き肌を透して自然の生彩を現はす事化粧界の記録(レコード)を破りたる模範品なり。

婦人週報図書館送信

『婦人週報』3(1) , 婦人週報社, 1917.1.【雑51-29】

「オキシナー」(オキシナー商會)

年頭にあたり最新発明の美容元素オキシナーの御愛用をお薦めする事を無上の光栄とします。オキシナーは過酸化水素を含んで居ますからニキビ、ソバカスは勿論のこと最大特色は色を根本から白くするのであります。(後略)

1920年代

絵画調のタッチが特徴的なクラブ白粉、有名デザイナーやハリウッド女優を起用するヘチマコロン(画像掲載なし)など、視覚的に訴える広告が増加しました。

女性

女性

女性

主婦の友

主婦の友

主婦の友

女性図書館送信

『女性』13(1) , プラトン社, 1928.1.【雑51-35】

「クラブ練白粉」(中山太陽堂)

新春のお化粧には是非

女性図書館送信

『女性』7(1) , プラトン社, 1925.1.【雑51-35】

「クラブ白粉」(中山太陽堂)

アレ止に一番よくきくクラブ美身クリーム 高尚で美しいクラブ白粉

女性図書館送信

『女性』1(1) , プラトン社, 1922.5.【雑51-35】

「クラブ白粉」(中山太陽堂)

クラブ白粉をお用ひになれば貴女のお顔はまだまだ美しくなります

主婦の友

『主婦の友』 12(3), 主婦の友社, 1928.3.【Z6-29】

「ドン白粉」(磯野化学研究所)

主婦の友

『主婦の友』13(1) , 主婦の友社, 1929.1.【Z6-29】

「四七一一番ヴァニシングクリーム コールドクリーム」(シ・ホルスタイン商会)

肌理やわやかに永久の若さに輝く真の化粧美をお望みなら四七一一番ヴァニシングクリームを…朝に コールドクリームを…夕にお用ひ遊ばせ

主婦の友

『主婦の友』12(5) , 主婦の友社, 1928.5.【Z6-29】

「過酸化水素クリーム」(資生堂)

色白くすること・ソバカス・シミを除くこと・顔のくもりをはっきりさせることに於て夙に定評ある美顔美白用のクリーム

1930年代

昭和初期の近代化政策に伴い、「健康美」が重要視されるようになると、化粧品においても「青春」「健康」「爽やか」など、若々しさをアピールする商品が増えてきました。

少女倶楽部

主婦の友

主婦の友

エスエス

エスエス

主婦の友

少女倶楽部

『少女倶楽部』11(4) , 大日本雄弁会講談社, 1933.4.【Z32-411】

「クラブはき白粉」(中山太陽堂)

不壌の青春を輝かし、麗朗な近代明色を存分に発揮する、クラブ白粉の流行化粧

主婦の友

『主婦の友』17(4) , 主婦の友社, 1933.4.【Z6-29】

「マスター襟白粉」(尚美堂)

あらア‥武兄様もお人が悪いわ、あの時の私のウインクと自然な生々とした化粧には第一兄様だつて惚々する位だつたから見合の結果はモチ上々吉さなんて、手紙なんかで冷語(からか)つてくるんですものホホ、でも此手紙の様子だと先様もまづ‥ホホ‥夫にしても私! マスター襟白粉と水白粉の新肌色さまさまだわ、こんなに黒い肌にも、色味の效(はたら)きでピツタリついて、而も地肌の艶を生した自然さにお化粧ができたからだわ‥

主婦の友

『主婦の友』19(5) , 主婦の友社, 1935.5.【Z6-29】

「カッピー粉白粉」(田端豊香園)

柔かい若いお肌と――柔らかい春の光とを 見事にとりもつ国産カッピー 花見のお化粧によく―さては夜の宴にもしつくりと適(あ)ふ!

エスエス図書館送信

『エスエス』3[(2)], 東宝発行所, 1938.2.【Z11-928】

「レートクレーム」(東京平尾賛平商店)

進め!お肌のために お肌を美化する!レートクレーム

エスエス図書館送信

『エスエス』3[(7)] , 東宝発行所, 1938.7.【Z11-928】

「ウテナクリーム」(久保政吉商店)

過度の日焦けを完全に防ぎ健康な若肌を培ふクリーム

主婦の友

『主婦の友』23(5) , 主婦の友社, 1939.5.【Z6-29】

「マスタークリーム」(尚美堂)

サラっと爽やか!マスターバニシングクリーム ヒゲソリ後に第一等!

