国内で所蔵されている和算資料

明治以降、遺された和算資料の調査が進んだことは、コラム「明治以降の和算史研究」でふれました。日本各地で広く行われていた和算研究は、明治以降、洋算が中心になっていくにつれ、歴史研究の対象として扱われるようになります。和算資料は、こうした研究者のもとに集まり、現在は日本学士院と東北大学で数多く所蔵されています。日本学士院の和算資料は菊池大麓(1855-1917)が始めた和算史調査事業で集められたものが中心で、昭和7年(1932)に約7,500点を収録した岡本則録編『和算図書目録』が当時の帝国学士院から刊行されました。図書だけでなく、書簡や器械、器具、写真なども収録されています。その後も資料の寄贈などを受け、平成14年(2002)には増補版が『日本学士院所蔵 和算資料目録』のタイトルで刊行されています。こちらには約9,800点の資料が収録されています。

また、東北大学附属図書館も12,000点を超える和算資料を所蔵しています。「明治以降の和算史研究」で述べたように、戦前期の東北大学では和算史研究が盛んに行われ、その中心人物であった林鶴一(1873-1935)と藤原松三郎(1881-1946)が集めた資料を中心に、狩野亨吉(1865-1942)や岡本則録(1847-1931)の収集資料なども所蔵されています。林鶴一の弟子にあたる小倉金之助(1885-1962)の集めた和算資料1,260点は昭和31年(1956)に早稲田大学図書館の所蔵となりました。

このほか、江戸の和算家が所蔵していた和算資料は現在、各地の大学図書館や公共図書館などでも所蔵されています。全国で所蔵される和古書の総合目録である『国書総目録』では、「和算」という分類項目が与えられ、約9,000点が収録されました。これらの資料は現在では、国文学研究資料館の「日本古典籍総合目録」で検索できます。

以上の和算資料は、電子化されて公開されているものも多くあります(リンク集参照)。また、復刻や翻刻がされている和算資料もあります。こちらについては、次項「国立国会図書館で所蔵する和算資料」で述べています。

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