資料と解説・第1章 戦争終結と憲法改正の始動
1-5 米国の「初期対日方針」
日本本土侵攻を目前に控えた1945(昭和20)年4月、陸軍省の要請に応じて国務省は、ほぼ一年前に作成した文書「米国の対日戦後目的」を基に「初期対日政策の要綱草案」を新たに作成した。これは、国務・陸・海軍三省調整委員会(SWNCC)の極東小委員会に提出され、陸軍省から経済政策面での補強を求められた。その結果、6月11日に国務省がSWNCCに提出した対日政策の基本文書(SWNCC150)では、新たに経済条項が追加された。
7月末に発表されたポツダム宣言を受けて、直接軍政を規定したSWNCC150は修正され、8月11日付けのSWNCC150/1には、間接統治の意味合いが含まれた。翌12日、若干の修正が加えられた(SWNCC150/2)後、日本の降伏が予想外に早まったため、緊急措置として修正案作成の主導権は対日占領の直接命令者である陸軍省に移された。陸軍省が大幅な修正を加えたSWNCC150/3では、天皇を含む既存の日本の統治機構を通じて占領政策を遂行するという間接統治の方針が明確化される一方、主要連合国間で意見が相違する場合には米国の政策がこれを決定するとの一節が挿入された。その後、同文書は統合参謀本部による修正を取り入れ、8月31日のSWNCC会議で承認された(SWNCC150/4)。続く9月6日に大統領の承認を得て、22日国務省がこれを発表(SWNCC150/4/A)、日本では24日付けで各紙に報道された。
SWNCC150/4では、占領の究極目的として、平和的で責任ある政府の樹立と自由な国民の意思による政治形態の確立をうたっていた。これに対して外務省は、9月30日付けの「降伏後ニ於ケル米国初期対日方針説明」において、米国は天皇制を含む日本の統治形式の存続を保障している訳ではなく、「過去の経緯」及び「自国の利害打算」から、変革が外部から強要された形を取ることを避け、日本の政府、国民が「自発的」に現存の統治制度を改革することを期待していると分析した。
資料名 |
Summary of United States Initial Post-Defeat Policyrelating to Japan (Informal and without Commitment by the Department of State) |
年月日 |
April 12, 1945 |
資料番号 |
3省調整委員会記録 極東小委員会記録Records of SWNCC, Records of the Subcommittee for the Far East "384.1 Surrender Term, Japan 1945.4.18-1945.8.30" <SFE-1 Roll No. 2> |
所蔵 |
国立国会図書館 |
原所蔵 |
米国国立公文書館(RG353) |
注記 |
マイクロフィルム |
資料名 |
Politico-Military Problems in the Far East: United States Initial Post-Defeat Policy Relating to Japan (SWNCC150) |
年月日 |
11 June 1945 |
資料番号 |
3(4)省調整委員会ケースファイル SWNCC/SANACC Case Files, 1944-1949 "SWNCC 150 Post-Surrender Policy for Japan, June 1945 - July 1947" <SWN-1, Roll No. 14> |
所蔵 |
国立国会図書館 |
原所蔵 |
米国国立公文書館(RG353) |
注記 |
マイクロフィルム |
資料名 |
United States Initial Post-Defeat Policy Relating to Japan (SWNCC150/1) |
年月日 |
11 August 1945 |
資料番号 |
GHQ/SCAP 最高機密ファイル(各部局) GHQ/SCAP Records, Top Secret Records of Various Sections. Administrative Division Box No. CI-1(20) "SWNCC 150/1:Politico-Military Problems in the Far East:United States Initial Post-Defeat Policy Relating to Japan" <Sheet No. TS00349> |
所蔵 |
国立国会図書館 |
原所蔵 |
米国国立公文書館(RG331) |
注記 |
マイクロフィッシュ |
資料名 |
United States Initial Post-Defeat Policy Relating to Japan (SWNCC150/2) |
年月日 |
12 August 1945 |
資料番号 |
3(4)省調整委員会ケースファイル SWNCC/SANACC Case File, 1944-1949 "SWNCC 150 Post-Surrender Policy for Japan, June 1945 - July 1947" <SWN-1 Roll No. 14> |
所蔵 |
国立国会図書館 |
原所蔵 |
米国国立公文書館(RG353) |
注記 |
マイクロフィルム |
資料名 |
U.S. Initial Post-Surrender Policy for Japan (SWNCC150/3) |
年月日 |
22 August 1945 |
資料番号 |
GHQ/SCAP 最高機密ファイル(各部局) GHQ/SCAP Records, Top Secret Records of Various Sections. Administrative Division Box No. CI-1(21) "SWANCC150/3: Politico-Military Problems in the Far East:United States Initial Post-Defeat Policy Relating to Japan" <Sheet No. TS00350> |
所蔵 |
国立国会図書館 |
原所蔵 |
米国国立公文書館(RG331) |
注記 |
マイクロフィッシュ |
資料名 |
United States Initial Post-Surrender Policy for Japan (SWNCC150/4) |
年月日 |
6 September 1945 |
資料番号 |
国務省10進分類ファイル(太平洋戦争) U.S. State Department Records Decimal File 1945-1949(PW) "740.00119 P.W./9-645" <SDD-3, Roll No. 3> |
所蔵 |
国立国会図書館 |
原所蔵 |
米国国立公文書館(RG59) |
注記 |
マイクロフィルム |
資料名 |
U.S. Initial Post-Surrender Policy for Japan(SWNCC150/4/A) |
年月日 |
21 September 1945 |
資料番号 |
GHQ/SCAP最高機密ファイルGHQ/SCAP Records; Top Secret Records of Various Sections. Administrative Division; Box No. LS-1: "Top Secret, File No. 1 - Covering the Period from 1 September 1945 thru 19 January 1946" <Sheet No. TS00320-00323> |
所蔵 |
国立国会図書館 |
原所蔵 |
米国国立公文書館(RG331) |
注記 |
マイクロフィッシュ |
資料名 |
「降伏後ニ於ケル米国初期対日方針」説明 |
年月日 |
昭和20年9月30日 |
資料番号 |
外交記録 A'1.0.0.1「ポツダム宣言受諾関係一件(第3巻)」の内 <GAI-1, Reel No. A'-0113> |
所蔵 |
国立国会図書館 |
原所蔵 |
外務省 |
注記 |
マイクロフィルム |
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