1940年代

戦前・戦中期に入ると、健康美や日本人の美しさを称える広告が増すとともに、「銃後」「戦場」など物々しい文言が並ぶようになりました。
戦後には再び、欧米人や英語を全面に出した広告が登場します。

主婦の友

婦人倶楽部

主婦の友

苦楽

婦人生活

主婦の友

『主婦の友』26(3) , 主婦の友社, 1942.3.【Z6-29】

「ウテナクリーム」(久保政吉商店)

銃後は明るい健康美で

婦人倶楽部

『婦人倶楽部』24(3), 講談社, 1943.3.【Z6-30】

「カガシクリーム」(カガシ化粧品本舗)

ここも戦場だ 華美な化粧は米英のもの、簡素の美こそ日本のもの!

主婦の友

『主婦の友』22(5) , 主婦の友社, 1938.5.【Z6-29】

「ヘチマコロン」(近源商店 天野源七)

世界人羨望の的(せかいぢうのひとがうらやましがる)―日本人の生地(あなたのぢはだ)

苦楽図書館送信

『苦楽』1(1) , 苦楽社, 1946.11.【Z051.6-Ku2】

「クラブ美身クリーム」(中山太陽堂)

愉しいお化粧はお肌の整美が一番大切です品質の良いクリームでお顔に溜った汚れや埃を浄化してそれから仕上ですクリームはクラブをお選び下さい艶々した柔肌にしてお化粧もたのしく出来ますどなたもクラブを

婦人生活図書館送信

『婦人生活』1(1)1947.5.【Z6-347】

「コング香料」(コング化粧料本舗)

美しく若々しい粧い!

1950年代

戦前は、白粉を中心としたベースメイクの広告が多く見られましたが、戦後は、口紅をはじめとするポイントメイクの広告が増加しました。流行色を打ち出した広告や海外製を強調するキャッチコピーが特徴的です。また、「マダムジュジュ」のような年齢化粧品も現れました。

婦人倶楽部

婦人生活

婦人生活

婦人生活

婦人生活

婦人生活

婦人倶楽部

『婦人倶楽部』31(5) , 講談社, 1950.5.【Z6-30】

「オペラ口紅」(オペラ)

1950年の流行色 オペラのブリアンレッド(鮮紅色) 明るい素晴らしい色彩が評判です。

婦人生活図書館送信

『婦人生活』6(12) , 婦人生活社, 1952.12.【Z6-347】

「マダムジュジュ」(小林製薬)

25才以下の方はお使いになってはいけません!!

婦人生活図書館送信

『婦人生活』7(8) , 婦人生活社, 1953.7.【Z6-347】

「パピリオの口紅」(パピリオ)

婦人生活図書館送信

『婦人生活』8(10) , 婦人生活社, 1954.10.【Z6-347】

「キスミーファンデ」(伊勢半)

凄い人気の美人です 指先一本でスピード化粧ができる。今アメリカで凄い人気を呼んでいる素適な美人法!

婦人生活図書館送信

『婦人生活』9(1) , 婦人生活社, 1955.1.【Z6-347】

「資生堂コールドクリーム」(資生堂)

美しくなるための日課 ほんの五分か十分…お顔のマッサージをいたしましょう

婦人生活図書館送信

『婦人生活』11(2) , 婦人生活社, 1957.2.【Z6-347】

「キスミースーパー口紅」(伊勢半)

お約束の前には… キッスしても…落ちない口紅を丁寧につけます。冴えた素晴らしい色とツヤ、描きよいタッチすべて輸入原料の口紅です。素的な魅力!

1960年代

カラーテレビが登場したこの頃、広告はより鮮明になり、化粧品自体のカラーバリエーションも増えました。1964年7月には、東京オリンピックにちなんだ広告も見られます。

主婦の友

婦人生活

装苑

婦人生活

婦人生活

主婦の友

『主婦の友』44(1), 主婦の友社, 1960.1.【Z6-29】

「資生堂ドルックス口紅」(資生堂)

パーティの女王

婦人生活図書館送信

『婦人生活』17(12), 婦人生活社, 1963.11.【Z6-347】

「ファインライン口紅」(Max Factor)

ファインラインは新しいデザインの口紅です

装苑

『装苑』22(1), 文化出版局, 1967.1.【Z6-530】

「ミッチェル口紅」(ミッチェル)

今年の流行色もミッチェルから…

婦人生活図書館送信

『婦人生活』18(4) , 婦人生活社, 1964.4.【Z6-347】

「資生堂口紅」(資生堂)

メイクアップトウキョウ ことしの口紅をご紹介しますオリンピックの年にふさわしい<東京カラー>です。東京の夜明け、真昼、夕暮、真夜中、その微妙なうつりかわりを美しくとらえた5つの色です。(後略)

婦人生活図書館送信

『婦人生活』18(7) , 婦人生活社, 1964.7.【Z6-347】

「ビネラ ビューティレイントニック」(タケダ化粧品部)

素肌のほしがっているうるおいです。やわらかい清浄作用がニキビを予防します…美しい素肌をつくるために何よりも1びん欲しい基本的な化粧水

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参考文献



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