資料と解説

3-21 GHQとの交渉と「3月5日案」の作成

1946(昭和21)年3月4日午前10時、松本烝治国務大臣は、ホイットニーに対し、日本案(3月2日案)を提出した。GHQは、日本側の係官と手分けして、直ちに、日本案及び説明書の英訳を開始した。英訳が進むにつれて、GHQ側は、GHQ草案と日本案の相違点に気づき、松本とケーディスとの間で激しい口論となった。松本は、午後になって、経済閣僚懇談会への出席を理由に、GHQを退出した。

日本案の英訳作業が一段落した夕刻、GHQは、引き続いて、確定案を作成する方針を示し、午後8時半頃から、佐藤達夫法制局第一部長ら日本側と、徹夜の逐条審議が開始された。審議済みの案文は、次々に総理官邸に届けられ、5日の閣議に付議された。同日午後4時頃、司令部での作業はすべて終了し、3月5日案が確定した。閣議は、この案に従うことに決し、午後5時頃、幣原首相と松本国務大臣が参内して奏上した。

「3月4・5両日司令部ニ於ケル顛末」は、4日から5日にかけてのGHQにおける協議の顛末を佐藤が克明に記録したものである。上から二番目の資料は、総理官邸に逐次届けられた審議済みの案文を取りまとめたもので、閣議で配布された資料の原稿となったものである。

資料名 三月四、五両日司令部ニ於ケル顛末
年月日 昭和21年3月
資料番号 入江俊郎文書 15(「三月六日発表憲法改正草案要綱」の内)
所蔵 国立国会図書館
原所蔵  
注記 顛は、「眞」に「頁」。顛は俗字
資料名 日本國憲法
年月日 [昭和21年3月5日]
資料番号 佐藤達夫文書 40
所蔵 国立国会図書館
原所蔵  
注記 表紙のメモには、「March 4」とあり
資料名 日本國憲法(三月五日案)
年月日 [昭和21年3月5日]
資料番号 佐藤達夫文書 41
所蔵 国立国会図書館
原所蔵  
注記 閣議で配布されたもの
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